注目トピックス 日本株
村田製---大幅反発、アップルが「iPhone17」増産と伝わり
配信日時:2025/09/22 10:31
配信元:FISCO
*10:31JST 村田製---大幅反発、アップルが「iPhone17」増産と伝わり
村田製<6981>は大幅反発。米アップルは新型「iPhone17」の購入予約が好調だったことを受けて、生産委託先の少なくとも2社に、エントリーモデルの生産を最低30%
拡大するように指示したと米ネットメディアに報じられているもよう。主要委託先の一つである中国の立訊精密工業に1日の生産量を約40%拡大するよう要請したなどとされている。同報道を受けて、アップル関連と位置付けられる同社や太陽誘電の強い動きが目立つ形に。 <ST>
拡大するように指示したと米ネットメディアに報じられているもよう。主要委託先の一つである中国の立訊精密工業に1日の生産量を約40%拡大するよう要請したなどとされている。同報道を受けて、アップル関連と位置付けられる同社や太陽誘電の強い動きが目立つ形に。 <ST>
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日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は大幅反発、アドバンテと東エレクの2銘柄で約305円押し上げ
*12:41JST 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は大幅反発、アドバンテと東エレクの2銘柄で約305円押し上げ
22日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり170銘柄、値下がり54銘柄、変わらず1銘柄となった。日経平均は大幅反発。683.52円高の45729.33円(出来高概算8億1334万株)で前場の取引を終えている。19日の米国株式市場は続伸した。ダウ平均は172.85ドル高の46315.27ドル、ナスダックは160.75ポイント高の22631.48で取引を終えている。利下げを好感した買いが先行したが、積極的な利下げ支持の弱さが意識され、金利上昇圧力から一時失速する動きがあった。また、米中首脳会談での進展期待や、下院が共和党のつなぎ融資案を可決したことが好感され、テクニカル要因も相場を支えた。米株式市場の動向を横目に、22日の日経平均は147.96円高の45193.77円と反発して取引を開始した。寄付き後は買いが先行し、電気機器や精密機器などハイテク・グロース系が上昇の中心となった。為替ではドル・円が148円台前半で推移し、円安を好感する動きが一部にあったとの声がある。また、レーザーテック<6920>などAI・半導体関連の銘柄に強い買いが入っており、市場のリスク選好ムードが前場において優勢であった。値上がり寄与トップはアドバンテ<6857>、同2位は東エレク<8035>となり、2銘柄で日経平均を約305円押し上げた。また、日経平均構成銘柄の上昇率トップはレーザーテック<6920>で11.75%高、同2位はSUMCO<3436>で10.70%高だった。一方、値下がり寄与トップは中外製薬<4519>、同2位は第一三共<4568>となり、2銘柄で日経平均を約13円押し下げた。また、日経平均構成銘柄の下落率トップは東京電力HD<9501>で3.00%安、同2位は日本製鋼所<5631>で2.81%安だった。*11:30現在日経平均株価 45729.33(+683.52)値上がり銘柄数 170(寄与度+742.78)値下がり銘柄数 54(寄与度-59.26)変わらず銘柄数 1○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<6857> アドバンテ 15585 565 152.62<8035> 東エレク 27115 1505 152.45<6762> TDK 2175.5 86.5 43.81<9983> ファーストリテ 46100 380 30.79<6920> レーザーテック 21440 2255 30.46<6954> ファナック 4334 164 27.69<6758> ソニーG 4455 134 22.62<6981> 村田製作所 2795.5 189.5 15.36<4063> 信越化 4721 89 15.03<6988> 日東電工 3488 73 12.32<6971> 京セラ 2060.5 40.5 10.94<5803> フジクラ 14250 275 9.29<6645> オムロン 4209 256 8.64<6976> 太陽誘電 3397 252 8.51<4021> 日産化学 5547 239 8.07<4901> 富士フイルム 3632 78 7.90<7741> HOYA 20965 465 7.85<4543> テルモ 2486 27.5 7.43<9984> ソフトバンクG 18410 35 7.09<7974> 任天堂 12980 180 6.08○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<4519> 中外製薬 6758 -68 -6.89<4568> 第一三共 3477 -66 -6.69<9843> ニトリHD 14355 -230 -3.88<9433> KDDI 2460.5 -9 -3.65<4507> 塩野義製薬 2666 -36 -3.65<7453> 良品計画 2999.5 -52.5 -3.55<4452> 花王 6565 -99 -3.34<4578> 大塚HD 8072 -69 -2.33<9766> コナミG 21335 -60 -2.03<9107> 川崎汽船 2219 -63 -1.91<5631> 日本製鋼所 8636 -250 -1.69<4704> トレンドマイクロ 8400 -42 -1.42<1801> 大成建設 10135 -200 -1.35<9104> 商船三井 4655 -121 -1.23<7832> バンナムHD 4830 -12 -1.22<1812> 鹿島建設 4377 -67 -1.13<9101> 日本郵船 5335 -110 -1.11<1928> 積水ハウス 3375 -31 -1.05<8267> イオン 1806 -10 -1.01<4385> メルカリ 2243 -25.5 -0.86
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2025/09/22 12:41
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ソラコム:安定的なリカーリング収益とAI分野への投資継続で成長加速へ
*12:40JST ソラコム:安定的なリカーリング収益とAI分野への投資継続で成長加速へ
ソラコム<147A>は、「IoTプラットフォーム」を軸に、機器に組み込むSIMカードやeSIMによる通信回線、データの可視化・管理・解析を行うクラウドサービスを一体的に提供する。事業は大きく二つに分かれる。一つは「リカーリング収益」(継続課金型収益)で、IoT回線やクラウドプラットフォームの利用料が該当し、売上の7割以上を占める。もう一つは「インクリメンタル収益」で、デバイス販売や受託開発などが含まれる。リカーリング収益の比率が高いため、売上の安定性が高く、アカウント数や回線数の積み上げによって長期的な成長が期待できる。特に米国・欧州など海外での新規顧客獲得が進んでおり、海外売上比率は年々上昇している。さらに2025年8月には丸紅I-DIGIOと共同で、MVNO事業を分社した「株式会社ミソラコネクト」の事業を開始し、IoT分野における戦略的協業を開始した。2026年3月期第1四半期の売上高は22.2億円(前年同期比17.7%増)、営業利益は1.2億円(同35.0%増)と増収増益を確保した。リカーリング収益は18.4億円(同19.7%増)となり、2桁の増益を達成した。一方、インクリメンタル収益については、下期偏重傾向が残るものの、KDDIシナジー売上は前年同期比52%増と包括契約の枠組みの効果により今年度は順調に進捗している。2026年3月期通期の業績予想は、売上高108億〜118億円(前期比20.1〜31.2%増)、営業利益6億〜7.5億円(同8.6%減〜14.2%増)のレンジで示されており、下限値は為替影響を織り込んだ保守的な見通しとなっている。ただし、ミソラコネクトの期中連結効果やHiltonなどの大型案件の寄与が下期以降に本格化すれば上振れの可能性がある。さらにAI活用による効率化で販管費の伸びを抑制しており、利益率改善の余地も広がる。加えて、新サービス「Wisora」の提供を開始し、生成AIボットを簡単に学習・設置できる環境を提供している。もともと社内効率化に利用していた仕組みを外部向けに実装したもので、企業は独自情報を組み込んだAIボットを短期間で導入でき、問い合わせ対応や業務支援を自動化できる。社内外での活用を通じて顧客価値向上と業務効率改善を両立する点が強みである。競合環境としては、国内では通信キャリア系のIoTプラットフォームや、海外ではグローバルIoT接続事業者が存在するが、同社はモバイル・コアシステムをソフトウェアとして社内で内製し、クラウドネイティブで拡張性の高いサービスを提供できる点に優位性がある。さらに、デバイスから回線、クラウドまで一気通貫で提供することにより、導入コストを抑えつつスピーディーにサービス展開できる強みを持つ。ミソラコネクトとの協業は、クラウドに強みを持つ同社と、大容量案件に強いオンプレ基盤を持つミソラコネクトが補完し合う関係である。監視カメラやサイネージなどの大容量トラフィック案件を取り込み売上拡大につなげるとともに、オンプレとクラウドを最適に組み合わせることでコストを低減。さらに同社のソフトウェアアセットを活用し、ミソラの粗利率を50%程度まで改善させることで、中期的な収益力強化に貢献する。中期的には、5年程度で売上200億円超、リカーリング収益140億円超を目指す計画を掲げている。また、海外売上比率を50%超まで引き上げる方針だ。マーケットが大きく、高品質サービスに対価を払う文化が根付いている米国での展開を加速させる。長期的にも、IoT機器の急増と通信量拡大は不可避であり、クラウドネイティブな事業基盤を持つ同社の優位性は持続すると考えられる。株主還元については、現時点で配当は実施していないが、成長投資を優先する姿勢を明確にしている。その一方で株主優待制度を導入しており、600株以上保有の株主に対して、同社のモバイルサービス「Soracom Mobile」で利用できる30ドル分のクーポンコードを年6回(合計180ドル相当)提供している。株主優待を通じてサービス体験を促し、自社顧客への転換を狙うユニークな施策といえる。同社は、IoT通信とクラウド基盤を融合した独自のビジネスモデルを強みに、安定的なリカーリング収益を積み上げながら高成長を維持している。足元では生成AI関連への継続投資により一時的に粗利率が低下しているものの、海外における大型案件の進展や、IoT・AI分野でのリカーリング型サービスの拡充、新サービスの投入を通じて、今後さらなる成長加速が期待される。
<HM>
2025/09/22 12:40
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kubell Research Memo(10):事業拡大中につき、当面は利益を必要投資に充当する方針
*12:10JST kubell Research Memo(10):事業拡大中につき、当面は利益を必要投資に充当する方針
■株主還元策kubell<4448>は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と位置付けており、配当に関しては内部留保とのバランスを考慮しつつ、適切な配当を行うことを基本方針としている。ただし、現時点では同社は成長過程にあると認識しており、内部留保を充実させ、収益力の強化や事業基盤の整備を目的とした投資に重点を置いている。このような投資によって、将来的に安定した継続的な利益還元が実現できると考えているため、配当の実施については現時点では未定である。一方で、株主優待制度においては、同社の有償提供サービスであるパーソナルプランを1ID無料で提供する特典があり、株式保有期間中はその月額料金が無償となる。より多くの株主に同社のサービスを利用してもらい、同社への理解を深めてもらうことを目的として、毎年6月30日及び12月31日時点で株主名簿に連続して6ヶ月以上記載されている株主を対象に、1単元(100株)以上を保有している場合に適用される。なお、パーソナルプランは既にビジネスプランへと統合されているが、株主優待としては引き続き提供されている。同社の株主還元策は、現段階では直接的な配当を行わず、成長に向けた投資を優先する一方で、株主優待を通じて株主の長期的な支援を促し、同社への理解と支持を深める施策を展開している。この戦略は、将来的に安定的な利益還元につながるという考えに基づいている。当面は先行投資に資金が必要な状況であることから、投下資金に対する将来のリターンに着目すべきと弊社では考えている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
<HN>
2025/09/22 12:10
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kubell Research Memo(9):2026年12月期に売上高150億円達成を目指す(2)
*12:09JST kubell Research Memo(9):2026年12月期に売上高150億円達成を目指す(2)
■kubell<4448>の成長戦略1. 重点戦略(1) コミュニケーションプラットフォーム戦略コミュニケーションプラットフォーム戦略の中心には「Product-Led Growth(PLG)」というアプローチがある。この戦略は、プロダクトそのものを通じて顧客を獲得し、成長を促進するという考え方であり、従来の「Sales-Led Growth(SLG)」モデルとは異なる。具体的には、PLGモデルにおいては、まず無料で使いやすいサービスを提供し、その利用データを活用して潜在的な有料顧客を特定し、商談へとつなげる。同社では、チャットを用いた高効率な顧客対応を重視し、業界ごとのニーズに対応したビジネスチャットの型化を進めている。これは、国内市場における同社の競争優位性を生かすとともに、マーケティングとセールスプロセスの質を高める狙いがある。また、業務プロセスにおける深い業界理解を強みとして、国内市場において圧倒的な市場シェアの獲得を目指している。PLGモデルを推進することで、AIを活用したデータ分析を進め、広告宣伝費を抑えつつも大規模なユーザー拡大を可能にしている。この戦略により、「Chatwork」はビジネスチャット市場において次世代のBPaaSに最も適したプロダクトとして進化を遂げようとしている。(2) BPaaS戦略BPaaS戦略は、ビジネスプロセスそのものをクラウドサービスとして提供し、顧客の業務効率を劇的に向上させることを目指している。BPaaSは従来のBPOとは異なり、SaaSを活用した高度な業務自動化を提供する点が特徴である。SaaSが主に先進的なITユーザー向けに展開される一方、BPaaSは多くの中小企業にとって利便性が高いソリューションであり、業務プロセスそのものをDXすることで、管理コストを大幅に削減できる。同社のビジネスチャットを中心としたプラットフォームにおいて、API連携を通じた業務自動化エンジンを構築し、オペレーション工数を最小化することで、より効率的なサービス提供を可能としている。また同社は、「Chatwork」を93万社以上の企業が使用していることを背景に、顧客基盤の圧倒的規模を生かして、BPaaSの展開を進めている。同社のBPaaSは、社内のDX人材が不足している企業に対しても有効であり、DXの推進が進まない企業に対して、クラウド経由での業務プロセス提供という形でサポートしている。さらに、非専門的な業務から高度な専門業務に至るまで、幅広いサービスをワンストップで提供することを目指しており、これにより同社は、BPaaS市場における競争優位性を確保しつつ、収益を拡大する方針である。(3) インキュベーション戦略インキュベーション戦略は、ビジネスチャットやBPaaSに次ぐ第3の成長の柱を創出することを目的としている。この戦略は、同社が保有する圧倒的な顧客アセットとプラットフォームを最大限に活用し、AI技術を組み合わせることで、さらなる価値創造を目指す。顧客データの質的・量的拡大を図り、これをもとにしたマーケティング効率の向上を目指すとともに、AIを用いた新規事業の創出を推進している。たとえば、ビジネスチャットに蓄積されたテキストデータを分析し、AIを活用したパーソナライズドなサービスを展開することで、顧客のニーズに応じた新しいサービスを提供している。また、同社は2021年度より「kubell BPaaSファンド」を設立し、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)としての役割も果たしている。このファンドを通じて、出資先企業の成長を促進するとともに、シナジー効果を狙った提携関係を強化している。特に2023年1月にミナジンを完全子会社化(ミナジンは2025年7月にkubellパートナーと統合)したことで、人事労務領域におけるBPaaSの提供が可能となり、今後さらなる投資機会の拡大が期待されている。このように、インキュベーション戦略は、既存事業の強化に加え、非連続な成長の柱を創出し、同社の将来的な収益基盤を強固なものとする重要な施策となっている。直近では、2024年11月に福利厚生プラットフォームを提供する(株)miiveとの資本業務提携を公表しており、インキュベーション戦略の柱の1つである福利厚生分野での取り組みの加速が期待される。2. サステナビリティ・ビジョン同社では、「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションの下、サステナビリティ・ビジョンを掲げている。人々が働く時間を単なる生活の糧を得る手段にとどめず、夢や志の実現に向けて創造性を発揮し、楽しみながら働ける社会の実現を目指す。これにより、働く人々の人生を豊かにし、その結果生み出される価値が社会全体をより豊かで持続可能なものへと変えるという考えを持っている。ビジョンを実現するために、ステークホルダーとの協力を重視しており、共創によって持続可能な社会の実現を目指す。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/09/22 12:09
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kubell Research Memo(8):2026年12月期に売上高150億円達成を目指す(1)
*12:08JST kubell Research Memo(8):2026年12月期に売上高150億円達成を目指す(1)
■kubell<4448>の成長戦略同社では「中小企業No.1 BPaaSカンパニー」のポジション確立を目指し、中期経営計画を策定している。2024年12月期から2026年12月期にかけて、連結売上高の年平均成長率(CAGR)を30%以上とし、最終年度には連結売上高150億円、EBITDAを15~22.5億円、EBITDAマージンを10~15%とする財務目標を掲げており、これらは計画発表時から変更なく維持されている。150億円の売上高目標の内訳については、「Chatwork」を中心としたSaaSドメインで100~110億円、BPaaSドメインで20~25億円、新規事業及びM&Aで15~30億円としている。また、当初はオーガニックグロース(自然成長)を前提としていたが、特にBPaaS領域においては、kubellパートナーのような中小企業向けBPOサービスを提供する比較的小規模な企業を連続的に取得するロールアップ戦略の実行可能性が高まり、現在では戦略的にM&Aを成長手段として取り込む方向へと方針を転換している。足元では、特にBPaaS領域を中心に検討を進めており、案件の詳細は非開示ながら、ソーシングを含め多数の情報が寄せられている。同社に参画することで「Chatwork」の顧客基盤を活用したクロスセルが可能となり、相手企業にとっても大きなメリットがあると弊社では考える。中期経営計画の柱は、ビジネスチャットの売上成長を維持しつつ、次の成長エンジンとなるBPaaS事業を拡大することにあり、併せて新規事業の収益寄与も見込まれている。戦略的には、ビジネスチャットを中核とするコミュニケーションプラットフォームの価値を高め、その上に様々なビジネスを展開できるBPaaS戦略を推進しており、さらにグループのアセットを生かしたAIを用いた研究開発や新規事業のインキュベーションを通じて、将来のコア事業の創出と非連続的な成長をねらう。また、2025年12月期第1四半期で新たに開示された中長期の財務ターゲットでは、Direct Cost(原価)、限界利益率、S&M(販売及びマーケティング費用)、R&D(研究開発費)、G&A(一般管理費)、EBITDAマージンといった主要指標が明示されており、その背景には、BPaaS事業は人員集約型ビジネスである側面が強いため、利益率への影響が注目されている点がある。2024年12月期の実績と中長期ターゲットとの乖離を踏まえ、S&Mは現在の32%から15~20%まで引き下げることが目標とされており、これはマーケティングとセールスの共通化、プロダクトの成長促進、クロスセルによるBPaaS誘導によって達成を目指すという。R&Dはプロダクト及びAI領域への継続的な投資方針が示される一方、G&Aについては現状高い比率であることから、今後はコスト管理の徹底を進める。長期的には「ビジネス版スーパーアプリ」としてのプラットフォーム化を進めることで、中小企業市場における圧倒的なシェアを背景に、あらゆるビジネスの起点となることを目指しており、最終的なEBITDAマージンは25~40%を中長期的に目標として掲げている。BPaaS市場は中小企業の非コア業務における潜在規模が42.4兆円、既に顕在化しているコアターゲットだけでも2,983億円規模に達しており、中長期的な成長と安定的な収益性の両立が期待されると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
<HN>
2025/09/22 12:08
注目トピックス 日本株
kubell Research Memo(7):営業利益は期初予想から引き上げ大幅増加の見込み
*12:07JST kubell Research Memo(7):営業利益は期初予想から引き上げ大幅増加の見込み
■今後の見通し1. 2025年12月期の業績見通しkubell<4448>は、通期の業績見通しの確度が高まったことを受け、通期業績予想を成長率での開示から具体的な金額レンジでの開示に修正した。修正後の2025年12月期の業績予想は、売上高9,571~9,826百万円(前期比13.0~16.0%増)、EBITDA1,005~1,300百万円(同17.3~51.7%増)、営業利益120~414百万円(同23.9~328.2%増)、経常利益100~395百万円(同33.5~424.0%増)、親会社株主に帰属する当期純損益は236百万円の損失~41百万円の利益(前期は1,172百万円の損失)としている。売上高はBPaaS事業の力強い成長を背景に着実な成長を見込み、EBITDAは前回予想からレンジを引き上げた予想としている。営業利益についても大幅な増加を見込んでおり、コスト構造の改善と成長分野へのリソース集中が功を奏している。営業利益の増加幅の大きさは、事業ポートフォリオの最適化とBPaaSの収益貢献度の高さを裏付けるものであり、中期的な収益拡大の持続性を強く示すシグナルであると弊社では見ている。2025年12月期は、中期経営計画における「売上高の年平均成長率(CAGR)30%以上」という目標を踏まえると、将来の成長に向けた準備期という印象である。各事業における重点施策としては、Chatwork事業では、各KPIの詳細開示からも読み取れるように、課金ID数やARPUを着実に伸ばす施策が講じられている。セールスマーケティング部門も筋肉質な組織となってきており、さらなる成長の加速が期待される。BPaaS事業は今後さらに成長へ向かうフェーズにあり、人員も増加する見通しである。同事業の売上高は、全社売上高に占める割合が大きくなるほど、業務効率の向上や利益率の改善、他サービスとの連携による相乗効果が生まれやすくなるという特性があり、その結果として、事業全体の成長スピードが一段と高まる構造になっている。2025年12月期は成長率の底であり、翌期以降の加速的な成長に向けた投資フェーズであると弊社では見ている。2. トピックス足元のトピックスは以下のとおりである。(1) 「Chatwork アシスタント」を「タクシタ」に名称変更同社は「Chatwork アシスタント」の名称を「タクシタ」に変更し、「Chatwork」ユーザー以外にもサービスの魅力を広く訴求するねらいを明確にした。「タクシタ」という名称には、顧客に安心して業務を託してもらえるサービスを提供するという思いが込められており、ブランドコンセプトを直感的に伝える工夫が見られる。これにより、TeamsやSlackなど、「Chatwork」以外のビジネスチャットツールを利用している企業にも訴求しやすくなったと弊社では考える。サービス内容については、従来のチケット制による時間単位での業務支援だけでなく、業務全体を定額で請け負うプランを追加するなど、ニーズに応じてラインナップを拡充していく方針である。なお、既存の「Chatwork」ユーザー向けには「Chatwork アシスタント」の名称を継続利用する方針を示し、既存顧客基盤への配慮も行っている。この名称変更は市場認知の拡大と顧客層の多様化をねらったブランド戦略の一環であり、BPaaS事業の成長加速にも寄与する可能性が高いと弊社では見ている。(2) kubellパートナーとミナジンの経営統合を実施同社は2025年7月1日付で、グループ会社のkubellパートナーと(株)ミナジンの経営統合を行った。kubellパートナーとミナジンはともにBPaaS事業を展開しており、経営統合により成長スピードの向上とグループ管理の効率化を目指す。同一事業領域における経営資源の統合はスケールメリットを生みやすく、開発・営業・サポートの一体運営によるコスト削減やサービス品質の向上が期待される。(3) グループの総合力を強化する新体制が発足2025年7月から、主力事業であるChatwork事業の責任者が交代し、新たにCPO(Chief Product Officer)、CTO(Chief Technology Officer)、CSO(Chief Strategy Officer)のポジションを設置する新体制が発足した。新たにChatwork事業を管掌する澤口玄(さわぐちげん)氏はこれまで経営企画を統括しており、グループ全体のリソース配分と重要事業の連携を強化する方針を示している。CPO、CTO、CSOの設置により、これまで事業や子会社ごとに分散していたプロダクトや戦略を統合し、ビジネスチャットとBPaaSを一体化した総合力を発揮できる体制へ移行する。この体制変更は組織横断的な意思決定の迅速化とプロダクト戦略の一貫性向上につながり、長期的な成長戦略の実現を後押しすると弊社では見ている。(4) 自治体・金融機関とのパートナーシップ推進同社は北九州市及び(公財)北九州産業学術推進機構と連携し、「北九州市DX推進プラットフォーム」に「Chatwork」をコミュニティ基盤として提供する。この取り組みは、少子高齢化による労働力不足や産業構造の変化という地域課題に対応し、参加企業・団体間の双方向コミュニケーションを活性化させることで、地域全体の生産性向上と競争力強化をねらうものである。さらに(株)商工組合中央金庫(以下、商工中金)とはBPaaS「タクシタ」の顧客紹介に関する協定を締結し、全国の中小企業へのサービス展開を加速させる方針を示した。商工中金は中小企業支援を最重要ミッションとしており、この連携により顧客企業のDX推進と業務効率化を支援し、地域経済の活性化に貢献する。自治体と金融機関の双方との連携は、事業領域拡大と顧客基盤の多様化を同時に推進する極めて戦略的な動きであり、中長期的な売上成長のドライバーとして注目に値する。(5) IRサイトのリニューアル2025年7月よりIRサイトを刷新し、個人投資家向け説明資料の掲載を中心にリニューアルを実施した。最新IR資料の一括ダウンロード機能を新設し、その他UI・UXの改善を行うことで、投資家にとっての使い勝手を向上させた。今後も継続的なアップデートを予定しており、投資家とのコミュニケーション強化に向けた姿勢が明確である。この取り組みは投資家層の拡大と企業理解の促進に資するものであり、株式市場での評価向上にもつながる可能性が高いと弊社では考える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/09/22 12:07
注目トピックス 日本株
kubell Research Memo(6):EBITDAが好調に進捗。売上高も堅調推移(2)
*12:06JST kubell Research Memo(6):EBITDAが好調に進捗。売上高も堅調推移(2)
■kubell<4448>の業績動向3. 主要KPIハイライト全社ベースのARR(年間経常収益)は87.2億円(前年同期比13.3%増)に達しており、同社のビジネス全体が安定した成長軌道にあることが確認できる。また、導入社数は93.6万社(同12.5%増)に上っており、順調にプラットフォームとしての規模を拡大している。なお、導入社数の定義については、ビジネスチャットサービス「Chatwork」の契約企業とBPaaSやその他のサービスを利用している企業の合計である。SaaSドメインに関しては、ARRが77.7億円(前年同期比8.6%増)であり、登録ID数は775.2万ID(同9.9%増)とされている。DAU(Daily Active User:1日当たりのサービス利用者数)も121.5万(同5.4%増)と、機能改善やコミュニケーション強化によるアクティブ率向上施策が奏功している。さらに、課金ID数は82.2万ID(同9.0%増)に達している。今後はアカウント発行の簡略化、初期価値体験の向上、ネットワーク効果最大化施策によってユーザー基盤の一層の拡大とエンゲージメント向上が見込まれる。1課金ID当たりの平均単価であるARPUは713.6円(同0.3%減)と微減したが、これは低単価プラン比率の上昇が主因であり、エンタープライズプラン販売強化や値引き契約見直しによって改善余地がある。課金ID解約率は0.88%(同0.23ポイント減)と低水準で推移している。プロダクト価値の向上施策として、足元ではエンタープライズプランのサービス強化を検討している。SaaS市場ではサービス拡充とそれに伴う値上げが常道であるが、同社サービスは競合と比較しても安価であり値上げ余地は十分にある。加えて、「タクシタ」などのサービスの利用が進むことでプロダクトに対する粘着性も高まり、値上げもより一層受け入れられやすくなるのではないかと弊社では見ている。一方で、BPaaSドメインにおいては、ARRが9.5億円(前年同期比76.0%増)と急成長を記録しており、新たな事業領域としての可能性が強く示唆されている。売上高も464百万円(同85.7%増)と顕著な伸びを示しており、今後の成長に向けた基盤構築が着実に進んでいることがわかる。4. AIエージェント時代におけるSaaSへの影響AI技術の急速な進化を背景として、「AIエージェント時代」の到来が注目されている。これは複数のLLM(大規模言語モデル)が協調して作業を行い、高度な成果物を生み出す新しい仕組みである。従来の生成AIは単一の入力に対して単一の応答を返す構造であったが、AIエージェントはプロンプトを受け取ると自動的にワークフローを構築し、複数のAIが連携してタスクを遂行する点に大きな違いがある。代表的な事例として「Deep Research」や営業支援、開発エージェントなどが挙げられている。このような技術の進化により、今後はユーザーがSaaSの画面を直接操作するのではなく、AIエージェントがAPI経由でSaaSを操作する構造にシフトしていくと考えられている。その結果、SaaSベンダーがユーザーとの直接的な接点を失い、「SaaS is Dead」といった議論が広がりつつある。これに対して同社の「Chatwork」は、コミュニケーションSaaSという特性上、ユーザー同士の直接対話自体に価値があるため、AIエージェントによる代替が非効率であるという独自のポジションを有している。さらに、「Chatwork」はチャット形式で構成されており、プロンプト入力との親和性も高いため、将来的には「Chatwork」上でプロンプトを通じてAIエージェントが稼働するという世界観の構築も視野に入っている。これにより、AIエージェント時代においても「Chatwork」は引き続き高い有用性を保ちつつ進化するポテンシャルを持っている。また、AIエージェントの登場は、BPaaS領域の進化を大きく加速させる契機になると見込まれている。日本国内における中小企業向けのBPO市場は約42兆円規模という巨大市場であるが、従来は労働集約型であったため、利益率が低いという課題を抱えていた。今後はAIの進化によりAIワーカーが登場し、この構造が大きく変化すると予想されている。McKinsey & Company, Inc.のレポート「Beyond the hype: Capturing the potential of AI and gen AI in tech, media, and telecom」においても、BPOはAIによる再定義が進む分野として挙げられており、グローバル市場においても、Market.Usが公表する「AI In BPO Market」によれば、AIを活用したBPOは2024年から2033年にかけて年平均成長率34.3%という高成長が見込まれている。これまでの同社におけるBPaaSでは、チャットを通じてオペレーターがSaaSを運用代行してきたが、今後はAIエージェントがその中心となっていく。オペレーターは、AIエージェントの活用と運用にシフトし、そのための教育コストも大幅に削減可能となる。この構造変化により、BPaaSの提供コストは下がりつつ、スケーラビリティは飛躍的な向上が期待される。5. 財務状況2025年12月期中間期末の資産合計は、前期末比136百万円減の5,977百万円となった。流動資産は、同176百万円増の4,202百万円となった。主な要因としては、売掛金が53百万円減少した一方で、現金及び預金が385百万円増加した。固定資産は同313百万円減の1,775百万円となった。主に、ソフトウェアが167百万円減少した。負債合計は同218百万円減の4,296百万円となった。流動負債は、同22百万円減の3,803百万円となった。主に、1年内返済予定の長期借入金が105百万円、契約負債が20百万円増加した一方で、未払法人税等が71百万円減少した。固定負債は、同195百万円減の493百万円となった。主に、長期借入金が224百万円減少した。純資産合計は同81百万円増の1,680百万円となった。主に、資本金が61百万円、資本剰余金が61百万円増加した一方で、利益剰余金が14百万円減少した。自己資本比率は同2.0ポイント上昇の28.1%となった。EBITDAや営業利益の黒字化により現金及び預金は増加傾向にあり、財務基盤の改善が進んでいると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/09/22 12:06
注目トピックス 日本株
kubell Research Memo(5):EBITDAが好調に進捗。売上高も堅調推移(1)
*12:05JST kubell Research Memo(5):EBITDAが好調に進捗。売上高も堅調推移(1)
■kubell<4448>の業績動向1. 2025年12月期中間期業績概要2025年12月期中間期の連結業績は、売上高4,532百万円(前年同期比13.4%増)、営業利益146百万円(同437.9%増)、経常利益132百万円(同705.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益14百万円の損失(前年同期は24百万円の利益)となった。EBITDAは578百万円(前年同期比84.7%増)と大幅な増益を達成しており、期初の通期業績予想で想定した進捗を上回るペースを記録している。全社的な費用対効果の改善が着実に成果を生み出した結果であり、収益性の向上が鮮明に表れている。広告宣伝費は短期的な増減はあるものの、登録ID数を減らすことなく圧縮できている。また、サーバー費用も当中間期で削減に成功した。人件費については、原価性の強いBPaaS領域ではオペレーター採用を増やしている一方、それ以外の人員は減少しており人件費全体の効率化が進んでいる。売上高については、セキュリティ事業廃止後も引き続き堅調に推移している。特に、Chatwork課金IDの純増数は価格改定後に一時的な伸び鈍化が見られたものの、前年同期比9.0ポイント増と回復基調が続いており、プラットフォームの利用基盤拡大に再び勢いが戻ってきている。こうした業績の好調を背景に、同社は通期の業績予想の上方修正を行った。売上高は前期比13.0〜16.0%の増加、EBITDAは1,005〜1,300百万円を想定しており、着実な成長を維持しつつ利益は期初予想を引き上げた形だ。利益率改善と安定的な売上成長の双方が同時に進行している点は評価が高く、今後の収益モデルの強靭性を裏付ける結果であると弊社では見ている。BPaaSドメインにおいては、「Chatwork」プラットフォームからの送客や、マーケティング施策強化により新規案件獲得が加速している。従業員数は前四半期から56名増加し、増員の大半はBPaaSオペレーターである。採用は計画通り進み、AI活用やプロセス標準化によって生産性向上と収益性強化の両立を図る方針である。BPaaS拡大に伴うオペレーター増員で人件費は増加したが、広告宣伝費・業務委託費は効率化により前年中間を大きく下回る水準を維持している。BPaaSオペレーターは変動費的な性質を持ち、キャパシティの拡大と受注増加のサイクルを繰り返すモデルである。足元のキャパシティには余裕があり、当面は案件獲得に注力している。人的キャパシティの確保によって受注能力が可視化され、売上高の成長に対する蓋然性が高まっていると弊社では見ている。さらに、同事業ではAIエージェントの導入に関する検証が進んでいる。AIエージェントは新しい概念ではあるが、業界全体で注目されているトレンドであり、同社でもこれを積極的に活用する方向で動いている。足元では社内で細かなAIエージェントやミニアプリの開発・テスト導入を進めており、限定的な領域では一定の成果が出ている。今後は労務やBPOの領域に対象を広げていく方針であり、社内利用で有効性を確認したうえで、将来的にはクライアントへ展開していくことが予想される。BPaaS領域でのAIの活用は、今後の成長戦略においても重要なKPIと位置付けられており、同社の事業戦略の中核を成す要素となっていることがうかがえる。同事業における人件費は原価に直結するため、AIエージェントの導入によって将来的な原価圧縮と粗利率の改善が期待される。2025年12月期は中期経営計画の2年目に当たるが、EBITDA及び営業利益の双方で大幅増を達成しており、非常に順調なペースで進捗していると弊社では見ている。2. ドメイン別の売上高推移SaaSドメイン全体の売上高は4,067百万円(前年同期比8.6%増)の成長であり、セキュリティ事業廃止の影響はあるが安定した成長を維持している。SaaSドメイン全体のうち、ストック売上高についても3,847百万円(同10.4%増)と堅調に推移している。また、BPaaSドメイン全体の売上高は464百万円(前年同期比85.7%増)と高い成長率を記録し、全社売上成長の主力ドライバーとなっている。売上収益の96%を占めるストック売上446百万円(同88.2%増)と極めて高い成長を維持しており、収益の安定性が高まっている点は長期的な観点からもポジティブである。SaaS及びBPaaSの各ドメインにおける売上高推移を見ても、ストック収益は安定して成長しており、収益の基盤としての役割を果たしていることがうかがえる。特にBPaaSドメインについては前年同期比で85.7%の伸びを見せており、高成長領域としてのポテンシャルが明確に現れていると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/09/22 12:05
注目トピックス 日本株
kubell Research Memo(4):BPaaSで「働く」を変えるプラットフォームを提供(2)
*12:04JST kubell Research Memo(4):BPaaSで「働く」を変えるプラットフォームを提供(2)
■事業概要4. 同社の強みkubell<4448>は、国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を中核に据えた企業であり、日本の中小企業を主なターゲットとした独自のビジネスモデルを構築している。その強みは、日本の労働市場が抱える構造的課題、すなわち、少子高齢化による労働力不足や中小企業の労働生産性の低さといった問題に対して、的確に対応できるソリューションを提供している点にある。特に、ITリテラシーの低い中小企業層でも導入・活用が容易なツールを提供することで、同社は社会的使命を果たしていると評価できる。「Chatwork」は、日本国内の中小企業を中心とした広範な顧客基盤を背景に、強固な市場シェアを獲得している。フリーミアムモデルを採用することで導入ハードルを下げ、加えて、簡潔なUIや社外との接続が容易であるという特徴を持ち、既存ユーザーの紹介を通じて自然な形で導入が拡大する構造が確立されている。こうしたネットワーク効果が高く評価され、現在では93.5万社という業界トップクラスの導入社数を実現している。これは同社の競争力の証左であり、特に中小企業にフォーカスしたことで、エンタープライズ市場をねらう競合他社との差別化にも成功している点は特筆に値する。日本の中小企業市場における構造的特徴として、1社当たりの規模が極めて小さく、従業員数が5~30人未満の企業が大半を占めるという点が挙げられる。このような市場においては、個別営業のコスト効率が悪く、大多数のSaaSベンダーはエンタープライズ市場に注力せざるを得ないのが実情である。その結果、高度化・高価格化されたプロダクトは中小企業には適合せず、真にニーズを満たすサービスが不足している現状がある。加えて、ITリテラシーが低いためにSaaSやAIの導入・活用が進まないという課題も顕在化している。日本の労働人口の約70%を占めるにもかかわらず、こうした市場は参入障壁が高いため、いまだ開拓が進んでおらず、「ブラックオーシャン」とも称されている。この難易度の高い市場において、同社は「Chatwork」のネットワーク効果、BPaaSによる業務プロセスの代行、そして中小企業というターゲットに特化した一貫性あるビジネスモデルという三位一体の競争優位性を確立している。まずネットワーク効果においては、「Chatwork」の口コミを通じた導入拡大の仕組みが定着しており、「みんなが使っているから自社も導入する」という循環が生まれやすい。このことは、マーケティングコストを抑えながらも継続的な成長を可能とする構造的強みに直結している。次に、BPaaSによるサービス提供において、同社は単なるチャットツールの提供にとどまらず、業務プロセスそのものをクラウド上で代行・効率化する仕組みを整備している。これは、SaaSを利用する前段階でつまずきがちなIT未熟層の企業に対し、業務プロセスそのものを含めてDXを支援するアプローチであり、従来のSaaSベンダーにはない価値提供を実現している。さらに、「Chatwork」の既存ユーザー基盤に自然にBPaaSをクロスセルできる点も戦略上の優位性となっており、ブランド認知や信頼の蓄積を生かしてLTV(ライフタイムバリュー)を向上させることができる構造が確立されている。このように、同社の構築するビジネス構造は、採算性と成長性の両立を可能とするものであり、特に「ブラックオーシャン市場」において独自のポジションを確立している点は高く評価される。また、同社の「Chatwork」は、社外との連携が容易であるというプロダクト特性により、大企業においても、社内は「Teams」、社外とのやり取りは「Chatwork」というように、補完的に利用されるケースが少なくない。これは、ターゲット市場である中小企業以外にも、プロダクトの汎用性によって大企業ニーズにも対応できる点を示しており、さらなる成長余地を有していることを意味する。加えて、AI技術の進展によって同社の提供価値はさらに拡張されつつある。「Chatwork」では大規模言語モデル(LLM)を活用した高度なAI機能の実装が進んでおり、過去のメッセージを学習した文章生成、要約、タスクの自動化といった新たな機能が検討されている。これらの技術が実用化されれば、ユーザーの業務効率は飛躍的に向上し、BPaaS領域においてもAIによる業務プロセスのさらなる代替が可能となる。結果として、中小企業のDXがより強力に推進されることとなり、同社がターゲットとするマジョリティ市場において、圧倒的な価値を提供する存在としての地位をより一層高めると見込まれる。以上のような構造的優位性と将来展望を踏まえると、同社は今後の成長ポテンシャルが極めて高い企業であると弊社では考える。特に、42.4兆円とされるBPaaS市場の規模に照らせば、中小企業に特化した同社のアプローチが今後のSaaS市場の成長に大きく寄与する可能性は高い。さらに、「Chatwork」が持つ顧客接点の多さは、PLG(Product-Led Growth)モデルとも親和性が高く、顧客の利用データをもとにしたマーケティングや営業活動の高度化により、売上の持続的拡大が期待できる。競合環境においては、「Microsoft Teams」や「Slack」など、グローバルプレイヤーが存在するものの、これらは主にエンタープライズ領域を中心とした展開であり、同社のように中小企業に特化した戦略を採るプレイヤーは限定的である。また、BPaaS領域においても、大企業向けBPOサービスは存在するものの、中小企業に焦点を当て、業務そのものを請け負いつつ適切なSaaSを選択し提供するという同社のサービスは、他に類を見ない優位性を持っている。今後も日本の中小企業市場における確固たるポジションを築き続けるとともに、技術革新に柔軟に対応し、成長機会を的確に捉えることが同社のさらなる飛躍のカギとなると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
<HN>
2025/09/22 12:04
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