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NANO MRNA Research Memo(2):RNA医薬とDDS技術に強みを持つ創薬ベンチャー
配信日時:2025/07/15 15:02
配信元:FISCO
*15:02JST NANO MRNA Research Memo(2):RNA医薬とDDS技術に強みを持つ創薬ベンチャー
■会社概要
1. 会社沿革
NANO MRNA<4571>は、ナノキャリア(株)として1996年に設立されたベンチャーである。低分子抗がん剤のDDS製剤の実用化を目指して、2000年から本格的に研究活動を開始し、2008年3月には東京証券取引所マザーズ市場への株式上場を果たした。しかし、2022年に収益化が期待された導入品及び自社開発品の後期臨床開発が相次いで中止となり、同社はビジネスモデルの再構築を迫られた。
2023年1月、同社は、2020年に吸収合併した核酸創薬に特化したアキュルナのパイプラインを基に、メッセンジャーRNA(mRNA)医薬の創薬を中心に据えたベンチャー企業として、新たな事業方針への転換を打ち出した。国内ではmRNA医薬の創薬経験を持つ企業が限られており、同社はこの分野に経営資源を集中させる戦略を採用した。この新たなビジネスモデルは、治験段階の中でも投資リスクが高い後期臨床試験(第II臨床試験以降)には踏み込まず、非臨床段階で創出した候補品に関するIP(特許を含む研究開発に関する知的財産)を他社にライセンス供与することで収益化を図る「IP Generator(知財創出)型」の事業モデルである。同社は、mRNA創薬におけるmRNA配列の最適化、薬効評価などの創薬初期段階から、事業開発までを一貫して実施する事業を開始した。同年6月にはNANO MRNA(株)へと商号を変更し、事業転換を明確に打ち出した。さらに同年11月には花王<4452>との間でmRNA医薬の創薬に関する共同研究を皮切りに、mRNA創薬領域における事業展開を本格化した。また、RNA医薬の創薬における成長戦略も一段と加速させている。先行するASO(アンチセンスオリゴ核酸)医薬の第1相臨床治験が進展しており、独自の核酸DDS技術の価値最大化を図る。2025年からは、IPのみならず開発アセットとして導出するモデルへ転換し、収益の多様化を目指す。
2. 事業概要
同社は以前より自社DDS技術を活用した核酸医薬の創薬を推進しており、既にsiRNA(核酸創薬の一種)及びASOのRNA医薬に関する国内臨床試験実施に加え、mRNA医薬の臨床試験開始に向けた準備を進めている。国内ではmRNAを用いた治療薬の開発を手掛けている企業は少数であり、同社はその中で先行する企業の1つとして、mRNA医薬を事業の中核に据えている。
現在、同社のmRNA医薬パイプラインの中核はRUNX1 mRNAである。これはワクチンではなく、治療薬としてmRNAを応用した開発プロジェクトである。変形性膝関節症を対象とする組織再生医薬として、第I相臨床試験の開始に向けた活動を推進しており、2025年7月にオーストラリアで治験開始のための申請を実施した。同社は、(独)医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)対応及びCMC関連(製造・品質管理)のmRNA医薬開発に重要なノウハウをグローバルで着実に積み上げている。
また、mRNA医薬を様々なパートナーとの協業により展開する方針を掲げ、mRNA医薬技術とほかの最新の創薬技術を融合した第2世代mRNA医薬についての取り組みも開始しており、mRNA医薬のパイプラインは第2世代のものに速やかにシフトするとしている。
3. 特徴と強み
同社は、COVID-19ワクチンの実用化を契機に注目が高まったmRNA医薬の市場が、2030年には16兆円規模に拡大するとの予測があるなか、ワクチン以外のmRNA治療薬は未だ上市がないという現状を踏まえ、早期参入による優位性を見込み、ビジネスモデルの転換を図った。その背景には、核酸医薬に特化した創薬ベンチャーであったアキュルナを2020年9月に吸収合併したことで、mRNAを含む核酸医薬のパイプラインを獲得したことが大きい。
アキュルナは2016年からmRNAの研究に取り組み、国内では数少ないmRNA医薬の開発を進めていた企業で、吸収合併時には開発候補品のPRDM14 siRNAやTUG1 ASOに加え、RUNX1 mRNAを保有していた。国内でmRNA治療薬の臨床開発を進めた事例はまだほとんどなく、同社が蓄えてきた知見は今後の事業展開において明確な強みとなる。
同社の競争優位性(強み)のコアは、創業研究者の一人である東京大学名誉教授片岡一則(かたおかかずのり)博士が発見した高分子ナノミセルや核酸DDSの技術である。これに加え、後期臨床ステージまでの医薬品開発の実績とそれを通じて培ったDDS製剤の開発・製造などの経験、RNA医薬の国内パイオニアとして蓄積した創薬及び臨床開発に関するノウハウなどの強みを持つ。具体的には以下のとおりである。
・DDS製剤の豊富な開発実績(非臨床、臨床、CMCを含む)
・siRNAやASO、mRNAといった核酸創薬に関する知見
・RNA医薬の臨床開発における規制当局対応、承認申請の経験及びその課題解決力
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
<HN>
1. 会社沿革
NANO MRNA<4571>は、ナノキャリア(株)として1996年に設立されたベンチャーである。低分子抗がん剤のDDS製剤の実用化を目指して、2000年から本格的に研究活動を開始し、2008年3月には東京証券取引所マザーズ市場への株式上場を果たした。しかし、2022年に収益化が期待された導入品及び自社開発品の後期臨床開発が相次いで中止となり、同社はビジネスモデルの再構築を迫られた。
2023年1月、同社は、2020年に吸収合併した核酸創薬に特化したアキュルナのパイプラインを基に、メッセンジャーRNA(mRNA)医薬の創薬を中心に据えたベンチャー企業として、新たな事業方針への転換を打ち出した。国内ではmRNA医薬の創薬経験を持つ企業が限られており、同社はこの分野に経営資源を集中させる戦略を採用した。この新たなビジネスモデルは、治験段階の中でも投資リスクが高い後期臨床試験(第II臨床試験以降)には踏み込まず、非臨床段階で創出した候補品に関するIP(特許を含む研究開発に関する知的財産)を他社にライセンス供与することで収益化を図る「IP Generator(知財創出)型」の事業モデルである。同社は、mRNA創薬におけるmRNA配列の最適化、薬効評価などの創薬初期段階から、事業開発までを一貫して実施する事業を開始した。同年6月にはNANO MRNA(株)へと商号を変更し、事業転換を明確に打ち出した。さらに同年11月には花王<4452>との間でmRNA医薬の創薬に関する共同研究を皮切りに、mRNA創薬領域における事業展開を本格化した。また、RNA医薬の創薬における成長戦略も一段と加速させている。先行するASO(アンチセンスオリゴ核酸)医薬の第1相臨床治験が進展しており、独自の核酸DDS技術の価値最大化を図る。2025年からは、IPのみならず開発アセットとして導出するモデルへ転換し、収益の多様化を目指す。
2. 事業概要
同社は以前より自社DDS技術を活用した核酸医薬の創薬を推進しており、既にsiRNA(核酸創薬の一種)及びASOのRNA医薬に関する国内臨床試験実施に加え、mRNA医薬の臨床試験開始に向けた準備を進めている。国内ではmRNAを用いた治療薬の開発を手掛けている企業は少数であり、同社はその中で先行する企業の1つとして、mRNA医薬を事業の中核に据えている。
現在、同社のmRNA医薬パイプラインの中核はRUNX1 mRNAである。これはワクチンではなく、治療薬としてmRNAを応用した開発プロジェクトである。変形性膝関節症を対象とする組織再生医薬として、第I相臨床試験の開始に向けた活動を推進しており、2025年7月にオーストラリアで治験開始のための申請を実施した。同社は、(独)医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)対応及びCMC関連(製造・品質管理)のmRNA医薬開発に重要なノウハウをグローバルで着実に積み上げている。
また、mRNA医薬を様々なパートナーとの協業により展開する方針を掲げ、mRNA医薬技術とほかの最新の創薬技術を融合した第2世代mRNA医薬についての取り組みも開始しており、mRNA医薬のパイプラインは第2世代のものに速やかにシフトするとしている。
3. 特徴と強み
同社は、COVID-19ワクチンの実用化を契機に注目が高まったmRNA医薬の市場が、2030年には16兆円規模に拡大するとの予測があるなか、ワクチン以外のmRNA治療薬は未だ上市がないという現状を踏まえ、早期参入による優位性を見込み、ビジネスモデルの転換を図った。その背景には、核酸医薬に特化した創薬ベンチャーであったアキュルナを2020年9月に吸収合併したことで、mRNAを含む核酸医薬のパイプラインを獲得したことが大きい。
アキュルナは2016年からmRNAの研究に取り組み、国内では数少ないmRNA医薬の開発を進めていた企業で、吸収合併時には開発候補品のPRDM14 siRNAやTUG1 ASOに加え、RUNX1 mRNAを保有していた。国内でmRNA治療薬の臨床開発を進めた事例はまだほとんどなく、同社が蓄えてきた知見は今後の事業展開において明確な強みとなる。
同社の競争優位性(強み)のコアは、創業研究者の一人である東京大学名誉教授片岡一則(かたおかかずのり)博士が発見した高分子ナノミセルや核酸DDSの技術である。これに加え、後期臨床ステージまでの医薬品開発の実績とそれを通じて培ったDDS製剤の開発・製造などの経験、RNA医薬の国内パイオニアとして蓄積した創薬及び臨床開発に関するノウハウなどの強みを持つ。具体的には以下のとおりである。
・DDS製剤の豊富な開発実績(非臨床、臨床、CMCを含む)
・siRNAやASO、mRNAといった核酸創薬に関する知見
・RNA医薬の臨床開発における規制当局対応、承認申請の経験及びその課題解決力
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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