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ジェイ・エス・ビー Research Memo(4):2021年10月期の業績は、期初予想を大幅に上回る好決算
配信日時:2022/01/31 16:14
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2021年10月期の業績概要
ジェイ・エス・ビー<3480>の2021年10月期は、売上高は52,787百万円(前期比9.8%増)、営業利益5,337百万円(同23.0%増)、経常利益5,203百万円(同22.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,252百万円(同17.8%増)の大幅な増収増益決算となった。各利益は、2020年10月期決算発表時の期初予想を20%を超過する好決算であった。コロナ禍による厳しい経営環境のなかで、業界内では強い会社と、弱い会社の二極化が鮮明になっているようだ。同社グループでは、計画を上回る物件管理戸数の順調な増加や高水準の入居率維持により賃貸関連売上高が伸長したことで、保証家賃の増加、人員体制の強化、自社所有物件増加による減価償却費増などの費用増加を吸収して、大幅な増益となった。2019年10月期に刷新したシステム運用が定着し、非対面営業の推進により一般管理費増が抑制された効果も大きかった。なお、2021年4月から大企業に適用される収益認識基準の変更に伴い、売上高の増加率は利益の増加率に比べて低い伸びにとどまった。
2021年10月期におけるわが国経済は、コロナ禍の断続的な感染再拡大により停滞が続いていた。度重なる緊急事態宣言の発出等により経済社会活動が制限された結果、製造業や情報通信業が比較的堅調な一方、個人向けサービスの低迷が続くなど、業種による二極化が鮮明になった。ワクチン接種の拡がりに伴い外出行動の抑制度合は段階的に縮小しており、消費も持ち直しに転じる見通しではあるものの、さらなる感染再拡大への懸念など、依然として予断を許さない状況が続いている。このような経営環境のもと、同社グループの主たる顧客層である学生の動向は、大学(大学院を含む)の学生数は291.8万人と前年より3千人増加(文部科学省「令和3年度学校基本調査(速報値)」)し、前年度の減少から一転して増加へ転じることとなり、同社グループを取り巻く市場環境には追い風となっている。
こうした環境のなかで、同社グループでは、新中期経営計画「GT01」(2021年10月期~2023年10月期)の初年度において、主力の不動産賃貸管理事業では期初の計画策定時点での低調な見通しから、前期を上回る入居率に至るなど、一転して好調な状況で推移した。また、2021年8月には新株式の発行及び株式売出しを行い、資金調達による成長投資の加速と、投資家層の拡大、株式の流動性向上を図った。
なお同社グループでは、主力事業の不動産賃貸管理事業においては賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期に新規契約件数が増加することから売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向があることに留意が必用だ。実際、学生マンションの入居者入れ替わりは年度末・年度始に集中しており、売上高・利益計上の時期に大きな偏りが生じる。すなわち、学生マンションの入替期である第2四半期(2~4月)に売上高・利益計上が集中し、一方、第1、3、4四半期は、主に入居者募集の準備として費用を計上する期間である。結果として、売上高・営業利益の四半期ごとの変動はあるものの、物件管理戸数増加に伴って年度単位では着実に右肩上がりで推移している。
2. セグメント別動向
(1) 不動産賃貸管理事業
売上高は49,519百万円(前期比10.2%増)、セグメント利益は6,642百万円(同21.6%増)と増収増益となった。物件管理戸数は75,946戸(前期比3,462戸増)と順調に増加した。入居率についてはコロナ禍における学生や大学等教育機関の動向を考慮のうえ、全国各エリアで低下を見込んでいたが、非対面を中心とした営業戦略へシフトすることで、計画上の下落幅を補う形となり、前期の99.8%から0.1ポイント増の99.9%と、100%に近い過去最高の水準に達した。また、自社・保証物件増加に伴う家賃・礼金等の増加や拠点増加に伴う食堂売上の増加などもあったことで、増収となった。学生マンション業界では厳しい経営環境で倒産に追い込まれた学生寮運営会社があったなかで、同社グループの高い稼働状況は際立っている。
費用面では、戸数増による保証家賃増加、人員数の増加による人件費の増加、所有物件増加による減価償却費の増加はあったものの、刷新本稼働から3期目を迎える基幹システム運用の定着と非対面を中心とした営業戦略による一定の効率化が図れたことで一般管理費等固定費の抑制が進み、増益となった。この結果、セグメント利益率は前期の12.2%から13.4%に上昇し、高い利益率を維持している。
(2) 高齢者住宅事業
売上高は2,802百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益は353百万円(同15.5%増)の増収増益となった。コロナ禍の大きな影響はなく、2019年10月にオープンした「グランメゾン迎賓館大津大将軍」がほぼ満室と引き続き高稼働状況で推移していることに加え既存施設の営業力強化もあって介護サービス関連売上や家賃収入が増加し、増収となった。加えて、人員シフトや掃除ロボット・見守り機器の導入などによる運営効率化により経費の圧縮を図った結果、増益となった。同事業では新規取得の施設の黒字化までに時間がかかることもあり、従来は不動産賃貸管理事業に比べて低い利益率にとどまっていたが、2020年10月期からは大きく改善している。2021年10月期も、春に開業予定であった「グランメゾン迎賓館 豊中刀根山」の開業が10月にずれ込んだことで、創業赤字の減少につながった。以上から、セグメント利益率は前期の11.3%から12.6%に上昇している。
(3) その他の事業
売上高466百万円(前期比13.5%増)、セグメント損失172百万円(前期は106百万円の損失)となった。学生向けの企業説明会や就職セミナー情報の提供を通じた各種支援サービスの提供、外国人留学生向けの日本語学校の運営による教育事業等を進めるとともに、学生マンションの共用部をシェアリングスペースとして活用するなど、独自性のある価値提供へ向けた取り組みを行っている。その他の事業については、同社グループの主力事業に対する後方支援的な位置付けを担うことから、潜在的な効果として主力事業の事業収益へ寄与していると言えるだろう。2021年10月期はコロナ禍の影響から、採用関連事業では合同企業説明会や就活セミナーについて、Web開催を中心に進めてきた。また日本語学校事業でも、留学生への入国制限等により受け入れ時期の遅延が継続している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<EY>
1. 2021年10月期の業績概要
ジェイ・エス・ビー<3480>の2021年10月期は、売上高は52,787百万円(前期比9.8%増)、営業利益5,337百万円(同23.0%増)、経常利益5,203百万円(同22.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,252百万円(同17.8%増)の大幅な増収増益決算となった。各利益は、2020年10月期決算発表時の期初予想を20%を超過する好決算であった。コロナ禍による厳しい経営環境のなかで、業界内では強い会社と、弱い会社の二極化が鮮明になっているようだ。同社グループでは、計画を上回る物件管理戸数の順調な増加や高水準の入居率維持により賃貸関連売上高が伸長したことで、保証家賃の増加、人員体制の強化、自社所有物件増加による減価償却費増などの費用増加を吸収して、大幅な増益となった。2019年10月期に刷新したシステム運用が定着し、非対面営業の推進により一般管理費増が抑制された効果も大きかった。なお、2021年4月から大企業に適用される収益認識基準の変更に伴い、売上高の増加率は利益の増加率に比べて低い伸びにとどまった。
2021年10月期におけるわが国経済は、コロナ禍の断続的な感染再拡大により停滞が続いていた。度重なる緊急事態宣言の発出等により経済社会活動が制限された結果、製造業や情報通信業が比較的堅調な一方、個人向けサービスの低迷が続くなど、業種による二極化が鮮明になった。ワクチン接種の拡がりに伴い外出行動の抑制度合は段階的に縮小しており、消費も持ち直しに転じる見通しではあるものの、さらなる感染再拡大への懸念など、依然として予断を許さない状況が続いている。このような経営環境のもと、同社グループの主たる顧客層である学生の動向は、大学(大学院を含む)の学生数は291.8万人と前年より3千人増加(文部科学省「令和3年度学校基本調査(速報値)」)し、前年度の減少から一転して増加へ転じることとなり、同社グループを取り巻く市場環境には追い風となっている。
こうした環境のなかで、同社グループでは、新中期経営計画「GT01」(2021年10月期~2023年10月期)の初年度において、主力の不動産賃貸管理事業では期初の計画策定時点での低調な見通しから、前期を上回る入居率に至るなど、一転して好調な状況で推移した。また、2021年8月には新株式の発行及び株式売出しを行い、資金調達による成長投資の加速と、投資家層の拡大、株式の流動性向上を図った。
なお同社グループでは、主力事業の不動産賃貸管理事業においては賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期に新規契約件数が増加することから売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向があることに留意が必用だ。実際、学生マンションの入居者入れ替わりは年度末・年度始に集中しており、売上高・利益計上の時期に大きな偏りが生じる。すなわち、学生マンションの入替期である第2四半期(2~4月)に売上高・利益計上が集中し、一方、第1、3、4四半期は、主に入居者募集の準備として費用を計上する期間である。結果として、売上高・営業利益の四半期ごとの変動はあるものの、物件管理戸数増加に伴って年度単位では着実に右肩上がりで推移している。
2. セグメント別動向
(1) 不動産賃貸管理事業
売上高は49,519百万円(前期比10.2%増)、セグメント利益は6,642百万円(同21.6%増)と増収増益となった。物件管理戸数は75,946戸(前期比3,462戸増)と順調に増加した。入居率についてはコロナ禍における学生や大学等教育機関の動向を考慮のうえ、全国各エリアで低下を見込んでいたが、非対面を中心とした営業戦略へシフトすることで、計画上の下落幅を補う形となり、前期の99.8%から0.1ポイント増の99.9%と、100%に近い過去最高の水準に達した。また、自社・保証物件増加に伴う家賃・礼金等の増加や拠点増加に伴う食堂売上の増加などもあったことで、増収となった。学生マンション業界では厳しい経営環境で倒産に追い込まれた学生寮運営会社があったなかで、同社グループの高い稼働状況は際立っている。
費用面では、戸数増による保証家賃増加、人員数の増加による人件費の増加、所有物件増加による減価償却費の増加はあったものの、刷新本稼働から3期目を迎える基幹システム運用の定着と非対面を中心とした営業戦略による一定の効率化が図れたことで一般管理費等固定費の抑制が進み、増益となった。この結果、セグメント利益率は前期の12.2%から13.4%に上昇し、高い利益率を維持している。
(2) 高齢者住宅事業
売上高は2,802百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益は353百万円(同15.5%増)の増収増益となった。コロナ禍の大きな影響はなく、2019年10月にオープンした「グランメゾン迎賓館大津大将軍」がほぼ満室と引き続き高稼働状況で推移していることに加え既存施設の営業力強化もあって介護サービス関連売上や家賃収入が増加し、増収となった。加えて、人員シフトや掃除ロボット・見守り機器の導入などによる運営効率化により経費の圧縮を図った結果、増益となった。同事業では新規取得の施設の黒字化までに時間がかかることもあり、従来は不動産賃貸管理事業に比べて低い利益率にとどまっていたが、2020年10月期からは大きく改善している。2021年10月期も、春に開業予定であった「グランメゾン迎賓館 豊中刀根山」の開業が10月にずれ込んだことで、創業赤字の減少につながった。以上から、セグメント利益率は前期の11.3%から12.6%に上昇している。
(3) その他の事業
売上高466百万円(前期比13.5%増)、セグメント損失172百万円(前期は106百万円の損失)となった。学生向けの企業説明会や就職セミナー情報の提供を通じた各種支援サービスの提供、外国人留学生向けの日本語学校の運営による教育事業等を進めるとともに、学生マンションの共用部をシェアリングスペースとして活用するなど、独自性のある価値提供へ向けた取り組みを行っている。その他の事業については、同社グループの主力事業に対する後方支援的な位置付けを担うことから、潜在的な効果として主力事業の事業収益へ寄与していると言えるだろう。2021年10月期はコロナ禍の影響から、採用関連事業では合同企業説明会や就活セミナーについて、Web開催を中心に進めてきた。また日本語学校事業でも、留学生への入国制限等により受け入れ時期の遅延が継続している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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