ランチタイムコメント
日経平均は8日続伸、買い戻し主体から全員参加型の買い相場へ
配信日時:2021/09/08 12:11
配信元:FISCO
日経平均は8日続伸。245.71円高の30161.85円(出来高概算6億2990万株)で前場の取引を終えている。
連休明け7日の米株式市場でのNYダウは269.09ドル安(-0.76%)と続落。先週発表された8月雇用統計が予想を大幅に下回ったことで景気回復ペースの減速が警戒されるなか、新型コロナウイルスのデルタ株による経済への影響や財政支援の終了でエコノミストが成長予測を引き下げたこともあり、ダウは終日軟調に推移。一方、米長期金利は1.3%台後半へと上昇する中ではあったが、ハイテク株の買いは続き、ナスダック総合指数は連日史上最高値を更新した。ダウの下落を受けて本日の日経平均は96.59円安の29819.55円でスタート。ただ、米ハイテク株高や根強い次期政権による経済対策への期待から買い優勢の地合いは継続しており、即座に切り返してプラス圏に浮上。
断続的に買いが入り前場中頃には3万を回復、その後も上げ幅を拡げる動きが続いた。
個別では、前日にドイツテレコムと長期戦略的パートナーシップおよびTモバイル株に関する株式交換に合意したと発表したソフトバンクG<9984>が連日の急伸劇を見せている。上半期業績は大幅な上振れ着地となったCasa<7196>、業績予想を上方修正した長大<9624>、自社株買いを発表したライドオンE<6082>などもそれぞれ大幅に上昇。前日が公募の払込期日だったケイアイスター<3465>は需給悪化懸念の後退で大幅反発。
そのほか、次期首相候補を睨んだ物色が引き続き旺盛で、脱炭素関連のレノバ<9519>
が連日の急伸、新興市場では、米アマゾンと三菱商事<8058>の太陽光発電設備の開発受託に関する報道を受けてウエストHD<1407>が急騰している。
主力株では、レーザーテック<6920>が大幅高で上場来高値を更新し、これに刺激を受けたかアドバンテスト<6857>も大幅高。米長期金利の上昇を背景に三菱UFJ<8306>などの大手金融株もしっかり。そのほか、ベイカレント<6532>が大幅に上昇し、米バイオ製薬ノババックス製ワクチンの国内での生産・供給を担う武田薬<4502>や、東エレク<8035>、JR東<9020>、塩野義<4507>、リクルートHD<6098>、資生堂<4911>、第一三共<4568>、HOYA<7741>などが堅調。
一方、非公開化が正式発表されTOB(株式公開買い付け)価格にサヤ寄せする動きとなったNIPPO<1881>が大きく下落。エルサルバドルで世界で初めて法定通貨となったビットコイン価格が、同国でのシステムトラブルで急落したことを背景にマネックスG<8698>が大幅に下落した。そのほか、日本郵船<9101>や商船三井<9104>などの大手海運株、一昨日に日経平均に新たに採用されることが発表された任天堂<7974>や村田製<6981>、投資判断の格下げが観測されたJFE<5411>などが軟調。
セクターでは、情報・通信業、銀行業、電気・ガス業などが上昇率上位となった一方、その他製品、海運業、水産・農林業などが下落率上位に並んだ。東証1部の値上がり銘柄は全体の61%、対して値下がり銘柄は32%となっている。
前日に一時3万円に乗せたものの、その後に上値の重さも見られた日経平均は、本日はしっかりと3万円に乗せてきている。これまでの短期間での上げ幅や前日の一服感で、今週末の先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)を前にした海外勢による買い戻しは一巡し、スピード調整が入りそうとの声も多く聞かれたが、買いの意欲はまだまだ旺盛のようだ。
8月30日以降の上昇相場の前半は、先物主導での上昇だったことから、年前半に2兆円以上も先物で売り越しを積み上げてきた海外勢による買い戻しが主体だったと思われる。しかし、ここにきて、現物株市場での日経平均が先物の価格を一時上回る動きを見せてきていることから、実需筋の買いも入ってきているようだ。こうなってくると、売りは一層仕掛けづらく、買い手優位の相場が色濃くなってきた。
さらに、ここに、個人投資家の踏み上げが加わっているようだ。8月27日からの動向をみると、日経レバETF<1570>の信用買い残が大きく減少するなか売り残が急速に積み上がっている。また、日経ダブルインバETF<1357>では売り残が大きく減少するなか、買い残が2倍以上に膨れ上がっている。日経平均が急伸するなかで逆バリ目線の個人が日経平均の下げに賭けたポジションを取ってきたことで、足元の上昇により踏み上げられてしまっているようだ。
上昇初期はグローバルマクロ系のヘッジファンドの買いが商品投資顧問(CTA)の買いを呼ぶ海外勢主体の展開だったが、ここにきて実需筋の買いが入ってきはじめた。
そして、そこに更に個人の踏み上げも加わり、株価上昇に拍車がかかってきている。
売り方に回っていた個人が今後買いに回ってくるとなれば、全員参加型の買い相場となり、日経平均の一段の上昇も想定される。
物色動向では、米長期金利がじわり上昇するなか対ドルでの円安が進展し、自動車や電気機器などの輸出関連の大型株が特に強い様子。一方、国内での新型コロナウイルス新規感染者数の減少傾向や、一部で伝わっている政府によるワクチン接種進展に合わせた、10月以降の段階的な行動制限緩和を睨んだ動きから、再び旅行関連をはじめとしたアフターコロナ関連銘柄も強い動きとなっている。これまで、欧米対比での割安感が長らく放置されてきたが、日本株の追い上げ相場に今後も期待したい。
短期的な過熱感もくすぶるところだが、買い遅れた投資家も多く、押しても小幅なものになりそうだ。後場の日経平均は3万円台を固める動きに期待したい。
<AK>
連休明け7日の米株式市場でのNYダウは269.09ドル安(-0.76%)と続落。先週発表された8月雇用統計が予想を大幅に下回ったことで景気回復ペースの減速が警戒されるなか、新型コロナウイルスのデルタ株による経済への影響や財政支援の終了でエコノミストが成長予測を引き下げたこともあり、ダウは終日軟調に推移。一方、米長期金利は1.3%台後半へと上昇する中ではあったが、ハイテク株の買いは続き、ナスダック総合指数は連日史上最高値を更新した。ダウの下落を受けて本日の日経平均は96.59円安の29819.55円でスタート。ただ、米ハイテク株高や根強い次期政権による経済対策への期待から買い優勢の地合いは継続しており、即座に切り返してプラス圏に浮上。
断続的に買いが入り前場中頃には3万を回復、その後も上げ幅を拡げる動きが続いた。
個別では、前日にドイツテレコムと長期戦略的パートナーシップおよびTモバイル株に関する株式交換に合意したと発表したソフトバンクG<9984>が連日の急伸劇を見せている。上半期業績は大幅な上振れ着地となったCasa<7196>、業績予想を上方修正した長大<9624>、自社株買いを発表したライドオンE<6082>などもそれぞれ大幅に上昇。前日が公募の払込期日だったケイアイスター<3465>は需給悪化懸念の後退で大幅反発。
そのほか、次期首相候補を睨んだ物色が引き続き旺盛で、脱炭素関連のレノバ<9519>
が連日の急伸、新興市場では、米アマゾンと三菱商事<8058>の太陽光発電設備の開発受託に関する報道を受けてウエストHD<1407>が急騰している。
主力株では、レーザーテック<6920>が大幅高で上場来高値を更新し、これに刺激を受けたかアドバンテスト<6857>も大幅高。米長期金利の上昇を背景に三菱UFJ<8306>などの大手金融株もしっかり。そのほか、ベイカレント<6532>が大幅に上昇し、米バイオ製薬ノババックス製ワクチンの国内での生産・供給を担う武田薬<4502>や、東エレク<8035>、JR東<9020>、塩野義<4507>、リクルートHD<6098>、資生堂<4911>、第一三共<4568>、HOYA<7741>などが堅調。
一方、非公開化が正式発表されTOB(株式公開買い付け)価格にサヤ寄せする動きとなったNIPPO<1881>が大きく下落。エルサルバドルで世界で初めて法定通貨となったビットコイン価格が、同国でのシステムトラブルで急落したことを背景にマネックスG<8698>が大幅に下落した。そのほか、日本郵船<9101>や商船三井<9104>などの大手海運株、一昨日に日経平均に新たに採用されることが発表された任天堂<7974>や村田製<6981>、投資判断の格下げが観測されたJFE<5411>などが軟調。
セクターでは、情報・通信業、銀行業、電気・ガス業などが上昇率上位となった一方、その他製品、海運業、水産・農林業などが下落率上位に並んだ。東証1部の値上がり銘柄は全体の61%、対して値下がり銘柄は32%となっている。
前日に一時3万円に乗せたものの、その後に上値の重さも見られた日経平均は、本日はしっかりと3万円に乗せてきている。これまでの短期間での上げ幅や前日の一服感で、今週末の先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)を前にした海外勢による買い戻しは一巡し、スピード調整が入りそうとの声も多く聞かれたが、買いの意欲はまだまだ旺盛のようだ。
8月30日以降の上昇相場の前半は、先物主導での上昇だったことから、年前半に2兆円以上も先物で売り越しを積み上げてきた海外勢による買い戻しが主体だったと思われる。しかし、ここにきて、現物株市場での日経平均が先物の価格を一時上回る動きを見せてきていることから、実需筋の買いも入ってきているようだ。こうなってくると、売りは一層仕掛けづらく、買い手優位の相場が色濃くなってきた。
さらに、ここに、個人投資家の踏み上げが加わっているようだ。8月27日からの動向をみると、日経レバETF<1570>の信用買い残が大きく減少するなか売り残が急速に積み上がっている。また、日経ダブルインバETF<1357>では売り残が大きく減少するなか、買い残が2倍以上に膨れ上がっている。日経平均が急伸するなかで逆バリ目線の個人が日経平均の下げに賭けたポジションを取ってきたことで、足元の上昇により踏み上げられてしまっているようだ。
上昇初期はグローバルマクロ系のヘッジファンドの買いが商品投資顧問(CTA)の買いを呼ぶ海外勢主体の展開だったが、ここにきて実需筋の買いが入ってきはじめた。
そして、そこに更に個人の踏み上げも加わり、株価上昇に拍車がかかってきている。
売り方に回っていた個人が今後買いに回ってくるとなれば、全員参加型の買い相場となり、日経平均の一段の上昇も想定される。
物色動向では、米長期金利がじわり上昇するなか対ドルでの円安が進展し、自動車や電気機器などの輸出関連の大型株が特に強い様子。一方、国内での新型コロナウイルス新規感染者数の減少傾向や、一部で伝わっている政府によるワクチン接種進展に合わせた、10月以降の段階的な行動制限緩和を睨んだ動きから、再び旅行関連をはじめとしたアフターコロナ関連銘柄も強い動きとなっている。これまで、欧米対比での割安感が長らく放置されてきたが、日本株の追い上げ相場に今後も期待したい。
短期的な過熱感もくすぶるところだが、買い遅れた投資家も多く、押しても小幅なものになりそうだ。後場の日経平均は3万円台を固める動きに期待したい。
<AK>
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