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霞ヶ関キャピタル Research Memo(4):ポストコロナを見据えて、物流施設開発事業を大幅に拡大(1)
配信日時:2021/11/12 15:04
配信元:FISCO
■事業別の取り組み
1. 物流施設開発事業
霞ヶ関キャピタル<3498>は、コロナ禍収束後(以下、ポストコロナ)の環境下では物流施設需要が大きく伸びると見込んでいる。個人向けインターネット販売市場(EC市場)は今後も堅調な成長が予想されているが、EC向けの物流倉庫はピッキング作業が中心となり、通常の倉庫よりも多くの通路や梱包スペースを要するため、専用のレイアウトが必要になる。従来の店舗-企業間物流のセンターでは対応が難しいことから、新規の施設需要が増え、物流施設市場が拡大すると同社は想定している。
一方で、首都圏の物流施設の空室率は、2020年に過去最低水準を記録するなど需給逼迫状態が進行している。消費行動の変化や労働人口の減少といった社会全体の大きな変化を背景としたEC企業による先進大型物流施設に対する需要拡大や、物流施設の省人化設備や自動化設備導入のための需要拡大は、長期的に続くトレンドであると同社は見ている。特に、諸外国に比べて日本のEC化率は低いことから、今後も増加傾向は続くと同社では予想している。
さらに、オゾン層や地球温暖化への影響の懸念から、国際協定に基づき2030年にはHCFCフロンの生産が全廃されることから、今後は冷凍冷蔵倉庫ではアンモニア使用型への転換が主流になると考えられる。大都市圏における冷蔵倉庫の約35%は築40年以上経過しており、それらがスクラップ&ビルドの対象と考えられるが、アンモニア使用型への転換には数億円以上の設備投資が必要なため、体力の乏しい準大手企業を中心に、大冷蔵倉庫の多くが一斉に廃棄される可能性が大きい。一方、冷凍食品の国内消費量は、(1) 加工技術の向上、(2) 保存期間の長期化、(3) 共働き世代の増加、(4) 冷凍食品に対する抵抗感の減少などの要素により増加傾向にあり、今後も冷凍冷蔵倉庫の需要は拡大すると想定される。
こうした環境変化を見据えて同社では、需要の高い地域に適切な物流施設を開発する予定である。その一環として、物流ブランド「LOGI FLAG®」を設立し、商標を登録した。ドライ型倉庫である「LOGI FLAG®」(常温倉庫)に加え、2030年フロン問題にも適応したコールド型倉庫「LOGI FLAG® COLD」(冷凍冷蔵倉庫)の2タイプを提供している。常温倉庫は大手不動産会社の参入により取得競争が厳しい状況にあるものの、冷凍冷蔵倉庫は新しい分野であり、高付加価値で利益も大きく、環境配慮型の物流施設となる。なお、物流施設の空室率については、首都圏だけでなく関西圏でも5%を下回っており、今後地方圏へこの状況が広まっていくことが見込まれている。物流施設開発事業は、世の中のニーズや市場環境の変化を捉えていち早く新規ビジネスとして立上げ主力事業に育てるという、同社の柔軟なビジネスモデルの好例と言えよう。
また同社では、業界最高水準の物流施設開発体制が整っている。すなわち、物流施設開発のプロセス((1) テーマ構築、(2) ソーシング、(3) リーシング、(4) プロジェクトマネジメント)を内製化している。具体的には、市街化区域では付加価値の高い冷凍冷蔵倉庫を選択し、ドライ型倉庫は調整区域での開発を行うことで競争優位性を実現している。特に、「(1) テーマ構築」が同社の競争力の源泉となっていることに注目したい。長年の実績と豊富なノウハウを持つメンバーが多数所属している強みを生かした「テーマ構築」により、資金が流入し、株価も上昇すると考えられる。
物流施設開発事業は2021年8月期に立上げを実施した事業であるにもかかわらず、2021年8月期は9件の用地取得を行い、うち4件の売却が完了したことで収益に大きく寄与した。プロジェクトパイプラインについては、2020年8月末時点での計画中/開発中3件116億円から、2021年8月末時点では計画中/開発中7件372億円、着工済/竣工済4件207億円と急拡大している。同事業はコストがかかるが、開発利益を取り込むことで十分な利益を得ることができる。加えて、開発フェーズに移行した4物件についてはJR西日本(西日本旅客鉄道<9021>)グループ、世界最大級の運用会社であるBrookfield Asset Management 、国内投資会社3社との集団投資スキームなど、大手企業や巨大資本のプレイヤーと事業を推進していることも強みとなるだろう。
2015年9月の国連サミットで採択され掲げられたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に基づき、誰一人として取り残されない社会を目指して世界中で取り組みが進んでいる。同社も事業活動を通してSDGsの達成に積極的に貢献し、持続可能な社会の実現のため社会問題解決に取り組むためのESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス))経営を行っている。物流施設開発事業についても、開発する物流施設すべてを環境へ配慮した施設にすることを目指している。将来的にREIT組成を目指している同社にとって、開発段階から環境に配慮することは重要と言えよう。具体的には、環境認証取得、クールルーフィング/反射ルーフィングの導入検討、冷凍冷蔵倉庫での自然冷媒/代替フロンの活用、LED等高効率照明器具の導入検討、太陽光発電施設の導入検討、社会活動への取り組みなどを推進している。
2. アパートメントホテル開発事業
ホテル関連市場においては、コロナ禍の影響を受け依然として世界的に移動制限が続いていることにより、国内・インバウンド(外国人の訪日旅行)ともに本格的な需要の回復には時間を要する様相を呈している。このような環境の下で同社は、市場回復時の成長を見据えた方針を打ち出している。具体的には、一般的にグループ旅行者が全体の6割弱を占めるのに対し、3~6人部屋の供給は4割に満たないことから、同社では多人数向けホテルの需給ギャップに着目し、グループ旅行者向けのホテル開発を推進している。同社は家族・グループ旅行等の需要に対応した「アパートメントホテル」の開発を手掛けているが、駅から徒歩5~10分圏内に立地し、キッチンや洗濯機等の長期滞在に対応した設備を完備した部屋を低額で提供できることから、国内旅行回帰等の需要取り込みを見込んでいる。つまり、消失したインバウンドに替わり、日本人の海外旅行消費分が今後国内旅行の消費へ向かうと見られていることから、消費単価の高い旅客ニーズの獲得が重要となる。宿泊需要へのコロナ禍の影響は大きいものの、今後は景気刺激策や行動制限の解除/緩和による需要回帰の動きが期待される。
同社が開発しているアパートメントホテルは、ブランド名を「FAV HOTEL(favorite=お気に入りの意味)」とし、“Good for Group”をコンセプトに「家族でも、大人4人の仲間でいても窮屈でない空間」「手の届きそうな非日常」を提供する、グループ滞在に最適なホテルを目指している。各室の広さは35~40平方メートル、定員は4名以上を標準プランとし、客室単価はビジネスホテル以下に設定している。これは、通常1部屋1万円台とすると、4人で泊まれば1人当たり4,000~4,500円程度になる。
これらを実現するために、アパートメントホテルでは、徹底した省力化・低コスト化オペレーションにより、コロナ禍でも収益を生むビジネスモデル・運営体制を確立している。具体的には、フロント業務の省人化や、チェックアウトベースの清掃、飲食を提供しない宿泊特化のサービス等、固定費の削減により、同業他社と比べて低い稼働率でも損益分岐点を上回る運営を行っている。コロナ禍により稼働中シティホテルの平均定員稼働率は65%から19%に下落し、多くのホテルが休業や赤字経営を強いられるなか、同社のFAV HOTELは15%の稼働率でも運営収支が黒字化する仕組みを構築している。コロナ禍収束後は従来のように海外旅行者の利用増加も期待できることから、市場回復時にはさらなる利益貢献が見込まれる。
アパートメントホテルについては、コロナ禍の厳しい投資環境下にもかかわらず、2021年8月期は4件の開発ファンド組成を完了している。計画中/開発中パイプラインとしては、2020年8月末時点での計画中/開発中12件230億円、着工済/竣工済11件104億円から、2021年8月末時点では計画中/開発中7件254億円、着工済/竣工済10件108億円と、開発は順調に進んでいる。具体的には、石垣島真栄里プロジェクト(119室)、函館大手町プロジェクト(31室)、鹿児島加治屋町プロジェクト(50室)、両国プロジェクト(22室)、西日暮里プロジェクト(25室)、広島西平塚プロジェクト(52室)、高山花里町プロジェクト(38室)、広島西蟹屋プロジェクト(33室)、糸島プロジェクト(47室)などがある。なお同社では、アパートメントホテル開発に際しては地元の銀行や建設会社を使うなど、地元の経済活性化につながるよう配慮しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 物流施設開発事業
霞ヶ関キャピタル<3498>は、コロナ禍収束後(以下、ポストコロナ)の環境下では物流施設需要が大きく伸びると見込んでいる。個人向けインターネット販売市場(EC市場)は今後も堅調な成長が予想されているが、EC向けの物流倉庫はピッキング作業が中心となり、通常の倉庫よりも多くの通路や梱包スペースを要するため、専用のレイアウトが必要になる。従来の店舗-企業間物流のセンターでは対応が難しいことから、新規の施設需要が増え、物流施設市場が拡大すると同社は想定している。
一方で、首都圏の物流施設の空室率は、2020年に過去最低水準を記録するなど需給逼迫状態が進行している。消費行動の変化や労働人口の減少といった社会全体の大きな変化を背景としたEC企業による先進大型物流施設に対する需要拡大や、物流施設の省人化設備や自動化設備導入のための需要拡大は、長期的に続くトレンドであると同社は見ている。特に、諸外国に比べて日本のEC化率は低いことから、今後も増加傾向は続くと同社では予想している。
さらに、オゾン層や地球温暖化への影響の懸念から、国際協定に基づき2030年にはHCFCフロンの生産が全廃されることから、今後は冷凍冷蔵倉庫ではアンモニア使用型への転換が主流になると考えられる。大都市圏における冷蔵倉庫の約35%は築40年以上経過しており、それらがスクラップ&ビルドの対象と考えられるが、アンモニア使用型への転換には数億円以上の設備投資が必要なため、体力の乏しい準大手企業を中心に、大冷蔵倉庫の多くが一斉に廃棄される可能性が大きい。一方、冷凍食品の国内消費量は、(1) 加工技術の向上、(2) 保存期間の長期化、(3) 共働き世代の増加、(4) 冷凍食品に対する抵抗感の減少などの要素により増加傾向にあり、今後も冷凍冷蔵倉庫の需要は拡大すると想定される。
こうした環境変化を見据えて同社では、需要の高い地域に適切な物流施設を開発する予定である。その一環として、物流ブランド「LOGI FLAG®」を設立し、商標を登録した。ドライ型倉庫である「LOGI FLAG®」(常温倉庫)に加え、2030年フロン問題にも適応したコールド型倉庫「LOGI FLAG® COLD」(冷凍冷蔵倉庫)の2タイプを提供している。常温倉庫は大手不動産会社の参入により取得競争が厳しい状況にあるものの、冷凍冷蔵倉庫は新しい分野であり、高付加価値で利益も大きく、環境配慮型の物流施設となる。なお、物流施設の空室率については、首都圏だけでなく関西圏でも5%を下回っており、今後地方圏へこの状況が広まっていくことが見込まれている。物流施設開発事業は、世の中のニーズや市場環境の変化を捉えていち早く新規ビジネスとして立上げ主力事業に育てるという、同社の柔軟なビジネスモデルの好例と言えよう。
また同社では、業界最高水準の物流施設開発体制が整っている。すなわち、物流施設開発のプロセス((1) テーマ構築、(2) ソーシング、(3) リーシング、(4) プロジェクトマネジメント)を内製化している。具体的には、市街化区域では付加価値の高い冷凍冷蔵倉庫を選択し、ドライ型倉庫は調整区域での開発を行うことで競争優位性を実現している。特に、「(1) テーマ構築」が同社の競争力の源泉となっていることに注目したい。長年の実績と豊富なノウハウを持つメンバーが多数所属している強みを生かした「テーマ構築」により、資金が流入し、株価も上昇すると考えられる。
物流施設開発事業は2021年8月期に立上げを実施した事業であるにもかかわらず、2021年8月期は9件の用地取得を行い、うち4件の売却が完了したことで収益に大きく寄与した。プロジェクトパイプラインについては、2020年8月末時点での計画中/開発中3件116億円から、2021年8月末時点では計画中/開発中7件372億円、着工済/竣工済4件207億円と急拡大している。同事業はコストがかかるが、開発利益を取り込むことで十分な利益を得ることができる。加えて、開発フェーズに移行した4物件についてはJR西日本(西日本旅客鉄道<9021>)グループ、世界最大級の運用会社であるBrookfield Asset Management 、国内投資会社3社との集団投資スキームなど、大手企業や巨大資本のプレイヤーと事業を推進していることも強みとなるだろう。
2015年9月の国連サミットで採択され掲げられたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に基づき、誰一人として取り残されない社会を目指して世界中で取り組みが進んでいる。同社も事業活動を通してSDGsの達成に積極的に貢献し、持続可能な社会の実現のため社会問題解決に取り組むためのESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス))経営を行っている。物流施設開発事業についても、開発する物流施設すべてを環境へ配慮した施設にすることを目指している。将来的にREIT組成を目指している同社にとって、開発段階から環境に配慮することは重要と言えよう。具体的には、環境認証取得、クールルーフィング/反射ルーフィングの導入検討、冷凍冷蔵倉庫での自然冷媒/代替フロンの活用、LED等高効率照明器具の導入検討、太陽光発電施設の導入検討、社会活動への取り組みなどを推進している。
2. アパートメントホテル開発事業
ホテル関連市場においては、コロナ禍の影響を受け依然として世界的に移動制限が続いていることにより、国内・インバウンド(外国人の訪日旅行)ともに本格的な需要の回復には時間を要する様相を呈している。このような環境の下で同社は、市場回復時の成長を見据えた方針を打ち出している。具体的には、一般的にグループ旅行者が全体の6割弱を占めるのに対し、3~6人部屋の供給は4割に満たないことから、同社では多人数向けホテルの需給ギャップに着目し、グループ旅行者向けのホテル開発を推進している。同社は家族・グループ旅行等の需要に対応した「アパートメントホテル」の開発を手掛けているが、駅から徒歩5~10分圏内に立地し、キッチンや洗濯機等の長期滞在に対応した設備を完備した部屋を低額で提供できることから、国内旅行回帰等の需要取り込みを見込んでいる。つまり、消失したインバウンドに替わり、日本人の海外旅行消費分が今後国内旅行の消費へ向かうと見られていることから、消費単価の高い旅客ニーズの獲得が重要となる。宿泊需要へのコロナ禍の影響は大きいものの、今後は景気刺激策や行動制限の解除/緩和による需要回帰の動きが期待される。
同社が開発しているアパートメントホテルは、ブランド名を「FAV HOTEL(favorite=お気に入りの意味)」とし、“Good for Group”をコンセプトに「家族でも、大人4人の仲間でいても窮屈でない空間」「手の届きそうな非日常」を提供する、グループ滞在に最適なホテルを目指している。各室の広さは35~40平方メートル、定員は4名以上を標準プランとし、客室単価はビジネスホテル以下に設定している。これは、通常1部屋1万円台とすると、4人で泊まれば1人当たり4,000~4,500円程度になる。
これらを実現するために、アパートメントホテルでは、徹底した省力化・低コスト化オペレーションにより、コロナ禍でも収益を生むビジネスモデル・運営体制を確立している。具体的には、フロント業務の省人化や、チェックアウトベースの清掃、飲食を提供しない宿泊特化のサービス等、固定費の削減により、同業他社と比べて低い稼働率でも損益分岐点を上回る運営を行っている。コロナ禍により稼働中シティホテルの平均定員稼働率は65%から19%に下落し、多くのホテルが休業や赤字経営を強いられるなか、同社のFAV HOTELは15%の稼働率でも運営収支が黒字化する仕組みを構築している。コロナ禍収束後は従来のように海外旅行者の利用増加も期待できることから、市場回復時にはさらなる利益貢献が見込まれる。
アパートメントホテルについては、コロナ禍の厳しい投資環境下にもかかわらず、2021年8月期は4件の開発ファンド組成を完了している。計画中/開発中パイプラインとしては、2020年8月末時点での計画中/開発中12件230億円、着工済/竣工済11件104億円から、2021年8月末時点では計画中/開発中7件254億円、着工済/竣工済10件108億円と、開発は順調に進んでいる。具体的には、石垣島真栄里プロジェクト(119室)、函館大手町プロジェクト(31室)、鹿児島加治屋町プロジェクト(50室)、両国プロジェクト(22室)、西日暮里プロジェクト(25室)、広島西平塚プロジェクト(52室)、高山花里町プロジェクト(38室)、広島西蟹屋プロジェクト(33室)、糸島プロジェクト(47室)などがある。なお同社では、アパートメントホテル開発に際しては地元の銀行や建設会社を使うなど、地元の経済活性化につながるよう配慮しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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