ランチタイムコメント
日経平均は続伸、リスク要因くすぶるも株高に乗らざるを得ない投資家心理
配信日時:2021/09/27 12:10
配信元:FISCO
日経平均は続伸。109.81円高の30358.62円(出来高概算6億7145万株)で前場の取引を終えている。
24日の米国市場でのNYダウは33.18ドル高(+0.09%)と小幅に3日続伸。中国恒大集団のドル建て社債利払いの行方に警戒感がくすぶり、寄り付き後に下落。しかし、世界金融市場への大きな波及は避けられるとの見方が根強く下値も限定的に。8月新築住宅販売件数が予想を上回ったことで景気回復期待も強まり、金融や消費サービス関連などの景気循環株を中心に買われた。一方、米10年国債利回りが約2カ月半ぶりに1.4%台半ばへと上昇するなかハイテク株の上値は抑えられたが、引けにかけては下げ渋り、ナスダック総合指数は0.03%安とほぼ変わらずとなった。
本日の日経平均は29.01円高の30277.82円と小高い水準でスタートすると、取引開始早々に165.80円高の30414.61円まで上値を伸ばした。29日投開票の自民党総裁選が近くづくなか次期政権への期待に加え、緊急事態宣言の9月末での全面解除への期待なども加わり、相場を後押しした。しかし、恒大集団にまつわる懸念は完全に払しょくされていないこともあり、戻り待ちの売りも強く、日経平均は一時マイナス圏に沈む場面もみられた。それでも、押し目買いから前引けにかけては再度上げ幅を拡げる動きとなった。
個別では、業績・配当予想を引き上げたノリタケ<5331>が一時ストップ高で、業績予想を上方修正した長野計器<7715>などと共に値上がり率上位に並んだ。9月の既存店売上高がプラスに転じたしまむら<8227>は約3カ月ぶりの水準にまで上昇。早ければ明日にも緊急事態宣言の解除の可否が決まることを受け、リオープン(経済活動再開)
銘柄が軒並み高に。ANA<9202>などの空運大手、JR西<9021>などの陸運大手が大幅に上昇しているほか、エイチ・アイ・エス<9603>やエアトリ<6191>、オープンドア<3926>
などの旅行関連が急騰している。そのほか、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<
9983>、任天堂<7974>、トヨタ<7203>、日立<6501>、OLC<4661>、JFE<5411>など主力処も買われており、米長期金利や原油先物価格の上昇を背景に三菱UFJ<8306>、INPEX<1605>なども大幅に上昇している。
一方、8月の月次売上が嫌気された神戸物産<3038>が急落。自民党総裁選の投開票が迫るなか、脱炭素の政策テーマとして買われてきたレノバ<9519>など再生可能エネルギー関連が利益確定売りに押されている。そのほか、商船三井<9104>などの海運大手の一角、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>、日本電子<6951>などの半導体関連株が軟調。また、恒大集団の問題をきっかけに中国経済の減速懸念が高まるなか、中国での売上比率が高い銘柄にさえない動きが続いており、ダイキン<6367>や日ペHD<
4612>、キーエンス<6861>、SMC<6273>などが大きく下落している。その他の主力では、村田製<6981>や太陽誘電<6976>、ニトリHD<9843>、KDDI<9433>、NTT<9432>などがさえない。
セクターでは鉱業、空運業、陸運業などが上昇率上位となっている一方、海運業、機械、倉庫・運輸関連業などが下落率上位に並んでいる。東証1部の値上がり銘柄は全体の44%、対して値下がり銘柄は51%となっている。
週明けの日経平均はまずまずしっかりの展開となっている。中国恒大集団は23日期限到来のドル建て社債の利払いをまだ終えていないうえ、次のまとまった支払い期限は30日に来る予定ということで、今後も警戒感はくすぶる。
しかし、それでも、恒大集団の問題は世界の金融経済に影響を及ぼすようなシステミックなリスクには至らないという見方が依然として支配的。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)も無難に通過したことで目先の米中にまつわる不透明感は一時後退、再び国内へ視線が向きやすいなか、自民党総裁選の投開票が29日に迫り、大胆な経済対策など次期政権への期待が一層強まりやすい様子。加えて、10月からの国内での行動制限緩和が視野に入り、衆院選に向けた株高アノマリーに対する思惑なども踏まえると、ひとまずは相場上昇に賭けるしかないといったところが投資家の本音か。少なくとも、前週末にかけての日米株式相場の力強い反発を目の当たりにしてしまった以上、乗り遅れまいとする動きが強まってきていても不思議ではない。
一方、恒大集団に関する今後の展開のほか、債務上限の引き上げなど米国政治の行方など外部環境の不透明感は残る。また、足元では、経済活動再開に伴うエネルギー需要の高まりに加え、異常気象による工場生産の停止、サプライチェーン(供給網)
の乱れなどが相まって、欧州でガスや卸電力価格が急騰しているほか、中国でも電力需給がひっ迫していることで新たな供給サイドのリスクが世界的に台頭してきている。場合によっては来月下旬から始まる7-9月期決算などへの影響も懸念される。相場は神経質ながらも目先は上目線でいるべきだろうが、リスク要因も日に日に増えてきている印象で、過度なレバレッジは取らずに常にリスクヘッジにも気を配った投資戦略が求められそうだ。
さて、本日は香港ハンセン指数などアジア市場も堅調に推移している。午後に緊急事態宣言解除に関するポジティブな報道などがあれば、日経平均は大引けにかけてもう一段騰勢を強める可能性があろう。
<AK>
24日の米国市場でのNYダウは33.18ドル高(+0.09%)と小幅に3日続伸。中国恒大集団のドル建て社債利払いの行方に警戒感がくすぶり、寄り付き後に下落。しかし、世界金融市場への大きな波及は避けられるとの見方が根強く下値も限定的に。8月新築住宅販売件数が予想を上回ったことで景気回復期待も強まり、金融や消費サービス関連などの景気循環株を中心に買われた。一方、米10年国債利回りが約2カ月半ぶりに1.4%台半ばへと上昇するなかハイテク株の上値は抑えられたが、引けにかけては下げ渋り、ナスダック総合指数は0.03%安とほぼ変わらずとなった。
本日の日経平均は29.01円高の30277.82円と小高い水準でスタートすると、取引開始早々に165.80円高の30414.61円まで上値を伸ばした。29日投開票の自民党総裁選が近くづくなか次期政権への期待に加え、緊急事態宣言の9月末での全面解除への期待なども加わり、相場を後押しした。しかし、恒大集団にまつわる懸念は完全に払しょくされていないこともあり、戻り待ちの売りも強く、日経平均は一時マイナス圏に沈む場面もみられた。それでも、押し目買いから前引けにかけては再度上げ幅を拡げる動きとなった。
個別では、業績・配当予想を引き上げたノリタケ<5331>が一時ストップ高で、業績予想を上方修正した長野計器<7715>などと共に値上がり率上位に並んだ。9月の既存店売上高がプラスに転じたしまむら<8227>は約3カ月ぶりの水準にまで上昇。早ければ明日にも緊急事態宣言の解除の可否が決まることを受け、リオープン(経済活動再開)
銘柄が軒並み高に。ANA<9202>などの空運大手、JR西<9021>などの陸運大手が大幅に上昇しているほか、エイチ・アイ・エス<9603>やエアトリ<6191>、オープンドア<3926>
などの旅行関連が急騰している。そのほか、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<
9983>、任天堂<7974>、トヨタ<7203>、日立<6501>、OLC<4661>、JFE<5411>など主力処も買われており、米長期金利や原油先物価格の上昇を背景に三菱UFJ<8306>、INPEX<1605>なども大幅に上昇している。
一方、8月の月次売上が嫌気された神戸物産<3038>が急落。自民党総裁選の投開票が迫るなか、脱炭素の政策テーマとして買われてきたレノバ<9519>など再生可能エネルギー関連が利益確定売りに押されている。そのほか、商船三井<9104>などの海運大手の一角、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>、日本電子<6951>などの半導体関連株が軟調。また、恒大集団の問題をきっかけに中国経済の減速懸念が高まるなか、中国での売上比率が高い銘柄にさえない動きが続いており、ダイキン<6367>や日ペHD<
4612>、キーエンス<6861>、SMC<6273>などが大きく下落している。その他の主力では、村田製<6981>や太陽誘電<6976>、ニトリHD<9843>、KDDI<9433>、NTT<9432>などがさえない。
セクターでは鉱業、空運業、陸運業などが上昇率上位となっている一方、海運業、機械、倉庫・運輸関連業などが下落率上位に並んでいる。東証1部の値上がり銘柄は全体の44%、対して値下がり銘柄は51%となっている。
週明けの日経平均はまずまずしっかりの展開となっている。中国恒大集団は23日期限到来のドル建て社債の利払いをまだ終えていないうえ、次のまとまった支払い期限は30日に来る予定ということで、今後も警戒感はくすぶる。
しかし、それでも、恒大集団の問題は世界の金融経済に影響を及ぼすようなシステミックなリスクには至らないという見方が依然として支配的。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)も無難に通過したことで目先の米中にまつわる不透明感は一時後退、再び国内へ視線が向きやすいなか、自民党総裁選の投開票が29日に迫り、大胆な経済対策など次期政権への期待が一層強まりやすい様子。加えて、10月からの国内での行動制限緩和が視野に入り、衆院選に向けた株高アノマリーに対する思惑なども踏まえると、ひとまずは相場上昇に賭けるしかないといったところが投資家の本音か。少なくとも、前週末にかけての日米株式相場の力強い反発を目の当たりにしてしまった以上、乗り遅れまいとする動きが強まってきていても不思議ではない。
一方、恒大集団に関する今後の展開のほか、債務上限の引き上げなど米国政治の行方など外部環境の不透明感は残る。また、足元では、経済活動再開に伴うエネルギー需要の高まりに加え、異常気象による工場生産の停止、サプライチェーン(供給網)
の乱れなどが相まって、欧州でガスや卸電力価格が急騰しているほか、中国でも電力需給がひっ迫していることで新たな供給サイドのリスクが世界的に台頭してきている。場合によっては来月下旬から始まる7-9月期決算などへの影響も懸念される。相場は神経質ながらも目先は上目線でいるべきだろうが、リスク要因も日に日に増えてきている印象で、過度なレバレッジは取らずに常にリスクヘッジにも気を配った投資戦略が求められそうだ。
さて、本日は香港ハンセン指数などアジア市場も堅調に推移している。午後に緊急事態宣言解除に関するポジティブな報道などがあれば、日経平均は大引けにかけてもう一段騰勢を強める可能性があろう。
<AK>
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