後場の投資戦略
それでも強弱感は入り交じる
配信日時:2021/10/15 12:28
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;28920.14;+369.21TOPIX;2012.41;+25.44
[後場の投資戦略]
前日の米市場で主要株価指数が揃って大きく上昇し、本日の東京市場でも幅広い銘柄が買い優勢の展開となっている。日経平均の日足チャートを見ると、28500円近辺に位置する75日移動平均線を大きく上抜け、早くも次の節目と目される29000円に迫る動き。個別では、さすがに前日大きく上昇していた東エレクやアドバンテス<6857>こそやや落ち着いているが、その他の値がさハイテク株の堅調ぶりが目立つ。収益改善が見られるクリレスHDなどの外食関連株も引き続き急伸している。ただ、ファーストリテや良品計画の期待以下の今期予想には、国内外経済の先行きに対する一抹の不安もあるようだ。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりと前日並みで、引き続き取引活発とは言いづらい。
新興市場でもハイテク株高の流れを追い風に、マザーズ指数が+2.03%と大幅続伸。
こちらは1120pt台に位置する75日移動平均線に迫る動きとなっている。個別では決算発表のオキサイド<6521>などが大幅高。ただ、前日のマザーズ市場では直近IPO(新規株式公開)銘柄がかなり荒い値動きとなり、足の速い投資資金中心の取引となっている可能性がある。
さて、米長期金利は先週末にかけて一時1.6%台まで上昇したのち低下傾向にある。
9月PPIが前月比+0.5%(8月+0.7%、市場予想+0.6%)と鈍化した点はインフレ懸念の緩和につながりそうなものだが、期待インフレ率の指標である10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は14日、2.52%(0.00pt)と高止まりだ。NY原油先物相場が1バレル=80ドル台という高水準を維持しており、こうした商品高を背景にインフレ懸念は拭いづらいだろう。
前日の当欄でも述べたが、このところスタグフレーション(不況と物価高の同時進行)を見越して株式・債券のショート(売り持ち)ポジションを構築していた海外ファンド勢が多かったとみられ、ここ数日の株高・債券高は物価指数発表や国債入札といったイベント通過による売り方の買い戻しが主因だった可能性がある。特に、BEIの高止まりで名目金利とともに実質金利が低下し、ハイテク関連を中心としたグロース
(成長)株は買い戻しが誘発されやすい。
もっとも、前述したようにインフレ懸念などの世界経済の先行きを巡る不透明要因は依然として残るため、国内外投資家が積極的な買い持ちへと転じるかよく見極める必要があるだろう。引き続き各国経済指標の発表は多く、今晩の米国では9月小売売上高、10月NY連銀製造業景気指数、10月ミシガン大学消費者マインド指数などがある。
また、週明け18日には中国で9月国内総生産(GDP)などの重要指標の発表が予定されており、これらの結果を受けて再び相場の方向感に変化が出てくる可能性はあるだろう。
前日の先物手口を見ると、BofA証券が東証株価指数(TOPIX)先物の買い越しを続ける一方、シティグループ証券が売りに傾いた。また、11~12月物オプションでは、権利行使価格27500~28000円のプット(売る権利)の建玉がかなり膨らんでおり、株価急落に備えたヘッジニーズが強いことを窺わせる。市場には強弱感が入り交じっており、日経平均も目先3万円の大台を回復しに行くような動きとはなりづらいだろう。
(小林大純)
<AK>
日経平均;28920.14;+369.21TOPIX;2012.41;+25.44
[後場の投資戦略]
前日の米市場で主要株価指数が揃って大きく上昇し、本日の東京市場でも幅広い銘柄が買い優勢の展開となっている。日経平均の日足チャートを見ると、28500円近辺に位置する75日移動平均線を大きく上抜け、早くも次の節目と目される29000円に迫る動き。個別では、さすがに前日大きく上昇していた東エレクやアドバンテス<6857>こそやや落ち着いているが、その他の値がさハイテク株の堅調ぶりが目立つ。収益改善が見られるクリレスHDなどの外食関連株も引き続き急伸している。ただ、ファーストリテや良品計画の期待以下の今期予想には、国内外経済の先行きに対する一抹の不安もあるようだ。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりと前日並みで、引き続き取引活発とは言いづらい。
新興市場でもハイテク株高の流れを追い風に、マザーズ指数が+2.03%と大幅続伸。
こちらは1120pt台に位置する75日移動平均線に迫る動きとなっている。個別では決算発表のオキサイド<6521>などが大幅高。ただ、前日のマザーズ市場では直近IPO(新規株式公開)銘柄がかなり荒い値動きとなり、足の速い投資資金中心の取引となっている可能性がある。
さて、米長期金利は先週末にかけて一時1.6%台まで上昇したのち低下傾向にある。
9月PPIが前月比+0.5%(8月+0.7%、市場予想+0.6%)と鈍化した点はインフレ懸念の緩和につながりそうなものだが、期待インフレ率の指標である10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は14日、2.52%(0.00pt)と高止まりだ。NY原油先物相場が1バレル=80ドル台という高水準を維持しており、こうした商品高を背景にインフレ懸念は拭いづらいだろう。
前日の当欄でも述べたが、このところスタグフレーション(不況と物価高の同時進行)を見越して株式・債券のショート(売り持ち)ポジションを構築していた海外ファンド勢が多かったとみられ、ここ数日の株高・債券高は物価指数発表や国債入札といったイベント通過による売り方の買い戻しが主因だった可能性がある。特に、BEIの高止まりで名目金利とともに実質金利が低下し、ハイテク関連を中心としたグロース
(成長)株は買い戻しが誘発されやすい。
もっとも、前述したようにインフレ懸念などの世界経済の先行きを巡る不透明要因は依然として残るため、国内外投資家が積極的な買い持ちへと転じるかよく見極める必要があるだろう。引き続き各国経済指標の発表は多く、今晩の米国では9月小売売上高、10月NY連銀製造業景気指数、10月ミシガン大学消費者マインド指数などがある。
また、週明け18日には中国で9月国内総生産(GDP)などの重要指標の発表が予定されており、これらの結果を受けて再び相場の方向感に変化が出てくる可能性はあるだろう。
前日の先物手口を見ると、BofA証券が東証株価指数(TOPIX)先物の買い越しを続ける一方、シティグループ証券が売りに傾いた。また、11~12月物オプションでは、権利行使価格27500~28000円のプット(売る権利)の建玉がかなり膨らんでおり、株価急落に備えたヘッジニーズが強いことを窺わせる。市場には強弱感が入り交じっており、日経平均も目先3万円の大台を回復しに行くような動きとはなりづらいだろう。
(小林大純)
<AK>
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