後場の投資戦略
米CPI前に様子見、相場復調へのハードルは高い
配信日時:2021/10/13 12:12
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;28168.99;-61.62TOPIX;1978.16;-4.52
[後場の投資戦略]
日経平均は方向感に欠ける展開ながらも、心理的な節目の28000円を意識した底堅い動きとなっている。インフレや長期金利の動向が気懸かりななか、今晩には9月米消費者物価指数(CPI)や9月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。様子見ムードのなか仕掛け的な売りなども警戒されるところではあるが、28000円を割ったところではすかさず押し目買いが入るなど、想定以上にしっかりとした動きとなっている。ただ、明日の米株市場の動き次第では、風向きが変わりやすいため、依然として相場は流動的だ。
また、IMFの最新の世界経済見通しは残念な内容となった。世界的な供給網混乱やインフレ懸念による消費鈍化などを背景に、2021年度は全般の経済成長率が下方修正された。世界経済全体については5.9%と前回7月時点から0.1ptの引き下げにとどまったものの、世界経済の中心にある米国経済については6.0%と、前回から1.0ptも引き下げられた。また、日本も2.4%と0.4ptも引き下げられ、前回に続く下方修正となった。日本については、新型コロナウイルスワクチンの接種率上昇を背景に見通しが引き上げられる可能性も指摘されていただけに、この引き下げ幅はネガティブだ。また、米国も日本も共に2022年度については上方修正されているが、先行き不透明感が強いなか、こちらは積極的にポジティブに捉えることが難しい。
国内外の経済見通しが大きく引き下げられたことで、世界の景気敏感株とも呼ばれる日本株にとっては改めて厳しい状況となった。これでは、各国の経済動向を踏まえて投資戦略を決めるグローバルマクロ系のヘッジファンドなどによる投資などはますます見込みにくくなったといえる。
今年2月半ばまでの上昇相場の際には、「インフレ加速・長期金利上昇」を見込んだリフレトレードの動きが活発化し、世界の景気敏感株である日本株にとっては追い風の環境だった。今再び、インフレや長期金利上昇が話題に上っているが、状況は異なる。前回は、コロナ禍からの回復局面前半で景気回復のモメンタムが加速していた時だった。世界の企業業績も1-3月から4-6月にむけて増益率が大幅に拡大する局面だった。しかし、今は違う。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する景況指数などは依然高い数字を記録しているものの、中国を中心に世界全体ではモメンタムは完全に鈍化している。企業業績も4-6月期をピークに、増益率は7-9月期からは大幅に鈍化する見込みだ。景気減速が想定されるなかでのインフレ・長期金利上昇は日本株にとっても望ましくないことは明白だ。
7-9月期決算の先駆けとなる、前週に発表された安川電機<6506>の6-8月期決算は決して悪くはなかった。第1四半期に続き通期計画も上方修正された。しかし、市場予想の範囲内に収まったこともあり、その後の株価推移は軟調だ。インフレ懸念、金利先高観、景気・業績モメンタム鈍化、など、先行き不透明感を払しょくするような企業業績が今後相次ぐことが望まれるが、そのハードルはかなり高そうだ。
<AK>
日経平均;28168.99;-61.62TOPIX;1978.16;-4.52
[後場の投資戦略]
日経平均は方向感に欠ける展開ながらも、心理的な節目の28000円を意識した底堅い動きとなっている。インフレや長期金利の動向が気懸かりななか、今晩には9月米消費者物価指数(CPI)や9月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。様子見ムードのなか仕掛け的な売りなども警戒されるところではあるが、28000円を割ったところではすかさず押し目買いが入るなど、想定以上にしっかりとした動きとなっている。ただ、明日の米株市場の動き次第では、風向きが変わりやすいため、依然として相場は流動的だ。
また、IMFの最新の世界経済見通しは残念な内容となった。世界的な供給網混乱やインフレ懸念による消費鈍化などを背景に、2021年度は全般の経済成長率が下方修正された。世界経済全体については5.9%と前回7月時点から0.1ptの引き下げにとどまったものの、世界経済の中心にある米国経済については6.0%と、前回から1.0ptも引き下げられた。また、日本も2.4%と0.4ptも引き下げられ、前回に続く下方修正となった。日本については、新型コロナウイルスワクチンの接種率上昇を背景に見通しが引き上げられる可能性も指摘されていただけに、この引き下げ幅はネガティブだ。また、米国も日本も共に2022年度については上方修正されているが、先行き不透明感が強いなか、こちらは積極的にポジティブに捉えることが難しい。
国内外の経済見通しが大きく引き下げられたことで、世界の景気敏感株とも呼ばれる日本株にとっては改めて厳しい状況となった。これでは、各国の経済動向を踏まえて投資戦略を決めるグローバルマクロ系のヘッジファンドなどによる投資などはますます見込みにくくなったといえる。
今年2月半ばまでの上昇相場の際には、「インフレ加速・長期金利上昇」を見込んだリフレトレードの動きが活発化し、世界の景気敏感株である日本株にとっては追い風の環境だった。今再び、インフレや長期金利上昇が話題に上っているが、状況は異なる。前回は、コロナ禍からの回復局面前半で景気回復のモメンタムが加速していた時だった。世界の企業業績も1-3月から4-6月にむけて増益率が大幅に拡大する局面だった。しかし、今は違う。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する景況指数などは依然高い数字を記録しているものの、中国を中心に世界全体ではモメンタムは完全に鈍化している。企業業績も4-6月期をピークに、増益率は7-9月期からは大幅に鈍化する見込みだ。景気減速が想定されるなかでのインフレ・長期金利上昇は日本株にとっても望ましくないことは明白だ。
7-9月期決算の先駆けとなる、前週に発表された安川電機<6506>の6-8月期決算は決して悪くはなかった。第1四半期に続き通期計画も上方修正された。しかし、市場予想の範囲内に収まったこともあり、その後の株価推移は軟調だ。インフレ懸念、金利先高観、景気・業績モメンタム鈍化、など、先行き不透明感を払しょくするような企業業績が今後相次ぐことが望まれるが、そのハードルはかなり高そうだ。
<AK>
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