注目トピックス 日本株
城南進研 Research Memo(7):2022年3月期は4期ぶりの増収、営業黒字化を見込む(1)
配信日時:2022/01/31 15:27
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2022年3月期業績見通し
城南進学研究社<4720>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比10.8%増の6,324百万円、営業利益で70百万円(前期は637百万円の損失)、経常利益で62百万円(同585百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で83百万円(同1,056百万円の損失)と4期ぶりの増収に転じ、営業利益、経常利益も4期ぶりの黒字に転換する見通しだ。ただ、期初計画に対しては個別指導部門の新規生徒獲得が低調なことや、その他の一部事業においてもコロナ禍が長引くなかで、回復が限定的にとどまっていることから、売上高、各利益ともに下方修正している。なお、当期純利益のみ損失となるが、これは特別損失として減損損失を計上したことが主因となっている。また、同社は2021年12月17日付で投資有価証券の売却損並びに評価損を合わせて83百万円計上する見込みであることを発表しており、これについては業績修正計画には含まれていないため、最終損失についてはさらに拡大する可能性がある。
売上高については、第2四半期までの基調に大きな変化はないもようで、個別指導部門の低迷を映像授業部門やその他事業の回復でカバーする見込みとなっている。利益面では増収効果に加えて、収益構造改革の実施に伴う固定費削減効果等により黒字に転換する見通しだ。人件費についてはRPAツールの導入によるバックオフィス部門のスリム化や、各教場におけるスタッフの最適化を実施した。賃借料については2021年3月期から値下げ交渉を行っており、その効果が2022年3月期まで継続する。
なお、営業利益を半期ベースで見ると、上期の98百万円から下期は28百万円の損失に転じる見込みとなっている。季節要因で上期偏重型の収益構造となっていることに加えて、今下期は2023年3月期以降の成長を見据えて個別指導部門を中心に生徒募集費用や販促費を積み増す予定にしていることが要因であり、前年同期比で見ると改善傾向が続くことに変わりない。
(1) 個別指導部門
個別指導部門の売上高は期初計画で前期比5%以上の増加を見込んでいたが、前述のとおり新規生徒の獲得が伸び悩んだ影響により、若干の減収となる可能性がある。「城南コベッツ」「城南予備校DUO」ともに直営教室の新規開設は予定しておらず、不採算教室の一掃を目標に掲げている。
生徒数の回復施策としては、Webプロモーションの見直しを進めていくと同時に、顧客満足度のさらなる向上に取り組んでいく方針となっている。直営教室では学習塾ポータルサイトへの依存度を減らすべく、自社公式サイトの拡充やその他Webプロモーション施策等にも取り組んでいく。また、顧客満足度の向上については、引き続き学習指導の強化やフォローアップ体制の充実を図り、学力向上という結果を積み上げていくことが重要であると考えている。顧客満足度が向上すれば、退塾率が低減するほか口コミ効果によって入塾希望者も増えていくものと予想される。
差別化戦力としては「城南コベッツ」で、EdTechの活用による学力向上モデルの構築に取り組んでいる。小中学生向けには「デキタス」、中高校生向けには「atama+」をデジタル教材として導入し、学習の進捗度合いを管理するアプリ「GoNAVI」を組み合わせることで効率的に基礎学力の向上を図っていく。また、中高生向けの英語受験対策として、英語4技能対応のオリジナルテキスト「5 Codes English」を提供している。
(2) 映像授業部門
映像授業部門の売上高は期初計画で前期比9%増を見込んでいたが、生徒数が順調に増加していることから、13%前後まで伸長する見通しだ。2022年2月に1校を開校することも上乗せ要因となる。
(3) 幼少教育部門
幼少教育のうち、「くぼたのうけん」については期初計画で前期比20%弱の増収を見込んでいたが、コロナ禍が続くなかで10%前後の増収にとどまる見通し。複合型スクール「城南ブレインパーク」については下期にさらに2拠点開設し、合計8拠点を予定している。提供プログラムもプログラミング教室「Viscuit(ビスケット)」や、こどもの哲学「P4C Little Thikers」、英語で理科実験「Little Scientist」など拡充しており、受講者数の増加を見込んでいる。また、ソリューション事業として「くぼた式育児法」を全国の保育園・幼稚園に拡販していく計画となっている。
「ズー・フォニックス・アカデミー」についても、前期比10%超の増収を見込んでいたが、1ケタ台の増収となる見通しだ。校舎数は前期末と変わらないが、イングリッシュ・プリスクール(2~4歳児対象)であった南浦和校に関して、2021年4月より、2~6歳児を対象とした完全英語教育を実践するインターナショナル・スクールに移行したこと等により生徒数の増加を見込んでいる。南浦和校では英語が学べる学童保育「E-CAMP」も提供しており、子どもを長時間預かることで利益率の向上にも寄与することになり、高付加価値モデルになり得る事業として今後の動向が注目される。
「城南ルミナ保育園」については「くぼた式育児法」「ズー・フォニックス・アカデミー」のプログラム導入により差別化を図っており、2022年3月期は若干の増収となる見通しだ。
(4) デジタル教材部門
デジタル教材部門の売上高は期初計画で前期比3%増を見込んでいたが、2021年度も「EdTech導入補助金」事業の対象サービスに採択されたことで下期の導入校数増加が見込まれること、また、学校以外の施設での利用も広がっていることなどから、同39%増の約2.6億円と2ケタ成長が続く見通しとなっている。現在も、学習塾やスポーツクラブ運営会社向けに営業活動を推進しており、さらなる成長を目指していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
1. 2022年3月期業績見通し
城南進学研究社<4720>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比10.8%増の6,324百万円、営業利益で70百万円(前期は637百万円の損失)、経常利益で62百万円(同585百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で83百万円(同1,056百万円の損失)と4期ぶりの増収に転じ、営業利益、経常利益も4期ぶりの黒字に転換する見通しだ。ただ、期初計画に対しては個別指導部門の新規生徒獲得が低調なことや、その他の一部事業においてもコロナ禍が長引くなかで、回復が限定的にとどまっていることから、売上高、各利益ともに下方修正している。なお、当期純利益のみ損失となるが、これは特別損失として減損損失を計上したことが主因となっている。また、同社は2021年12月17日付で投資有価証券の売却損並びに評価損を合わせて83百万円計上する見込みであることを発表しており、これについては業績修正計画には含まれていないため、最終損失についてはさらに拡大する可能性がある。
売上高については、第2四半期までの基調に大きな変化はないもようで、個別指導部門の低迷を映像授業部門やその他事業の回復でカバーする見込みとなっている。利益面では増収効果に加えて、収益構造改革の実施に伴う固定費削減効果等により黒字に転換する見通しだ。人件費についてはRPAツールの導入によるバックオフィス部門のスリム化や、各教場におけるスタッフの最適化を実施した。賃借料については2021年3月期から値下げ交渉を行っており、その効果が2022年3月期まで継続する。
なお、営業利益を半期ベースで見ると、上期の98百万円から下期は28百万円の損失に転じる見込みとなっている。季節要因で上期偏重型の収益構造となっていることに加えて、今下期は2023年3月期以降の成長を見据えて個別指導部門を中心に生徒募集費用や販促費を積み増す予定にしていることが要因であり、前年同期比で見ると改善傾向が続くことに変わりない。
(1) 個別指導部門
個別指導部門の売上高は期初計画で前期比5%以上の増加を見込んでいたが、前述のとおり新規生徒の獲得が伸び悩んだ影響により、若干の減収となる可能性がある。「城南コベッツ」「城南予備校DUO」ともに直営教室の新規開設は予定しておらず、不採算教室の一掃を目標に掲げている。
生徒数の回復施策としては、Webプロモーションの見直しを進めていくと同時に、顧客満足度のさらなる向上に取り組んでいく方針となっている。直営教室では学習塾ポータルサイトへの依存度を減らすべく、自社公式サイトの拡充やその他Webプロモーション施策等にも取り組んでいく。また、顧客満足度の向上については、引き続き学習指導の強化やフォローアップ体制の充実を図り、学力向上という結果を積み上げていくことが重要であると考えている。顧客満足度が向上すれば、退塾率が低減するほか口コミ効果によって入塾希望者も増えていくものと予想される。
差別化戦力としては「城南コベッツ」で、EdTechの活用による学力向上モデルの構築に取り組んでいる。小中学生向けには「デキタス」、中高校生向けには「atama+」をデジタル教材として導入し、学習の進捗度合いを管理するアプリ「GoNAVI」を組み合わせることで効率的に基礎学力の向上を図っていく。また、中高生向けの英語受験対策として、英語4技能対応のオリジナルテキスト「5 Codes English」を提供している。
(2) 映像授業部門
映像授業部門の売上高は期初計画で前期比9%増を見込んでいたが、生徒数が順調に増加していることから、13%前後まで伸長する見通しだ。2022年2月に1校を開校することも上乗せ要因となる。
(3) 幼少教育部門
幼少教育のうち、「くぼたのうけん」については期初計画で前期比20%弱の増収を見込んでいたが、コロナ禍が続くなかで10%前後の増収にとどまる見通し。複合型スクール「城南ブレインパーク」については下期にさらに2拠点開設し、合計8拠点を予定している。提供プログラムもプログラミング教室「Viscuit(ビスケット)」や、こどもの哲学「P4C Little Thikers」、英語で理科実験「Little Scientist」など拡充しており、受講者数の増加を見込んでいる。また、ソリューション事業として「くぼた式育児法」を全国の保育園・幼稚園に拡販していく計画となっている。
「ズー・フォニックス・アカデミー」についても、前期比10%超の増収を見込んでいたが、1ケタ台の増収となる見通しだ。校舎数は前期末と変わらないが、イングリッシュ・プリスクール(2~4歳児対象)であった南浦和校に関して、2021年4月より、2~6歳児を対象とした完全英語教育を実践するインターナショナル・スクールに移行したこと等により生徒数の増加を見込んでいる。南浦和校では英語が学べる学童保育「E-CAMP」も提供しており、子どもを長時間預かることで利益率の向上にも寄与することになり、高付加価値モデルになり得る事業として今後の動向が注目される。
「城南ルミナ保育園」については「くぼた式育児法」「ズー・フォニックス・アカデミー」のプログラム導入により差別化を図っており、2022年3月期は若干の増収となる見通しだ。
(4) デジタル教材部門
デジタル教材部門の売上高は期初計画で前期比3%増を見込んでいたが、2021年度も「EdTech導入補助金」事業の対象サービスに採択されたことで下期の導入校数増加が見込まれること、また、学校以外の施設での利用も広がっていることなどから、同39%増の約2.6億円と2ケタ成長が続く見通しとなっている。現在も、学習塾やスポーツクラブ運営会社向けに営業活動を推進しており、さらなる成長を目指していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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