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早稲アカ Research Memo(5):小学部を中心に塾生数が拡大、2025年3月期は連続で過去最高を更新(2)
配信日時:2025/06/19 14:05
配信元:FISCO
*14:05JST 早稲アカ Research Memo(5):小学部を中心に塾生数が拡大、2025年3月期は連続で過去最高を更新(2)
■早稲田アカデミー<4718>の業績動向
(2) 校舎展開
校舎展開としては、2024年7月に早稲田アカデミー(小・中学部)晴海校、10月に個別進学館赤羽校、2025年3月に東進衛星予備校武蔵浦和校及び桜新町校を新規開校した。また、生徒数増加に対応するため個別進学館高輪台校を移転し、2024年9月に個別進学館五反田校を開校したほか、6月には個別進学館西早稲田校を、2025年3月に個別進学館和光校を譲受し直営化した。
子会社では幼児未来教育が運営する1歳から6歳までの未就学児を対象とした幼児教室「サン・キッズ」3校のうち、2025年3月に1校を閉校した。このため期末の生徒数は130名と前期末から減少したが、2校の生徒数は堅調に推移しているほか、2025年4月に豊洲校を開校しており、2026年3月期は生徒数も増加に転じる見通しだ。
(3) 営業利益の増減要因
2025年3月期の営業利益は前期比660百万円の増益となった。増減要因を見ると、売上高の増加で2,202百万円増となったのに対して、減少費目として人的投資の増加で831百万円(賃上げ・人員増による人件費増、研修費・採用費増)、地代家賃の増加で250百万円(新校開校、移転増床、賃料値上げ)、広告宣伝費及び販促費の増加で38百万円、合宿費の増加で74百万円※、償却費等の増加で105百万円(校舎設備、DX投資)、その他費用の増加で244百万円となった。
※ 2023年夏期合宿は小学4年生、中学1年生に限定して4年ぶりに再開したが、2024年は小学6年生(高校受験準備コース)、中学2年生を追加して開催した。2025年はさらに対象学年を広げる予定。
営業利益率は前期比で1.3ポイント上昇の10.1%となった。売上原価率が0.9ポイント、販管費率で0.4ポイントそれぞれ改善した。原価率の内訳を見ると、労務費率が0.3ポイント上昇し、原材料費率が0.8ポイント、地代家賃率が0.3ポイント、その他が0.1ポイントそれぞれ低下した。教材費率の低下については、一部模試の単価引き下げによる模試仕入高の減少等による。一方、販管費は前期比で4.7ポイント上昇したが、広告宣伝費率が0.1ポイント上昇した以外には、DX推進等によるソフトウェア償却費等の増加が挙げられる。広告宣伝費については、地域別広告宣伝やWebプロモーションを強化したほか、採用強化を目的とした広告費を積み増した。
(4) 子会社の業績動向
野田学園については、既卒生の減少傾向が続いており売上高は低迷したものの、利益は確保している。水戸アカデミーや集学舎については塾生数や売上高ともに堅調に推移した。水戸アカデミーについては、2025年の入試において県内トップ校である水戸第一高校及び附属中学校の合格実績でトップを奪取したことで、新年度の入塾状況が好調な滑り出しとなっている。また、海外子会社についても塾生数は堅調に推移しており、2025年の入試において早慶附属校で約70名の合格者数を出すなど順調に実績が積み上がっている。2025年3月期より連結対象に加わった幼児未来教育は売上高で1億円弱の寄与があったと見られる。なお、子会社の業績規模(連結業績から単体業績を減算)は売上高で1,807百万円(前期比222百万円増)、営業利益で56百万円(同2百万円減)となっており、連結業績に与える影響は軽微となっている。
無借金経営で好財務内容、手元キャッシュは過去最高水準に積み上がる
2. 財務状況と経営指標
2025年3月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比1,427百万円増加の24,485百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が424百万円、営業未収入金が138百万円、前払費用が211百万円それぞれ増加し、固定資産では長期前払費用を448百万円※計上した。
※ 従業員RS(譲渡制限付株式)を付与するため、自己株式242千株を450百万円で従業員持株会に割当てたもの。
負債合計は前期末比506百万円増加の9,300百万円となった。流動負債では未払法人税等が336百万円増加した。固定負債では資産除去債務が78百万円増加した。純資産合計は前期末比920百万円増加の15,184百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益2,338百万円の計上と配当金支出845百万円により、利益剰余金が1,493百万円増加した。また、自己株式も自己株式取得と従業員RSによる処分を行ったことにより677百万円増加した。
経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率が62.0%と高水準を維持しているほか、無借金経営で現金及び預金も80億円超と過去最高水準に積み上がっており、財務内容は健全な状態にあると判断される。積み上がった資金については新規校舎の開設や新サービスの開発、あるいはM&A等の成長投資、株主還元などに充当する方針だ。収益性については売上高営業利益率、ROAともに4期連続で上昇し、ROEも15.9%と高水準で推移している。学習塾業界では少子化や物価上昇の影響で苦戦する企業が増え二極化の様相を呈するなかで、同社は高い合格実績を挙げ続けるとともにDX戦略によりサービス品質を高め、顧客支持を集めながら収益拡大を続けており、「勝ち組み」企業として評価される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2) 校舎展開
校舎展開としては、2024年7月に早稲田アカデミー(小・中学部)晴海校、10月に個別進学館赤羽校、2025年3月に東進衛星予備校武蔵浦和校及び桜新町校を新規開校した。また、生徒数増加に対応するため個別進学館高輪台校を移転し、2024年9月に個別進学館五反田校を開校したほか、6月には個別進学館西早稲田校を、2025年3月に個別進学館和光校を譲受し直営化した。
子会社では幼児未来教育が運営する1歳から6歳までの未就学児を対象とした幼児教室「サン・キッズ」3校のうち、2025年3月に1校を閉校した。このため期末の生徒数は130名と前期末から減少したが、2校の生徒数は堅調に推移しているほか、2025年4月に豊洲校を開校しており、2026年3月期は生徒数も増加に転じる見通しだ。
(3) 営業利益の増減要因
2025年3月期の営業利益は前期比660百万円の増益となった。増減要因を見ると、売上高の増加で2,202百万円増となったのに対して、減少費目として人的投資の増加で831百万円(賃上げ・人員増による人件費増、研修費・採用費増)、地代家賃の増加で250百万円(新校開校、移転増床、賃料値上げ)、広告宣伝費及び販促費の増加で38百万円、合宿費の増加で74百万円※、償却費等の増加で105百万円(校舎設備、DX投資)、その他費用の増加で244百万円となった。
※ 2023年夏期合宿は小学4年生、中学1年生に限定して4年ぶりに再開したが、2024年は小学6年生(高校受験準備コース)、中学2年生を追加して開催した。2025年はさらに対象学年を広げる予定。
営業利益率は前期比で1.3ポイント上昇の10.1%となった。売上原価率が0.9ポイント、販管費率で0.4ポイントそれぞれ改善した。原価率の内訳を見ると、労務費率が0.3ポイント上昇し、原材料費率が0.8ポイント、地代家賃率が0.3ポイント、その他が0.1ポイントそれぞれ低下した。教材費率の低下については、一部模試の単価引き下げによる模試仕入高の減少等による。一方、販管費は前期比で4.7ポイント上昇したが、広告宣伝費率が0.1ポイント上昇した以外には、DX推進等によるソフトウェア償却費等の増加が挙げられる。広告宣伝費については、地域別広告宣伝やWebプロモーションを強化したほか、採用強化を目的とした広告費を積み増した。
(4) 子会社の業績動向
野田学園については、既卒生の減少傾向が続いており売上高は低迷したものの、利益は確保している。水戸アカデミーや集学舎については塾生数や売上高ともに堅調に推移した。水戸アカデミーについては、2025年の入試において県内トップ校である水戸第一高校及び附属中学校の合格実績でトップを奪取したことで、新年度の入塾状況が好調な滑り出しとなっている。また、海外子会社についても塾生数は堅調に推移しており、2025年の入試において早慶附属校で約70名の合格者数を出すなど順調に実績が積み上がっている。2025年3月期より連結対象に加わった幼児未来教育は売上高で1億円弱の寄与があったと見られる。なお、子会社の業績規模(連結業績から単体業績を減算)は売上高で1,807百万円(前期比222百万円増)、営業利益で56百万円(同2百万円減)となっており、連結業績に与える影響は軽微となっている。
無借金経営で好財務内容、手元キャッシュは過去最高水準に積み上がる
2. 財務状況と経営指標
2025年3月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比1,427百万円増加の24,485百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が424百万円、営業未収入金が138百万円、前払費用が211百万円それぞれ増加し、固定資産では長期前払費用を448百万円※計上した。
※ 従業員RS(譲渡制限付株式)を付与するため、自己株式242千株を450百万円で従業員持株会に割当てたもの。
負債合計は前期末比506百万円増加の9,300百万円となった。流動負債では未払法人税等が336百万円増加した。固定負債では資産除去債務が78百万円増加した。純資産合計は前期末比920百万円増加の15,184百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益2,338百万円の計上と配当金支出845百万円により、利益剰余金が1,493百万円増加した。また、自己株式も自己株式取得と従業員RSによる処分を行ったことにより677百万円増加した。
経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率が62.0%と高水準を維持しているほか、無借金経営で現金及び預金も80億円超と過去最高水準に積み上がっており、財務内容は健全な状態にあると判断される。積み上がった資金については新規校舎の開設や新サービスの開発、あるいはM&A等の成長投資、株主還元などに充当する方針だ。収益性については売上高営業利益率、ROAともに4期連続で上昇し、ROEも15.9%と高水準で推移している。学習塾業界では少子化や物価上昇の影響で苦戦する企業が増え二極化の様相を呈するなかで、同社は高い合格実績を挙げ続けるとともにDX戦略によりサービス品質を高め、顧客支持を集めながら収益拡大を続けており、「勝ち組み」企業として評価される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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