注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
EMシステムズ Research Memo(2):2022年12月期第2四半期は大幅な増収増益(2)
■要約4. 中長期の成長戦略・トピックス2022年8月、EMシステムズ<4820>は「MAPs for NURSING CARE」をリリースした。MAPsシリーズの発表(2018年11月)から3年半余りをかけて丁寧に開発し、多様なサービスが存在する介護/福祉業界におけるクラウドシステムを完成させた。特長は、1)クラウドシステムの提供、導入作業軽減・入力業務の効率化、2)介護/福祉事業所の業務負担を軽減できるツール類の提供、3)医療と介護/福祉の情報連携を実現、4)共通エンジン・マスタ等の他社に向けた低価格でのOEM提供の4点である。特に、場所や端末を選ばないため利便性が高い。また、医療と介護/福祉の情報連携は他社にはない優位性であり、対象者の情報を一元管理できる点でニーズを先取りしている。介護システム業界は、100社以上の企業が参入する分散市場であり、NDソフトウェア(株)、(株)ワイズマン、エス・エム・エス<2175>のトップ3社の合計シェアでも40%前後である。同社は2016年に本格参入して以来、複数のM&Aにより4ブランドの製品を製造・販売してきた。今後は他社システム利用者の獲得とともに、自社顧客においてもMAPsへの変更を促していく計画である。5. 株主還元策同社は株主に対する利益還元を経営上の重要課題の1つとして考えている。将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、時局に即応した配当を還元していくこと、そして株主への機動的な利益還元を可能とするため、毎事業年度において中間配当と期末配当の年2回、剰余金の配当を行うことを基本方針としている。具体的には、ROE(自己資本当期純利益率)を重視しつつ配当性向30%を目安とする。また、同社は「完全ストック型・完全クラウド化」に向けた構造改革の最中であり、利益水準が一時的に落ちるが配当金額を維持し、安定した株主還元を行う方針である。過去10年間で、減益はあっても減配は行っていない実績は高く評価できる。2022年12月期は、配当金11円(中間4円、期末7円)、配当性向37.8%を予想する。■Key Points・2022年12月期第2四半期は大幅な増収増益。オンライン資格確認の本格運用及び2022年4月の調剤報酬改定を背景にシステム設置が加速・現金及び預金残高84億円。将来的なM&Aに向けて財務基盤が充実・2022年12月期は営業利益20億円超を予想。3分野のMAPsシリーズが完成し、提案営業を積極化。オンライン資格確認の特需も継続の見込み・クラウド型介護/福祉事業所向けシステム「MAPs for NURSING CARE」をリリース、医療介護情報連携に優位性。よりシームレスな薬局DXを実現する調剤システム「MAPs for PHARMACY DX」の開発に着手・2022年12月期は、配当金年11円(中間4円、期末7円)、配当性向37.8%を予想。安定配当方針、過去10年間にわたり減益時も減配なし(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/09/28 17:02
注目トピックス 日本株
EMシステムズ Research Memo(1):2022年12月期第2四半期は大幅な増収増益(1)
■要約EMシステムズ<4820>は、薬局を中心に、クリニック、介護施設向けに、業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行うITサービス会社である。経営理念は「感謝・感動・共感」。2021年には、経営理念のさらなる浸透を目的に新たなブランド・ロゴ「#TX|Thanks Transformation」を決定した。主力事業である薬局向け調剤業務処理用コンピュータシステムは17,952件の薬局で利用されており、市場シェアの35.9%を占め業界トップ。ストック型ビジネスモデルに業界内でいち早く移行を開始した。2019年2月及び3月には介護/福祉システム事業強化のためのM&Aを実施し、ヘルスケア分野全般に関するサービス体制が整った。医科・調剤・介護/福祉の垣根を越えた共通情報システム基盤「MAPsシリーズ」は、完全ストック型・完全クラウド化が特長であり、次世代戦略サービスとして展開が始まっている。1. 事業概要同社では薬局向けの調剤業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行う「調剤システム事業」、クリニック向けの医療業務処理用コンピュータシステムや電子カルテシステムなどの開発・販売を行う「医科システム事業」「介護/福祉システム事業」及び「その他の事業」の4事業を展開している。主力は「調剤システム事業」であり、薬局向けの調剤業務処理用コンピュータシステムを開発、販売し、付帯するサプライの供給、保守メンテナンスサービスを行う。全社売上高の79.6%(2022年12月期第2四半期)、全社営業利益の110.0%(同)を占める大黒柱である。主要製品は薬局向け医療業務処理用コンピュータシステム(製品名:「Recepty NEXT」)である。ユーザーの薬局数は17,952件(2022年6月末、シェア35.9%)と業界1位である。同社の強みの1つは、ストック型ビジネスモデルを確立したことである。業界内でいち早く売切り制から初期導入費を抑えた従量課金制度を採用したため、同業他社製品に比べ価格競争力が高い。また、同業他社が販売代理店制をとっているのに対して、同社は直販が主体の製販一体体制でありユーザーサポート力の高さに定評がある。2. 2022年12月期第2四半期業績2022年12月期第2四半期業績は、売上高8,164百万円(前年同期比22.4%増)、営業利益1,360百万円(同133.4%増)、経常利益1,603百万円(同56.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,089百万円(同58.4%増)と増収増益となった。期初予想からは、売上高で9.0%増、営業利益で51.8%増と好調に推移した。売上高に関しては、オンライン資格確認の本格運用及び2022年4月の調剤報酬改定を背景にシステムの設置が加速し、大幅な増収となった。次期主力製品であるMAPsシリーズ(調剤/医科)においてもお客様の増加に伴い、課金売上が順調に推移した。営業利益に関しては、増収効果及び原価率の低下により売上総利益率が前年同期比3.6ポイント上昇したのに加え、販管費率が同4.3ポイント低下したことで、大幅な営業利益率の向上(同8.0ポイント上昇)となった。収益性の高いストック売上高は4,227百万円(同183百万円増)と着実に増加している。3. 今後の見通し2022年12月期の連結業績は、売上高16,436百万円(前期比13.9%増)、営業利益2,431百万円(同30.0%増)、経常利益2,977百万円(同14.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,063百万円(同12.8%増)と堅調な増収及び営業増益を予想する。進行期(2022年12月期)は新たに発表された新中期経営計画の初年度にあたる。同社では、従来のシステム・ハード・サポートの三位一体販売からシステム重視の販売にシフトし、完全ストック型ビジネスへの切り替えを行っており、その仕上げの時期にあたる。そのための最大の武器となる「MAPsシリーズ」は医科向けと調剤向けで本格展開が始まり、2022年8月には介護/福祉向けがリリースされた。これらにより、課金売上が増えることに加え、業界他社への共通エンジンのOEM提供(有償)も進捗し、収益性が向上することが想定される。外部環境面では、医科・調剤・介護/福祉業界のいずれにおいても、効率化のためのシステム投資は依然として必要性が高まっている。オンライン資格確認システムに関しては、国策として補助金が2023年3月まで継続することや、国内市場における導入率(本番接続率)が32.8%と途上にあることから、今後も特需が期待できる。2022年4月の医療制度改定においては、ICTの利活用・デジタル化への対応、評価項目の新設など、薬局における対物業務から対人業務への促進強化の動きがより一層強まっている。弊社では、医科・調剤・介護/福祉の3分野ともに、DX投資の意欲が高い事業環境をしばらく継続すると見込んでいる。同社の基本戦略であるMAPsを基軸にしたシェア向上及び課金売上増加は、顧客ニーズに合致しており、安定した利益の増加が期待できると考えている。2022年12月期の通期売上高計画に対する第2四半期進捗率は49.7%(前年同期は47.7%)、営業利益計画に対しては55.9%(同38.6%)であり、足元も順調に進捗していることから上振れの可能性も高いと考えている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/09/28 17:01
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BBT Research Memo(10):配当性向、配当利回りを意識しつつ、継続的な配当を実施
■株主還元策ビジネス・ブレークスルー<2464>は株主還元策として、配当と株主優待を実施している。配当については各期の経営成績や企業体質の強化と今後の事業展開に向けた内部留保の充実等を総合的に勘案して、配当性向を意識しつつ継続的な配当を実施することを基本方針としている。ただ、今後は配当実績、配当性向、配当利回りなど総合的に検討して配当を決定する意向を示している。2023年3月期の1株当たり配当金については、前期比横ばいの11.0円を予定している。また、同社は株主優待制度も導入している。優待内容は、保有株数に応じて自社教育プログラムの受講料に対する優待割引、及びオンライン英会話の無料レッスン利用、熱海の宿泊施設である「ATAMIせかいえ」の優待割引宿泊等で、3月末と9月末の年2回実施している。熱海の宿泊施設は売却したが、同施設内の研修施設を利用する権利は継続して保有しており、その権利の中で宿泊施設の優待割引も継続することにしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:40
注目トピックス 日本株
BBT Research Memo(9):2025年3月期に売上高100億円、営業利益10.5億円を目指す(2)
■ビジネス・ブレークスルー<2464>の今後の見通しc) 英語教育事業系英語教育事業系は、2025年3月期の売上高で1,271百万円、営業利益で393百万円とチャレンジングな目標を設定している(2022年3月期比売上高3.45倍、営業利益6.55倍)。国内における外国語教室の市場規模は年間3,000億円程度でコロナ禍以降は頭打ちの状況が続いているが、オンライン英語教育サービス市場については着実に成長しており、同社グループでは子どもから社会人まで幅広い顧客に高品質なサービスを提供することで高成長を目指す戦略となっている。中期経営計画では既存事業の売上高を2倍に拡大し、「GO School」等の新規サービスの育成によって上積みを図る考えだ。大学生や社会人を対象とした英語教育サービスでは、グローバル人材育成にさらにコミットする学習プログラムの開発と優秀な講師の確保に取り組むことで競合サービスとの差別化を図る。また、法人営業部門との連携を強化することで法人経由での生徒獲得に注力する方針だ。一方、ブレンディングジャパンについても法人会員(学校、学習塾等)の獲得を推進する。学校向けは前述した加古川市の教育委員会での導入実績をもとに、他の自治体向けに横展開する方針だ。また、ブレンディングジャパンではWeb予約システムや学習管理システムなども刷新し、顧客サービスの向上にも取り組む計画となっている。d) インターナショナルスクール事業系インターナショナルスクール事業系については、2025年3月期に売上高4,500百万円、営業利益367百万円を目指す(2022年3月期比売上高1.39倍、営業利益1.54倍)。営業利益については2024年3月期までキャンパス新設や新規事業に関連した先行投資負担により伸び悩むが、2025年3月期以降は先行投資も一巡し、成長ステージに入る見通しとなっている。国内のインターナショナルスクール市場は、国内外の往来が戻りつつあることや、オンラインなどを駆使したグローバルなコミュニケーション並びにビジネスが活性化していることを背景に、幼児教育や国際教育に関するニーズが高まっており、今後も着実に拡大していくものと見ている。同様にバイリンガルスクールについても、英語教育に対する関心の高まりから市場は拡大傾向が続く見通しだ。こうした成長市場において既存事業者の校舎拡大や新規事業者の参入といった動きがあるものの、対象顧客層やスクールの特徴(宗教、カリキュラムなど)において、新たな脅威となるような競合の存在は見えておらず、競争環境については今後も大きな変化は生じないものと同社では認識している。こうしたなか今後の成長戦略としては、教育の質の向上や新拠点の開発並びに既存キャンパスの強化、新規事業の開始、収益構造の改善などに取り組む計画となっている。新規キャンパスについては2023年度に2キャンパス(定員数180名増)を計画しており、新規事業(英語及び国際教育を提供するオンラインスクール事業)についても2023年度からの開始を予定していることから、今後の動向が注目される。e) ITマネジメント事業系ITマネジメント事業系は、2025年3月期に売上高1,000百万円、営業利益146百万円を目指す(2022年3月期比売上高2.92倍、営業利益3.65倍)。日本クイントの吸収合併によるシナジーが今後顕在化することに加えて、経営のDXに伴い業種を問わずDX人材の育成ニーズが高まっていることで、ITマネジメント領域における人材育成市場の拡大が見込める。ITPJでは研修サービスだけでなく、講師の派遣や認定試験の提供、教材の販売まで多様なサービスをラインナップしており、顧客ニーズに合わせてサービスを提供できることが強みとなっている。今後、販売パートナーの拡充だけでなく、同社との協業も進めていくことで顧客を開拓し高成長を目指す。成長戦略としては、1)セールス・マーケティングの強化、2)プロダクト・サービスの開発、3)デリバリーリソースの拡充の3点である。セールス・マーケティング施策としては、DevOpsやアジャイルの国内啓蒙活動強化によるDX研修マーケットの活性化を図るほか、各種ユーザーコミュニティへの貢献の継続、Webサイトのコンテンツ拡充などに取り組んでいく。プロダクト・サービスの開発では、グローバルの最新コンテンツをいち早く輸入・活用するほか、DXコンテンツ、実践プログラムのラインナップを充実させていく。デリバリーリソースの拡充では、業界経験者や講師陣との契約によるリソースプールの拡大、並びに講師育成プログラムの強化による講師の育成などに取り組み、旺盛な研修ニーズや講師派遣ニーズに対応する考えだ。(2) DX計画とSDGsの取り組みa) DX計画同社はAI等の活用によりさらなる教育DXを推進する方針である。受講生向けDXの取り組みとしては、受講履歴データを機械学習させ、受講生の進捗や嗜好に合わせた学習コンテンツをAIが自動推奨する機能を「AirCampus(R)」に実装したほか、AI等のDX技術を積極活用した新サービスの開発を行うなど、サービスラインナップの拡充を図る。社内向けDXでは、受講生のビッグデータを教育AI「BioLa」によって分析し、受講が順調に進んでいるかどうかを判別し、遅れているようであればサポートを行うことで学びの継続を支援する取り組みを開始した(休学・退学率の改善)。そのほか、過去のSFA(営業支援システム)商談記録を機械学習させ、進行案件の可視化と成約精度の向上に取り組んでいく。b) SDGsの取り組み同社はグループ全体でSDGsの取り組みを担う人材を輩出していくことをテーマに掲げており、「教育」×「DX」によりSDGs/ESGの課題に取り組む方針だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:39
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BBT Research Memo(8):2025年3月期に売上高100億円、営業利益10.5億円を目指す(1)
■ビジネス・ブレークスルー<2464>の今後の見通し2. 中期経営計画2022年6月に「中期経営計画2022-24」を発表した。概要や業績数値目標については2021年12月に発表していたが、今回は5つの重点強化領域に関する戦略や業績計画についても開示し、今後の成長戦略が明らかとなった。変革する時代に対応した新しいコンテンツを発信し、1歳以上のすべての年齢層を対象に生涯にわたる学びを提供することで、ミッションである「世界で活躍するリーダーの育成」に取り組み、持続的な収益成長を目指す。経営数値目標としては2025年3月期に売上高100億円、営業利益10.5億円、親会社株主に帰属する当期純利益7.0億円を掲げた。2022年3月期実績に対して売上高で1.48倍、営業利益で2.22倍、親会社株主に帰属する当期純利益で3.16倍となり、年平均成長率で換算すると売上高で14.0%、営業利益で30.6%、親会社株主に帰属する当期純利益で46.7%成長となる。同目標を達成すべく、同社は重点強化領域をUniversity事業系、法人向け人材育成事業系、英語教育事業系、ITマネジメント事業系、インターナショナルスクール事業系の5つに分類し、それぞれ事業規模の拡大と収益性向上を図る戦略となっている。(1) 重点強化事業における成長戦略a) University事業系University事業系では、BBT大学/大学院、BOND-BBT MBAの受講生徒数を増やすことで、2025年3月期に売上高1,425百万円、営業利益455百万円(2022年3月期比売上高1.39倍、営業利益1.68倍)を目指す。売上高の5割弱を占めるBBT大学では、生徒獲得施策として1)PR担当チームを配置し、メディア露出を強化することにより認知度の向上を図る、2)多様性の高い学生を獲得するための奨学金制度の充実、3)修了生からの紹介制度や法人派遣制度の充実、などに取り組む。BBT大学の入学生のうち1~2割は修了生からの紹介によるものだが、今後はBBT大学を卒業することによる投資(学費)とリターン(卒業後の収入アップ)の関係をより明確に訴求することで、紹介による入学者数の増加に取り組む。また、休学/退学率の抑制施策として、1)個々の学生との接点を質・量ともに強化していくほか、「BioLa」で学習進捗状況の分析と事前予測を行い、進捗が遅れているようであれば改善策を提案するなどの学習支援体制を強化する、2)学生支援担当者のコーチングスキルを向上する、3)全科目、全受講生を対象としたアンケート実施により課題を抽出し、プログラムの満足度向上につなげるPDCAサイクルの構築と高速化などに取り組む方針だ。BBT大学大学院における生徒獲得施策としては、1)デジタルマーケティング機能の強化による潜在顧客の獲得と育成、2) 法人研修市場における単科生コースの販売強化、3)ポストコロナ時代に適した最先端の講義・教材の開発、並びにAIやEdTech領域への投資などに取り組む。マーケティング施策については、従来までリスティング広告や説明会などによる顕在層向けの施策を重点的に実施してきたが、今後はマーケティング・オートメーションツールやホワイトペーパー、SNSの活用、紹介制度の改善、トライアルプログラムの導入等によって、準顕在層や潜在層の獲得にも注力していく。BOND-BBT MBAの生徒獲得施策については、1)アジア・パシフィック地域での広告宣伝強化、2)BOND大学の知名度を長期的に向上させるため、同大学と連携したイベント開催やWebサイト、SNSでの情報発信、オンライン広告等の実施、3)在学生及び修了生のネットワーク強化による紹介生の獲得などに取り組む方針だ。b) 法人向け人材育成事業系法人向け人材育成事業系では、2025年3月期に売上高2,228百万円(2022年3月期比1.94倍)を目指す。なお、同分野に関しては販売チャネル別の売上高となっているため(プロダクト部門ではない)、営業利益の計画はない。国内の法人向け研修市場は年間5,000億円強で成長率は年率1%台と決して高くはないものの、eラーニング分野に関しては年率3~5%と着実に成長している。市場環境としては、大きな市場シェアを獲得している企業はほとんどない。同社はオンライン教育における強みを生かして顧客数を2倍に拡大するとともに、年間取引金額の大きい顧客層の構成比率も高めることで成長を加速する計画で、将来的に法人研修市場のリーディングカンパニーを目指す。目標達成に向けた施策として、1)営業の生産性向上による新規顧客獲得活動の強化、2)組織的なマーケティングによる認知拡大/顧客獲得、3)DX、SDGsなど最新の教育研修プログラムの開発・提供などを挙げている。従来は企画・運営業務に忙殺され、営業体制にリソースを十分に振り向けることができなかった。また組織的なデジタルマーケティング施策の取り組みも不十分だったこと、ハイエンドの研修に特化してきたためターゲットとする顧客層のレンジが狭かったことなどが課題であったが、これら課題を解消できれば年率2ケタ成長を継続することも十分可能と見られる。マーケティング施策としては、組織横断でデジタルマーケティングを推進するほか、重要顧客に対する戦略的アプローチの強化、販売パートナーとの連携強化、カスタマーサクセスの推進体制の構築などに取り組む方針だ。また、業務効率の高いパッケージ型プログラムの販売比率を高めることで、営業の生産性も向上する。具体的には、階層別研修では1人ひとりのニーズに合ったカリキュラムを提供する「BBTパーソナライズ」や自己啓発を促す「BBTアップデート」、選別型研修(次世代リーター向け)では「BBT経営塾」、テーマ別研修ではニーズの高いテーマをパッケージ化して映像講義とライブ研修のブレンディング型サービスなどを提供していく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:38
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BBT Research Memo(7):2023年3月期業績は売上高、各利益ともに過去最高を更新する見通し
■今後の見通し1. 2023年3月期業績見通しビジネス・ブレークスルー<2464>の2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比15.5%増の7,806百万円、営業利益が同9.9%増の518百万円、経常利益が同10.2%増の520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同294.2%増の874百万円となる見通し。売上高は連結決算を開始した2012年3月期以降から連続増収となり、営業利益と経常利益は2期連続で過去最高を更新し、親会社株主に帰属する当期純利益も7期ぶりに過去最高を更新する見通しだ。第1四半期累計業績の通期計画に対する進捗率が売上高21.7%、営業利益2.0%とやや低くなっているが、売上高については法人向け研修・人材育成サービスの引き合いが好調なほか、プラットフォームサービス事業における生徒数の増加、M&A効果などによって第2四半期以降も2ケタ増ペースで拡大が続くと予想される。利益面では第1四半期に先行投資を実施した影響で進捗率が低くなったものの、通期では増収効果により遅れを吸収できる見通しとなっている。なお、特別利益として不動産売却益約10億円を計画に織り込んでいる。(1) リカレント教育事業リカレント教育事業の売上高は前期比2割増、金額ベースで約7億円の増収を見込んでいる。重点分野別の売上計画を見ると、Univercity事業系が同8%増の1,104百万円、法人向け人材育成事業系が同22%増の1,401百万円、英語教育事業系が同71%増の631百万円、ITマネジメント事業系が同56%増の535百万円となる。Univercity事業系についてはBBT大学の生徒数が若干減少する可能性があるものの、BBT大学大学院については秋期の出願者数が1割増と引き続き好調なことから、全体では1ケタ台の増収が見込まれる。法人向け人材育成事業系については企業の人材育成ニーズが活発化していること、新規顧客の開拓が計画以上に進んでいることなどから、通期売上高も計画を上回る可能性がある。英語教育事業系は、2022年7月から提供開始した社会人向け「ビジネス英会話AI」や、ブレンディングジャパンにおける子ども専用「ハッチリンクジュニア」並びに法人向け(学校・学習塾)の売上がどの程度拡大するかがカギを握ることになりそうだ。新サービスの「GO School」についてはサービス開始直後でもあり、まだ大きな売上は見込んでいないが、当面の売上高目標として10億円を目指している。月額料金が2.6~5.8万円となっており、年間受講者数で3千人程度獲得できれば10億円を達成できるものと見られる。ITマネジメント事業系については、ITPJに吸収合併した日本クイントとのシナジーや企業におけるIT人材の育成ニーズの高まりを考えれば、会社計画を上回る可能性も十分あると弊社では見ている。(2) プラットフォームサービス事業プラットフォームサービス事業は売上高で前期比11%増の3,597百万円、営業利益で同27%減の175百万円を計画している。売上高はグループ全体の生徒数が1割増と順調に拡大することで過去最高を連続更新する見通し。利益面では「AJIS文京キャンパス」の固定費増に加えて、2023年4月に新規開校する「AJB用賀キャンパス(世田谷区)」にかかる先行投資負担が減益要因となる。「用賀キャンパス」はAJBとして7拠点目のキャンパスとなり、定員数は725名から869名と2割増加することになる。同社では条件に適う物件が見つかれば、2023年度開校に向けてあと1拠点追加する計画を立てている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:37
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BBT Research Memo(6):2022年7月に保有資産を売却。資金はM&Aを含めた成長投資に投下する予定
■業績動向2. 財務状況と経営指標2023年3月期第1四半期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比196百万円増加の9,051百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では売掛金が111百万円減少した一方で現金及び預金が369百万円増加した。固定資産では有形固定資産が50百万円、のれんが35百万円、長期前払費用が26百万円それぞれ減少した。なお、ビジネス・ブレークスルー<2464>は2022年7月に熱海に保有していたホテル・研修施設(帳簿価額1,374百万円)を24億円で売却し、約10億円の譲渡益が発生する見込みであることを発表している。売却により得た資金についてはM&Aを含めた今後の成長投資に充当する計画である。負債合計は前期末比352百万円増加の4,777百万円となった。有利子負債が435百万円減少した一方で、契約負債が750百万円増加したことによる。契約負債については、ラットフォームサービス事業において新スクールイヤー(8月~7月)のための授業料等が増加した季節要因によるものだが、前年同期との比較においても生徒数増加に伴い130百万円増加した。また、純資産合計は前期末比155百万円減少の4,273百万円となった。配当金支出により利益剰余金が157百万円減少したことによる。経営指標を見ると、自己資本が減少した一方で、負債が増加したため自己資本比率は47.0%に低下したものの、季節要因によるもので、有利子負債の減少も進んでいることから財務内容は健全な状況と判断される。また、第2四半期以降は保有資産の売却効果により、自己資本比率や有利子負債比率はさらに改善するものと予想される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:36
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BBT Research Memo(5):2023年3月期第1四半期累計の売上高は過去最高を更新(2)
■ビジネス・ブレークスルー<2464>の業績動向(2) プラットフォームサービス事業プラットフォームサービス事業の売上高は前年同期比9.1%増の887百万円、セグメント利益で同57.1%減の43百万円となった。総生徒数が前年同期比1割増と順調に拡大したことにより増収基調が続いたものの、利益面では「AJIS文京キャンパス」の開設(2022年1月)に伴う賃借料やその他固定費の増加で減益となった。AJISの生徒数については、「文京キャンパス」の開設による定員数増や「光が丘キャンパス」の改装効果もあり、前年同期比27名増の610名でスタートした。高校生を対象とした「文京キャンパス」については評価も高く、2022年はAJIS中等部の生徒が全員高等部に繰り上がったほか、外部からの出願者数もプロモーション活動を行わなかったが増加した。8月下旬からスタートした新学年度の生徒数も会社計画を上回る滑り出しとなったようだ。AJISでは国際バカロレアのDP(ディプロマプログラム)のテスト結果において、前年同様に世界平均点を大きく上回る成績を残しており、大学合格実績においても国内外のトップレベル大学への合格者を輩出するなど好成績を収めていることから、今後も着実に生徒数の増加が見込まれる。一方、バイリンガルプリスクール「AJB」では現在、都下に6拠点を展開しており、4月からスタートした2023年度の生徒数は前年同期比30名を上回る530名でスタートした。2020年以降に開校した中野キャンパスや下目黒キャンパスは、当初予定を上回るペースで売上高及び利益が目標を達成するなど、順調に拡大した。また、ケンブリッジ大学国際教育機構の全プログラム(初等・中等・高等学校過程)認定校である「ムサシインターナショナルスクール・トウキョウ」についても、前年同期比40名を上回って2023年度をスタートするなど好調な滑り出しとなった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:35
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BBT Research Memo(4):2023年3月期第1四半期累計の売上高は過去最高を更新(1)
■業績動向1. 2023年3月期第1四半期累計業績の概要ビジネス・ブレークスルー<2464>の2023年3月期第1四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比11.1%増の1,691百万円、営業利益が同67.5%減の10百万円、経常利益が同78.1%減の7百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が2百万円(前年同期は7百万円の利益)と増収減益となった。売上高は法人向け研修・人材育成サービスが好調に推移したほか、インターナショナルスクール事業(プラットフォームサービス事業)において生徒数が順調に増加したこと、2022年3月期に子会社化したブレンディングジャパン(2021年5月子会社化)や日本クイント(同年11月子会社化)の売上貢献などもあって、第1四半期累計として過去最高を更新した。一方、利益面ではリカレント教育事業の損失額が増収効果により縮小したものの、2022年1月に開校した「AJIS文京キャンパス」の賃借料やその他固定費の増加によってプラットフォームサービス事業が減益となり、全体の営業利益を押し下げる要因となった。ただ、会社計画比では売上高、利益ともにおおむね順調な滑り出しとなったようだ。(1) リカレント教育事業リカレント教育事業の売上高は前年同期比13.5%増の758百万円、セグメント損失は55百万円(前年同期は83百万円の損失)となった。事業別の状況は以下のとおり。a) University事業系2022年度春期における入学者数の状況は、BBT大学経営学部が前年同期比18名減の72名、BBT大学大学院が同12名増の88名となった。BBT大学については新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によって増加したオンライン教育に対する需要が沈静化した影響で減少に転じたものの、ポストコロナ時代に向けたグローバル人材の育成ニーズの高まりを背景に、BBT大学大学院の入学者数が増加に転じた。また、BOND-BBT MBAプログラムは、コロナ禍以降にMBA取得を目的とした海外留学の需要を取り込んできたが、こうした需要もやや一巡したことで2022年5月期の入学者数は23名と若干減少した。ただ、年間ベースでは平年並みの入学者数が見込める状況となっている。また、在籍生徒数で見ればBBT大学経営学部が前年同期比横ばい、BBT大学大学院については増加傾向となっており、Univercity事業系全体の売上高は堅調に推移したものと見られる。なお同社では時代の趨勢に合わせて、科目新設や既存科目の改定を適宜実施しており、BBT大学大学院では2022年春にリーダーシップ、論理的思考力、財務などMBAコースの必修科目について改定を行った。b) 法人向け人材育成事業系法人向け研修・人材育成サービスは、ポストコロナ時代に求められる人材の育成ニーズが高まるなかで、若手向け経営人材育成プログラムやDX関連プログラムなど最新のプログラムを提供することで他社との差別化を図り、同社が強みとするオンライン研修に対するニーズを取り込むことができた。また、経営者や人材育成担当者を対象としたオンラインセミナーを開催するなどマーケティング強化に取り組んだこともあり、第1四半期における新規取引社数も42社と目標を45%上回る好調な滑り出しを見せた。次世代の経営人材育成ニーズが高まるなかで、同社独自のケーススタディメソッド「Realtime Online Case Study (RTOCS)」を活用した経営幹部候補生向けの「BBT経営塾」も引き続き数百人規模の受講生を獲得し堅調に推移した。そのほか、2021年3月期より開始している受講生1人ひとりのキャリアプランや企業の育成ニーズに合わせてカリキュラムを提供する「BBTパーソナライズ」も前年同期比2倍増のペースで成長を続けるなど各種サービスが全般的に伸長した。c) 英語教育事業系英語教育サービスについては、同社が運営する18歳以上のビジネスプロフェショナルを対象としたグローバル人材開発プログラム「PEGL」や、2022年4月より新たに開始した3歳~15歳を対象としたオンライン英語バイリンガルスクール「GO School」、ブレンディングジャパンが運営する子ども専用オンライン英会話スクール「ハッチリンクジュニア」の3つのサービスを提供している。また、ブレンディングジャパンでは学校・学習塾向けサービスも提供している。2023年3月期第1四半期の売上高はブレンディングジャパンが加わった効果もあり前年同期比で増収となったようだ。「PEGL」については2022年7月にリニューアルを実施し、学習プロセスにAI技術を導入した「ビジネス英会話AI」コースの提供を開始した。発音やアクセント等をAIによって分析・評価するアプリ「ELSA(エルサ)※」を実装したプログラムである。また、「GO School」は同社及びアオバ、ブレンディングジャパンのノウハウを結集したサービスで、2022年4月より提供を開始した。英会話能力の向上やインターナショナルスクールへの進学、英語での中学受験を検討している子ども向けのサービスである。Webプロモーションにより集客し、オンライン説明会や無料体験などを通して生徒を獲得する戦略だ。※ELSA(English Language Speech Assistant)は英語をより正しく話せるようになるためのAIパーソナルコーチアプリで米ELSA Co Ltd.が開発した。独自の音声認識技術により、スピーキングの弱み(発音、アクセント、イントネーション、流暢さ、語彙力、文法)を特定し、短期間で改善することができる。世界100ヵ国以上、4,000万人のユーザーに利用されている。ブレンディングジャパンが運営する「ハッチリンクジュニア」は個人会員が約2,800人、法人会員(学校・学習塾)の学習者数が約2,000名と順調に増加した。2022年4月には兵庫県加古川市の全12校、約7,000名の中学生を対象としたオンライン英会話委託事業を3年契約で受注した(受注額は数千万円程度)。今後も日本全国の教育委員会・自治体を中心とした教育機関への営業強化に取り組み、導入拡大を推進する。d) ITマネジメント事業系ITマネジメント事業系の売上高は、2022年3月期に日本クイントをグループ化した効果もあり2ケタ増収となった。企業のDXへの取り組みが進むなか社内におけるDX人材の育成ニーズが高まっており、顧客層が従来のIT企業のみならず幅広い業種に広がっていることや、オンライン講座の拡充に取り組んだことで受講者数が順調に拡大した。とりわけ、BBT大学総合研究所とITPJが共同開発したプログラム「DX推進 基礎講座~業務の視点から考える~」(2021年9月開講)の累計受講者数が100名を超え、企業のDXを後押しする有力なトレーニングプログラムとして成長するなどシナジーも顕在化し始めている。ITPJと日本クイント(2022年4月にITPJに吸収合併)とのシナジーについては、双方が保有する教育コンテンツを総合的に組み合わせたサービスメニューの強化や、営業チャネル及び顧客ベースの共有化による既存顧客との取引拡大並びに新規顧客の拡大が見込まれる。ITPJの強みであるコンテンツビジネス(教育事業者及び社内講師を抱える顧客企業へのテキスト・試験の販売や講師派遣)と、日本クイントの強みであるソリューション提供(企業に対する人材育成計画の作成支援、研修開発と提供、コンサルティング)のシナジーによって競争力が向上し、さらにBBTとのコラボレーションも進めることで、DXに取り組む企業の顧客開拓を推進する。直近も大手企業と大型案件の商談が進んでいるもようで、今後も高成長が期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:34
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BBT Research Memo(3):国内最大級の遠隔型ビジネススクールを運営
■事業概要2. オンライン教育サービスの特徴・強みオンライン教育サービスの流れを簡単に説明すると、コンテンツ制作に関しては、時代のニーズに合致したテーマを有識者によるコンテンツ会議で決定し、そのテーマに最適な講師を招請してビジネス・ブレークスルー<2464>のスタジオで制作する。講師は、大前研一氏をはじめとした著名経営コンサルタントや大学の教授、企業経営者、起業家、投資家などに依頼している。企画・制作されるコンテンツは年間約1,000時間程度であり、現在のコンテンツライブラリーは10,000時間超に及ぶ。コンテンツはインターネットや「Amazon Fire TV」等で受講者に配信している。講義内容の質問やそれに対する回答、あるいは受講生同士のディスカッション、試験やサポートなどはすべて同社が開発した遠隔教育プラットフォーム「AirCampus(R)」を介して行われる(一部については他のWeb会議ツールも活用)。同社のオンライン教育サービスの強みは以下の3点にまとめることができる。第1の強みは、10,000時間超と国内最大級のコンテンツ量を蓄積しており、講師陣の質やコンテンツの内容も含めて群を抜いているという点が挙げられる。また、コンテンツの制作コストに関しても、本社内に自社スタジオを有することで低コスト化と同時に、制作時間の短期化を実現しており、社会情勢の変化等によって新たに生まれてくるテーマに対して機動的にコンテンツを制作し、提供できることも強みと言える。第2の強みとしては、自社開発したオンライン教育プラットフォーム「AirCampus(R)」にある。同システムは、講義を視聴したかどうかを認証する視聴認証システム(日米でビジネスモデル特許取得)、理解度を確認するテスト、修了レポート等の提出、成績管理を含めた履修状況を管理する履修管理システム、さらにはディスカッション機能、掲示板機能など、eラーニングに必要な機能を網羅的に有している。2021年3月期には新機能として、受講生の学習効率向上やバリアフリーへの対応を目的に字幕機能や14言語の翻訳機能を実装した。また、使用デバイスもPCだけでなく、スマートフォンやタブレット端末にも対応しており、世界99ヶ国から延べ2万人が受講するなど、場所と時間を選ばず学習できることが特長である。直近では2022年2月に教務AI「BioLa(ビオラ)」を開発し、提供を開始したことを発表した。BBT大学が開学以来16年間蓄積してきた大量の学習履歴データを「BioLa」に学習させることで、これまで教務担当者が行っていた学生の学習状況の分析や課題解決方法の提案などを「BioLa」で代替する。これにより学生の学習効率のさらなる向上を図るなど、サービス面での強化に継続的に取り組んでいる。第3の強みとしては、過去の実績によって蓄積された教務ノウハウやサポート体制にある。同社は2001年にオーストラリアのボンド大学と提携して共同プログラムを運営するなど、既にMBAプログラムでは20年以上のノウハウを蓄積している。「BOND-BBT MBA」「BBT大学大学院」の修了生は合わせて2,800人を超え、在校生は約600人と国内で最大級の規模となっている。さらに修了生のうち約400人の協力により、TA(ティーチング・アシスタント)、LA(ラーニング・アドバイザー)のネットワークを構築しており、在校生の卒業までのサポート体制が充実していることも強みである。起業家を養成する「アタッカーズ・ビジネススクール」では、修了生の中から約810社が起業し、このうち弁護士ドットコム<6027>、クラウドワークス<3900>、ミクシィ<2121>、アイスタイル<3660>、鎌倉新書<6184>など14社が株式上場を果たすなど、起業家の育成ノウハウにも定評がある。なお、「アタッカーズ・ビジネススクール」については2019年7月に分離独立し、子会社として新設した(株)ABSに承継した。新会社では起業家のさらなる輩出並びに、東京一極集中ではなく全国各地で起業が増えることを目的とした教育サービスを展開する。そのほか、2008年からはスタートアップ起業家支援プロジェクト「背中をポンと押すファンド(SPOF)」を通じて、新規ビジネスにチャレンジする起業家に対して資金面でサポートしており(BBT修了生が対象。1件当たり最高200万円、出資比率20%未満)、累計で約40社に約50百万円の出資を行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:33
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BBT Research Memo(2):1歳の幼児から社会人までを対象とする「生涯教育プラットフォーム」を構築
■事業概要1. 事業内容ビジネス・ブレークスルー<2464>は、経営コンサルタントで現代表取締役会長の大前研一(おおまえけんいち)氏が、「世界で活躍するグローバルリーダーの育成」を目的として、1998年4月に設立した教育サービス会社である。主に社会人を対象として、BBT大学/大学院やオープンカレッジなどオンライン(遠隔型)によるリカレント教育サービスを中心に事業展開しており、教育コンテンツをすべて自社で企画・制作していることが特徴である。2013年10月には、幼・小・中・高の一貫校であるAJIS(東京都練馬区光が丘、目黒区青葉台)を運営する(株)アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズ(以下、アオバ)を子会社化し、1歳の幼児から社会人までをカバーする「生涯教育プラットフォーム(Life Time Empowerment)」を構築した。また、2019年7月に企業向けにITマネジメントスキルの研修サービスや教材開発を行う(株)ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック(以下、ITPJ)を子会社化したのに続き、2021年5月には子ども向けオンライン英会話スクールを運営するブレンディングジャパンを、同年11月にはITマネジメントスキルの研修サービス等を行う日本クイントを相次いで子会社化し、リカレント教育事業の強化を図っている。なお、日本クイントについては2022年4月にITPJが吸収合併した。事業セグメントは、同社が展開するリカレント教育事業と子会社のアオバが中心となって展開するプラットフォームサービス事業、その他(書籍の印税収入、賃貸収益、新規事業等)及び調整額(施設利用料収入、全社共通費用)で区分している。ここ数年、プラットフォームサービス事業の成長が続いてきたことで、2022年3月期の売上構成比ではリカレント教育事業とプラットフォームサービス事業でほぼ二分する格好となっている。また、営業利益についても投資状況によって増減はあるものの、両事業とも一定の収益性を維持しており、バランスの良い事業ポートフォリオとなっている。リカレント教育事業では、主にUniversity事業系、法人向け人材育成事業系、英語教育事業系、ITマネジメント事業系のサービスを展開しており、2022年3月期の売上構成比ではUniversity事業系が31%、法人向け人材育成事業系が35%、英語教育事業系が11%、ITマネジメント事業系が10%を占めた。University事業系では、個人向けにBBT大学/大学院、ボンド大学(オーストラリア)との提携よるMBA習得プログラムBOND-BBT MBAのほか、オープンカレッジなどのオンライン教育サービスを提供している。法人向け人材育成事業系では、新入社員から中堅社員、幹部社員、経営者など階層別研修や、テーマ別研修など様々なプログラムを揃え、オンラインまたは集合型、双方を組み合わせたブレンド型で提供している。英語教育事業系では、同社が運営するグローバル人材開発プログラム「PEGL(Practical English for Global Leaders:ペグル)」や子ども向けオンライン英語バイリンガルスクール「GO School」(2022年4月開校)のほか、ブレンディングジャパンが運営する子ども専用オンライン英会話スクール「ハッチリンクジュニア」が含まれる。ブレンディングジャパンでは個人向けだけでなく、学校・教育機関向けにもサービスを提供している。ITマネジメント事業系は、IT人材の育成を目的とした各種研修サービスや資格取得プログラムをオンラインまたはリアルな形式で提供している。同業の日本クイントを2021年11月に子会社化(2022年4月に吸収合併)したことにより、ITサービスマネジメントの世界的なベストプラクティスである「ITIL(R)※」の認定研修サービスでは国内で約44%のシェア(ITIL(R)資格取得者数)と最大級となっている。※ITIL(R) is a (registered) Trade Mark of Axelos Limited. All rights reserved.一方、プラットフォームサービス事業では、インターナショナルスクールやバイリンガル幼児園などスクール型の教育サービスを展開している。2013年10月にアオバを子会社化して以降、アオバが2014年11月に「JCQバイリンガル幼児園(現 AJB(アオバジャパン・バイリンガルプリスクール)晴海キャンパス)」(東京都中央区晴海)を運営する現代幼児基礎教育開発(株)、2015年10月に「サマーヒルインターナショナルスクール」(東京都港区元麻布)を運営するSummerhill International(株)を相次いで子会社化し、また事業譲受によって2016年3月に「AJB芝浦キャンパス」(東京都港区芝浦)、2016年8月に「AJB早稲田キャンパス」(東京都新宿区高田馬場)をそれぞれ開設した。2018年4月には同社として初めての新設校となる「AJB三鷹キャンパス」(東京都三鷹市)を開校し、2019年5月にはインターナショナルスクール「LAIS(現 MIST)」(東京都三鷹市)を運営するLittle Angels学園(株)※を子会社化した。直近では2020年4月に「AJB中野キャンパス」(東京都中野区南台)、2021年4月に「AJB下目黒キャンパス」(東京都目黒区下目黒)を開校したほか、2022年1月にAJISが高等部を対象とした「AJIS文京キャンパス」(東京都文京区本駒込)を開校した。2021年3月には、子会社の現代幼児基礎教育開発及びSummerhill Internationalをアオバが吸収合併した。※Little Angels学園は2021年1月1日付で(株)Musashi International Educationに商号変更を行った。これに応じて「Little Angels International School (LAIS)」は「ムサシインターナショナルスクール・トウキョウ(以下、MIST)」と名称変更した。2022年3月末時点でキャンパスは都心に11拠点体制となり、うちMISTを除くすべての拠点が、国際バカロレア※1認証取得、または認定候補校(AJB下目黒キャンパスは認定候補校申請予定)となっている。このうち、AJISについては初等教育プログラム(PYP)、中等教育プログラム(MYP)、ディプロマ・プログラム(DP)と、幼小中高すべてのIBプログラムで認証を取得している。国内のバカロレア認証取得校は2022年6月末時点で151校(うち、PYP57校、MYP31校、DP63校)となっており、このうちすべてのプログラム認証を取得したフルIB校は13校のみである。なお「MIST」については、国際バカロレアと並ぶ国際教育プログラムであるケンブリッジ大学国際教育機構※2の認定校で、初等・中等・高等学校課程のすべてで認定を取得しており、フル認定校は国内では4校しかない。※1 国際バカロレア機構(本部:スイス ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムである。国際バカロレアは、国際的な視野を持った人材を育成するとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)から大学進学ルートを確保することを目的として1968年に設置された。年齢別にPYP(初等教育プログラム:3~12歳)、MYP(中等教育プログラム:11~16歳)、DP(ディプロマ資格プログラム:16~19歳)の3つに区分されている。生徒は、各学校でDP課程の修了後、国際バカロレア協会が実施する統一試験に合格することでディプロマ資格を得ることになる。2022年6月現在の認定校は世界160以上の国・地域で約5,500校である。また、国内の大学で国際バカロレアを活用した入試を導入している大学は2022年3月時点で68校と年々増加している。※2 英ケンブリッジ大学傘下の団体で、5~19歳を対象とする国際教育プログラム及び資格試験(IGCSE、Aレベル等)を提供する世界最大の国際教育機関である。現在、世界で160ヶ国以上、1万校を超える学校で、同プログラムが提供されている。同機構の認定するAレベルを修了した生徒は、英語圏を中心に世界中の大学において大学入学資格として認められており、Aレベル成績優秀者の入学申請は優遇されるケースもある。また文部科学省により、日本国内においてもAレベルの修了は大学入学資格として認められている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:32
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BBT Research Memo(1):リカレント教育のリーディングカンパニーを目指し、積極的な事業展開を進める
■要約ビジネス・ブレークスルー<2464>は、インターネットを活用したオンライン(遠隔型)マネジメント教育サービスを主力事業とし、2005年にビジネス・ブレークスルー大学大学院(以下、BBT大学大学院)、2010年にビジネス・ブレークスルー大学経営学部(以下、BBT大学)を開学した。2013年以降はインターナショナルスクール運営会社(学校名:アオバジャパン・インターナショナルスクール(以下、AJIS))を子会社化するなど、若年層、対面型教育サービスも展開し、1歳の幼児から社会人までをカバーする「生涯教育プラットフォーム」を構築した。経営ミッションである「世界で活躍するグローバルリーダーの育成」に取り組んでいる。1. 2023年3月期第1四半期累計業績の概要2023年3月期第1四半期累計(2022年4月~6月)の連結業績は、売上高で前年同期比11.1%増の1,691百万円、営業利益で同67.5%減の10百万円と増収減益となった。売上高は法人向け研修・人材育成サービスが好調に推移したほか、インターナショナルスクール事業において総生徒数が順調に増加したこと、2022年3月期に子会社化した(株)ブレンディングジャパン(オンライン英会話スクール)や日本クイント(株)(ITマネジメント領域における企業向け研修サービス)の売上貢献などが増収要因となった。一方、利益面ではインターナショナルスクール事業で新たに「AJIS文京キャンパス」を開校(2022年1月)したことによる固定費の増加が減益要因となったが、おおむね会社計画どおりの進捗となった。2. 2023年3月期業績見通し2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比15.5%増の7,806百万円、営業利益で同9.9%増の518百万円を計画している。売上高、営業利益ともに過去最高を連続更新する見通しだ。ポストコロナ時代に求められる人材(グローバルリーダー、DX人材等)の育成に取り組む企業が増えるなか、オンラインで効率的に研修プログラムを受講できる同社サービスに対する引き合いが増加しているほか、インターナショナルスクール事業における生徒数の増加が増収要因となる。事業拡大に向けた先行投資費用の増加により利益率は低下するものの、増収効果でカバーする。なお、2022年7月に保有資産を売却し、特別利益約10億円を計上する見込みとなっている。売却で得た資金は成長投資に振り向ける方針だ。3. 中期経営計画2022年6月に「中期経営計画2022-24」を発表した。概要や業績数値目標については2021年12月に発表していたが、今回は5つの重点強化領域に関する戦略や業績計画についても開示し、今後の成長戦略が明らかとなった。2025年3月期における業績目標は、売上高で100億円、営業利益で10.5億円とそれぞれ2022年3月期実績から1.48倍、2.22倍を目指す。University事業系やインターナショナルスクール事業系は生徒数の増加により、売上高で年率11~12%の着実な成長を見込んでいる。法人向け人材育成事業系に関しては、同社が強みとするオンライン教育のノウハウと最新教育コンテンツの提供に加え、課題であった営業体制やマーケティング施策を強化していくことで年率25%の売上高成長を目指す。英語教育事業系では、同社及びブレンディングジャパンの既存サービス拡大に加えて、2022年4月にグループのノウハウを結集して開始した新サービス「GO School」(子ども向けオンライン英語バイリンガルスクール)を育成することで、売上高を2022年3月期比3.45倍に拡大する。ITマネジメント事業系に関しては、経営のDXが進むなかですべての業種においてDX人材の育成が課題となってきており、顧客層もIT企業から全業種に広がるなど追い風が吹き始めている。こうしたなか、セールスマーケティング体制の拡充、最新教育コンテンツの導入や講師陣の拡充に取り組むことで、年率43%の売上成長を目指す。2023年3月期は先行投資により利益の伸びは限定的にとどまるものの、2024年3月期以降は投資の成果が顕在化し、利益成長が加速するものと予想される。■Key Points・2023年3月期第1四半期累計の売上高はリカレント教育事業、プラットフォームサービス事業ともに伸長し過去最高を更新・2022年7月に保有資産を約24億円で売却し、資金はM&Aを含めた成長投資に投下する予定・5つの重点強化事業の成長により、2025年3月期に売上高100億円、営業利益10.5億円を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 16:31
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コスモ・バイオ Research Memo(6):安定配当を念頭に配当性向を重視しつつ、収益状況見通しなど総合的に勘案
■コスモ・バイオ<3386>の株主還元策利益還元については安定配当を念頭に置き、配当性向を重視しつつ、今後の収益状況の見通しなどを総合的に勘案して決定することを基本方針としている。2022年12月期の配当予想は2021年12月期と同額の36円(中間16円、期末20円)としている。2022年12月期通期の利益予想を下方修正したが、配当予想は据え置いた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/28 16:26
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コスモ・バイオ Research Memo(5):メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築
■コスモ・バイオ<3386>の成長戦略1. 3ヶ年計画3ヶ年計画(2020年12月期~2022年12月期、経営目標数値は非開示)では、経営ビジョンに「生命科学の研究者から信頼される事業価値を高める」を掲げ、10年後の姿を見据え、現在の収益柱である商社機能(研究試薬卸売)の強化、メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築、ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場への展開、企業価値の向上を推進する方針を打ち出した。これらの進捗はおおむね順調としている。そのほかの新市場への展開では、製品原料の供給などを構想している。事業計画としては、新たな事業基盤の創出(シーズ探索強化や産学官連係への積極参加などによる新規事業開拓、資本提携・業務提携への取り組み)、商社機能の強化(顧客情報管理と活用、原料供給ビジネスの売上拡大、流通改革対策)、製造機能の強化(新商品・受託サービスの拡充、カスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業と鶏卵バイオリアクター事業の規模拡大と収益化の加速)、企業価値の向上(生産性向上・効率化による収益力向上、人材育成など)を推進する。また、企業価値向上の施策として働き方改革を掲げており、2022年7月からテレワークを制度化(コロナ禍でのテレワーク運用から平常時のテレワーク運用に移行)した。また、コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を図るため、2022年3月開催の第39回定時株主総会での承認を経て、監査等委員会設置会社に移行した。2. メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築同社が成長ドライバーと位置付けているカスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業及び鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業を第2の収益柱とすべく、様々な施策を講じている。カスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業は、研究者の要望に合った配列のペプチド(アミノ酸が2~50残基程度結合した分子)をカスタム合成する。新薬(ペプチド医薬品)や新規治療法(ワクチン)の開発につながり、ライフサイエンス基礎研究に欠かせない重要な研究ツールの1つである。さらなる事業拡大に向けて、周辺技術を持つ企業とのアライアンスを推進している。2017年12月に(株)Proteomedix Frontiersと業務提携し、2018年4月にはAQUAペプチドの配列デザインから合成までの一貫サービスを開始した。2018年6月にはメスキュージェナシスとペプチド創薬支援事業に関して業務提携(2019年4月出資)、2018年9月には名古屋大学発ベンチャーのiBody(株)とモノクローナル抗体スクリーニングサービスに関して業務提携、2018年10月にはエムティーアイ<9438>と抗体作製支援システムに関して業務提携、2018年11月にはがん免疫療法開発の(株)Cancer Precision Medicine(オンコセラピー・サイエンス<4564>の連結子会社)とペプチド合成に関する委受託基本契約を締結した。2021年1月には、エムティーアイとの業務提携でライセンス使用としていたエピトープ解析システム「MODELAGON(モデラゴン)」のソフトウェア資産を譲り受けた。今後の展開として、研究用の提供を拡大するとともに、原料としての供給なども目指す方針だ。鶏卵バイオリアクター事業(鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業)は、遺伝子改変ニワトリ(鶏卵の卵白の中に、目的とする有用なタンパク質を大量に生産させるようにゲノム編集した特殊なニワトリ)の鶏卵バイオリアクターを用いて、ユーザーが必要とする目的タンパク質を安価・大量に製造・精製する。国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)及び国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)との共同研究を進め、2017年8月にはヒトインターフェロンβ製造に関する特許実施権を獲得した。2018年7月には産総研が、卵白に有用組み換えタンパク質を大量に含む卵を産む遺伝子改変ニワトリを作製する技術の確立を報告した。2019年6月にはヒトインターフェロンβに限定されない特許実施許諾を獲得した。2019年7月には大阪大学発ベンチャーのC4U(株)が保有する特許技術「CRISPR/Cas3」をライセンス導入し、ユーザーが必要とするタンパク質を安価・大量に製造できるようになったため、鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業を開始した。今後の展開としては、ユーザーニーズに対応して受託製造を本格展開するとともに、研究用試薬にとどまらず、原料供給を主たる目的とした製造への飛躍を目指すとしている。なお2019年10月には日本全薬工業(株)からゲノム編集ニワトリの作製を受託している。ニワトリが産んだ有用タンパク質(Aタンパク質)を大量に含む鶏卵を納品する。当面は日本全薬工業の開発用の鶏卵納品となるが、将来的に日本全薬工業がAタンパク質を用いた製品を上市する場合は、新たに契約を締結して売上に応じたロイヤルティなどの収益を得られる可能性がある。3. 新たな事業基盤の創出ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場(食品、医薬品などの分野)への展開も見据え、新たな事業基盤の創出に向けて資本提携・業務提携も推進している。2018年4月には、生体内の標的とするタンパク質の分解を誘導することにより新規医薬品の研究開発を行うファイメクスに出資した。2018年6月には、学校法人麻布獣医学園と麻布獣医学園の出願特許「アミロイドタンパク質を抽出する試薬」に関する実施許諾契約を締結した。アミロイドという線維構造を持つタンパク質だけを選別して抽出できる画期的な技術であり、本技術を用いてアルツハイマー病などの研究に極めて重要なツールを提供している。2022年3月には、資本・業務提携先である創薬ベンチャーのメスキュージェナシスが保有するVHH抗体に関わる技術移転と、これに関連する特許の実施許諾のための契約を締結した。これにより、免疫動物を使用しない抗体作製方法の開発を行い、「cDNAディスプレイ法による重鎮抗体の可変領域・VHH抗体のスクリーニングサービス」として、製薬会社、臨床検査会社、化粧品会社、食品会社及びアカデミアの基礎研究分野への提供を予定している。2022年7月には、大阪公立大学大学院医学研究科との共同研究成果として、新型コロナウイルスの新たな感染防御物質を見出し、2022年7月6日に、科学誌「The Journal of Biochemistry」に論文発表した。そして、この知見を製品化し、新型コロナウイルスの感染防御物質のスクリーニングに有用な「S1-ACE2結合阻害スクリーニングキット」を発売した。2022年8月には、東芝<6502>が参加企業の募集を行った「Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM 2022」において、具体的な協業の検討に進む参加企業のうちの1社として採択され、新規事業の創出を目指し検討を進めることになった。テーマは「量子インスパイアード最適化ソリューションSQBM+(TM):量子力学の原理に基づく疑似量子の研究から生まれた大規模な組合せ最適化問題を高速に解決するイジングマシンを活用した事業開発」で、協業企業は東芝デジタルソリューションズ(株)、メスキュージェナシス、アヘッド・バイオコンピューティング(株)である。これが実用化されると、薬剤候補ペプチドのスクリーニング技術が飛躍的に向上することになると言う。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/28 16:25
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日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は大幅反落、ファーストリテとファナックが2銘柄で約142円分押し下げ
28日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり19銘柄、値下がり206銘柄、変わらず0銘柄となった。日経平均は大幅反落。27日の米株式市場でダウ平均は125ドル安と6日続落。経済指標の予想を上回る強い結果が好感されたほか、シカゴ連銀のエバンス総裁の発言を受けて金利が低下したことで安心感から買戻しが先行。ただ長期金利が大幅上昇に転じると警戒感から下落に転じた。ナスダック総合指数は+0.24%と6日ぶり反発。米国株安を受けて日経平均は149.01円安からスタート。時間外取引のダウ平均先物が急速に下げ足を速めたほか、香港ハンセン指数の大幅安もあり、前引け直前には26000円を割り込んだ。米アップルの「iPhone(アイフォーン)14」増産計画撤回の報道が嫌気されたようだ。午後も軟調推移が続いたが、引けにかけては配当権利取りや配当再投資を意識した動きから下げ幅を縮めた。大引けの日経平均は前日比397.89円安の26173.98円となった。東証プライム市場の売買高は15億5474万株、売買代金は3兆7248億円だった。セクターでは海運、不動産、鉄鋼を筆頭に売り優勢の展開。一方、パルプ・紙、医薬品、精密機器の3業種が上昇した。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の55%、対して値上がり銘柄は41%だった。値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約120円押し下げた。同2位はファナック<6954>となり、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>、TDK<6762>、京セラ<6971>、KDDI<9433>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップはエーザイ<4523>となり1銘柄で日経平均を約35円押し上げた。同2位は中外薬<4519>となり、ヤマハ<7951>、富士フイルム<4901>、塩野義薬<4507>、静岡銀<8355>、エムスリー<2413>などがつづいた。*15:34現在日経平均株価 26173.98(-397.89)値上がり銘柄数 19(寄与度+54.20)値下がり銘柄数 206(寄与度-452.09)変わらず銘柄数 0○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<4523> エーザイ 6784 1000 +35.14<4519> 中外薬 3480 48 +5.06<7951> ヤマハ 4885 95 +3.34<4901> 富士フイルム 6734 78 +2.74<4507> 塩野義薬 6725 72 +2.53<8355> 静岡銀 889 42 +1.48<2413> エムスリー 4060 14 +1.18<8031> 三井物産 3151 23 +0.81<6702> 富士通 15610 140 +0.49<9064> ヤマトHD 2173 10 +0.35<4151> 協和キリン 3165 10 +0.35<5232> 住友大阪 3290 40 +0.14<6326> クボタ 2004.5 3.5 +0.12<3861> 王子HD 545 3 +0.11<8331> 千葉銀 775 3 +0.11<3863> 日本紙 920 29 +0.10<9147> NXHD 7340 20 +0.07<5233> 太平洋セメ 2058 15 +0.05<3103> ユニチカ 276 7 +0.02○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9983> ファーストリテ 77870 -3440 -120.89<6954> ファナック 20835 -620 -21.79<9984> ソフトバンクG 4938 -92 -19.40<8035> 東エレク 37840 -530 -18.63<6762> TDK 4605 -145 -15.29<6971> 京セラ 7492 -166 -11.67<9433> KDDI 4210 -41 -8.65<4543> テルモ 4080 -57 -8.01<2502> アサヒ 4450 -210 -7.38<6857> アドバンテス 7000 -100 -7.03<6988> 日東電 7890 -190 -6.68<4063> 信越化 14695 -185 -6.50<7832> バンナムHD 9394 -176 -6.19<4568> 第一三共 3941 -56 -5.90<7203> トヨタ自 1953.5 -32.5 -5.71<4452> 花王 5858 -157 -5.52<6367> ダイキン工 22485 -145 -5.10<6645> オムロン 6602 -133 -4.67<7733> オリンパス 2762 -31.5 -4.43<4503> アステラス薬 1876.5 -23.5 -4.13
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2022/09/28 16:24
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コスモ・バイオ Research Memo(4):2022年12月期通期予想は急激な円安進行の影響で利益を下方修正
■今後の見通しコスモ・バイオ<3386>の2022年12月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比4.0%増の9,600百万円、営業利益が同33.3%減の700百万円、経常利益が同35.4%減の710百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同36.3%減の470百万円としている。なお、これに先立ち2022年7月25日付で業績予想を修正し、期初予想に対して売上高を200百万円上方修正したが、営業利益を130百万円、経常利益を160百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を110百万円それぞれ下方修正している。売上面は引き続き研究用試薬・消耗品や受託サービスが好調に推移する見込みだが、為替相場における急激なドル高・円安進行を考慮して、下期の想定為替レートを期初時点での想定1米ドル=115円から今回想定1米ドル=140円に見直した。2021年12月期通期の平均為替レートは1米ドル=108円となった。このため仕入コスト上昇が利益圧迫要因となる見込みだ。なお、仕入価格上昇の販売価格への転嫁を進める方針だが、業績予想には織り込んでいないとしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/28 16:24
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コスモ・バイオ Research Memo(3):2022年12月期第2四半期は、円安の影響が増収効果を上回り増収減益
■業績動向1. 2022年12月期第2四半期連結業績の概要コスモ・バイオ<3386>の2022年12月期第2四半期の連結業績(収益認識会計基準適用だが影響軽微)は、売上高が前年同期比5.7%増の5,111百万円、営業利益が同12.6%減の626百万円、経常利益が同17.5%減の620百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同16.9%減の407百万円となった。研究用試薬・消耗品や受託サービスが好調に推移し、売上高・利益とも期初計画を上回ったが、為替の急激なドル高・円安進行の影響で仕入コストが上昇したため減益となった。平均為替レートは1米ドル=119円(前年同期は1米ドル=106円、今期の期初計画は1米ドル=115円)となった。品目別売上高は、研究用試薬(自社製造・受託サービスを含む)が前年同期比8.5%増の3,964百万円、機器が同2.8%減の1,088百万円、臨床検査薬が同5.4%減の58百万円となった。主力の研究用試薬が伸長した。需要が堅調に推移し、コロナ禍においてもWeb会議を活用した営業活動強化が奏功した。受託サービスは、再生医療分野や遺伝子導入分野などの次世代医療分野への研究活動が活発化しているため、医薬品関連企業向けを中心に拡大基調である。同社試算による営業利益90百万円減益の要因は、売上増で117百万円増益、為替影響で132百万円減益、収益認識基準影響で13百万円減益、人件費増加で37百万円減益、その他で25百万円減益となった。円安のマイナス影響が増収効果を上回った形だ。売上総利益は前年同期比3.2%減少し、売上総利益率は同36.8%で3.4ポイント低下した。販管費は2.3%増加したが、販管費比率は24.5%で0.8ポイント低下した。財務の健全性は極めて高い2. 財務の状況2022年12月期第2四半期末の資産合計は前期末比243百万円増加して10,315百万円となった。主に売上債権(受取手形及び売掛金)が146百万円減少したものの、商品及び製品が248百万円増加、投資有価証券が155百万円増加した。負債合計は同11百万円増加して1,763百万円となった。主に買掛金が79百万円増加、未払法人税等が44百万円増加した。純資産合計は同232百万円増加して8,552百万円となった。主に利益剰余金が269百万円増加した。この結果、自己資本比率は同0.3ポイント上昇して77.6%となった。実質無借金経営であり、キャッシュ・フローの状況にも懸念材料は見当たらない。財務の健全性は極めて高いと弊社では評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/28 16:23
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コスモ・バイオ Research Memo(2):世界のライフサイエンス研究の進歩・発展に貢献するバイオ専門商社
■会社概要1. 会社概要コスモ・バイオ<3386>は世界のライフサイエンス研究の進歩・発展に貢献する独立系のバイオ専門商社である。グループは同社、連結子会社2社(ビーエム機器(株)、Cosmo Bio USA, Inc.(以下、CBU))、非連結子会社1社((株)プロテインテック・ジャパン)で構成されている。ビーエム機器はライフサイエンス研究に使用する機器類・消耗品の輸入及び国内販売、CBUは北米を中心とした新規製品・仕入先の探索及び日本以外の全世界向け販売を行っている。プロテインテック・ジャパンは、米国Proteintech Group, Inc.(以下、PGI)との合弁会社(同社出資比率51%)で、日本におけるPGI製品のプロモーションやテクニカルサポート等を通じてPGI製品の拡販を推進している。また出資先として、組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオ(株)、創薬ベンチャーのファイメクス(株)(武田薬品工業<4502>のアントレプレナーシッププログラムによって設立されたカーブアウトベンチャー)、ペプチド創薬支援で業務提携している創薬ベンチャーのメスキュージェナシス(株)などがある。2. 事業概要同社は、世界のライフサイエンス研究の進歩・発展に貢献する独立系のバイオ専門商社として、大学・公的研究機関・検査機関・民間企業・病院などの研究室で使用される基礎研究分野の研究用試薬・機器・消耗品・臨床検査薬を国内外で販売している。2022年12月期第2四半期の売上高構成比は、研究用試薬(自社製造・受託サービスを含む)が77.6%、機器が21.3%、臨床検査薬が1.1%で、研究用試薬を主力としている。研究用試薬とは、基礎研究分野での実験・研究・測定のために使われる薬剤である。ライフサイエンスの基礎研究は広範囲に様々な分野で行われている。研究者1人ひとりがそれぞれ異なったテーマで研究を行っているため、タンパク質研究用試薬、遺伝子研究用試薬、組織培養研究用試薬、そのほかバイオ研究用試薬、創薬支援・受託サービス(カスタムペプチド合成・抗体作製等)など多種多様の試薬・技術情報・サービスが必要となる。3. 特徴・強みグローバルな仕入ネットワーク、業界最大級の品ぞろえ、グループ内の製造・受託サービスのメーカー機能を強みとして、抗体分野を中心とする多様な顧客ニーズに対応して多種多様な製品・技術情報・サービスをワンストップで提供している。仕入面については世界に約600社(うち海外が400社以上)のネットワークがあり、取扱品目数は自社ブランドを含めて約1,200万品目に上っている。販売面については全国をカバーする約200拠点の販売代理店網が国内にあり、海外はCBUが展開している。同社が取り扱う製品の中には、薬機法、毒物及び劇物取締法など関連法規や行政指導に該当するものが多く含まれており、動物由来もしくは動物由来の成分を含む場合には輸入・輸出の際に動物検疫対象となる。海外からの輸入品の場合には関連法規や取扱基準・規制が日本と異なっていることが少なくない。このため製品の仕入・保管・販売に関しては、国内外の関連法規・行政指導による取扱基準・規制に精通することが必要である。さらに、試薬の多くはタンパク質や核酸・細胞など生物由来の物質、いわゆる「ナマモノ」であるため、仕入から保管・納品まで厳重な温度管理が必要となる。こうした対応力においても競合優位性を持っている。4. 成長ドライバーとして自社製造・受託サービスを強化同社は成長ドライバーとして自社製造・受託サービスを強化している。仕入で充足できないニーズに対して「自ら作る、サービスを提供する」ことでソリューションを提供している。試薬製造・受託試験事業への参入は2006年12月である。初代培養細胞(プライマリーセル)の研究開発・製造・販売・受託解析を行う(株)プライマリーセルを連結子会社化(2013年7月吸収合併)したことに始まる。そして現在は、2016年12月に本格参入したカスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業、2019年7月に開始した鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業の規模拡大・収益化に注力している。5. リスク要因・対策、収益特性収益に影響を与えるリスク要因としては、大学・公的研究機関の公的研究費や民間企業の研究開発費などライフサイエンス研究関連費用の支出動向、為替変動、海外仕入先のM&Aや日本における販売体制の改変、業界内の競合、法規制の変更などがある。為替変動については、仕入の6~7割が輸入品であるため、仕入原価が為替変動の影響を受けやすい。ドル高・円安は仕入原価上昇要因、ドル安・円高は仕入原価低下要因となる。こうした為替変動リスクに対し、同社は実需の一定範囲内で為替予約を行っている。なお仕入の通貨別割合はドル建てが6割、円建てが3割、ユーロ・そのほかが1割前後となっている。収益特性としては季節特性がある。大学・公的研究機関の公的研究費及び民間企業の研究開発費の支出は、国の年度末や民間企業の決算期末の1月~3月に多くなり、新年度入りした4月~6月に少なくなる傾向がある。このため同社の売上高及び利益は第1四半期(1月~3月)の構成比が高く、第2四半期(4月~6月)の構成比が低くなる。ただし公的研究費で年度繰越や複数年予算が認められるようになったため、年度末に予算消化が集中する傾向は緩やかになっていると言う。同社の四半期収益も同様に平準化が進むと考えられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/28 16:22
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コスモ・バイオ Research Memo(1):2022年12月期第2四半期は計画を上回るも為替の円安影響で減益
■要約コスモ・バイオ<3386>は世界のライフサイエンス研究に貢献する独立系のバイオ専門商社である。ライフサイエンスに関わる世界の研究者(大学・公的研究機関・検査機関・民間企業・病院などの研究室)向けに、基礎研究分野の研究用試薬・機器・消耗品・臨床検査薬を提供している。グローバルな仕入ネットワーク、業界最大級の品ぞろえ、グループ内製造・受託サービスのメーカー機能を強みとして、抗体分野を中心とする多様な顧客ニーズに対応して多種多様な製品・技術情報・サービスをワンストップで提供している。特に最近は、成長ドライバーとして自社製造・受託サービスを強化している。仕入で充足できないニーズに対して「自ら作る、サービスを提供する」ことでソリューションを提供する。特に、カスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業及び鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業の規模拡大・収益化に注力している。1. 2022年12月期第2四半期の業績概要2022年12月期第2四半期の連結業績(収益認識会計基準適用も影響軽微)は、売上高が前年同期比5.7%増の5,111百万円、営業利益が同12.6%減の626百万円、経常利益が同17.5%減の620百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同16.9%減の407百万円となった。研究用試薬・消耗品や受託サービスが好調に推移し、売上高・利益ともに期初計画を上回ったが、為替の急激なドル高・円安進行の影響で仕入コストが上昇したため減益となった。同社試算による営業利益90百万円減益の要因分析は、売上増で117百万円増益、為替影響で132百万円減益、収益認識基準影響で13百万円減益、人件費増加で37百万円減益、その他で25百万円減益となったとしている。円安のマイナス影響が増収効果を上回った形だ。2. 2022年12月期通期連結業績予想の概要2022年12月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比4.0%増の9,600百万円、営業利益が同33.3%減の700百万円、経常利益が同35.4%減の710百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同36.3%減の470百万円としている。売上面は引き続き研究用試薬・消耗品や受託サービスが好調に推移する見込みだが、為替相場における急激なドル高・円安進行を考慮して、下期の想定為替レートを期初時点での想定1米ドル=115円から今回想定1米ドル=140円に見直した。このため仕入コスト上昇が利益圧迫要因となる見込みだ。3. 自社製造・受託サービスの成長で収益拡大・高収益化期待同社は10年後の姿を見据え、現在の収益柱である商社機能(研究試薬卸売)の強化、メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築、ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場への展開を推進する方針を現3ヶ年計画で打ち出している。新市場への展開については、食品や医薬品などの分野での原料供給なども構想している。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響で営業活動が制約を受けるなど事業戦略推進が停滞する面があり、当面の業績も急激な円安進行の影響で2022年12月期利益予想を下方修正したが、メーカー機能の強化や新たな事業基盤の創出に向けた戦略は着実に進捗しているとしている。弊社では、カスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業及び鶏卵バイオリアクター事業を中心とする自社製造・受託サービスの成長により、中期的に収益拡大・高収益化が期待できると考えている。■Key Points・2022年12月期第2四半期は計画を上回るも為替の円安影響で減益・2022年12月期通期予想は急激な円安進行の影響で利益を下方修正・自社製造・受託サービスの成長で収益拡大・高収益化期待(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/28 16:21
注目トピックス 日本株
新興市場銘柄ダイジェスト:CANBASは大幅に3日続落、INCが大幅に4日続伸
<9561> グラッドキューブ 1280公開価格(960円)を56.3%上回る1500円で初値を付けた。会社設立は07年1月4日。ウェブサイト解析サービスなどのSaaS事業やマーケティングソリューション事業のほか、スポーツデータAI解析のSPAIA事業などを手掛ける。22年12月期の営業利益予想は前期比64.9%増の4.81億円。マーケティングソリューション事業が順調に伸びるほか、SaaS事業やSPAIA事業も堅調に推移する見通し。第2四半期累計の実績は2.83億円だった。<4575> CANBAS 677 -135大幅に3日続落。新規の売り材料は出ていないが、商いを伴って値を下げている。キャンバスは抗がん剤候補化合物のCBP501臨床第2相試験のステージ1で3剤併用投与群の一つがステージ2を実施せず第3相試験へ進むことが濃厚になっていると20日に発表し、同日終値(619円)から一時50%以上も急騰。買い一巡後は利益確定売りが優勢となっており、本日はグロース市場全体の悪化も重なって下落幅を広げているようだ。<7078> INC 1140 +33大幅に4日続伸。資本提携先のインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)が全産業参加型の宇宙開発ブログラム「みんなのロケットパートナーズ」に東京海上ホールディングス<8766>傘下の東京海上日動火災保険が新たに参画したと発表している。同社のネットワークとノウハウを生かして国際宇宙保険市場へのコンタクト機会の設定などを通じ、打ち上げ事業の早期ビジネス化や国際的なポジション向上を支援する。<4180> Appier 1202 +43日ぶり反発。連結子会社のAppier Pte. Ltd.が米Woopra社を完全子会社化すると発表している。Appier Pte. Ltdの子会社である特別目的会社とWoopra社を合併させる。取得価額は非開示で、異動年月日は10月の予定。Woopra社は、米カリフォルニア州を拠点に米欧で幅広い顧客基盤を有し、カスタマージャーニー分析やマーケティングオートメーションなどの分野でSaaSプラットフォームを提供している。<4584> キッズバイオ 242 +1朝高後、値を消す。昭和電工<4004>傘下の昭和電工マテリアルズ(東京都千代田区)と再生医療等製品の実用化に向けた製法開発と治験薬製造に関する基本取引契約を締結したと発表している。昭和電工マテリアルズが保有する3Dバイオリアクターを用いた細胞の大量培養技術を活用し、キッズウェル・バイオが保有するヒト乳歯歯髄幹細胞(SHED)マスターセルバンクを原料としたSHED再生医療等製品の製法開発を共同で行い、治験薬を製造する。<3911> Aiming 296 +7大幅に続伸。人気小説を原作とするTVアニメ「陰の実力者になりたくて!」のオンラインゲーム「陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン」を発表している。公式サイトとSNSを公開し、同アニメーション製作委員会に出資することを明らかにした。同ゲームはスマートフォン向け3DアニメーションRPGで、プレイ料金は基本無料(一部アイテム課金制)、配信日は22年中を予定している。
<ST>
2022/09/28 15:49
注目トピックス 日本株
フォーバル---「北海道・札幌市海外拠点連携協議会委託業務」を受託
フォーバル<8275>は27日、「北海道・札幌市海外拠点連携協議会委託業務」の道市連携海外展開推進事業(リベンジ消費拡大に向けた海外販路構築事業)商談支援等委託業務を受託したと発表。委託内容は、コロナ禍により生じたリベンジ消費を取り込むため、北海道の人気が高いアジア・ASEAN諸国を対象に、北海道と札幌市が連携し構成する「北海道・札幌市海外拠点連携協議会」において、日本貿易振興機構や北海道ASEAN事務所、現地関係機関や企業等とのネットワークを活用しながら、道産品に関する商談や現地事業者と連携した販売支援を行う。同社では、オンライン&オフラインの2軸でハンズオン型の海外展開支援を推進し、食の海外展開に関しては、商品のサンプル輸送、現地マーケティング・営業活動、現地バイヤーとのマッチング及び商談支援等の中堅・中小企業に対する支援、海外への商流構築をワンストップで任せられる機能を提供している。主な支援内容は、現地バイヤーとの商談支援や現地実践販売支援・情報発信としている。
<TY>
2022/09/28 15:38
注目トピックス 日本株
テラスカイ---富士通と「GLOVIA OM」の国内独占販売に向けた基本方針を合意し、新たな販売契約を締結
テラスカイ<3915>は27日、富士通<6702>が提供する、クラウド型ERPソリューション「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA OM(GLOVIA OM)」の国内独占販売に向けた基本方針を両社で合意し、新たな販売契約を富士通と締結したことを発表。「GLOVIA OM」は、Salesforceのプラットフォーム上で、在庫管理を含めた販売・購買管理を実現できる最適なソリューション。同社は、2011年より「GLOVIA OM」の導入開発・支援事業を開始、2016年には、富士通より日本国内のパートナー経由累積販売シェアがもっとも多いことが評価され、最上位販売パートナーである「ゴールドパートナー」として認定された。今回、富士通と同社はSalesforce導入企業に対し、GLOVIA OMの販売を強化していくことを目的に、同契約の締結に至った。両社は、協力体制のもと、国内における「GLOVIA OM」市場の更なる拡大を目指す。同社は今後、同契約を機に、販売・開発体制を増強するとともに、カスタマー・サクセス・マネジメントチームによるサポートも新たに対応していく。富士通によるマーケティング協力、同社の営業・開発・サポート体制強化によって、導入企業の増加を見込んでおり、「GLOVIA OM」の市場拡大に貢献していくとしている。
<TY>
2022/09/28 15:12
注目トピックス 日本株
サイバーコム Research Memo(10):配当性向及び純資産配当率の向上と増配の継続を目指す方針
■株主還元策サイバーコム<3852>は配当の基本方針について、「将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、『安定した配当』を継続して実施していく」としており、着実な増配と配当性向及び純資産配当率の向上を目指している。内部留保資金については、今後の成長に向けた人財投資や生産性向上投資、新製品及び新事業創出のための研究開発投資やM&A等に活用し、経営基盤の強化を図っていく方針となっている。2022年12月期の1株当たり配当金は、前期比2.0円増配の22.0円(配当性向25.2%)と5期連続の増配を予定している。2018年12月期以降、配当性向は20~30%で推移しており、収益成長が継続すればこの範囲内で増配を継続していくものと予想される。また、純資産配当率に関しては2.8%前後の水準で推移しており、この水準が下限ラインになると見られる。■SDGsの取り組みについて同社は「快適・安心で豊かな社会の実現」に向け、事業活動や企業活動を通じて様々な社会の課題解決に対する取り組みを実施している。また、環境活動を通じて社員にSDGsの意味や重要性を伝え、身近な活動を紹介することで、社員一人ひとりの生活を通じた取り組みも推進している。事業活動を通じた取り組みとしては、DXによる社会・産業システムの構築、快適・安心なICT社会の実現、高品質な製品の提供などによって、社会の課題解決に貢献している。また、企業活動を通じた取り組みとしては、人材の採用・育成、女性活躍推進、働き方改革、環境活動等を行うことによって貢献している。環境活動を通じた取り組みとしては、紙使用量の削減(各種書類の電子化やWeb会議の導入等によるペーパレス化)、ごみの削減(リサイクル可能製品の利用、ごみの分別徹底)、電気使用量及びCO2排出削減(職場環境の改善を行いながら節電)、ガソリン使用量の削減(エコドライブの推進、公共交通機関の利用、オンライン営業の活用等)などについて事業所ごとに目標を設定し、その達成に向けた取り組みを推進している。なお、環境経営に関する取り組みについては、2022年6月に発行した「2021年環境経営レポート」のなかで詳細にまとめられている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
2022/09/28 15:10
注目トピックス 日本株
ディア・ライフ---東京都中央区月島にマンション開発用地の取得
ディア・ライフ<3245>は27日、東京都中央区月島にマンション開発用地を取得したことを発表。同物件は、中央区月島に所在し、敷地面積202.47平方メートル。都営大江戸線、東京メトロ有楽町線「月島」駅から徒歩圏内に位置し、2路線利用可能であり、有楽町駅まで電車で約5分、新宿や渋谷などの主要駅へも30分以内でのアクセスが可能で、交通利便性に優れている。商店街やスーパーマーケット・複合施設も生活圏内にあり、利便性の高い住環境が備わっている。また、同物件の所在する月島三丁目は「月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業」が進行中で、さらなる生活利便性の向上が期待できる。同社は、同物件に専有面積793.22平方メートルの鉄筋コンクリート造、地上8階建、共同住宅24戸の都心接近性・生活利便性を志向する単身者・DINKS層向けマンションを開発する計画となっている。名称は月島プロジェクト(仮称)。国内外の投資家、マンション販売会社、一般事業法人等に供給していく。収益見通しは、2024年9月期の売上の一部を想定している。
<TY>
2022/09/28 15:09
注目トピックス 日本株
サイバーコム Research Memo(9):「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」は順調に進捗(2)
■サイバーコム<3852>の今後の見通し(2) サービス事業サービス事業の成長戦略としては「新サービスの確立」をテーマに掲げており、SIサービスではワンストップサービスの確立、自社プロダクトでは徹底した顧客目線でのサービスの開発・提供に取り組んでいく。a) SIサービスSIサービスのうちサーバ/ネットワーク構築分野では、多様化するクラウド基盤(AWS、Microsoft Azure、仮想化等)への対応力を強化していく。また、顧客の多様なニーズに対応するために、サイバーセキュリティ技術やネットワーク仮想化技術の高度化に取り組み、構築系技術者の増強を図ることで、売上成長を目指す。運用・保守分野では、運用設計技術者の増強とRPA活用による効率化の推進を図っていく。また、評価検証サービス分野では、プロトコルを含む次世代通信規格への対応(6G、IOWN※)やテスト自動化支援ツールの活用による効率化などに取り組んでいく。※IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、NTTが2019年に提唱した次世代情報通信網のことで、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成されている。2024年頃に仕様を固め、2030年頃の実用化を目指している。このうち、APNについては2022年度に国内の一部エリアにて実用化する予定となっている。b) 自社プロダクト自社プロダクトでは、「Cyber Smartシリーズ」や「楽々セキュアコネクト」「Cyber Position Navi」「Cyber Position Navi Plus」等の拡販に注力していく。販売戦略としては、オンライン営業の強化に加え、「Cyber Solution Plus」シリーズのメニュー拡充によるソリューション提案を強化し、アライアンスも積極的に推進していく。一方、開発面では顧客ニーズに応じた柔軟なカスタマイズ、機能拡張や利便性向上、プロダクト連携など顧客視点に立った開発を進めていく方針だ。(3) 重点施策(多様な人財の活用)持続的な成長を実現していくうえで重要となるのは人財であるとの考えの下、人財投資に関しては様々な取り組みを推進していく。採用については、既述のとおり2022年12月期に新卒130名を計画し、中途採用も65名と過去最高の採用を予定している。2023年12月期以降も同様のペースで採用を進め、人財基盤を拡充していく方針だ。また、外注パートナーとのリレーション強化や新規パートナーの開拓など、外部リソースの拡大も同時に進めることで、旺盛な需要にフレキシブルに対応する戦略となっている。そのほか、クラウド市場の拡大に対応すべく、各プラットフォーム(AWS、Microsoft Azure、GCPなど)の認定資格取得者育成に向けた教育研修制度の充実や、リーダー育成や若手社員の社会人基礎力を養成するための階層別教育研修なども強化する。個々のスキルアップに取り組むことで、付加価値の高い受注案件の獲得を目指す方針だ。また、働き方改革として残業時間の低減や有給休暇の取得促進、子育て支援施策の強化、定年後再雇用制度の充実などワークライフバランスの向上に取り組んでいるほか、社員のエンゲージメント向上施策としてオンラインカンファレンスや座談会を通じた社内コミュニケーションの活性化、若手社員のキャリア形成を支援するキャリアアドバイザーの活用やフォローアップ研修などに取り組んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
2022/09/28 15:09
注目トピックス 日本株
サイバーコム Research Memo(8):「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」は順調に進捗(1)
■今後の見通し2. 中期計画の進捗状況サイバーコム<3852>は、3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」を2021年12月期からスタートしている。基本方針として、1) 満足度の追求、2) サービス提供型ビジネスへの転換、3) 戦略的投資による拡大(事業拡大投資、人財投資、システム投資)の3点に取り組むことで持続的な収益成長を目指している。また、サステナブルな社会の実現や働き方改革への取り組みが求められるなか、環境経営方針も策定し、「『環境』と『暮らし』をICTで支える」をテーマに、事業活動を通じて様々な社会課題の解決に貢献していく方針だ。外部環境としては、コロナ禍を契機としてテレワークが普及するなどワークスタイルの変革が起こるとともに、情報セキュリティ対策の重要性が高まるなか、5Gの商用化やAI、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、AR/VR技術の実用化によって様々な市場が立ち上がっている。また、企業の情報システムもクラウドへの移行が進行するなど、DXに対する取り組みが活発化している。これらの技術を支えるソフトウェア開発の需要も旺盛で、同社にとっては追い風が続いている状況にある。こうしたなか、最終年度となる2023年12月期の業績目標として売上高17,200百万円、営業利益1,060百万円を掲げていたが、1年目の2021年12月期は当初計画(売上高14,400百万円、営業利益850百万円)を上回り、2年目の2022年12月期も計画を上回るペースで進捗するなど順調で、営業利益については1年前倒しで達成する可能性も出てきていると弊社では見ている。この要因としては、企業のDX投資が旺盛で良好な外部環境が継続していることに加えて、成長を実現していくうえで必要な戦略的投資を着実に取り組んできたことが挙げられる。エネルギー価格の高騰やコロナ禍が長引くなかで、景気の先行きについて楽観視できないものの、同社は以下の施策に注力することで持続的な成長を目指していく。(1) ソフトウェア開発事業ソフトウェア開発事業の成長戦略としては「変化&創造」をテーマに掲げ、DX対応力の強化や対応領域の拡大、直接受注の拡大に取り組むことで継続的な売上成長を目指す。a) 通信ソフトウェア開発通信ソフトウェア開発では、5G/ローカル5G関連の需要拡大に対応するために技術者の増強・育成を図るほか、超高速モバイルIP制御、通信基盤の仮想化、IoT技術領域の拡大などが今後の戦略テーマとなる。特に5G/ローカル5G関連では、ローカル5Gを活用した新サービス等の開発プロジェクトが増加しており、5Gコアネットワーク装置関連の開発案件減少をカバーしていくものと見込まれる。また、2030年頃の実用化が見込まれている6Gの開発プロジェクトでも同社が活躍する余地は大きい。6Gでは5Gの10倍の超高速・大容量通信が可能となるほか、1/100の低消費電力、宇宙空間・海上も含めた地球規模でのエリア化の実現に向けて、通信技術の飛躍的な進化を目指している。NTTやNEC、富士通等は6Gの研究開発及び実証実験を2022年から共同で開始することを発表している。具体的には、6GHz以上のミッドバンドからサブテラヘルツ帯の活用に向けた分散MIMO技術※1と、高周波数帯電波の空間多重により大容量化を実現するOAM多重伝送技術※2の研究開発・実証実験に取り組んでいく。また、NECは小型・低消費電力化に向けたデバイス技術、高精度なビームフォーミング技術、高周波数帯に適した伝送方式や伝搬モデル、AIを活用した最適化や信号処理技術などの研究開発を推進する予定で、開発費用は5Gと比較し格段に増えることが予想される。同社は、5G基地局やコアネットワーク装置の開発並びに基地局の評価検証サービスを手掛けてきた実績から、6G開発案件受注の可能性は高く、売上規模も5G開発案件より大きくなることが期待される。※1 エリア内に分散して配置された基地局のアンテナとユーザ端末との間でMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送を行う技術。直進性が高く遮蔽物の影響を受けやすい高い周波数帯であっても通信の安定性を高めることが期待され、6Gの高い周波数帯を有効に活用するために有望とされている。※2 異なる軌道角運動量(Orbital Angular Momentum::OAM)の状態(OAMモード)を持つ複数の電波にそれぞれ信号を乗せて無線伝送をすることで、同時に送信するデータ信号の数(多重数)を増加させる技術。従来から使用されている偏波多重と組み合わせることで、さらに高い周波数利用効率と大容量化を実現できる。課題である伝送距離を拡大するためには、ミリ波・サブテラヘルツ波の利用が望まれている。b) 制御ソフトウェア開発制御ソフトウェア開発では、AI技術を活用したロボット制御分野への挑戦と、車載システムのなかでも今後の成長が見込まれるCASEやMaaS等の先進技術が要求されるモビリティ分野に注力していく。また、自動車分野においても、自動運転技術の実現には高速無線通信技術が必要とされるため、同領域で高い技術開発力を持つ同社にとっては受注拡大の好機になると弊社では見ている。c) 業務ソフトウェア開発業務ソフトウェア開発では、クラウド技術者(AWS、Microsoft Azure、GCP)やAI(画像認識、予測)・RPA技術者の増強による受注能力の拡大に加えて、IoT技術をベースとしたDX対応技術の高度化や、スマートデバイスへの対応力強化に取り組むことでさらなる成長を目指す。特に、需要が旺盛なクラウド関連やIoTソリューションに対応していくための技術者の採用・育成が成長のカギを握ると見られる。また、景気変動の影響を受けにくい公共分野についても注力していく方針だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
2022/09/28 15:08
注目トピックス 日本株
サイバーコム Research Memo(7):2022年12月期業績は期初計画を据え置くも上振れの可能性が高い
■今後の見通し1. 2022年12月期の業績見通しサイバーコム<3852>の2022年12月期の業績は、売上高で前期比5.0%増の16,300百万円、営業利益で同4.8%増の1,000百万円、経常利益で同1.1%減の1,020百万円、当期純利益で同0.7%減の700百万円とする期初計画を据え置いた。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で50.7%、営業利益で64.0%と計画を上回るペースで進捗していること、また、足元の受注状況についても順調に推移していることなどから、下期に外部環境が急速に悪化するようなことがなければ、通期でも会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。下期は技術者不足解消に向けた人財確保(中途採用の強化)に注力するほか、需要が旺盛なクラウド移行・構築案件の取り込みに向けてAWSやMicrosoft Azureなどの認定資格取得者の育成に取り組む。エンジニアの採用環境が厳しいなかで2022年12月期からは未経験者の中途採用も開始しており、下期はこれらの人材採用・育成費用の増加が見込まれるものの、増収効果で吸収する予定だ。なお、前期に営業外収益として計上した助成金67百万円がなくなることから、経常利益及び当期純利益は微減益を見込んでいるものの、増収効果によって増益で着地する公算が大きい。(1) ソフトウェア開発事業通信ソフトウェア開発については、「通信基盤」「その他通信」ともに通期でも減収減益となる見通し。「通信基盤」分野ではローカル5Gの開発案件が一部動き始めているが、全体の売上を押し上げるまでのインパクトはない。一方、制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発については、下期も堅調に推移する見通しで、通期でも2ケタ増収増益が見込まれる。(2) サービス事業SIサービスについては、需要が旺盛なクラウド移行・構築案件が堅調に推移する見通し。同社はクラウド基盤への対応力強化を目的とした専門特化組織として2022年1月に「未来グループ」を新設しており、人員の増員を図りながら受注拡大を目指していく。また、5G基地局の評価検証サービスについても、引き続き堅調に推移する見通しだ。自社プロダクトについては、主力の「Cyber Smartシリーズ」製品を安定収益基盤として、新サービス「Cyber Position Navi Plus」の受注積み上げに取り組んでいく。このほか、「Cyber Solution Plus」シリーズでは、第1弾としてテレワーク・リモートワークソリューション(30アイテム)の販売を開始しており、新たなソリューションの企画も進めている。最終的には17のソリューションで521アイテムを提供する予定で、新規顧客開拓のためのドアノックツールとして活用していく。同ソリューションを提案していくなかで、顧客が抱える課題やニーズを把握し、システム開発案件の受注へとつなげていく戦略だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
2022/09/28 15:07
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サイバーコム Research Memo(6):業務ソフトウェア開発及び制御ソフトウェア開発、サービス事業が2ケタ増収に
■サイバーコム<3852>の業績動向2. 事業セグメント別動向(1) ソフトウェア開発事業ソフトウェア開発事業の売上高は前年同期比11.4%増の6,508百万円、営業利益は同21.4%増の1,141百万円と2期連続で過去最高を更新した。通信ソフトウェア開発は減収減益となったものの、業務ソフトウェアが好調を持続したほか、制御ソフトウェアも増収増益に転じた。分野別の動向を見ると、通信ソフトウェア開発は売上高で前年同期比5.9%減の1,469百万円、営業利益で同4.4%減の206百万円となった。2020年12月期以降けん引役となっていた「通信基盤」分野の売上高は、開発案件の一巡により同3.5%減の1,272百万円となったほか、通信端末等の「その他通信」分野の売上高も同18.8%減の197百万円と減少傾向が続いた。一方、営業利益率は前年同期の13.8%に対して14.0%とほぼ同水準となった。制御ソフトウェア開発は売上高で前年同期比17.5%増の1,466百万円と3期振りの増収に転じ、営業利益も同23.2%増の264百万円と2期振りの増益となった。コロナ禍や客先の内製化の影響で減収傾向が続いていた「車載」分野の売上高が同10.1%増の698百万円と3期振りの増収に転じたほか、「その他制御」分野もプリンタ用ドライバ開発案件の拡大により同25.2%増の767百万円と2期連続の増収となった。「車載」分野では新規顧客の開拓が進み、ボディ制御やECU関連の開発案件が増加した。ただし、ピーク時の売上(2019年12月期第2四半期累計971百万円)と比較すると7割程度にとどまっていることから、顧客開拓を進めながら売上拡大を目指していく。なお、「その他制御」分野をけん引したプリンタ用ドライバの開発案件については繁閑の波があり、2022年12月期第2四半期累計は繁忙期に当たったと見られる。同分野ではFA機器等のロボット制御系に注力しているものの大きな受注には至っておらず、主要顧客はリコーグループや東京エレクトロングループとなっている。一方、営業利益率は前年同期の17.2%から18.0%に上昇した。過去最高売上(1,707百万円)を記録した2019年12月期第2四半期累計の営業利益率が13.0%であったことからも、収益性は大きく向上していると言える。業務ソフトウェア開発は売上高で前年同期比17.8%増の3,572百万円、営業利益で同31.6%増の670百万円と過去最高を更新した。業種別売上動向を見ると、金融向けが生命保険会社、信販会社向けなど全般的に好調に推移し同58.4%増の1,272百万円となったほか、注力分野である公共向けも顔認証システム案件の増加等により同26.7%増の576百万円となった。また、流通向けもEC構築案件や流通システムの開発案件が伸長し、同31.4%増の354百万円と2ケタ成長が続いた。一方、情報通信向けや製造業向け、医療向けは減収となったが、これは受注能力が限られるなかで選別受注を行った結果によるもので、受注環境は引き続き良好である。高付加価値案件を多く受注できたこともあり、営業利益率は前年同期の16.8%から18.8%に上昇し、過去最高水準となっている。(2) サービス事業サービス事業の売上高は前年同期比11.4%増の1,746百万円、営業利益は同17.3%増の279百万円と連続増収増益となり、過去最高を更新した。SIサービスは、社会インフラ及び金融系を中心とした仮想化、クラウド移行・構築案件が堅調に推移し、5G基地局検証案件が好調に推移した。また、自社プロダクトについても、主力の「Cyber Smartシリーズ」製品が年間保守料やクラウド使用料等の増加により堅調に推移した。2022年3月に販売を開始した高精度位置情報ソリューション「Cyber Position Navi Plus」も様々な業界から多くの問い合わせがあり、他社サービスとの連携など反響は上々で、今後の収益貢献が期待できる。無借金経営で財務内容は健全、CMSでの資金運用を休止3. 財務状況と経営指標2022年12月期第2四半期末における資産合計は前期末比1,248百万円減少の9,888百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では短期貸付金が富士ソフト向けCMS※の運用休止に伴い2,841百万円減少し、回収した2,841百万円のうち1,000百万円を合同運用指定金銭信託での資金運用として有価証券の取得に充当した。このほか、現金及び預金が883百万円増加し、売上債権が114百万円減少した。また、固定資産では減価償却の進展により有形固定資産が19百万円、無形固定資産(ソフトウェア)が3百万円、投資その他の資産が68百万円それぞれ減少した。※CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)とは、企業グループ全体の資金の状況を可視化し、資金の無駄遣いの防止や、資金の不足・不正など、資金に関わる様々なリスクに対応するための管理システムを言う。CMSを活用することにより、親会社は、企業グループ全体の資金を一元的に管理することが可能になり、資金効率の向上や内部統制の強化を図ることができる。負債合計は、前期末比1,533百万円減少の3,558百万円となった。主な変動要因を見ると、流動負債では買掛金が58百万円増加した一方で、未払費用が258百万円、未払法人税等が257百万円、賞与引当金が34百万円それぞれ減少した。また、固定負債では退職給付引当金が退職給付信託の設定に伴い926百万円減少した。純資産は同285百万円増加の6,330百万円となった。配当金の支払及び四半期純利益の計上により、利益剰余金が285百万円増加した。経営指標を見ると、自己資本比率は前期末の54.3%から64.0%へ上昇した。無借金経営が続いているほか、金融資産(現金及び預金)も17億円強と潤沢なことから、財務の健全性は高いと判断できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
2022/09/28 15:06
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サイバーコム Research Memo(5):良好な受注環境を背景に、会社計画を上回る増収増益に
■業績動向1. 2022年12月期第2四半期累計業績の概要サイバーコム<3852>の2022年12月期第2四半期累計業績は、売上高で前年同期比11.4%増の8,267百万円、営業利益で同19.1%増の639百万円、経常利益で同19.3%増の647百万円、四半期純利益で同19.8%増の445百万円といずれも会社計画を上回り、過去最高業績を更新した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が続くなかでも企業のDX投資は旺盛で、ソフトウェア開発事業、サービス事業ともに2ケタ増収と好調に推移した。同期間における情報サービス業界全体の売上高は前年同期比で1.9%増であることから、2021年以降は業界平均を上回る売上成長が続いている。売上総利益率は20.6%と前年同期と同水準となったが、増収効果もあって販管費率が低下したことにより、営業利益率は同0.5ポイント上昇の7.7%と過去最高水準となった。前年同期比での営業利益の増減要因を見ると、売上高の増加による増益で173百万円となり、販売力強化費用の増加22百万円、研究開発費用の増加21百万円、各種ライセンス費用の増加17百万円、その他諸費用の増加11百万円を吸収する格好となった。なお、販売力強化費用については主にWebマーケティングや営業人員の増強となる。また、会社計画比では、売上高の上振れによる売上総利益の増加が主な増額要因となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
2022/09/28 15:05
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サイバーコム Research Memo(4):通信分野における高度な技術開発力を基盤とした高品質サービスが強み
■会社概要3. サイバーコム<3852>の強みと主要顧客、事業リスクについて(1) 同社の強み同社の最大の強みは、創業来培ってきた通信分野を基盤とした高度な技術開発力と、高品質なサービスを提供していることが挙げられる。特に顧客の現場レベルから出てきたニーズをくみ取り、求められる要件に対してプラスアルファの成果物を提供することで顧客から高い評価を受け、リピート受注につなげている。また、既存顧客からの口コミによって新規顧客の開拓にもつなげている。ここ数年は、企業のDXに対する取り組みの活発化に伴い業務支援システムの開発が伸長しているが、5Gの商用化やローカル5Gの普及に伴って本来の基盤技術を活用した開発案件も活発化している。クラウド導入支援などSIサービス等の受注も増加するなど事業領域の拡大も進んでおり、収益基盤の安定化につながっている。また、業界大手の富士ソフトグループに属することで、独立系ソフト会社に比べて不況期においても経営の安定性があることも強みと言える。富士ソフトグループでは独立性を重んじているため、同グループへの売上構成比は2022年12月期第2四半期累計で6.2%と小さいものの、グループ内で積み重ねた通信技術を生かしたソフトウェア開発事業を分担・連携することで、グループ内のシナジーを享受している。さらに、外注先として協力企業のネットワークを構築していることも、業務量変動時における調節弁の役割を果たしており、収益性を維持しながら事業を拡大できているという点で強みとなっている。ここ数年、IT業界は慢性的な人材不足が続いており、同社においても人員増強を進めているものの、まだ十分とは言えない状況にある。人的リソースの不足分を協力企業の活用(人的リソースで1,000名超)によって確保し、売上成長につなげている。ここ数年は旺盛な需要に応えるため外注を活用していたことから、外注費率は2017年12月期の32.7%から2021年12月期は37.9%と上昇傾向が続いているが、一方で労務費率は45.2%から40.3%に低下している。IT業界では外注費率の上昇が営業利益率の低下につながるケースもあるが、同社の場合、外注比率が上昇しても営業利益率は5%~6%で安定して推移している。付加価値の高い受注案件を増やしつつ、外注先を上手くコントロールしていることがうかがえる。外注先の新入社員を受け入れて自社の社員と同様の研修を行うなど、良好な関係を構築していることが要因と考えられる。(2) 主要顧客2022年12月期第2四半期累計における主要顧客の売上構成比を見ると、主に通信用や車載向け制御用ソフトウェア開発を受注しているNECグループが31.2%と最大顧客となっている。次いで、日立グループが19.0%となり、上位2社で売上高の約5割を占めている。主要顧客上位5社は年によって多少の変動があるものの、ここ数年は顔ぶれにほとんど変化はなく安定している。(3) 事業リスク主な事業リスクとして、主力であるソフトウェア開発事業の通信ソフトウェア開発では、NTT<9432>グループなど大手通信事業者が主な最終顧客となっており、通信事業者の設備投資動向によって受注が左右される点にある。なかでも携帯電話網基地局システムや5Gコアネットワークシステムについては、2020年の5G商用化以降、通信事業者の投資拡大とともに開発プロジェクトも増加してきたが、2022年に入ってやや一巡感が出てきている。ローカル5Gの開発案件が今後増加する見込みであるとはいえ、次世代通信規格である6Gへの投資が始まるまで端境期に入る可能性がある。また、受託開発案件において不採算プロジェクトが発生するリスクが挙げられる。受託開発では要件定義の変更などで想定以上に工期が延伸したり不具合が発生することで、不採算プロジェクトとなるケースがある。同社はこうしたリスクを軽減するため、受注時の見積もり精度の向上やプロジェクト管理体制の強化に取り組んでおり、ここ数年は大きな不採算案件は発生していない。そのほか、旺盛な受注に対応するためのエンジニアの採用が予定どおり進まない場合に、採用コストや教育研修コストが増加するリスクがある。同社では人財不足を解消するため、2019年以降の新卒採用において未経験者の採用も開始しており、新卒採用は2020年以降3年連続で100名以上を採用した。新人研修は通常2ヶ月間実施して現場に配属されるが、未経験者の場合は3ヶ月の研修期間を要するため研修コストはかかるものの、教育研修を充実させることで早期の戦力化に取り組んでいる。なお、2023年の新卒採用は130名を予定している。また、中途採用についても2022年から未経験者の採用を開始し、従来の年間40名ペースの採用を継続している。ソフトウェア受託開発業界では、IT業界のなかでも採用に苦戦する企業が多いが、同社は既述のとおり横浜だけでなく、仙台、新潟、東京、福岡、愛知などにも事業拠点を有しているため現地採用が可能であり、採用環境が厳しいなかでもエンジニアの増員を図れている。また、離職率(入社3年後)も1ケタ台と業界平均より低い。定期的なフォローアップ研修やスキル向上のための教育研修などの充実に加えて、働きやすい環境づくりに取り組むことで離職率の低減につなげている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/28 15:04