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kubell Research Memo(4):BPaaSで「働く」を変えるプラットフォームを提供(2)
配信日時:2025/09/22 12:04
配信元:FISCO
*12:04JST kubell Research Memo(4):BPaaSで「働く」を変えるプラットフォームを提供(2)
■事業概要
4. 同社の強み
kubell<4448>は、国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を中核に据えた企業であり、日本の中小企業を主なターゲットとした独自のビジネスモデルを構築している。その強みは、日本の労働市場が抱える構造的課題、すなわち、少子高齢化による労働力不足や中小企業の労働生産性の低さといった問題に対して、的確に対応できるソリューションを提供している点にある。特に、ITリテラシーの低い中小企業層でも導入・活用が容易なツールを提供することで、同社は社会的使命を果たしていると評価できる。
「Chatwork」は、日本国内の中小企業を中心とした広範な顧客基盤を背景に、強固な市場シェアを獲得している。フリーミアムモデルを採用することで導入ハードルを下げ、加えて、簡潔なUIや社外との接続が容易であるという特徴を持ち、既存ユーザーの紹介を通じて自然な形で導入が拡大する構造が確立されている。こうしたネットワーク効果が高く評価され、現在では93.5万社という業界トップクラスの導入社数を実現している。これは同社の競争力の証左であり、特に中小企業にフォーカスしたことで、エンタープライズ市場をねらう競合他社との差別化にも成功している点は特筆に値する。
日本の中小企業市場における構造的特徴として、1社当たりの規模が極めて小さく、従業員数が5~30人未満の企業が大半を占めるという点が挙げられる。このような市場においては、個別営業のコスト効率が悪く、大多数のSaaSベンダーはエンタープライズ市場に注力せざるを得ないのが実情である。その結果、高度化・高価格化されたプロダクトは中小企業には適合せず、真にニーズを満たすサービスが不足している現状がある。加えて、ITリテラシーが低いためにSaaSやAIの導入・活用が進まないという課題も顕在化している。日本の労働人口の約70%を占めるにもかかわらず、こうした市場は参入障壁が高いため、いまだ開拓が進んでおらず、「ブラックオーシャン」とも称されている。
この難易度の高い市場において、同社は「Chatwork」のネットワーク効果、BPaaSによる業務プロセスの代行、そして中小企業というターゲットに特化した一貫性あるビジネスモデルという三位一体の競争優位性を確立している。まずネットワーク効果においては、「Chatwork」の口コミを通じた導入拡大の仕組みが定着しており、「みんなが使っているから自社も導入する」という循環が生まれやすい。このことは、マーケティングコストを抑えながらも継続的な成長を可能とする構造的強みに直結している。
次に、BPaaSによるサービス提供において、同社は単なるチャットツールの提供にとどまらず、業務プロセスそのものをクラウド上で代行・効率化する仕組みを整備している。これは、SaaSを利用する前段階でつまずきがちなIT未熟層の企業に対し、業務プロセスそのものを含めてDXを支援するアプローチであり、従来のSaaSベンダーにはない価値提供を実現している。さらに、「Chatwork」の既存ユーザー基盤に自然にBPaaSをクロスセルできる点も戦略上の優位性となっており、ブランド認知や信頼の蓄積を生かしてLTV(ライフタイムバリュー)を向上させることができる構造が確立されている。
このように、同社の構築するビジネス構造は、採算性と成長性の両立を可能とするものであり、特に「ブラックオーシャン市場」において独自のポジションを確立している点は高く評価される。また、同社の「Chatwork」は、社外との連携が容易であるというプロダクト特性により、大企業においても、社内は「Teams」、社外とのやり取りは「Chatwork」というように、補完的に利用されるケースが少なくない。これは、ターゲット市場である中小企業以外にも、プロダクトの汎用性によって大企業ニーズにも対応できる点を示しており、さらなる成長余地を有していることを意味する。
加えて、AI技術の進展によって同社の提供価値はさらに拡張されつつある。「Chatwork」では大規模言語モデル(LLM)を活用した高度なAI機能の実装が進んでおり、過去のメッセージを学習した文章生成、要約、タスクの自動化といった新たな機能が検討されている。これらの技術が実用化されれば、ユーザーの業務効率は飛躍的に向上し、BPaaS領域においてもAIによる業務プロセスのさらなる代替が可能となる。結果として、中小企業のDXがより強力に推進されることとなり、同社がターゲットとするマジョリティ市場において、圧倒的な価値を提供する存在としての地位をより一層高めると見込まれる。
以上のような構造的優位性と将来展望を踏まえると、同社は今後の成長ポテンシャルが極めて高い企業であると弊社では考える。特に、42.4兆円とされるBPaaS市場の規模に照らせば、中小企業に特化した同社のアプローチが今後のSaaS市場の成長に大きく寄与する可能性は高い。さらに、「Chatwork」が持つ顧客接点の多さは、PLG(Product-Led Growth)モデルとも親和性が高く、顧客の利用データをもとにしたマーケティングや営業活動の高度化により、売上の持続的拡大が期待できる。
競合環境においては、「Microsoft Teams」や「Slack」など、グローバルプレイヤーが存在するものの、これらは主にエンタープライズ領域を中心とした展開であり、同社のように中小企業に特化した戦略を採るプレイヤーは限定的である。また、BPaaS領域においても、大企業向けBPOサービスは存在するものの、中小企業に焦点を当て、業務そのものを請け負いつつ適切なSaaSを選択し提供するという同社のサービスは、他に類を見ない優位性を持っている。今後も日本の中小企業市場における確固たるポジションを築き続けるとともに、技術革新に柔軟に対応し、成長機会を的確に捉えることが同社のさらなる飛躍のカギとなると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
<HN>
4. 同社の強み
kubell<4448>は、国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を中核に据えた企業であり、日本の中小企業を主なターゲットとした独自のビジネスモデルを構築している。その強みは、日本の労働市場が抱える構造的課題、すなわち、少子高齢化による労働力不足や中小企業の労働生産性の低さといった問題に対して、的確に対応できるソリューションを提供している点にある。特に、ITリテラシーの低い中小企業層でも導入・活用が容易なツールを提供することで、同社は社会的使命を果たしていると評価できる。
「Chatwork」は、日本国内の中小企業を中心とした広範な顧客基盤を背景に、強固な市場シェアを獲得している。フリーミアムモデルを採用することで導入ハードルを下げ、加えて、簡潔なUIや社外との接続が容易であるという特徴を持ち、既存ユーザーの紹介を通じて自然な形で導入が拡大する構造が確立されている。こうしたネットワーク効果が高く評価され、現在では93.5万社という業界トップクラスの導入社数を実現している。これは同社の競争力の証左であり、特に中小企業にフォーカスしたことで、エンタープライズ市場をねらう競合他社との差別化にも成功している点は特筆に値する。
日本の中小企業市場における構造的特徴として、1社当たりの規模が極めて小さく、従業員数が5~30人未満の企業が大半を占めるという点が挙げられる。このような市場においては、個別営業のコスト効率が悪く、大多数のSaaSベンダーはエンタープライズ市場に注力せざるを得ないのが実情である。その結果、高度化・高価格化されたプロダクトは中小企業には適合せず、真にニーズを満たすサービスが不足している現状がある。加えて、ITリテラシーが低いためにSaaSやAIの導入・活用が進まないという課題も顕在化している。日本の労働人口の約70%を占めるにもかかわらず、こうした市場は参入障壁が高いため、いまだ開拓が進んでおらず、「ブラックオーシャン」とも称されている。
この難易度の高い市場において、同社は「Chatwork」のネットワーク効果、BPaaSによる業務プロセスの代行、そして中小企業というターゲットに特化した一貫性あるビジネスモデルという三位一体の競争優位性を確立している。まずネットワーク効果においては、「Chatwork」の口コミを通じた導入拡大の仕組みが定着しており、「みんなが使っているから自社も導入する」という循環が生まれやすい。このことは、マーケティングコストを抑えながらも継続的な成長を可能とする構造的強みに直結している。
次に、BPaaSによるサービス提供において、同社は単なるチャットツールの提供にとどまらず、業務プロセスそのものをクラウド上で代行・効率化する仕組みを整備している。これは、SaaSを利用する前段階でつまずきがちなIT未熟層の企業に対し、業務プロセスそのものを含めてDXを支援するアプローチであり、従来のSaaSベンダーにはない価値提供を実現している。さらに、「Chatwork」の既存ユーザー基盤に自然にBPaaSをクロスセルできる点も戦略上の優位性となっており、ブランド認知や信頼の蓄積を生かしてLTV(ライフタイムバリュー)を向上させることができる構造が確立されている。
このように、同社の構築するビジネス構造は、採算性と成長性の両立を可能とするものであり、特に「ブラックオーシャン市場」において独自のポジションを確立している点は高く評価される。また、同社の「Chatwork」は、社外との連携が容易であるというプロダクト特性により、大企業においても、社内は「Teams」、社外とのやり取りは「Chatwork」というように、補完的に利用されるケースが少なくない。これは、ターゲット市場である中小企業以外にも、プロダクトの汎用性によって大企業ニーズにも対応できる点を示しており、さらなる成長余地を有していることを意味する。
加えて、AI技術の進展によって同社の提供価値はさらに拡張されつつある。「Chatwork」では大規模言語モデル(LLM)を活用した高度なAI機能の実装が進んでおり、過去のメッセージを学習した文章生成、要約、タスクの自動化といった新たな機能が検討されている。これらの技術が実用化されれば、ユーザーの業務効率は飛躍的に向上し、BPaaS領域においてもAIによる業務プロセスのさらなる代替が可能となる。結果として、中小企業のDXがより強力に推進されることとなり、同社がターゲットとするマジョリティ市場において、圧倒的な価値を提供する存在としての地位をより一層高めると見込まれる。
以上のような構造的優位性と将来展望を踏まえると、同社は今後の成長ポテンシャルが極めて高い企業であると弊社では考える。特に、42.4兆円とされるBPaaS市場の規模に照らせば、中小企業に特化した同社のアプローチが今後のSaaS市場の成長に大きく寄与する可能性は高い。さらに、「Chatwork」が持つ顧客接点の多さは、PLG(Product-Led Growth)モデルとも親和性が高く、顧客の利用データをもとにしたマーケティングや営業活動の高度化により、売上の持続的拡大が期待できる。
競合環境においては、「Microsoft Teams」や「Slack」など、グローバルプレイヤーが存在するものの、これらは主にエンタープライズ領域を中心とした展開であり、同社のように中小企業に特化した戦略を採るプレイヤーは限定的である。また、BPaaS領域においても、大企業向けBPOサービスは存在するものの、中小企業に焦点を当て、業務そのものを請け負いつつ適切なSaaSを選択し提供するという同社のサービスは、他に類を見ない優位性を持っている。今後も日本の中小企業市場における確固たるポジションを築き続けるとともに、技術革新に柔軟に対応し、成長機会を的確に捉えることが同社のさらなる飛躍のカギとなると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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