注目トピックス 日本株
日空調 Research Memo(8):数値目標は2026年3月期に営業利益95億円、ROE10.0%以上(2)
配信日時:2025/06/27 14:08
配信元:FISCO
*14:08JST 日空調 Research Memo(8):数値目標は2026年3月期に営業利益95億円、ROE10.0%以上(2)
■中期経営計画「SNK Vision 2030 Phase II」
3. 新日本空調<1952>の「SNK Vision 2030 Phase II」の進捗状況
(1) 2025年3月期における主な取り組み
主に以下の5分野で進捗があった。
1) 時間外労働の上限規制への対応
工事の平準化や業務の効率化を進め、適切な施工体制を構築し、上限規制の遵守率は100%を達成した。
2) 将来の成長に向けた戦略投資
人的資本の強化、デジタル変革、成長分野への展開に向け、40億円を超える投資を実行した。
3) カーボンニュートラルに向けた技術開発
同社が保有する技術「設備運用データ見える化ツール」とGHG排出量可視化クラウドサービスの連携を実現し、保有技術の深化を推進した。
4) 株主還元の強化
株式分割による市場の流動性向上と約10億円の自己株式取得による株主への利益還元を実現した。
5) ブランディング戦略の推進
企業認知度の向上や人材獲得を目的に、ウルトラマンをイメージキャラクターに起用した新たな広告を作成・展開し、ブランディングを強化した。
これらの取り組みの詳細は以下のとおりである。
(2) 現場業務の効率化と省力化、サプライチェーンの強化を推進
同社独自の物流・加工ネットワークシステムによる物流及び加工場などの一括管理、具体的にはこれまで首都圏だけで展開してきた「SNK-SOLNet(R)」の全国展開を進めた。これにより、現場工数の10~30%削減を目指している。
(3) 減災レジリエンス技術や新たな社会課題解決に向けた新技術開発と産学官・地域連携等による技術提供・共同開発の推進
具体的には、同社グループでは千葉大学災害治療学研究所と共同で、放射線災害治療学研究をテーマとした放射線災害に対応する安全な医療体制と空調設備の研究を行っており、以下のような具体的な案件を進めている。
1) コンテナ医療ユニットの被ばく対策
課題:感染症や放射能汚染環境下での運用を検討。
2) 患者受け入れ時の被ばく対策
被ばく汚染に応じて陰圧・陽圧の切り替えを行い、浮遊粉塵の飛散を抑制。
(4) 事業領域の拡大・成長分野への展開
スタートアップとの協業やJAXAとの共同研究による宇宙産業への参画など、以下のような案件が進行中である。
・宇宙ビジネス共創プラットフォーム「クロスユー」に参加
・放射線対策技術を生かし、JAXAと研究開発契約締結
・Frontier Innovations 1号に出資し、スタートアップとの協業間口を拡大
・高高度有人気球の開発・製造・運航を行う(株)岩谷技研に出資、協業を開始
(5) 技術革新、新たな社会課題解決に向けた新技術開発及び地域連携等による技術提供・共同開発の推進
これらを実現するために、2028年3月期上期に新技術開発拠点「SNK EBINA Innovation X HIVE(R)」を開設することを決定した。この拠点は、三井不動産<8801>が手掛ける「三井不動産インダストリアルパーク(MFIP海老名& forest)内に整備される大規模テナント型の研究施設であり、設備業界としては初の取り組みとなる。複数テナント型物流施設の中に、木造構造を採用した研究拠点を開設することで、自然資源の循環を促進し、持続可能な街づくりへの貢献を目指す。
(6) カーボンニュートラルの取り組み
科学的な根拠に基づいたGHG排出量削減目標を設定し、2026年3月期中のSBT(Science Based Targets)認証取得を目指している。基準年を2021年とし、2030年までに以下の削減目標を掲げている。
(具体的な削減目標)
・Scope1+Scope2:60.6%削減(再生エネルギーの導入、電気自動車への切り替えなど)
・Scope3:22.5%削減(排出量のうち、約99%を占めるカテゴリー11を削減)
またTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応としては、気候変動が事業に与える影響を評価し、長期的な視点から低炭素技術の開発、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの活用拡大に取り組んでいる。主な取り組みとしては、(株)Sustechとの協業により、脱炭素・省エネルギー分野におけるサービスの高度化や事業開発を推進、さらに設備運用データの見える化ツール「EQデータグラス(R)」とGHG排出量可視化クラウドサービス「CARBONIX」との連携を進めている。
今後は、自然資本との関係性を可視化することで、リスクの早期特定と対策を講じ、機会創出につなげる。これにより、事業戦略の拡大とともに、企業の信頼性と競争力の向上を図る。
(7) ブランディング推進と次世代を担う人材の確保に向けた取り組み
企業ブランドの強化及び認知度向上を目的に、ウルトラマンをイメージキャラクターに起用し、企業広告「カイテキヒーロー」を公開した。この広告は、ステークホルダーからの信頼獲得や、人的資本戦略の一環としての人材獲得促進も視野に入れた、総合的なブランディング施策の1つである。キャッチコピーである「カイテキヒーロー」には、ウルトラマンが地球を守るヒーローであるように、同社も“空気の快適を守るヒーロー”として社会に貢献するという想いを込めている。これらの広告を、主に「You Tube」や「TVer」を通して積極的に発信している。
(8) 投資計画
本計画において同社は、2026年3月期までに「R&D、成長事業、環境、その他」「人的資本」「デジタル革命」の3分野に累計で150~200億円の投資を行うことを発表済みだが、2025年3月期までの実績として、これら3分野に各々30億円(累計)を投資した。最終年度までには、残りの投資枠を以下のような分野に投資する計画だ。
(R&D、成長事業、環境その他)
研究開発の推進、スタートアップとの連携強化(宇宙産業など)、ロジスティクスセンター(SNK-SOLNet)の全国展開、ESG投資、働きやすい空間創りなど。
(人的資本)
人材の獲得(新卒・キャリア)と育成、ブランディングの強化(新広告の展開)、エンゲージメントの向上、リスキリングの強化など。
(デジタル変革)
現場デジタル化の推進、生成AIの活用、デジタルインテグレーションの推進など。
(9) 株式分割・自己株式取得・政策保有株式の削減
同社は、株価水準及び市場の流動性向上を目的として、2025年1月1日を効力発生日として、1株につき2株の割合で株式分割を行った。また株主還元の拡充及び資本効率向上を目的に、上限総額10億円とする自己株式の取得を実施し、2025年2月4日に取得を完了した。さらに、2026年3月期末までに政策保有株式の20%削減(2023年3月末比)を発表しているが、既に2025年3月期末までに3,589百万円を削減済みで、これは目標値20%のうち16.5%を削減したことになる。
■株主還元策
配当方針をDOE5.0%以上に変更。2026年3月期は年間80円配当を予定
同社は、株主還元に関する基本方針としてDOEの下限を3%、連結配当性向30%以上としていたが、適正な資本効率を実現するため2025年3月期から基本方針を「DOEの下限を5%、2030年までは原則減配をしない」に変更した。これに伴い2025年3月期の配当を年間80円に増配(2024年3月期は年間50円)したが、2026年3月期も年間配当80円を発表済みだ。このように、単に業績の向上を目指すだけでなく、資本政策と株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
3. 新日本空調<1952>の「SNK Vision 2030 Phase II」の進捗状況
(1) 2025年3月期における主な取り組み
主に以下の5分野で進捗があった。
1) 時間外労働の上限規制への対応
工事の平準化や業務の効率化を進め、適切な施工体制を構築し、上限規制の遵守率は100%を達成した。
2) 将来の成長に向けた戦略投資
人的資本の強化、デジタル変革、成長分野への展開に向け、40億円を超える投資を実行した。
3) カーボンニュートラルに向けた技術開発
同社が保有する技術「設備運用データ見える化ツール」とGHG排出量可視化クラウドサービスの連携を実現し、保有技術の深化を推進した。
4) 株主還元の強化
株式分割による市場の流動性向上と約10億円の自己株式取得による株主への利益還元を実現した。
5) ブランディング戦略の推進
企業認知度の向上や人材獲得を目的に、ウルトラマンをイメージキャラクターに起用した新たな広告を作成・展開し、ブランディングを強化した。
これらの取り組みの詳細は以下のとおりである。
(2) 現場業務の効率化と省力化、サプライチェーンの強化を推進
同社独自の物流・加工ネットワークシステムによる物流及び加工場などの一括管理、具体的にはこれまで首都圏だけで展開してきた「SNK-SOLNet(R)」の全国展開を進めた。これにより、現場工数の10~30%削減を目指している。
(3) 減災レジリエンス技術や新たな社会課題解決に向けた新技術開発と産学官・地域連携等による技術提供・共同開発の推進
具体的には、同社グループでは千葉大学災害治療学研究所と共同で、放射線災害治療学研究をテーマとした放射線災害に対応する安全な医療体制と空調設備の研究を行っており、以下のような具体的な案件を進めている。
1) コンテナ医療ユニットの被ばく対策
課題:感染症や放射能汚染環境下での運用を検討。
2) 患者受け入れ時の被ばく対策
被ばく汚染に応じて陰圧・陽圧の切り替えを行い、浮遊粉塵の飛散を抑制。
(4) 事業領域の拡大・成長分野への展開
スタートアップとの協業やJAXAとの共同研究による宇宙産業への参画など、以下のような案件が進行中である。
・宇宙ビジネス共創プラットフォーム「クロスユー」に参加
・放射線対策技術を生かし、JAXAと研究開発契約締結
・Frontier Innovations 1号に出資し、スタートアップとの協業間口を拡大
・高高度有人気球の開発・製造・運航を行う(株)岩谷技研に出資、協業を開始
(5) 技術革新、新たな社会課題解決に向けた新技術開発及び地域連携等による技術提供・共同開発の推進
これらを実現するために、2028年3月期上期に新技術開発拠点「SNK EBINA Innovation X HIVE(R)」を開設することを決定した。この拠点は、三井不動産<8801>が手掛ける「三井不動産インダストリアルパーク(MFIP海老名& forest)内に整備される大規模テナント型の研究施設であり、設備業界としては初の取り組みとなる。複数テナント型物流施設の中に、木造構造を採用した研究拠点を開設することで、自然資源の循環を促進し、持続可能な街づくりへの貢献を目指す。
(6) カーボンニュートラルの取り組み
科学的な根拠に基づいたGHG排出量削減目標を設定し、2026年3月期中のSBT(Science Based Targets)認証取得を目指している。基準年を2021年とし、2030年までに以下の削減目標を掲げている。
(具体的な削減目標)
・Scope1+Scope2:60.6%削減(再生エネルギーの導入、電気自動車への切り替えなど)
・Scope3:22.5%削減(排出量のうち、約99%を占めるカテゴリー11を削減)
またTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応としては、気候変動が事業に与える影響を評価し、長期的な視点から低炭素技術の開発、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの活用拡大に取り組んでいる。主な取り組みとしては、(株)Sustechとの協業により、脱炭素・省エネルギー分野におけるサービスの高度化や事業開発を推進、さらに設備運用データの見える化ツール「EQデータグラス(R)」とGHG排出量可視化クラウドサービス「CARBONIX」との連携を進めている。
今後は、自然資本との関係性を可視化することで、リスクの早期特定と対策を講じ、機会創出につなげる。これにより、事業戦略の拡大とともに、企業の信頼性と競争力の向上を図る。
(7) ブランディング推進と次世代を担う人材の確保に向けた取り組み
企業ブランドの強化及び認知度向上を目的に、ウルトラマンをイメージキャラクターに起用し、企業広告「カイテキヒーロー」を公開した。この広告は、ステークホルダーからの信頼獲得や、人的資本戦略の一環としての人材獲得促進も視野に入れた、総合的なブランディング施策の1つである。キャッチコピーである「カイテキヒーロー」には、ウルトラマンが地球を守るヒーローであるように、同社も“空気の快適を守るヒーロー”として社会に貢献するという想いを込めている。これらの広告を、主に「You Tube」や「TVer」を通して積極的に発信している。
(8) 投資計画
本計画において同社は、2026年3月期までに「R&D、成長事業、環境、その他」「人的資本」「デジタル革命」の3分野に累計で150~200億円の投資を行うことを発表済みだが、2025年3月期までの実績として、これら3分野に各々30億円(累計)を投資した。最終年度までには、残りの投資枠を以下のような分野に投資する計画だ。
(R&D、成長事業、環境その他)
研究開発の推進、スタートアップとの連携強化(宇宙産業など)、ロジスティクスセンター(SNK-SOLNet)の全国展開、ESG投資、働きやすい空間創りなど。
(人的資本)
人材の獲得(新卒・キャリア)と育成、ブランディングの強化(新広告の展開)、エンゲージメントの向上、リスキリングの強化など。
(デジタル変革)
現場デジタル化の推進、生成AIの活用、デジタルインテグレーションの推進など。
(9) 株式分割・自己株式取得・政策保有株式の削減
同社は、株価水準及び市場の流動性向上を目的として、2025年1月1日を効力発生日として、1株につき2株の割合で株式分割を行った。また株主還元の拡充及び資本効率向上を目的に、上限総額10億円とする自己株式の取得を実施し、2025年2月4日に取得を完了した。さらに、2026年3月期末までに政策保有株式の20%削減(2023年3月末比)を発表しているが、既に2025年3月期末までに3,589百万円を削減済みで、これは目標値20%のうち16.5%を削減したことになる。
■株主還元策
配当方針をDOE5.0%以上に変更。2026年3月期は年間80円配当を予定
同社は、株主還元に関する基本方針としてDOEの下限を3%、連結配当性向30%以上としていたが、適正な資本効率を実現するため2025年3月期から基本方針を「DOEの下限を5%、2030年までは原則減配をしない」に変更した。これに伴い2025年3月期の配当を年間80円に増配(2024年3月期は年間50円)したが、2026年3月期も年間配当80円を発表済みだ。このように、単に業績の向上を目指すだけでなく、資本政策と株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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