ランチタイムコメント
日経平均は3日ぶり反発、経済対策も一段の上昇につながらず?
配信日時:2021/11/19 12:18
配信元:FISCO
日経平均は3日ぶり反発。119.96円高の29718.62円(出来高概算5億7000万株)で前場の取引を終えている。
18日の米株式市場でNYダウは続落し、60ドル安となった。決算が嫌気されたシスコシステムズの下落がNYダウを押し下げたほか、世界的な新型コロナウイルスの再流行や連邦準備理事(FRB)の議長人事を巡る不透明も重しとなった。ただ、小売企業の堅調な決算を好感した買いも散見され、引けにかけて下げ幅を縮小。また、好決算のエヌビディアがけん引役となって半導体関連株が上昇し、ナスダック総合指数は+0.45%
で過去最高値を更新した。本日の東京市場でもこうした流れを引き継いで値がさの半導体関連株に買いが先行し、日経平均は42円高からスタート。朝方の買いが一巡すると小高い水準でもみ合う場面が続いたが、前場中ごろを過ぎて強含み、一時29755.92円(157.26円高)まで上昇した。
個別では、売買代金トップのレーザーテック<6920>が堅調なほか、東エレク<8035>
やルネサス<6723>が4~5%前後上昇するなど、半導体関連株が買われている。レーザーテックと東エレクは取引時間中の上場来高値を更新。その他では郵船<9101>などの海運株が反発し、任天堂<7974>は続伸。ソニーG<6758>は小高い。インドのトラクターメーカー買収を発表したクボタ<6326>は大幅続伸。また、マーケットE<3135>がストップ高を付け、東証1部上昇率トップとなっている。一方、中国アリババ集団の株価急落が売り材料視されたソフトバンクG<9984>は軟調で、トヨタ自<7203>もさえない。エーザイ<4523>やOLC<4661>はやや下げが目立つ。また、エイチーム<3662>が大幅に3日続落し、連日で東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、鉱業、卸売業、精密機器などが上昇率上位。一方、パルプ・紙、空運業、証券などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の32%、対して値下がり銘柄は62%となっている。
本日の日経平均は3日ぶりに反発し、3ケタの上昇で前場を折り返した。日足チャートでは、29700円台に位置する5日移動平均線を一時上回るも、この水準での攻防といった様相。日経平均の寄与度上位銘柄を見ると、東エレクが1銘柄で約104円押し上げている格好だ。また、NY原油先物相場の反発などから、前日下げの目立った市況関連セクターも堅調。ただ、東証1部銘柄の6割超が下落しており、全体としては利益確定売りが優勢という印象を受ける。ここまでの東証1部売買代金は1兆4000円弱と前日並み。
新興市場ではマザーズ指数が-1.49%と3日続落。週前半に大きく上昇しただけに、週末を前に利益確定売りが出やすいところか。前日売りのかさんだアスタリスク<6522>などが急反発する一方、主力IT株が総じてさえない。なお、本日マザーズ市場に新規上場したAB&C<9251>は公開価格を6%下回る初値となったが、足元の株価は公開価格をやや上回って推移している。同社は美容室チェーンを全国展開。投資ファンドによる売出規模が大きく、需給懸念が先行したとみられるが、積極出店で業績を伸ばしており、公開価格も上値余地の感じられる水準だった。今後の値動きに期待したい。
さて、前日の日経平均は「経済対策が財政支出ベースで55.7兆円規模に膨らむ見通し」との報道を受けて後場急速に下げ渋り、プラス転換する場面もあった。しかし、買いが続かず終値では続落。本日も前日高値(29715.95円)を大きく上抜くには至っていないのを見ると、今回の経済対策が株価を一段と押し上げるとみる市場参加者はさほど多くないのだろうと考えざるを得ない。実際、中身を精査すると「規模が想定から拡大したわけではなさそう」といった見方が出てきている。
日本取引所グループが18日発表した11月第2週(8~12日)の投資主体別売買動向も確認しておきたい。外国人投資家は現物株を268億円売り越し(前の週は1236億円の買い越し)、東証株価指数(TOPIX)先物を2611億円買い越し(同1492億円の売り越し)、日経平均先物を1104億円買い越し(同264億円の売り越し)していた。海外勢が株価指数先物の買い越しに傾いてきたのは明るい材料と受け止められるだろう。ただ、ここ数日の先物手口を見ると、17日はモルガン・スタンレーMUFG証券がTOPIX先物・日経平均先物とも売り越し。18日はBofA証券がやはりTOPIX先物・日経平均先物とも売り越しとなった。日経平均が節目の3万円に迫る場面では、海外勢の先物買いも鈍くなると考えざるを得ない。
また、東京証券取引所が16日発表した12日申し込み時点の信用買い残高(東名2市場、制度・一般信用合計)は3兆4724億円で、前の週と比べ338億円減った。高値圏で利益確定売りが出たようで、2週連続の減少となっている。かねて指摘しているとおり、高水準の信用買い残が上値の重しとなっていることがわかる。
足元で円相場が1ドル=114.40円近辺まで下落してきており、後場の日経平均はこれを支えに堅調に推移しそうだ。もっとも、香港ハンセン指数が大幅に3日続落しており、外部環境は強弱まちまちか。また、前日の当欄で取り上げたとおり、週内に決定するというFRB議長人事にも注目したところで、やはり積極的に上値を追いづらいだろう。
(小林大純)
<NH>
18日の米株式市場でNYダウは続落し、60ドル安となった。決算が嫌気されたシスコシステムズの下落がNYダウを押し下げたほか、世界的な新型コロナウイルスの再流行や連邦準備理事(FRB)の議長人事を巡る不透明も重しとなった。ただ、小売企業の堅調な決算を好感した買いも散見され、引けにかけて下げ幅を縮小。また、好決算のエヌビディアがけん引役となって半導体関連株が上昇し、ナスダック総合指数は+0.45%
で過去最高値を更新した。本日の東京市場でもこうした流れを引き継いで値がさの半導体関連株に買いが先行し、日経平均は42円高からスタート。朝方の買いが一巡すると小高い水準でもみ合う場面が続いたが、前場中ごろを過ぎて強含み、一時29755.92円(157.26円高)まで上昇した。
個別では、売買代金トップのレーザーテック<6920>が堅調なほか、東エレク<8035>
やルネサス<6723>が4~5%前後上昇するなど、半導体関連株が買われている。レーザーテックと東エレクは取引時間中の上場来高値を更新。その他では郵船<9101>などの海運株が反発し、任天堂<7974>は続伸。ソニーG<6758>は小高い。インドのトラクターメーカー買収を発表したクボタ<6326>は大幅続伸。また、マーケットE<3135>がストップ高を付け、東証1部上昇率トップとなっている。一方、中国アリババ集団の株価急落が売り材料視されたソフトバンクG<9984>は軟調で、トヨタ自<7203>もさえない。エーザイ<4523>やOLC<4661>はやや下げが目立つ。また、エイチーム<3662>が大幅に3日続落し、連日で東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、鉱業、卸売業、精密機器などが上昇率上位。一方、パルプ・紙、空運業、証券などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の32%、対して値下がり銘柄は62%となっている。
本日の日経平均は3日ぶりに反発し、3ケタの上昇で前場を折り返した。日足チャートでは、29700円台に位置する5日移動平均線を一時上回るも、この水準での攻防といった様相。日経平均の寄与度上位銘柄を見ると、東エレクが1銘柄で約104円押し上げている格好だ。また、NY原油先物相場の反発などから、前日下げの目立った市況関連セクターも堅調。ただ、東証1部銘柄の6割超が下落しており、全体としては利益確定売りが優勢という印象を受ける。ここまでの東証1部売買代金は1兆4000円弱と前日並み。
新興市場ではマザーズ指数が-1.49%と3日続落。週前半に大きく上昇しただけに、週末を前に利益確定売りが出やすいところか。前日売りのかさんだアスタリスク<6522>などが急反発する一方、主力IT株が総じてさえない。なお、本日マザーズ市場に新規上場したAB&C<9251>は公開価格を6%下回る初値となったが、足元の株価は公開価格をやや上回って推移している。同社は美容室チェーンを全国展開。投資ファンドによる売出規模が大きく、需給懸念が先行したとみられるが、積極出店で業績を伸ばしており、公開価格も上値余地の感じられる水準だった。今後の値動きに期待したい。
さて、前日の日経平均は「経済対策が財政支出ベースで55.7兆円規模に膨らむ見通し」との報道を受けて後場急速に下げ渋り、プラス転換する場面もあった。しかし、買いが続かず終値では続落。本日も前日高値(29715.95円)を大きく上抜くには至っていないのを見ると、今回の経済対策が株価を一段と押し上げるとみる市場参加者はさほど多くないのだろうと考えざるを得ない。実際、中身を精査すると「規模が想定から拡大したわけではなさそう」といった見方が出てきている。
日本取引所グループが18日発表した11月第2週(8~12日)の投資主体別売買動向も確認しておきたい。外国人投資家は現物株を268億円売り越し(前の週は1236億円の買い越し)、東証株価指数(TOPIX)先物を2611億円買い越し(同1492億円の売り越し)、日経平均先物を1104億円買い越し(同264億円の売り越し)していた。海外勢が株価指数先物の買い越しに傾いてきたのは明るい材料と受け止められるだろう。ただ、ここ数日の先物手口を見ると、17日はモルガン・スタンレーMUFG証券がTOPIX先物・日経平均先物とも売り越し。18日はBofA証券がやはりTOPIX先物・日経平均先物とも売り越しとなった。日経平均が節目の3万円に迫る場面では、海外勢の先物買いも鈍くなると考えざるを得ない。
また、東京証券取引所が16日発表した12日申し込み時点の信用買い残高(東名2市場、制度・一般信用合計)は3兆4724億円で、前の週と比べ338億円減った。高値圏で利益確定売りが出たようで、2週連続の減少となっている。かねて指摘しているとおり、高水準の信用買い残が上値の重しとなっていることがわかる。
足元で円相場が1ドル=114.40円近辺まで下落してきており、後場の日経平均はこれを支えに堅調に推移しそうだ。もっとも、香港ハンセン指数が大幅に3日続落しており、外部環境は強弱まちまちか。また、前日の当欄で取り上げたとおり、週内に決定するというFRB議長人事にも注目したところで、やはり積極的に上値を追いづらいだろう。
(小林大純)
<NH>
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