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SFP Research Memo(6):短中期の新たな方向として地方都市への出店や低投資で安定的に稼ぐ業態拡大にも注力
配信日時:2024/10/28 13:06
配信元:FISCO
*13:06JST SFP Research Memo(6):短中期の新たな方向として地方都市への出店や低投資で安定的に稼ぐ業態拡大にも注力
■SFPホールディングス<3198>の今後の方向性
1. 今後の方向性とこれまでの進捗
同社は、2020年2月期までは毎年、向こう3ヶ年の中期経営計画を公表してきたが、2021年2月期以降はコロナ禍の影響により先行き不透明な状況にあったことから公表を見送っている。ただ、今後の環境変化等を見据え、短・中期的な方向性を明示しており、(1) 地方都市への出店、(2) 注力している大衆酒場業態の拡大、(3) 既存店の伸び(訪日観光客・深夜営業)、(4) インフレ対策(価格転嫁等)などに取り組んでいる。
(1) 地方都市への出店
主力業態「磯丸水産」の展開は首都圏の1都3県が中心だが、他の業態も含めコロナ禍前から地方都市への進出を模索してきた。これまでの実績を振り返ると、京都府・大阪府・兵庫県(3エリア合計22店舗)に加え、宮城県(4店舗)、静岡県(1店舗)、長野県(2店舗)、熊本県(2店舗)への出店※に成功したほか、FC展開により、北海道(1店舗)、愛知県(8店舗)、福岡県(5店舗)、石川県(1店舗)をカバーしてきた。同社では、未開拓の地方都市への出店機会に目を向けており、中期的な成長ドライバーの1つとして位置付けている。特に北陸・中国・九州を重点開拓エリアとし、まずは足場を固めてから追加出店することで、エリア単位での規模拡大を図る。
※ このうち、長野県、熊本県への出店は「SFPフードアライアンス構想」によるものである。
(2) 大衆酒場業態の拡大
コロナ禍をきっかけとした環境変化へ機動的に対応するため、これまでの主力業態の強みを生かしながら、低投資で安定的に稼ぐ大衆酒場業態に注力している。大衆酒場業態は、1) 住宅/商店街、2) 路面、3) 小型、4) 17時から29時(翌朝5時)までの営業、5) 少人数/高回転などに特長を持つ業態(収益モデル)であり、今後は「五の五」を中心に展開していく。大衆酒場業態のなかでも複数のブランドを有していることから、市場の立地や客層、競合他社の状況と照らし合わせて最もマッチするブランドを選んで出店することが可能となっており、この点も強みである。すなわち、主力業態における駅前一等立地や昼夜の営業(利用シーンに応じた幅広い需要の取り込み)、高回転などの優位性を残しつつ、住宅/商店街を中心として低投資で安定的に稼ぐ業態と定義できる。今後は地方都市を含め、「磯丸水産」で足場を固めたエリアを中心に出店を増やす考えだ。
(3) 既存店の伸び(需要の取り込み)
足元業績をけん引する訪日客の増加は、さらなる既存店の伸びしろとして期待できるため、需要の取りこぼしが出ないように体制(人事制度改定、賃上げ)を整えた。
(4) インフレ対策
今後も原材料価格やエネルギー価格の高止まりが想定されるなか、クリエイト・レストランツ・ホールディングスグループとのスケールメリットを生かした調達コストの適正化を進めつつ、引き続き適正な価格転嫁等により原価率を維持していくとともに、販管費の抑制にも努める。
2. 中長期的な注目点
弊社でも、アフターコロナに向けて、同社の主力業態の回復状況とともに、地方都市への進出や大衆酒場業態の出店加速が今後の新たな成長の軸になるかどうかに注目している。特に、地方都市への進出については、これまで試験的に運営してきた地方店舗(「磯丸水産」)も総じて堅調に推移しており、いよいよ本格的な展開が予想される。その際、直営店なのか、FCなのか、M&A(SFPフードアライアンス構想)なのか、展開方式が気になるが、スピード、収益性、投資負担(リスク)などの面から、状況に応じて複数の選択肢を有していることも成功確率を高める要因になると考えられる。一方、大衆酒場業態については、まさに「磯丸水産」モデルを環境変化に合わせてチューニングしたものと捉えられ、既に想定どおりの結果を示していることから、今後どのような進化を遂げていくのか、これからの動向に注目したい。
同社では、アフターコロナにおいて出店を再開し、業績も回復基調にあるものの、成長投資を本格化するにはいくつかの不確実性(インフレ対策、外国人スタッフの戦力化、地方都市出店の足場固め、注力業態の育成など)が残っており、現時点で次の中期経営計画を公表するには至っていない。裏を返せば、その辺りに確信が持てるようになってくれば、同社の新たな優位性が構築されることにもなり、次の成長ステージでの目指す姿や戦略が具体的に見えてくるとの見方もできる。そのタイミングがいつになるのか、今後の投資判断を行ううえで重要な分岐点と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 今後の方向性とこれまでの進捗
同社は、2020年2月期までは毎年、向こう3ヶ年の中期経営計画を公表してきたが、2021年2月期以降はコロナ禍の影響により先行き不透明な状況にあったことから公表を見送っている。ただ、今後の環境変化等を見据え、短・中期的な方向性を明示しており、(1) 地方都市への出店、(2) 注力している大衆酒場業態の拡大、(3) 既存店の伸び(訪日観光客・深夜営業)、(4) インフレ対策(価格転嫁等)などに取り組んでいる。
(1) 地方都市への出店
主力業態「磯丸水産」の展開は首都圏の1都3県が中心だが、他の業態も含めコロナ禍前から地方都市への進出を模索してきた。これまでの実績を振り返ると、京都府・大阪府・兵庫県(3エリア合計22店舗)に加え、宮城県(4店舗)、静岡県(1店舗)、長野県(2店舗)、熊本県(2店舗)への出店※に成功したほか、FC展開により、北海道(1店舗)、愛知県(8店舗)、福岡県(5店舗)、石川県(1店舗)をカバーしてきた。同社では、未開拓の地方都市への出店機会に目を向けており、中期的な成長ドライバーの1つとして位置付けている。特に北陸・中国・九州を重点開拓エリアとし、まずは足場を固めてから追加出店することで、エリア単位での規模拡大を図る。
※ このうち、長野県、熊本県への出店は「SFPフードアライアンス構想」によるものである。
(2) 大衆酒場業態の拡大
コロナ禍をきっかけとした環境変化へ機動的に対応するため、これまでの主力業態の強みを生かしながら、低投資で安定的に稼ぐ大衆酒場業態に注力している。大衆酒場業態は、1) 住宅/商店街、2) 路面、3) 小型、4) 17時から29時(翌朝5時)までの営業、5) 少人数/高回転などに特長を持つ業態(収益モデル)であり、今後は「五の五」を中心に展開していく。大衆酒場業態のなかでも複数のブランドを有していることから、市場の立地や客層、競合他社の状況と照らし合わせて最もマッチするブランドを選んで出店することが可能となっており、この点も強みである。すなわち、主力業態における駅前一等立地や昼夜の営業(利用シーンに応じた幅広い需要の取り込み)、高回転などの優位性を残しつつ、住宅/商店街を中心として低投資で安定的に稼ぐ業態と定義できる。今後は地方都市を含め、「磯丸水産」で足場を固めたエリアを中心に出店を増やす考えだ。
(3) 既存店の伸び(需要の取り込み)
足元業績をけん引する訪日客の増加は、さらなる既存店の伸びしろとして期待できるため、需要の取りこぼしが出ないように体制(人事制度改定、賃上げ)を整えた。
(4) インフレ対策
今後も原材料価格やエネルギー価格の高止まりが想定されるなか、クリエイト・レストランツ・ホールディングスグループとのスケールメリットを生かした調達コストの適正化を進めつつ、引き続き適正な価格転嫁等により原価率を維持していくとともに、販管費の抑制にも努める。
2. 中長期的な注目点
弊社でも、アフターコロナに向けて、同社の主力業態の回復状況とともに、地方都市への進出や大衆酒場業態の出店加速が今後の新たな成長の軸になるかどうかに注目している。特に、地方都市への進出については、これまで試験的に運営してきた地方店舗(「磯丸水産」)も総じて堅調に推移しており、いよいよ本格的な展開が予想される。その際、直営店なのか、FCなのか、M&A(SFPフードアライアンス構想)なのか、展開方式が気になるが、スピード、収益性、投資負担(リスク)などの面から、状況に応じて複数の選択肢を有していることも成功確率を高める要因になると考えられる。一方、大衆酒場業態については、まさに「磯丸水産」モデルを環境変化に合わせてチューニングしたものと捉えられ、既に想定どおりの結果を示していることから、今後どのような進化を遂げていくのか、これからの動向に注目したい。
同社では、アフターコロナにおいて出店を再開し、業績も回復基調にあるものの、成長投資を本格化するにはいくつかの不確実性(インフレ対策、外国人スタッフの戦力化、地方都市出店の足場固め、注力業態の育成など)が残っており、現時点で次の中期経営計画を公表するには至っていない。裏を返せば、その辺りに確信が持てるようになってくれば、同社の新たな優位性が構築されることにもなり、次の成長ステージでの目指す姿や戦略が具体的に見えてくるとの見方もできる。そのタイミングがいつになるのか、今後の投資判断を行ううえで重要な分岐点と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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