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NANO MRNA Research Memo(1):DDS技術とRNA創薬を軸に、次世代医薬市場での成長目指す
配信日時:2025/07/15 15:01
配信元:FISCO
*15:01JST NANO MRNA Research Memo(1):DDS技術とRNA創薬を軸に、次世代医薬市場での成長目指す
■要約
NANO MRNA<4571>は、1996年にナノキャリア株式会社として設立されたバイオベンチャーで、当初はドラッグデリバリーシステム(DDS)技術を活用した抗がん剤開発に取り組んでいた。2020年にアキュルナ(株)を吸収合併し、次世代医薬品の中核となる核酸医薬パイプラインを獲得した。2023年1月には、COVID-19ワクチンの実用化を通じて注目を集めたmRNA医薬※1を中心とするRNA医薬※2に集中し、知的財産(IP)の創出・導出に重点を置くビジネスモデルへと転換した。mRNA医薬は、ワクチン以外にもがんや希少疾患など幅広い疾患へ応用できると考えられており、同社もmRNA医薬を中心とするRNA医薬の研究開発に注力する。創製した医薬品候補は、開発初期段階で導出することにより収益化を目指す方針である。また、新たな収益源として、2024年から顧客のニーズに応える形でmRNA医薬の受託研究型事業を新たに開始した。さらに、既に初期臨床ステージにあるRNA医薬品の開発進捗に伴い、導出活動を積極化している。
※1 人工的に製造したmRNAを生体に投与し、mRNAにコードされたタンパク質を体内で発現させることにより疾患の予防もしくは治療を行う医薬品。
※2 mRNA、siRNA、ASO(アンチセンス・オリゴ核酸)など、様々なRNA(Ribonucleic acid:リボ核酸)を利用した核酸医薬。RNAは、DNAの遺伝情報を一時的に処理する働きを担う重要な生体分子。
1. 初期臨床段階にあるパイプラインの進捗状況
重点開発品であるTUG1 ASO(対象疾患:膠芽腫)は医師主導第1相臨床試験が進行中、RUNX1 mRNA(対象疾患:変形性膝関節症)は第1相臨床試験準備段階にあり、いずれも順調に進捗している。同社は臨床試験の加速化を図り、後期臨床試験前のライセンスアウト(ライセンス供与、ライセンス導出)を目指す方針だ。TUG1 ASOについては、既に国内外の学会及び商業カンファレンスにおいて紹介するなど、製薬企業への導出活動を活発化している。
2. mRNA医薬の成長領域へシフト
mRNA医薬品市場は、現在、感染症に対する免疫ワクチンや、遺伝性疾患、組織再生などを標的とする第1世代の開発が先行している。これらは、標的遺伝子の配列情報が判明すれば容易にmRNAを設計できる点が特徴である。これらに続く新たな第2世代のmRNA医薬として、mRNAエンコード抗体、ゲノム編集、in vivo CAR-T※など、ほかのModality(創薬における手段やアプローチ)と融合した新たな領域への展開が欧米で進みつつあり、市場は2030年に向け高成長が期待されている。同社も、第2世代mRNA医薬を次のターゲットと定め、技術基盤を有するパートナーと共同し、革新的な第2世代mRNA医薬をパイプラインに加えつつある。
※ キメラ抗原受容体遺伝子を投与し、体内(In vivo)でCAR-T細胞を生成・活性化させる治療法。体外でCAR遺伝子を導入したT細胞を培養・増幅してから患者に戻す従来のCAR-T療法とは異なり、遺伝子導入と細胞増殖を体内で完結させる点が特徴。
3. ステージアップした研究開発戦略及び成長戦略
同社は、2023年にmRNA創薬を中心とするビジネスに転換し、mRNA医薬の創製を目指したIPGモデルの確立を図る成長戦略「NANO MRNA1.0」を推進してきた。そして2025年から、これを「NANO MRNA2.0」へと進化させ、新たな取り組みを開始している。「NANO MRNA2.0」は、次の4つの重点項目から構成されている。1) TUG1 ASO及びRUNX1 mRNAのPOC確立を加速する。2) 臨床POCが確立した独自DDS製剤のGMP製造体制をパートナーと協力して確立することにより価値を最大化する。3) mRNA医薬パイプラインを協業により第2世代へシフトする。4) 開発経験豊富ながん領域への再注力しRNA医薬パイプラインを創出する。
■Key Points
・重点開発品のTUG1 ASO、RUNX1 mRNAの初期臨床試験は順調に進展。新たにmRNA医薬の受託研究型事業を開始
・高成長が見込まれる第2世代mRNA医薬へシフト
・2025年より成長戦略「NANO MRNA2.0」を開始。4つの重点項目を推進し成長目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
<HN>
NANO MRNA<4571>は、1996年にナノキャリア株式会社として設立されたバイオベンチャーで、当初はドラッグデリバリーシステム(DDS)技術を活用した抗がん剤開発に取り組んでいた。2020年にアキュルナ(株)を吸収合併し、次世代医薬品の中核となる核酸医薬パイプラインを獲得した。2023年1月には、COVID-19ワクチンの実用化を通じて注目を集めたmRNA医薬※1を中心とするRNA医薬※2に集中し、知的財産(IP)の創出・導出に重点を置くビジネスモデルへと転換した。mRNA医薬は、ワクチン以外にもがんや希少疾患など幅広い疾患へ応用できると考えられており、同社もmRNA医薬を中心とするRNA医薬の研究開発に注力する。創製した医薬品候補は、開発初期段階で導出することにより収益化を目指す方針である。また、新たな収益源として、2024年から顧客のニーズに応える形でmRNA医薬の受託研究型事業を新たに開始した。さらに、既に初期臨床ステージにあるRNA医薬品の開発進捗に伴い、導出活動を積極化している。
※1 人工的に製造したmRNAを生体に投与し、mRNAにコードされたタンパク質を体内で発現させることにより疾患の予防もしくは治療を行う医薬品。
※2 mRNA、siRNA、ASO(アンチセンス・オリゴ核酸)など、様々なRNA(Ribonucleic acid:リボ核酸)を利用した核酸医薬。RNAは、DNAの遺伝情報を一時的に処理する働きを担う重要な生体分子。
1. 初期臨床段階にあるパイプラインの進捗状況
重点開発品であるTUG1 ASO(対象疾患:膠芽腫)は医師主導第1相臨床試験が進行中、RUNX1 mRNA(対象疾患:変形性膝関節症)は第1相臨床試験準備段階にあり、いずれも順調に進捗している。同社は臨床試験の加速化を図り、後期臨床試験前のライセンスアウト(ライセンス供与、ライセンス導出)を目指す方針だ。TUG1 ASOについては、既に国内外の学会及び商業カンファレンスにおいて紹介するなど、製薬企業への導出活動を活発化している。
2. mRNA医薬の成長領域へシフト
mRNA医薬品市場は、現在、感染症に対する免疫ワクチンや、遺伝性疾患、組織再生などを標的とする第1世代の開発が先行している。これらは、標的遺伝子の配列情報が判明すれば容易にmRNAを設計できる点が特徴である。これらに続く新たな第2世代のmRNA医薬として、mRNAエンコード抗体、ゲノム編集、in vivo CAR-T※など、ほかのModality(創薬における手段やアプローチ)と融合した新たな領域への展開が欧米で進みつつあり、市場は2030年に向け高成長が期待されている。同社も、第2世代mRNA医薬を次のターゲットと定め、技術基盤を有するパートナーと共同し、革新的な第2世代mRNA医薬をパイプラインに加えつつある。
※ キメラ抗原受容体遺伝子を投与し、体内(In vivo)でCAR-T細胞を生成・活性化させる治療法。体外でCAR遺伝子を導入したT細胞を培養・増幅してから患者に戻す従来のCAR-T療法とは異なり、遺伝子導入と細胞増殖を体内で完結させる点が特徴。
3. ステージアップした研究開発戦略及び成長戦略
同社は、2023年にmRNA創薬を中心とするビジネスに転換し、mRNA医薬の創製を目指したIPGモデルの確立を図る成長戦略「NANO MRNA1.0」を推進してきた。そして2025年から、これを「NANO MRNA2.0」へと進化させ、新たな取り組みを開始している。「NANO MRNA2.0」は、次の4つの重点項目から構成されている。1) TUG1 ASO及びRUNX1 mRNAのPOC確立を加速する。2) 臨床POCが確立した独自DDS製剤のGMP製造体制をパートナーと協力して確立することにより価値を最大化する。3) mRNA医薬パイプラインを協業により第2世代へシフトする。4) 開発経験豊富ながん領域への再注力しRNA医薬パイプラインを創出する。
■Key Points
・重点開発品のTUG1 ASO、RUNX1 mRNAの初期臨床試験は順調に進展。新たにmRNA医薬の受託研究型事業を開始
・高成長が見込まれる第2世代mRNA医薬へシフト
・2025年より成長戦略「NANO MRNA2.0」を開始。4つの重点項目を推進し成長目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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