豪中銀、債券買い入れを予想通り終了 利上げは急がず
[シドニー 1日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は1日、予想通り政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.10%に据え置き、債券買い入れの終了を決定した。一方、市場の早期利上げ観測はけん制した。
中銀は債券買い入れの終了について、早期の利上げを示唆するものではないとし、引き続き忍耐強く対応する用意があると強調した。
ロウ総裁は声明で「理事会がこれまでに表明してきたように、実際のインフレ率が2─3%の目標範囲内に持続的に収まるまでキャッシュレートを引き上げない」と表明。「インフレ率は上昇したが、持続的に目標範囲内にあると結論付けるのは時期尚早」とした。
豪中銀のハト派姿勢を受け、豪ドルは一時、0.7055米ドルに下落した。
失業率が13年ぶり低水準に改善し、コアインフレ率が7年ぶり高水準に上昇する中、量的緩和はもはや必要ないとして、大半のアナリストが今回の債券買い入れ終了を予想していた。
とりわけ、コアインフレ率が来年末まで2.5%に達しないと見込んでいた中銀にとって2.6%への上昇は驚きだった。
ロウ総裁は今回、コアインフレ率が今後数四半期で3.25%前後に上昇し、23年に2.75%まで低下すると予想。失業率については年内に4%を下回り、23年末には3.75%前後に低下すると予想した。
市場は、中銀が最終的にインフレを警戒して早ければ5月に利上げを開始し、12月までに4回の追加利上げで政策金利を1.25%まで引き上げると見込んでいる。
5月は総選挙と重なるとみられ、この時期の利上げは政治的に厄介な問題となるだろう。
世界的なインフレ圧力を受け、ニュージーランド中銀など既に利上げに動く中銀もある中、豪中銀は賃金の伸びがさらに加速するまで待つ姿勢を示している。
ロウ総裁は、年間の賃金の伸びが現在の2.2%から、3%かそれ以上に加速することを期待している。総裁は今回、賃金の伸びは依然緩やかで、インフレ率と整合的となるまでまだ時間がかかる公算が大きいとの見方を繰り返した。
これにより、今月発表される10─12月期の賃金指標に注目が集まることになる。
CBAの豪経済担当責任者、ギャレス・エアード氏は「豪中銀が利上げを開始するまでに、賃金の伸び加速を示す指標が2、3四半期分は必要になる」と指摘。最初の利上げは8月で15ベーシスポイントと見込んでいる。
中銀は引き続き、今年の国内総生産(GDP)伸び率を4.5%とし、23年にかけて2%に鈍化すると予想した。
ロウ総裁は「新型コロナウイルスのオミクロン変異株の流行は経済に悪影響を与えたが、景気回復を妨げてはいない」と指摘した。
総裁は2日に金融政策について講演する予定。豪中銀は4日の金融政策報告で経済見通しを公表する。