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kubell Research Memo(5):EBITDAが好調に進捗。売上高も堅調推移(1)

配信日時:2025/09/22 12:05 配信元:FISCO
*12:05JST kubell Research Memo(5):EBITDAが好調に進捗。売上高も堅調推移(1) ■kubell<4448>の業績動向

1. 2025年12月期中間期業績概要
2025年12月期中間期の連結業績は、売上高4,532百万円(前年同期比13.4%増)、営業利益146百万円(同437.9%増)、経常利益132百万円(同705.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益14百万円の損失(前年同期は24百万円の利益)となった。

EBITDAは578百万円(前年同期比84.7%増)と大幅な増益を達成しており、期初の通期業績予想で想定した進捗を上回るペースを記録している。全社的な費用対効果の改善が着実に成果を生み出した結果であり、収益性の向上が鮮明に表れている。広告宣伝費は短期的な増減はあるものの、登録ID数を減らすことなく圧縮できている。また、サーバー費用も当中間期で削減に成功した。人件費については、原価性の強いBPaaS領域ではオペレーター採用を増やしている一方、それ以外の人員は減少しており人件費全体の効率化が進んでいる。

売上高については、セキュリティ事業廃止後も引き続き堅調に推移している。特に、Chatwork課金IDの純増数は価格改定後に一時的な伸び鈍化が見られたものの、前年同期比9.0ポイント増と回復基調が続いており、プラットフォームの利用基盤拡大に再び勢いが戻ってきている。こうした業績の好調を背景に、同社は通期の業績予想の上方修正を行った。売上高は前期比13.0〜16.0%の増加、EBITDAは1,005〜1,300百万円を想定しており、着実な成長を維持しつつ利益は期初予想を引き上げた形だ。利益率改善と安定的な売上成長の双方が同時に進行している点は評価が高く、今後の収益モデルの強靭性を裏付ける結果であると弊社では見ている。

BPaaSドメインにおいては、「Chatwork」プラットフォームからの送客や、マーケティング施策強化により新規案件獲得が加速している。従業員数は前四半期から56名増加し、増員の大半はBPaaSオペレーターである。採用は計画通り進み、AI活用やプロセス標準化によって生産性向上と収益性強化の両立を図る方針である。BPaaS拡大に伴うオペレーター増員で人件費は増加したが、広告宣伝費・業務委託費は効率化により前年中間を大きく下回る水準を維持している。BPaaSオペレーターは変動費的な性質を持ち、キャパシティの拡大と受注増加のサイクルを繰り返すモデルである。足元のキャパシティには余裕があり、当面は案件獲得に注力している。人的キャパシティの確保によって受注能力が可視化され、売上高の成長に対する蓋然性が高まっていると弊社では見ている。

さらに、同事業ではAIエージェントの導入に関する検証が進んでいる。AIエージェントは新しい概念ではあるが、業界全体で注目されているトレンドであり、同社でもこれを積極的に活用する方向で動いている。足元では社内で細かなAIエージェントやミニアプリの開発・テスト導入を進めており、限定的な領域では一定の成果が出ている。今後は労務やBPOの領域に対象を広げていく方針であり、社内利用で有効性を確認したうえで、将来的にはクライアントへ展開していくことが予想される。BPaaS領域でのAIの活用は、今後の成長戦略においても重要なKPIと位置付けられており、同社の事業戦略の中核を成す要素となっていることがうかがえる。同事業における人件費は原価に直結するため、AIエージェントの導入によって将来的な原価圧縮と粗利率の改善が期待される。2025年12月期は中期経営計画の2年目に当たるが、EBITDA及び営業利益の双方で大幅増を達成しており、非常に順調なペースで進捗していると弊社では見ている。

2. ドメイン別の売上高推移
SaaSドメイン全体の売上高は4,067百万円(前年同期比8.6%増)の成長であり、セキュリティ事業廃止の影響はあるが安定した成長を維持している。SaaSドメイン全体のうち、ストック売上高についても3,847百万円(同10.4%増)と堅調に推移している。

また、BPaaSドメイン全体の売上高は464百万円(前年同期比85.7%増)と高い成長率を記録し、全社売上成長の主力ドライバーとなっている。売上収益の96%を占めるストック売上446百万円(同88.2%増)と極めて高い成長を維持しており、収益の安定性が高まっている点は長期的な観点からもポジティブである。

SaaS及びBPaaSの各ドメインにおける売上高推移を見ても、ストック収益は安定して成長しており、収益の基盤としての役割を果たしていることがうかがえる。特にBPaaSドメインについては前年同期比で85.7%の伸びを見せており、高成長領域としてのポテンシャルが明確に現れていると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)

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