後場の投資戦略
想定以上の底堅さみせる、短期警戒も上昇ポテンシャル大きい
配信日時:2021/09/13 12:12
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;30292.84;-89.00TOPIX;2087.67;-3.98
[後場の投資戦略]
週明けの日経平均は想定以上に底堅い展開。米国株や米国経済の見通しを引き下げる専門家が増え、前週末までの間にNYダウが5日続落するなど、足元の米株式市場は調整色を強めてきている。こうした中、急伸の反動から週明けの東京市場でも売りが優勢となる可能性が想定されたが、良い意味で予想を裏切ってくれている。自民党総裁選の告示が17日に迫るなか、各候補者のメディア露出も増えてきており、政局流動化という国内特有の政治要因が投資家心理を下支えている。
しかし、次期政権への期待感という漠然としたものだけが日本の株高を生んでいるわけではないだろう。もともと、多くの企業が業績好調な中、日本株だけが国内の様々な不透明要因を理由に投資対象から外されてきた。それが、新型コロナウイルスの感染ピークアウトとほぼ同時期の菅首相の自民党総裁選不出馬をきっかけに一気に解消された。不透明要素が拭われた結果、これまで見過ごされてきた好要因を素直に評価できる地合いになってきたということで、単なる期待感だけで上昇してきたわけではなく、ようやく正当な評価をされる環境になったということだろう。そうした意味で、足元の株高は、確かにペースは速かったが、ファンダメンタルズの裏付けのあるものといえ、危うさには乏しい。
また、9月第1週(8月30日~9月3日)の投資主体別売買動向を見ると、海外投資家は現物株を3636億円、日経平均先物で1434億円、東証株価指数(TOPIX)先物で1082億円と目立った買い越しの動きを見せていたが、値幅の割には小額な印象で、まだまだ買い余力はあるだろう。海外投資家は今年前半に先物を2兆円以上も売り越しており、先物の買い戻し余地だけでも大きく、現物株の新規買いなども合わせればポテンシャルは大きい。
先週末の日経平均およびTOPIXのPERはそれぞれ14.0倍、16.5倍と、米S&P500種株価指数の22.8倍と比べるとまだ割安感が強い。マスク着用を嫌う層の一定数の存在などもあり、ワクチン接種が先行していた米国では、デルタ株流行によって新型コロナ新規感染者数が再び増加してきている。対して、協調性を重要視する国民性もあり、日本でのワクチン接種率は今後、8割以上と欧米を大きく上回る水準にまで上昇する見込み。米国株のバリュエーションの割高感を指摘する声などが増えてきている状況も踏まえると、今後は、米国株から日本株への資金シフトも想定される。日本株の持たざるリスクが大きくなる中、日本株の先高観はより確かなものとなっていきそうだ。
ただし、不安要素が全くないわけではない。先日に続くトヨタの減産報道はかなりネガティブな印象が強い。前回は後半の挽回生産により通期生産計画は維持したままだったが、今回は通期計画も900万台と3%下方修正している。サプライチェーンの中枢を担う東南アジアでのコロナ感染拡大やワクチン接種の遅れは今後も警戒が必要だ。
また、米国株の調整がマイルドであれば、日本株の先高観は変わらないだろうが、仮に米国株の下げが大幅なものになると、さすがに、投資家のポジション調整の影響を免れないだろう。米国株の下げが健全なものにとどまるかどうかという点も一つ焦点となってきそうだ。9月は米国株が下げやすい季節性要因もあるだけに、注意したい。
さて、香港ハンセン指数が大きく下落しているなか新規材料難ということもあり、後場の日経平均は引き続きもみ合いにとどまりそうだ。国内では、ワクチン接種を2回済ませた人の割合が遂に5割を超えたとのことで、財務健全でファイナンスリスクの小さい外食やサービスといった出遅れ経済活動再開銘柄を仕込んでおきたいところだ。
<AK>
日経平均;30292.84;-89.00TOPIX;2087.67;-3.98
[後場の投資戦略]
週明けの日経平均は想定以上に底堅い展開。米国株や米国経済の見通しを引き下げる専門家が増え、前週末までの間にNYダウが5日続落するなど、足元の米株式市場は調整色を強めてきている。こうした中、急伸の反動から週明けの東京市場でも売りが優勢となる可能性が想定されたが、良い意味で予想を裏切ってくれている。自民党総裁選の告示が17日に迫るなか、各候補者のメディア露出も増えてきており、政局流動化という国内特有の政治要因が投資家心理を下支えている。
しかし、次期政権への期待感という漠然としたものだけが日本の株高を生んでいるわけではないだろう。もともと、多くの企業が業績好調な中、日本株だけが国内の様々な不透明要因を理由に投資対象から外されてきた。それが、新型コロナウイルスの感染ピークアウトとほぼ同時期の菅首相の自民党総裁選不出馬をきっかけに一気に解消された。不透明要素が拭われた結果、これまで見過ごされてきた好要因を素直に評価できる地合いになってきたということで、単なる期待感だけで上昇してきたわけではなく、ようやく正当な評価をされる環境になったということだろう。そうした意味で、足元の株高は、確かにペースは速かったが、ファンダメンタルズの裏付けのあるものといえ、危うさには乏しい。
また、9月第1週(8月30日~9月3日)の投資主体別売買動向を見ると、海外投資家は現物株を3636億円、日経平均先物で1434億円、東証株価指数(TOPIX)先物で1082億円と目立った買い越しの動きを見せていたが、値幅の割には小額な印象で、まだまだ買い余力はあるだろう。海外投資家は今年前半に先物を2兆円以上も売り越しており、先物の買い戻し余地だけでも大きく、現物株の新規買いなども合わせればポテンシャルは大きい。
先週末の日経平均およびTOPIXのPERはそれぞれ14.0倍、16.5倍と、米S&P500種株価指数の22.8倍と比べるとまだ割安感が強い。マスク着用を嫌う層の一定数の存在などもあり、ワクチン接種が先行していた米国では、デルタ株流行によって新型コロナ新規感染者数が再び増加してきている。対して、協調性を重要視する国民性もあり、日本でのワクチン接種率は今後、8割以上と欧米を大きく上回る水準にまで上昇する見込み。米国株のバリュエーションの割高感を指摘する声などが増えてきている状況も踏まえると、今後は、米国株から日本株への資金シフトも想定される。日本株の持たざるリスクが大きくなる中、日本株の先高観はより確かなものとなっていきそうだ。
ただし、不安要素が全くないわけではない。先日に続くトヨタの減産報道はかなりネガティブな印象が強い。前回は後半の挽回生産により通期生産計画は維持したままだったが、今回は通期計画も900万台と3%下方修正している。サプライチェーンの中枢を担う東南アジアでのコロナ感染拡大やワクチン接種の遅れは今後も警戒が必要だ。
また、米国株の調整がマイルドであれば、日本株の先高観は変わらないだろうが、仮に米国株の下げが大幅なものになると、さすがに、投資家のポジション調整の影響を免れないだろう。米国株の下げが健全なものにとどまるかどうかという点も一つ焦点となってきそうだ。9月は米国株が下げやすい季節性要因もあるだけに、注意したい。
さて、香港ハンセン指数が大きく下落しているなか新規材料難ということもあり、後場の日経平均は引き続きもみ合いにとどまりそうだ。国内では、ワクチン接種を2回済ませた人の割合が遂に5割を超えたとのことで、財務健全でファイナンスリスクの小さい外食やサービスといった出遅れ経済活動再開銘柄を仕込んでおきたいところだ。
<AK>
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