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青山商事:事業ポートフォリオ改革とOMO推進で収益構造強化へ、年初来高値更新もいまだPBR0.6倍台で推移
配信日時:2025/09/04 15:02
配信元:FISCO
*15:02JST 青山商事:事業ポートフォリオ改革とOMO推進で収益構造強化へ、年初来高値更新もいまだPBR0.6倍台で推移
青山商事<8219>は、「洋服の青山」を中核とする紳士服販売の国内最大手で、ビジネスウェア市場のリーディングカンパニーとして確固たる地位を築いている。しかし、同社の事業はスーツ販売にとどまらない。連結売上高の約7割を占める「ビジネスウェア事業」に加え、会員数約385万人のクレジットカードを展開する「カード事業」、販売促進支援を手掛ける「印刷・メディア事業」、100円ショップ「ダイソー」を販売代理店として展開する「雑貨販売事業」、靴・鞄修理の「ミスターミニット」などを展開する「総合リペアサービス事業」、そして「焼肉きんぐ」や「セカンドストリート」などをFC展開する「フランチャイジー事業」など、多角的な事業ポートフォリオを構築しているのが特徴となる。近年は、スーツ市場の構造的変化に対応すべく、事業ポートフォリオの最適化とグループシナジーの創出を経営の重要課題と位置付けている。
同社の競争優位性は、長年培ってきたビジネスウェア事業の強固な基盤と、そこから派生・拡大した多様な事業群との連携にある。第1に、ビジネスウェア事業においては、47都道府県すべてに店舗網を持つ唯一の企業であり、圧倒的な販売チャネルと顧客接点を有している。また、市場のカジュアル化が進みスーツ需要が減少トレンドにある中、同社はオーダースーツへの注力を強化している。オーダースーツブランド「麻布テーラー」の子会社化も実行するなど、全店舗でオーダー対応可能な体制を構築し、多様化する顧客ニーズを的確に捉えている。そのほか、冠婚葬祭などのフォーマルウェアは業界内で高いシェアを誇っている。第2に、これらのビジネスウェア事業で築いた顧客基盤や店舗網、ノウハウを他の事業セグメントに活用できる点も大きな特徴だ。例えば、カード事業はビジネスウェア事業の顧客を会員として取り込むことで安定した収益を上げており、フランチャイジー事業では「洋服の青山」の店舗開発で培った立地選定や店舗運営のノウハウが活かされている。スーツという伝統的な事業を核としながらも、時代の変化に合わせて事業の多角化を進め、グループ全体でのシナジー創出を目指す姿勢が同社の競争力を支えている。
最新の2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が43,657百万円(前年同期比3.4%減)、営業利益が1,369百万円(同19.2%減)と減収減益での着地となった。ただ、通期では挽回が可能な範囲のようで、秋以降に効いてくる施策の仕込みも順調に進んでいるようだ。主力のビジネスウェア事業が、市場のカジュアル化や消費者の節約志向を背景に客数・客単価ともに伸び悩み、低調に推移したことが響いた。一方で、ポートフォリオの多様性が業績を下支えした。特にフランチャイジー事業は、リユース業態や飲食業態が引き続き好調を維持し、全体の業績に貢献した。カード事業も安定した収益を確保しており、ビジネスウェア事業の不振を他事業でカバーする構図が明確になっている。
2026年3月期の通期業績予想は、売上高199,800百万円(前期比2.1%増)、営業利益14,000百万円(同11.3%増)と増収増益を見込む。市場環境としては、ビジネスウェアに対する需要の構造的変化は厳しい状況が続いているが、下期に需要が集中する季節特性を活かし、オーダースーツやフォーマルウェアといった高付加価値商品の販売強化、OMO戦略によるオンラインと店舗の連携深化、そして効果的な販売促進策の実施によって巻き返しを図る計画だ。
同社は、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進中であり、連結売上高2,100億円、連結営業利益170億円という目標を掲げている。この目標達成に向け、引き続き既存事業の収益力強化と事業ポートフォリオの最適化を両輪で進める。具体的には、ビジネスウェア事業において、不採算店舗の整理を進める一方で、店舗のコンパクト化(中小型化)によって賃料を抑制し、店舗あたりの収益性を高める戦略を加速させる。同時に、ECと店舗をシームレスに連携させるOMO戦略を深化させ、顧客データの活用によるパーソナライズされたサービス提供や、店舗在庫のEC販売による在庫効率の改善を図る。事業ポートフォリオに関しては、成長が見込めるフランチャイジー事業などへの投資を拡大する一方、不採算事業については撤退も視野に入れた見直しを行っていく方針だ。
株主還元については、「PBR1倍以上」の達成を最重要課題と位置付け、極めて積極的な姿勢を打ち出している。還元方針として「連結配当性向70%」または「DOE(株主資本配当率)3%」のいずれか高い方を採用するという方針を掲げている。2026年3月期の年間配当は、前期から2円増配となる1株あたり136円を予想。2025年4月に創業家以外から社長が就任する新経営体制へ移行したが、大きな混乱もなく想定通りの計画で進捗できているほか、この高い還元方針は維持されてPBR1倍割れ改善に向けて経営陣の企業価値向上に対する強い意志がうかがえる。IR活動においても、個人投資家向けのコミュニケーションの強化も検討が進んでおり、市場との対話を重視する姿勢が見られる。主力のビジネスウェア事業の収益性改善を図りつつ、フランチャイジー事業などのビジネスウェア事業以外のセグメントの成長加速も今後の企業価値を大きく左右しそうだ。PBR0.6倍台で推移する中、直近の株価は年初来高値を更新し、2019年ぶりに2500円を超えた。PBR1倍に向けて企業価値評価が高まっていくと想定すると、上値余地は大きい。新経営体制のもとで進められる事業構造改革の動向に、引き続き注目しておきたい。
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同社の競争優位性は、長年培ってきたビジネスウェア事業の強固な基盤と、そこから派生・拡大した多様な事業群との連携にある。第1に、ビジネスウェア事業においては、47都道府県すべてに店舗網を持つ唯一の企業であり、圧倒的な販売チャネルと顧客接点を有している。また、市場のカジュアル化が進みスーツ需要が減少トレンドにある中、同社はオーダースーツへの注力を強化している。オーダースーツブランド「麻布テーラー」の子会社化も実行するなど、全店舗でオーダー対応可能な体制を構築し、多様化する顧客ニーズを的確に捉えている。そのほか、冠婚葬祭などのフォーマルウェアは業界内で高いシェアを誇っている。第2に、これらのビジネスウェア事業で築いた顧客基盤や店舗網、ノウハウを他の事業セグメントに活用できる点も大きな特徴だ。例えば、カード事業はビジネスウェア事業の顧客を会員として取り込むことで安定した収益を上げており、フランチャイジー事業では「洋服の青山」の店舗開発で培った立地選定や店舗運営のノウハウが活かされている。スーツという伝統的な事業を核としながらも、時代の変化に合わせて事業の多角化を進め、グループ全体でのシナジー創出を目指す姿勢が同社の競争力を支えている。
最新の2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が43,657百万円(前年同期比3.4%減)、営業利益が1,369百万円(同19.2%減)と減収減益での着地となった。ただ、通期では挽回が可能な範囲のようで、秋以降に効いてくる施策の仕込みも順調に進んでいるようだ。主力のビジネスウェア事業が、市場のカジュアル化や消費者の節約志向を背景に客数・客単価ともに伸び悩み、低調に推移したことが響いた。一方で、ポートフォリオの多様性が業績を下支えした。特にフランチャイジー事業は、リユース業態や飲食業態が引き続き好調を維持し、全体の業績に貢献した。カード事業も安定した収益を確保しており、ビジネスウェア事業の不振を他事業でカバーする構図が明確になっている。
2026年3月期の通期業績予想は、売上高199,800百万円(前期比2.1%増)、営業利益14,000百万円(同11.3%増)と増収増益を見込む。市場環境としては、ビジネスウェアに対する需要の構造的変化は厳しい状況が続いているが、下期に需要が集中する季節特性を活かし、オーダースーツやフォーマルウェアといった高付加価値商品の販売強化、OMO戦略によるオンラインと店舗の連携深化、そして効果的な販売促進策の実施によって巻き返しを図る計画だ。
同社は、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進中であり、連結売上高2,100億円、連結営業利益170億円という目標を掲げている。この目標達成に向け、引き続き既存事業の収益力強化と事業ポートフォリオの最適化を両輪で進める。具体的には、ビジネスウェア事業において、不採算店舗の整理を進める一方で、店舗のコンパクト化(中小型化)によって賃料を抑制し、店舗あたりの収益性を高める戦略を加速させる。同時に、ECと店舗をシームレスに連携させるOMO戦略を深化させ、顧客データの活用によるパーソナライズされたサービス提供や、店舗在庫のEC販売による在庫効率の改善を図る。事業ポートフォリオに関しては、成長が見込めるフランチャイジー事業などへの投資を拡大する一方、不採算事業については撤退も視野に入れた見直しを行っていく方針だ。
株主還元については、「PBR1倍以上」の達成を最重要課題と位置付け、極めて積極的な姿勢を打ち出している。還元方針として「連結配当性向70%」または「DOE(株主資本配当率)3%」のいずれか高い方を採用するという方針を掲げている。2026年3月期の年間配当は、前期から2円増配となる1株あたり136円を予想。2025年4月に創業家以外から社長が就任する新経営体制へ移行したが、大きな混乱もなく想定通りの計画で進捗できているほか、この高い還元方針は維持されてPBR1倍割れ改善に向けて経営陣の企業価値向上に対する強い意志がうかがえる。IR活動においても、個人投資家向けのコミュニケーションの強化も検討が進んでおり、市場との対話を重視する姿勢が見られる。主力のビジネスウェア事業の収益性改善を図りつつ、フランチャイジー事業などのビジネスウェア事業以外のセグメントの成長加速も今後の企業価値を大きく左右しそうだ。PBR0.6倍台で推移する中、直近の株価は年初来高値を更新し、2019年ぶりに2500円を超えた。PBR1倍に向けて企業価値評価が高まっていくと想定すると、上値余地は大きい。新経営体制のもとで進められる事業構造改革の動向に、引き続き注目しておきたい。
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