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三機サービス Research Memo(7):経営基盤及び事業基盤を再構築することで、収益基盤強化を目指す
配信日時:2024/10/25 12:07
配信元:FISCO
*12:07JST 三機サービス Research Memo(7):経営基盤及び事業基盤を再構築することで、収益基盤強化を目指す
■三機サービス<6044>の今後の見通し
2. 中期経営計画の進捗状況
同社は2022年7月、2023年5月期~2025年5月期を対象とする新中期経営計画「SANKI NEXT STAGE 2025」を策定した。コロナ禍などによる事業環境の変化を踏まえ、2023年5月期~2025年5月期を中長期に成長するための収益基盤を強化する時期と捉え、経営基盤及び事業基盤の再構築を行う方針だ。数値目標として3ヶ年の売上高年平均成長率22.8%を目指し、最終年度の2025年5月期については、売上高21,450百万円(2023年5月期実績14,733百万円)、営業利益1,034百万円(同575百万円)を掲げている。2025年5月期は本計画の最終事業年度にあたるが、当初計画通りの業績予想を目標としている。
(1) 数値目標の進捗状況
2023年5月期と2024年5月期では、売上高・営業利益ともに計画を達成した。ROEについてもそれぞれ13.2%、11.6%と上場企業の平均値を超える実績を上げており、計画達成に向けて順調に進捗している。
2024年5月期は事業の売上構成として、トータルメンテナンスで65%、メンテナンスサービスで26%、環境事業で9%を想定している。トータルメンテナンスサービスでは、2022年5月期比で7ポイント増を目指す。同事業に対する顧客ニーズは元来高く、業績拡大寄与への期待値は高い。例えばコンビニエンスストアでは、電気設備・空調設備・冷凍設備などメンテナンスが必須な設備が多数ある。これらのメンテナンスを一手に請け負うのがトータルメンテナンスサービスであり、人手不足に悩む顧客は一括してアウトソーシングすることで事業効率を上げられるなどメリットは多いことから、同社は営業活動を強化する。さらにコンビニエンスストアは広域に店舗を展開しているため、新規受注獲得をトリガーに顧客基盤を拡大できる可能性があり、同社は市場余地の大きい領域と見ている。同社にとって「第3の柱」となる環境事業については、2022年5月期比で6ポイント増を目指す。SDGsを意識したソリューションビジネスとして、省エネシステムの拡販やカーボンニュートラルを目的とする付加価値の高いソリューション提案を積極的に行うことで、受注拡大を目指す。
(2) 重点施策の進捗状況
a) 事業規模の拡大
付加価値提供型ビジネスによる既存事業の拡大と環境事業拡大により、発展期(2026年5月期以降)に売上高約2倍を目指すことを重点施策の柱としている。付加価値提供型ビジネスによる既存事業の拡大については、これまで蓄積してきたノウハウを強みにして事業領域の拡大を図る。2024年9月には、新たに「医療機器及び付帯設備に関するメンテナンス事業」に参入することを表明した。同事業では医療機器、歯科医療機器、動物用医療機器及び介護用医療機器の販売・貸与・修理及び輸出入を手掛ける。同社は、病院などの設備機器のメンテナンスなどについて既に実績があり、これまで手掛けてこなかった「医療」という専門機器領域へサービス対象範囲を広げて需要を取り込み、収益基盤の拡大を図る。事業の推進方法や今後の業績面への寄与度は現時点で未知数ではあるが、同社の発展期に向けた施策の1つとして注目したい。環境事業については、同社の強みとする省エネ・カーボンニュートラルに関するノウハウを生かした提案型ビジネスの推進を継続しており、中期経営計画最終年度での一層の成果が期待される。
b) 成長投資
2025年の目指す姿として、出資などを伴う投資(アライアンス・M&A)や内部強化のための投資を掲げ、成長投資の実行やDX推進及びスマート化・デジタル化対応を進めていく方針だ。戦略的なM&Aとして、2023年12月に長沼冷暖房を子会社化した。2025年5月期の計画達成に向けて、M&Aや他社とのアライアンスを重要ツールと考えており、今後の動向が注目される。内部強化に関しては、人材の採用や育成に注力する。人材採用については、2024年5月期に工事メンテナンス部門や管理部門を中心に100名を超える人材を採用したほか、賃上げなどの処遇面の改善などに取り組んでいる。人材育成に関しては、工事やメンテナンス事業に必要な各種資格取得に伴う資格手当の支給や、エンジニアの多能工化などのための研修制度の拡充などを行っている。同社によれば、直近の従業員の離職率は、サービス業の上場企業の平均値を大きく下回っているとのことであり、従業員から働き甲斐のある職場との評価を得ているようだ。
c) 付加価値向上
品質向上施策及び原価低減施策を推進することで、発展期にROE10ポイントアップを目指している。サービスエンジニアの多能工化による内製化推進や、メンテナンス作業などにおける作業効率の改善による作業時間の短縮とコスト削減などの施策により、粗利改善が進んでいる。また兵庫機工や長沼冷暖房との協業による生産性向上策も進行中だ。このような施策の効果は2025年5月期の業績予想に織り込まれている。2024年5月期のROE実績は自己資本比率が上昇したこともあって前期比で減少し、11.6%となったが、中期経営計画の最終年度となる2025年5月期にはROE16.0%の達成を目指す。
d) 人財育成
人財ポートフォリオの進化に向けて、専門技術者内製化・育成及び営業体制の強化を図る。2025年の目指す姿としては、エンジニアでは空調・冷設スペシャリスト育成、営業ではソリューション営業、カスタマーサポートではスタッフ育成・増強を挙げているほか、新企業理念・新人事制度の浸透により、自ら動き新しい価値を創造できる人財及び次世代経営人財の発掘・育成を目指す。また従業員とのエンゲージメント強化の一環として、経営計画発表会の開催や、経営計画に基づき11項目の従業員表彰制度を設けるなどの施策も実施中である。さらにコンプライアンス室を新設したほか、健康・安全対策として「事故対応ワークフロー(SHL)」の活用を進めている。
e) サステナビリティ経営
同社では、新中期経営計画の重点施策の1つとして、サステナビリティ(ESG)経営を掲げ、CO2削減への貢献及び健康経営の実現を目指している。Environment(環境)では、2022年5月期に約55万本※分のCO2削減を実現し、顧客のCO2削減目標達成へ貢献した。2025年5月期には約187万本分のCO2削減を目標に掲げる。また、他社の省エネ・再エネなどの活動への積極的な協賛も引き続き行っていく。Social(社会)では、健康経営の推進、多様な働き方の確保、ダイバーシティの推進に向けて、2023年5月期からの5年間で女性管理職比率を6%から12%へ引き上げる方針だ。Governance(ガバナンス)では、社会及びステークホルダーからの信頼を高めるコーポレート・ガバナンス体制を構築していく。また、東京証券取引所プライム市場上場を目指し、適用範囲の拡大を進めている。
※ 1本当たりCO2吸収量14kgとして計算。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2. 中期経営計画の進捗状況
同社は2022年7月、2023年5月期~2025年5月期を対象とする新中期経営計画「SANKI NEXT STAGE 2025」を策定した。コロナ禍などによる事業環境の変化を踏まえ、2023年5月期~2025年5月期を中長期に成長するための収益基盤を強化する時期と捉え、経営基盤及び事業基盤の再構築を行う方針だ。数値目標として3ヶ年の売上高年平均成長率22.8%を目指し、最終年度の2025年5月期については、売上高21,450百万円(2023年5月期実績14,733百万円)、営業利益1,034百万円(同575百万円)を掲げている。2025年5月期は本計画の最終事業年度にあたるが、当初計画通りの業績予想を目標としている。
(1) 数値目標の進捗状況
2023年5月期と2024年5月期では、売上高・営業利益ともに計画を達成した。ROEについてもそれぞれ13.2%、11.6%と上場企業の平均値を超える実績を上げており、計画達成に向けて順調に進捗している。
2024年5月期は事業の売上構成として、トータルメンテナンスで65%、メンテナンスサービスで26%、環境事業で9%を想定している。トータルメンテナンスサービスでは、2022年5月期比で7ポイント増を目指す。同事業に対する顧客ニーズは元来高く、業績拡大寄与への期待値は高い。例えばコンビニエンスストアでは、電気設備・空調設備・冷凍設備などメンテナンスが必須な設備が多数ある。これらのメンテナンスを一手に請け負うのがトータルメンテナンスサービスであり、人手不足に悩む顧客は一括してアウトソーシングすることで事業効率を上げられるなどメリットは多いことから、同社は営業活動を強化する。さらにコンビニエンスストアは広域に店舗を展開しているため、新規受注獲得をトリガーに顧客基盤を拡大できる可能性があり、同社は市場余地の大きい領域と見ている。同社にとって「第3の柱」となる環境事業については、2022年5月期比で6ポイント増を目指す。SDGsを意識したソリューションビジネスとして、省エネシステムの拡販やカーボンニュートラルを目的とする付加価値の高いソリューション提案を積極的に行うことで、受注拡大を目指す。
(2) 重点施策の進捗状況
a) 事業規模の拡大
付加価値提供型ビジネスによる既存事業の拡大と環境事業拡大により、発展期(2026年5月期以降)に売上高約2倍を目指すことを重点施策の柱としている。付加価値提供型ビジネスによる既存事業の拡大については、これまで蓄積してきたノウハウを強みにして事業領域の拡大を図る。2024年9月には、新たに「医療機器及び付帯設備に関するメンテナンス事業」に参入することを表明した。同事業では医療機器、歯科医療機器、動物用医療機器及び介護用医療機器の販売・貸与・修理及び輸出入を手掛ける。同社は、病院などの設備機器のメンテナンスなどについて既に実績があり、これまで手掛けてこなかった「医療」という専門機器領域へサービス対象範囲を広げて需要を取り込み、収益基盤の拡大を図る。事業の推進方法や今後の業績面への寄与度は現時点で未知数ではあるが、同社の発展期に向けた施策の1つとして注目したい。環境事業については、同社の強みとする省エネ・カーボンニュートラルに関するノウハウを生かした提案型ビジネスの推進を継続しており、中期経営計画最終年度での一層の成果が期待される。
b) 成長投資
2025年の目指す姿として、出資などを伴う投資(アライアンス・M&A)や内部強化のための投資を掲げ、成長投資の実行やDX推進及びスマート化・デジタル化対応を進めていく方針だ。戦略的なM&Aとして、2023年12月に長沼冷暖房を子会社化した。2025年5月期の計画達成に向けて、M&Aや他社とのアライアンスを重要ツールと考えており、今後の動向が注目される。内部強化に関しては、人材の採用や育成に注力する。人材採用については、2024年5月期に工事メンテナンス部門や管理部門を中心に100名を超える人材を採用したほか、賃上げなどの処遇面の改善などに取り組んでいる。人材育成に関しては、工事やメンテナンス事業に必要な各種資格取得に伴う資格手当の支給や、エンジニアの多能工化などのための研修制度の拡充などを行っている。同社によれば、直近の従業員の離職率は、サービス業の上場企業の平均値を大きく下回っているとのことであり、従業員から働き甲斐のある職場との評価を得ているようだ。
c) 付加価値向上
品質向上施策及び原価低減施策を推進することで、発展期にROE10ポイントアップを目指している。サービスエンジニアの多能工化による内製化推進や、メンテナンス作業などにおける作業効率の改善による作業時間の短縮とコスト削減などの施策により、粗利改善が進んでいる。また兵庫機工や長沼冷暖房との協業による生産性向上策も進行中だ。このような施策の効果は2025年5月期の業績予想に織り込まれている。2024年5月期のROE実績は自己資本比率が上昇したこともあって前期比で減少し、11.6%となったが、中期経営計画の最終年度となる2025年5月期にはROE16.0%の達成を目指す。
d) 人財育成
人財ポートフォリオの進化に向けて、専門技術者内製化・育成及び営業体制の強化を図る。2025年の目指す姿としては、エンジニアでは空調・冷設スペシャリスト育成、営業ではソリューション営業、カスタマーサポートではスタッフ育成・増強を挙げているほか、新企業理念・新人事制度の浸透により、自ら動き新しい価値を創造できる人財及び次世代経営人財の発掘・育成を目指す。また従業員とのエンゲージメント強化の一環として、経営計画発表会の開催や、経営計画に基づき11項目の従業員表彰制度を設けるなどの施策も実施中である。さらにコンプライアンス室を新設したほか、健康・安全対策として「事故対応ワークフロー(SHL)」の活用を進めている。
e) サステナビリティ経営
同社では、新中期経営計画の重点施策の1つとして、サステナビリティ(ESG)経営を掲げ、CO2削減への貢献及び健康経営の実現を目指している。Environment(環境)では、2022年5月期に約55万本※分のCO2削減を実現し、顧客のCO2削減目標達成へ貢献した。2025年5月期には約187万本分のCO2削減を目標に掲げる。また、他社の省エネ・再エネなどの活動への積極的な協賛も引き続き行っていく。Social(社会)では、健康経営の推進、多様な働き方の確保、ダイバーシティの推進に向けて、2023年5月期からの5年間で女性管理職比率を6%から12%へ引き上げる方針だ。Governance(ガバナンス)では、社会及びステークホルダーからの信頼を高めるコーポレート・ガバナンス体制を構築していく。また、東京証券取引所プライム市場上場を目指し、適用範囲の拡大を進めている。
※ 1本当たりCO2吸収量14kgとして計算。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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