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松風:歯科医療の進化を支える高付加価値戦略とグローバル成長路線
配信日時:2025/07/15 09:17
配信元:FISCO
*09:17JST 松風:歯科医療の進化を支える高付加価値戦略とグローバル成長路線
松風<7979>は、歯科用製品を中心とした医療機器メーカーであり、デンタル関連事業とネイル事業を主軸に展開している。とりわけデンタル事業では、人工歯、研削材、充填修復材、CAD/CAM関連製品、機械器具といった歯科領域における総合的な製品群を取り揃えており、製品の自社開発比率は8割を超える。販売は代理店経由が主体であるが、国内の歯科関係者との強固なネットワークを背景にした営業体制が特徴的である。2025年3月期の売上構成比においては、デンタル事業が93.9%を占め、そのうち化工品類(CAD/CAMレジンブロック、充填修復材等)が35.3%と最大の比重を占める。
同社の競争優位性は、100年超の歴史に裏付けられたブランドと、研究開発力を中核に置いた製品展開にある。国内では人工歯類で37.0%、研削材類で46.3%と高いシェアを誇る一方、グローバル市場におけるプレゼンスはまだ限定的である。競合となるGCやIvoclar、Solventum と比較した場合、松風の特長は、充填修復材やCAD/CAM関連製品といった高付加価値製品のラインアップに加え、製品供給から営業、サポートまで一貫して提供できる体制にある。特に「S-PRGフィラー」を用いたGiomer製品や、保険適用となった「松風ブロックPEEK」は、競合と差別化可能な成長ドライバーとして注目されている。
2025年3月期の売上高は38,698百万円(前期比10.3%増)、営業利益5,392百万円(同14.5%増)と、売上・利益ともに過去最高を更新した。原材料費や人件費の上昇、物流費の増加など外部環境のコスト圧力があったものの、国内外での製品販売が好調に推移した。とりわけ化工品類(充填修復材やCAD/CAMレジンブロックなど)は、供給制約の解消とグローバルなプロモーション再開により、大幅な増収を実現。国内では「松風ブロックPEEK」の保険適用を契機とした販売拡大が寄与し、海外では北米・欧州・中国を中心に充填修復材や歯冠材料、研削材が堅調に推移した。また、CAD/CAM関連機器や歯科用デジタルカメラ「アイスペシャルC-V」の販売も伸長し、機械器具類も全体としてプラスに貢献した。円安の進行も追い風となり、海外売上高は22,685百万円(同12.4%増)と全体の58.6%を占めた。為替要因を除いても全地域で堅調な伸びを見せており、収益構造の強化が進んでいる。
2026年3月期の売上高は40,876百万円(同5.6%増)、営業利益5,236百万円(同2.9%減)を見込む。為替の追い風があった前期と異なり、今期は円高前提での計画。営業・経常利益は減益見込みだが、基盤成長によりトップラインと最終利益は拡大を想定している。主力である化工品類を中心に各地域でバランスのとれた成長が継続し、歯科医療のデジタル化進展を背景に、製品ラインアップの拡充と市場開拓が進められる見通しである。また、中国の第2工場建設や本社工場の再整備といった生産能力の増強に加え、販路拡大・M&A戦略も成長の下支えとなる。海外展開の加速とともに、認知度向上に向けたブランド強化策も講じられており、グローバル市場における競争力の向上が期待される。
市場環境としては、世界的に歯科医療の需要は拡大基調にある。高齢化やQOL(生活の質)向上に対する関心の高まりを背景に、予防歯科や審美歯科への需要が顕著である。また、デジタル化の進展により、CAD/CAMを中心とした歯科器材市場は構造的な成長が期待されている。他方で、世界的には価格競争が激化しており、とくに中国市場ではローカルメーカーとの競合が強まっている。加えて、各国の薬事規制や政策変更など、地域特有の制度対応が求められており、柔軟な事業運営体制が不可欠となっている。そのほか、世界の歯科材料市場128億ドル(約1.8兆円)における同社の世界シェアは2%程度となっており、まだまだ拡大の余地が大きい。
今後の成長見通しとしては、現行の中期経営計画「500億円構想」(2024-2027年度)に沿い、グローバル市場での販売拡大と生産能力強化を両立する方針である。中でも化工品類は成長の牽引役とされており、地域の需要・ニーズに適合した新製品を開発・投入していくほか、新興国市場での需要拡大を背景に積極的な営業活動も展開する。また、現在は日本から輸出している中国市場向け製品については、今後の現地生産体制の整備が進められており、供給制約の解消とコスト競争力の強化が見込まれる。国内では本社工場の再建計画も進行中であり、生産キャパシティの増強が今後の売上拡大と利益成長に資するものと考えられる。加えて、M&A戦略としては、販売チャネルや製品補完を目的とした案件を優先しつつ、持続的な成長を志向した布石が講じられている。
株主還元については、連結配当性向40%以上、DOE3%以上を基本方針としており、2026年3月期の年間配当金は53円を予想。持続的な利益成長と資本効率の改善を前提にした還元姿勢が示されている。また、政策保有株式の見直しも進めており、資本効率(ROE)向上への寄与が期待される。資本コストや株価を意識した経営の実現についても積極的な姿勢を示しており、PBR・PERは医療機器セクター平均に届いていないなか、流動性の向上とIR活動の積極化、供給能力の強化を前提とした成長投資を行っていく。長期的には、世界の歯科器材市場においてTOP10以内に位置する企業になることを掲げており、同社の持続的な成長に注目しておきたい。
<HM>
同社の競争優位性は、100年超の歴史に裏付けられたブランドと、研究開発力を中核に置いた製品展開にある。国内では人工歯類で37.0%、研削材類で46.3%と高いシェアを誇る一方、グローバル市場におけるプレゼンスはまだ限定的である。競合となるGCやIvoclar、Solventum と比較した場合、松風の特長は、充填修復材やCAD/CAM関連製品といった高付加価値製品のラインアップに加え、製品供給から営業、サポートまで一貫して提供できる体制にある。特に「S-PRGフィラー」を用いたGiomer製品や、保険適用となった「松風ブロックPEEK」は、競合と差別化可能な成長ドライバーとして注目されている。
2025年3月期の売上高は38,698百万円(前期比10.3%増)、営業利益5,392百万円(同14.5%増)と、売上・利益ともに過去最高を更新した。原材料費や人件費の上昇、物流費の増加など外部環境のコスト圧力があったものの、国内外での製品販売が好調に推移した。とりわけ化工品類(充填修復材やCAD/CAMレジンブロックなど)は、供給制約の解消とグローバルなプロモーション再開により、大幅な増収を実現。国内では「松風ブロックPEEK」の保険適用を契機とした販売拡大が寄与し、海外では北米・欧州・中国を中心に充填修復材や歯冠材料、研削材が堅調に推移した。また、CAD/CAM関連機器や歯科用デジタルカメラ「アイスペシャルC-V」の販売も伸長し、機械器具類も全体としてプラスに貢献した。円安の進行も追い風となり、海外売上高は22,685百万円(同12.4%増)と全体の58.6%を占めた。為替要因を除いても全地域で堅調な伸びを見せており、収益構造の強化が進んでいる。
2026年3月期の売上高は40,876百万円(同5.6%増)、営業利益5,236百万円(同2.9%減)を見込む。為替の追い風があった前期と異なり、今期は円高前提での計画。営業・経常利益は減益見込みだが、基盤成長によりトップラインと最終利益は拡大を想定している。主力である化工品類を中心に各地域でバランスのとれた成長が継続し、歯科医療のデジタル化進展を背景に、製品ラインアップの拡充と市場開拓が進められる見通しである。また、中国の第2工場建設や本社工場の再整備といった生産能力の増強に加え、販路拡大・M&A戦略も成長の下支えとなる。海外展開の加速とともに、認知度向上に向けたブランド強化策も講じられており、グローバル市場における競争力の向上が期待される。
市場環境としては、世界的に歯科医療の需要は拡大基調にある。高齢化やQOL(生活の質)向上に対する関心の高まりを背景に、予防歯科や審美歯科への需要が顕著である。また、デジタル化の進展により、CAD/CAMを中心とした歯科器材市場は構造的な成長が期待されている。他方で、世界的には価格競争が激化しており、とくに中国市場ではローカルメーカーとの競合が強まっている。加えて、各国の薬事規制や政策変更など、地域特有の制度対応が求められており、柔軟な事業運営体制が不可欠となっている。そのほか、世界の歯科材料市場128億ドル(約1.8兆円)における同社の世界シェアは2%程度となっており、まだまだ拡大の余地が大きい。
今後の成長見通しとしては、現行の中期経営計画「500億円構想」(2024-2027年度)に沿い、グローバル市場での販売拡大と生産能力強化を両立する方針である。中でも化工品類は成長の牽引役とされており、地域の需要・ニーズに適合した新製品を開発・投入していくほか、新興国市場での需要拡大を背景に積極的な営業活動も展開する。また、現在は日本から輸出している中国市場向け製品については、今後の現地生産体制の整備が進められており、供給制約の解消とコスト競争力の強化が見込まれる。国内では本社工場の再建計画も進行中であり、生産キャパシティの増強が今後の売上拡大と利益成長に資するものと考えられる。加えて、M&A戦略としては、販売チャネルや製品補完を目的とした案件を優先しつつ、持続的な成長を志向した布石が講じられている。
株主還元については、連結配当性向40%以上、DOE3%以上を基本方針としており、2026年3月期の年間配当金は53円を予想。持続的な利益成長と資本効率の改善を前提にした還元姿勢が示されている。また、政策保有株式の見直しも進めており、資本効率(ROE)向上への寄与が期待される。資本コストや株価を意識した経営の実現についても積極的な姿勢を示しており、PBR・PERは医療機器セクター平均に届いていないなか、流動性の向上とIR活動の積極化、供給能力の強化を前提とした成長投資を行っていく。長期的には、世界の歯科器材市場においてTOP10以内に位置する企業になることを掲げており、同社の持続的な成長に注目しておきたい。
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