注目トピックス 日本株
システム ディ Research Memo(5):学園ソリューションを中心にすべての事業が増収に(2)
配信日時:2025/08/01 19:25
配信元:FISCO
*19:25JST システム ディ Research Memo(5):学園ソリューションを中心にすべての事業が増収に(2)
■業績動向
(3) 公会計ソリューション事業
システム ディ<3804>の公会計ソリューション事業では、地方自治体向けの公会計システム「PPP(Principal Publicaccounting Package:トリプル・ピー)」※をパッケージ製品及びクラウドサービスで提供している。「統一的な基準」による地方公会計制度に完全準拠する「PPP Ver.5新統一基準対応版」を2015年10月にリリース以降、改善を重ねながら導入先を拡大し、現在の導入自治体数は1,000団体を超え、全国の6割弱を占める自治体で利用されている。
※ 自治体会計(現金主義・単式簿記会計)を発生主義・複式簿記に基づいて公会計財務諸表と固定資産台帳を作成する機能を持つ。会計制度の新統一基準に完全対応したソフトウェア製品として業界に先駆けて開発したことで、トップシェアを握るまでに成長した。競合先としては、TKC<9746>のほか未上場のジャパンシステム(株)や(株)ぎょうせい、そのほか各地域に開発ベンダーがある。
また、2021年3月にリリースした「Common財務会計システム」は「PPP」の開発ノウハウをもとに、適用範囲を予算編成・執行から決算、出納管理、公会計まで広げたシステムである。地方公共団体が行う「歳入歳出決算」「地方財政状況調査(決算統計)」「統一的な基準による財務書類」の3つの決算を同時に処理することで早期の決算確定が可能となるほか、予算編成の際にPDCAサイクルを回すための各種分析ツールを標準装備するなど、決算処理や予算編成の業務省力化・効率化を支援する。既存製品にはない先進的な考え方を取り入れた製品となっているため自治体への導入実績はまだないが、公共団体で複数導入実績が出始めている。そのほか、2023年10月に地方自治体向けに「公有財産管理システム」をリリースした。庁舎や学校、公園など地方公共団体が所有する財産の保有状況をまとめた「公有財産台帳」を管理するシステムで、「PPP」の「固定資産台帳」と完全連携しているため「PPP」ユーザーにとっては財産管理業務の負担が大幅に軽減されるメリットがある。「公有財産台帳」に関してはExcelなど市販ソフトで管理する自治体も多く、「固定資産台帳」との二重管理により情報が食い違ってしまうリスクがあったが、同システムを導入することで、こうした問題も解消されることになる。
2025年10月期中間期の売上高は前年同期比10.2%増の295百万円と3期ぶりに増収に転じた。2022年3月でサービスを終了した競合品からのリプレイス需要が2022年10月期で一巡したことで、その後は減収基調を続けていたが、ようやく底打ちした状況だ。新製品となる「公有財産管理システム」について、新たに県、政令市など複数案件の導入が進んだことが増収要因となった。営業利益も増収効果により前年同期の64百万円から83百万円と増益に転じている。当中間期末の累計導入自治体・関連公共団体数は前年同期比23団体増加の1,359団体(現役ユーザー数1,183団体)、前期末比では13団体増となった。なお、「Common財務会計システム」については、公会計制度の改正時期が本格導入の好機になると見ており、それまでに機能強化や操作性向上など製品力の強化に取り組む方針だ。
(4) ウェルネスソリューション事業
ウェルネスソリューション事業では、フィットネスクラブ・スポーツ施設向け会員管理システム「Hello EX」、レジャー施設向け運営管理システム「Hello Fun」に加えて、2020年11月にリリースしたクラウド型会員管理システム「Smart Hello」※1、2022年11月にリリースしたクラウド型チケット管理システム「Smart Helloチケット」※2等を展開している。同事業については、情報機器や入退場ゲート等のハードウェア製品を含めて販売するケースがあるため、営業利益率は他の事業と比較して相対的に低くなる傾向にある。2025年4月末の累計顧客数は前年同期比153施設増の1,698施設となった(現役ユーザー数は901施設)。会員管理システムの競合大手としては(株)hacomono(2024年12月末導入実績約8,000施設)や(株)ネスティ(同2,200施設以上)などが挙げられ、レジャー施設向け運営管理システムでは(株)グッドフェローズ(同400施設以上)が挙げられる。
※1 月額利用料金が1~4万円と低廉な料金で利用できるコストパフォーマンスの高さが特徴。
※2 チケット発券を伴う集客施設の業務を一元管理するシステムで、Webチケット販売・セルフ発券・モバイル着券・団体予約・データ分析など豊富な機能を備えている。初期導入費用(ハードウェア費用除く)が無料で、月額料金プランは機能により3プラン(月額3万円、6万円、10万円)を用意している。
2025年10月期中間期の売上高は、前年同期比3.0%増の369百万円と2期ぶりに増収に転じた。24時間ジムなど小規模フィットネス施設や会費制スクール等をターゲットに提供している「Smart Hello」を中心に当中間期で62施設に新規導入したことが増収要因となった。一方で、営業損益は5百万円の損失(前年同期が6百万円の利益)となった。仕入商品となるハードウェアの販売が増加し、販売ミックスが若干悪化したことが主因だ。ただ、一般管理費など間接経費を除いたベースでは営業損益も黒字を維持している。
(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業では、民間企業や金融機関、公益法人、学校法人等に、文書・契約書等の管理システム等を開発・販売している。具体的には「規程管理システム」や「契約書作成・管理システム」など社内のコンプライアンスやコーポレート・ガバナンスの強化を支援するためのソフトウェア製品で、高機能かつコストパフォーマンスに優れている点が高く評価されている。競合先としては、ぎょうせい、第一法規(株)などがある。
2025年10月期中間期の売上高は前年同期比0.2%増の155百万円と若干ながら増収を継続した。当期は下期に納品予定の案件が多く、中間期は伸び悩む格好となったが、コンプライアンス意識の高まりを背景に金融機関や大規模法人などを中心に引き合いは依然活発な状況に変わりない。当中間期末の累計顧客数は前年同期比67法人増加の726法人(現役ユーザー数468法人)、前期末比では24法人増となった。一方、営業利益は前年同期の68百万円から49百万円と減益に転じた。前年同期と比べて小型案件が増えたこともあり、営業費用の増加を吸収しきれなかったものと見られる。ただ、営業利益率は31.6%と同社の中では最も高い事業であることに変わりない。
(6) 薬局ソリューション事業・その他
薬局ソリューション事業は連結子会社のシンクが手掛けている事業で、大阪府内の小規模の独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の「GOHL2」/「OKISS」を中心に各種業務システムを提供している。2025年10月期中間期末の累計顧客数は前年同期比横ばいの1,232店舗(現役ユーザー数330店舗)となっている。そのほか、中村牧場によるAI関連のコンサルティング事業も含まれる。
2025年10月期中間期の売上高は、前年同期比37.2%増の146百万円となった。薬局向けに電子処方箋システムを多数導入したことが増収要因となった。中村牧場のコンサルティング収入については、リソースを社内のAI人材の教育研修に振り向けた影響もあって減収となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<KM>
(3) 公会計ソリューション事業
システム ディ<3804>の公会計ソリューション事業では、地方自治体向けの公会計システム「PPP(Principal Publicaccounting Package:トリプル・ピー)」※をパッケージ製品及びクラウドサービスで提供している。「統一的な基準」による地方公会計制度に完全準拠する「PPP Ver.5新統一基準対応版」を2015年10月にリリース以降、改善を重ねながら導入先を拡大し、現在の導入自治体数は1,000団体を超え、全国の6割弱を占める自治体で利用されている。
※ 自治体会計(現金主義・単式簿記会計)を発生主義・複式簿記に基づいて公会計財務諸表と固定資産台帳を作成する機能を持つ。会計制度の新統一基準に完全対応したソフトウェア製品として業界に先駆けて開発したことで、トップシェアを握るまでに成長した。競合先としては、TKC<9746>のほか未上場のジャパンシステム(株)や(株)ぎょうせい、そのほか各地域に開発ベンダーがある。
また、2021年3月にリリースした「Common財務会計システム」は「PPP」の開発ノウハウをもとに、適用範囲を予算編成・執行から決算、出納管理、公会計まで広げたシステムである。地方公共団体が行う「歳入歳出決算」「地方財政状況調査(決算統計)」「統一的な基準による財務書類」の3つの決算を同時に処理することで早期の決算確定が可能となるほか、予算編成の際にPDCAサイクルを回すための各種分析ツールを標準装備するなど、決算処理や予算編成の業務省力化・効率化を支援する。既存製品にはない先進的な考え方を取り入れた製品となっているため自治体への導入実績はまだないが、公共団体で複数導入実績が出始めている。そのほか、2023年10月に地方自治体向けに「公有財産管理システム」をリリースした。庁舎や学校、公園など地方公共団体が所有する財産の保有状況をまとめた「公有財産台帳」を管理するシステムで、「PPP」の「固定資産台帳」と完全連携しているため「PPP」ユーザーにとっては財産管理業務の負担が大幅に軽減されるメリットがある。「公有財産台帳」に関してはExcelなど市販ソフトで管理する自治体も多く、「固定資産台帳」との二重管理により情報が食い違ってしまうリスクがあったが、同システムを導入することで、こうした問題も解消されることになる。
2025年10月期中間期の売上高は前年同期比10.2%増の295百万円と3期ぶりに増収に転じた。2022年3月でサービスを終了した競合品からのリプレイス需要が2022年10月期で一巡したことで、その後は減収基調を続けていたが、ようやく底打ちした状況だ。新製品となる「公有財産管理システム」について、新たに県、政令市など複数案件の導入が進んだことが増収要因となった。営業利益も増収効果により前年同期の64百万円から83百万円と増益に転じている。当中間期末の累計導入自治体・関連公共団体数は前年同期比23団体増加の1,359団体(現役ユーザー数1,183団体)、前期末比では13団体増となった。なお、「Common財務会計システム」については、公会計制度の改正時期が本格導入の好機になると見ており、それまでに機能強化や操作性向上など製品力の強化に取り組む方針だ。
(4) ウェルネスソリューション事業
ウェルネスソリューション事業では、フィットネスクラブ・スポーツ施設向け会員管理システム「Hello EX」、レジャー施設向け運営管理システム「Hello Fun」に加えて、2020年11月にリリースしたクラウド型会員管理システム「Smart Hello」※1、2022年11月にリリースしたクラウド型チケット管理システム「Smart Helloチケット」※2等を展開している。同事業については、情報機器や入退場ゲート等のハードウェア製品を含めて販売するケースがあるため、営業利益率は他の事業と比較して相対的に低くなる傾向にある。2025年4月末の累計顧客数は前年同期比153施設増の1,698施設となった(現役ユーザー数は901施設)。会員管理システムの競合大手としては(株)hacomono(2024年12月末導入実績約8,000施設)や(株)ネスティ(同2,200施設以上)などが挙げられ、レジャー施設向け運営管理システムでは(株)グッドフェローズ(同400施設以上)が挙げられる。
※1 月額利用料金が1~4万円と低廉な料金で利用できるコストパフォーマンスの高さが特徴。
※2 チケット発券を伴う集客施設の業務を一元管理するシステムで、Webチケット販売・セルフ発券・モバイル着券・団体予約・データ分析など豊富な機能を備えている。初期導入費用(ハードウェア費用除く)が無料で、月額料金プランは機能により3プラン(月額3万円、6万円、10万円)を用意している。
2025年10月期中間期の売上高は、前年同期比3.0%増の369百万円と2期ぶりに増収に転じた。24時間ジムなど小規模フィットネス施設や会費制スクール等をターゲットに提供している「Smart Hello」を中心に当中間期で62施設に新規導入したことが増収要因となった。一方で、営業損益は5百万円の損失(前年同期が6百万円の利益)となった。仕入商品となるハードウェアの販売が増加し、販売ミックスが若干悪化したことが主因だ。ただ、一般管理費など間接経費を除いたベースでは営業損益も黒字を維持している。
(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業では、民間企業や金融機関、公益法人、学校法人等に、文書・契約書等の管理システム等を開発・販売している。具体的には「規程管理システム」や「契約書作成・管理システム」など社内のコンプライアンスやコーポレート・ガバナンスの強化を支援するためのソフトウェア製品で、高機能かつコストパフォーマンスに優れている点が高く評価されている。競合先としては、ぎょうせい、第一法規(株)などがある。
2025年10月期中間期の売上高は前年同期比0.2%増の155百万円と若干ながら増収を継続した。当期は下期に納品予定の案件が多く、中間期は伸び悩む格好となったが、コンプライアンス意識の高まりを背景に金融機関や大規模法人などを中心に引き合いは依然活発な状況に変わりない。当中間期末の累計顧客数は前年同期比67法人増加の726法人(現役ユーザー数468法人)、前期末比では24法人増となった。一方、営業利益は前年同期の68百万円から49百万円と減益に転じた。前年同期と比べて小型案件が増えたこともあり、営業費用の増加を吸収しきれなかったものと見られる。ただ、営業利益率は31.6%と同社の中では最も高い事業であることに変わりない。
(6) 薬局ソリューション事業・その他
薬局ソリューション事業は連結子会社のシンクが手掛けている事業で、大阪府内の小規模の独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の「GOHL2」/「OKISS」を中心に各種業務システムを提供している。2025年10月期中間期末の累計顧客数は前年同期比横ばいの1,232店舗(現役ユーザー数330店舗)となっている。そのほか、中村牧場によるAI関連のコンサルティング事業も含まれる。
2025年10月期中間期の売上高は、前年同期比37.2%増の146百万円となった。薬局向けに電子処方箋システムを多数導入したことが増収要因となった。中村牧場のコンサルティング収入については、リソースを社内のAI人材の教育研修に振り向けた影響もあって減収となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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