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SI Research Memo(4):2025年2月期第2四半期累計業績はERP事業の好調により期初計画を上回る
配信日時:2024/11/15 11:04
配信元:FISCO
*11:04JST SI Research Memo(4):2025年2月期第2四半期累計業績はERP事業の好調により期初計画を上回る
■システムインテグレータ<3826>の業績動向
1. 2025年2月期第2四半期累計の業績概要
2025年2月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で2,228百万円、営業利益で79百万円、経常利益で98百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で75百万円となり、いずれも期初計画を超過達成した。ERP事業で想定を上回って受注を獲得できたことに加えて、福岡支社及び大阪支社の移転・増床にかかる一時費用が想定よりも15百万円程度抑制できたことが主な上振れ要因となった。
前年同期の単体業績と比較すると、E-Commerce事業がなくなった影響により売上高で8.1%減、営業利益で60.7%減となったが、既存事業ベースでは売上高で11.6%増、営業利益で7.5%減となった。営業利益の減益要因は、支社の移転・増床にかかる一時費用(約30百万円)の計上や研究開発費の増加(前年同期比28百万円増の48百万円)、並びに積極的な人材投資やSAP事業の立ち上げ準備等によるエンジニアの一時的な稼働率低下(同1.8ポイント低下の63.7%)が要因だ。第2四半期末の単体の従業員数は244名で前年同期比4名減だが、E-Commerce事業の人員32名が転籍した影響によるもので、既存事業ベースでは28名増(うち、新卒15名)となっている。そのほか、ベトナム子会社で49名の社員を有している。なお、E-Commerce事業にかかる持分法投資利益として18百万円を営業外収益として計上した。
ERP事業は2ケタ増収を持続、AI事業やその他事業は損失額が縮小
2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前年同期比7.9%増の394百万円、セグメント利益は同3.4%減の167百万円となった。「Object Browser」シリーズの売上高は前年同期比横ばい水準にとどまったものの、「OBPM Neo」が既存大手IT企業の追加案件や新規契約の獲得により順調に拡大した。「OBPM Neo」のMRR(月次売上収益)は第2四半期で前年同期比19.2%増の34,996千円と2ケタ成長が続き、解約率も1.3%と低水準となっている。利益面では、組織改編を実施したことに伴う一時的な販売費用の増加が減益要因となった。
(2) ERP事業
ERP事業の売上高は前年同期比12.3%増の1,781百万円、セグメント利益は同4.3%減の329百万円となった。製造業を中心に新規顧客からの引き合いが増加し、体制強化に取り組んできた効果もあって売上高は「GRANDIT」を中心に好調に推移した。また、「SAP S/4HANA」についても初受注を獲得し、2024年6月より開発業務に着手しているが今のところ順調に進んでいるようだ。連結子会社のKEYSTONE SOLUTIONS COMPANY LIMITEDもグループ外の日系製造業向けERP案件を受注するなど順調に拡大しており、利益も若干ながら貢献している。同子会社については、売上高の52.7%を同社以外の受注案件で占めており、今後も同様の売上比率を維持すべく営業活動を進める方針だ。利益面では、福岡支社及び大阪支社の移転・増床費用の計上やSAP事業の立ち上げ準備によるエンジニアの一時的な稼働率低下が減益要因となった。
(3) AI事業
AI事業の売上高は前年同期比56.3%増の34百万円、セグメント損失は17百万円(前年同期は19百万円の損失)となった。売上高はディープラーニング外観検査システム「AISIA-AD」の導入可能性を判断する簡易検証案件が大幅に増加したこと、PoC案件も4件と堅調となったことが増収要因となった。また外観検査だけでなく、製造業で用いられる図面を読み取り、大規模言語モデルと確認ルールを用いて図面の確認業務を効率化する新サービスの検討が進んでいる。既に同技術を用いたPoC案件を第2四半期に受注した。
(4) その他
新規事業が含まれるその他の売上高は前年同期比18.2%減の17百万円、セグメント損失は8百万円(前年同期は35百万円の損失)となった。プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」が伸び悩んだほか、アイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」の事業を前期末で終了したことが減収要因となったが、関連コストの減少により損失額は縮小した。
なお、「TOPSIC」については、多くの顧客企業の契約更新時期となる3月に解約が一部発生した影響により、契約社数は前年同期並みの水準にとどまった。また、第2四半期のMRRは同10.8%減の2,604千円と5四半期連続で減少した売上単価の高い顧客の解約が響いたものと見られる。解約率は3.5%に上昇したが、契約社数が40~50件程度と少ないため、1社解約しただけでも変動幅は大きくなる。同社は機能の拡充や顧客ターゲットを企業のHR部門並びに研修サービス企業などに絞ってマーケティング活動を強化し、契約社数の増加につなげていく考えだ。
財務内容は良好で手元キャッシュはM&Aも含めた成長投資と株主還元に充当する方針
3. 財務状況と経営指標
2025年2月期第2四半期末の連結ベースの資産合計は、単体の前期末と比較して116百万円減少の4,635百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は配当金支出や法人税等の支払いにより現金及び預金が346百万円減少し、売掛金及び契約資産が109百万円増加した。固定資産は有形固定資産が85百万円、投資その他が24百万円それぞれ増加し、ソフトウェア(ソフトウェア仮勘定含む)が12百万円減少した。
負債合計は前期末比60百万円減少の1,027百万円となった。買掛金及び契約負債が189百万円増加した一方で、未払法人税等が320百万円減少した。純資産合計は同56百万円減少の3,608百万円となった。中間純利益75百万円の計上と配当金131百万円を支出したことにより、利益剰余金が62百万円減少した。
経営指標を見ると、自己資本比率で77.7%、無借金経営で手元キャッシュも26億円強と同社の売上規模としては潤沢にあり、財務内容は良好と判断される。同社は手元キャッシュの使い道として、M&Aも含めた成長投資や株主還元に充当する方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2025年2月期第2四半期累計の業績概要
2025年2月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で2,228百万円、営業利益で79百万円、経常利益で98百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で75百万円となり、いずれも期初計画を超過達成した。ERP事業で想定を上回って受注を獲得できたことに加えて、福岡支社及び大阪支社の移転・増床にかかる一時費用が想定よりも15百万円程度抑制できたことが主な上振れ要因となった。
前年同期の単体業績と比較すると、E-Commerce事業がなくなった影響により売上高で8.1%減、営業利益で60.7%減となったが、既存事業ベースでは売上高で11.6%増、営業利益で7.5%減となった。営業利益の減益要因は、支社の移転・増床にかかる一時費用(約30百万円)の計上や研究開発費の増加(前年同期比28百万円増の48百万円)、並びに積極的な人材投資やSAP事業の立ち上げ準備等によるエンジニアの一時的な稼働率低下(同1.8ポイント低下の63.7%)が要因だ。第2四半期末の単体の従業員数は244名で前年同期比4名減だが、E-Commerce事業の人員32名が転籍した影響によるもので、既存事業ベースでは28名増(うち、新卒15名)となっている。そのほか、ベトナム子会社で49名の社員を有している。なお、E-Commerce事業にかかる持分法投資利益として18百万円を営業外収益として計上した。
ERP事業は2ケタ増収を持続、AI事業やその他事業は損失額が縮小
2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前年同期比7.9%増の394百万円、セグメント利益は同3.4%減の167百万円となった。「Object Browser」シリーズの売上高は前年同期比横ばい水準にとどまったものの、「OBPM Neo」が既存大手IT企業の追加案件や新規契約の獲得により順調に拡大した。「OBPM Neo」のMRR(月次売上収益)は第2四半期で前年同期比19.2%増の34,996千円と2ケタ成長が続き、解約率も1.3%と低水準となっている。利益面では、組織改編を実施したことに伴う一時的な販売費用の増加が減益要因となった。
(2) ERP事業
ERP事業の売上高は前年同期比12.3%増の1,781百万円、セグメント利益は同4.3%減の329百万円となった。製造業を中心に新規顧客からの引き合いが増加し、体制強化に取り組んできた効果もあって売上高は「GRANDIT」を中心に好調に推移した。また、「SAP S/4HANA」についても初受注を獲得し、2024年6月より開発業務に着手しているが今のところ順調に進んでいるようだ。連結子会社のKEYSTONE SOLUTIONS COMPANY LIMITEDもグループ外の日系製造業向けERP案件を受注するなど順調に拡大しており、利益も若干ながら貢献している。同子会社については、売上高の52.7%を同社以外の受注案件で占めており、今後も同様の売上比率を維持すべく営業活動を進める方針だ。利益面では、福岡支社及び大阪支社の移転・増床費用の計上やSAP事業の立ち上げ準備によるエンジニアの一時的な稼働率低下が減益要因となった。
(3) AI事業
AI事業の売上高は前年同期比56.3%増の34百万円、セグメント損失は17百万円(前年同期は19百万円の損失)となった。売上高はディープラーニング外観検査システム「AISIA-AD」の導入可能性を判断する簡易検証案件が大幅に増加したこと、PoC案件も4件と堅調となったことが増収要因となった。また外観検査だけでなく、製造業で用いられる図面を読み取り、大規模言語モデルと確認ルールを用いて図面の確認業務を効率化する新サービスの検討が進んでいる。既に同技術を用いたPoC案件を第2四半期に受注した。
(4) その他
新規事業が含まれるその他の売上高は前年同期比18.2%減の17百万円、セグメント損失は8百万円(前年同期は35百万円の損失)となった。プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」が伸び悩んだほか、アイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」の事業を前期末で終了したことが減収要因となったが、関連コストの減少により損失額は縮小した。
なお、「TOPSIC」については、多くの顧客企業の契約更新時期となる3月に解約が一部発生した影響により、契約社数は前年同期並みの水準にとどまった。また、第2四半期のMRRは同10.8%減の2,604千円と5四半期連続で減少した売上単価の高い顧客の解約が響いたものと見られる。解約率は3.5%に上昇したが、契約社数が40~50件程度と少ないため、1社解約しただけでも変動幅は大きくなる。同社は機能の拡充や顧客ターゲットを企業のHR部門並びに研修サービス企業などに絞ってマーケティング活動を強化し、契約社数の増加につなげていく考えだ。
財務内容は良好で手元キャッシュはM&Aも含めた成長投資と株主還元に充当する方針
3. 財務状況と経営指標
2025年2月期第2四半期末の連結ベースの資産合計は、単体の前期末と比較して116百万円減少の4,635百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は配当金支出や法人税等の支払いにより現金及び預金が346百万円減少し、売掛金及び契約資産が109百万円増加した。固定資産は有形固定資産が85百万円、投資その他が24百万円それぞれ増加し、ソフトウェア(ソフトウェア仮勘定含む)が12百万円減少した。
負債合計は前期末比60百万円減少の1,027百万円となった。買掛金及び契約負債が189百万円増加した一方で、未払法人税等が320百万円減少した。純資産合計は同56百万円減少の3,608百万円となった。中間純利益75百万円の計上と配当金131百万円を支出したことにより、利益剰余金が62百万円減少した。
経営指標を見ると、自己資本比率で77.7%、無借金経営で手元キャッシュも26億円強と同社の売上規模としては潤沢にあり、財務内容は良好と判断される。同社は手元キャッシュの使い道として、M&Aも含めた成長投資や株主還元に充当する方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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