注目トピックス 日本株

IIF Research Memo(8):既存事業の拡大を軸に新規事業展開を加速。加えてM&Aで飛躍的な成長を図る(1)

配信日時:2025/08/01 13:08 配信元:FISCO
*13:08JST IIF Research Memo(8):既存事業の拡大を軸に新規事業展開を加速。加えてM&Aで飛躍的な成長を図る(1) ■インターネットインフィニティー<6545>の中期的な経営方針

同社は2023年6月、コロナ禍の収束を機に「中期ビジョン2025」「中期戦略における重点戦略」について再度整理を行い、新たにIIF Vision2030を策定した。その後、2025年6月には足元の業績動向などを考慮し、利益計画及び成長戦略を最新版にアップデートしたことで2029年3月期の業績予測が加わった。中期的な経営方針として同社は、レコードブック事業をはじめとする既存事業の成長によって生み出したキャッシュを新規事業の創出に重点投資し、成長スピードを加速させることを掲げている。「リアル×テクノロジーで『健康な未来』を支える」というビジョンの下、「超高齢社会における課題解決」を重要なミッションとし、テクノロジーを活用しながら既存事業の競争力向上と新規事業の創出に注力する。具体的には、中規模介護事業者の経営をトータルサポートできるようなDXソリューションを推進する。これにより、既存事業の競争力と収益性を高めるとともに、業績拡大を加速し、企業価値をさらに向上させる。加えて、外部要因に左右されにくい安定収益基盤の構築にも引き続き注力する。自社内で介護保険外の新規事業を立ち上げるとともに、既存事業の成長に寄与する領域へはM&Aを積極的に検討し、収益基盤の多様化を推し進める考えだ。これらにより、最終年度である2029年3月期に売上高8,045百万円、営業利益1,275百万円、親会社株主に帰属する当期純利益750百万円、ROE24.5%、売上高営業利益率15.8%、EPS138円の達成を目指す。

高齢化というトレンドは中長期的に継続するため、同社のヘルスケアサービスに対する需要も堅調に推移すると予想される。さらに、足元ではレコードブック事業の稼働率が向上しており、収益性の高いDXソリューション事業の業績も好調である。中期経営計画の数値目標に関しては、既存事業と新規事業を分けることで計画の精度をあげている。同社はこれまでの成長投資によって、レコードブック事業を中心に、安定して売上高と利益を計上できる事業ポートフォリオを構築しているため、既存事業の数値計画は精度の高いものとなっており、連結ベースの業績計画達成の確度も高いと弊社は見ている。

加えて、セントワークスの加入により、これまで抽象的であった中期経営計画内のDXソリューション構想が具体性を持ち、成長戦略の実行可能性が大きく高まったと弊社では見ている。従来は2025年問題、すなわち後期高齢者の増加に伴う社会保障費のひっ迫への対応を主眼にレコードブック事業を推進していたが、今後は2040年問題、すなわち介護人材の不足と生産性向上の必要性を見据え、セントワークスの持つ介護事業者向けのプロダクトやコンサルティングを活用した成長戦略を本格化していく。

また、M&Aを含めた構造改革についても、介護領域及びDX分野において多様な案件が集まりつつあり、足元でも複数の案件を同時並行で検討している。今後は、2040年問題の課題である介護人材不足、労働力不足を解決すべく、介護事業者の生産性向上に資するDXソリューションの提供に向けたM&Aの実行を目指す。

セグメント別の利益計画と成長戦略は以下のとおり。

(1) レコードブック事業
2029年3月期に売上高2,181百万円、営業利益805百万円を計画している。直近の稼働率推移を勘案した稼働率の見通しの変更や、直営店のFC化の時期変更により、売上高は前回開示に比べ、2027年3月期までは増加した一方、2028年3月期は減少した。また、前回開示時に調整額に計上していたレコードブック基幹システムの費用をレコードブック事業で計上したことにより、営業利益は減少している。「レコードブック」の出店戦略に関しては、FC加盟店の業績向上支援に注力することで、2店舗目・3店舗目の出店を促し増店速度を加速させるとともに、物件開発の課題を解決することで2029年3月期には351店舗まで増店する計画である。利用者数は足元で過去最高の月間利用者数を更新するなど、順調に増加している。利用者が増加するなかで稼働率を高位安定させるとともに、段階的に直営店をFC化することにより業務の効率化を図り、事業としての収益性も高めていく。

(2) アクティブライフ事業
2029年3月期に売上高1,392百万円、営業利益197百万円を計画している。正光技建の構造改革による事業計画の見直しや、フルケアとの連携施策の拡大時期の見直しにより、売上高は大幅に減少、営業利益はやや増加する計画である。ストック売上となる福祉用具貸与事業の成長に注力し、安定的な売上高・利益成長を目指す。正光技建に関しては、フルケアとの連携を中核とする事業に転換し、シナジー効果の発揮により住宅改修案件の増加及び単価の増加を目指す。

住宅リフォーム事業を展開している正光技建の子会社化は、同社グループの事業ポートフォリオを介護保険外の領域へ分散させ、介護保険制度の改定に左右されにくい収益基盤を構築するというねらいもある。このほかにも、レコードブックX(クロス)などの新規事業も開発していく。レコードブックXでは、店舗の非滞在時間にもレコードブック利用者に本部提供の福祉用具貸与サービス等を利用してもらうことで、転倒骨折予防などの介護予防による健康寿命の延伸及び介護費・医療費増大の課題解決に貢献していく。今後も新規事業開発やM&Aによって、さらなるサービスの多角化を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

<HN>

Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.

ニュースカテゴリ