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ダイキアクシス Research Memo(9):2030年ビジョンの達成に向けて海外事業拡大やM&Aなどを推進(1)
配信日時:2024/10/23 12:09
配信元:FISCO
*12:09JST ダイキアクシス Research Memo(9):2030年ビジョンの達成に向けて海外事業拡大やM&Aなどを推進(1)
■ダイキアクシス<4245>の中長期的な方向性
1. 中期経営計画の概要
同社は、2025年12月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画「PROTECT×CHANGE」を推進しており3年半が経過した。2030年ビジョンである、1) グローバルな舞台で期待を超える活躍、2) 世界から「環境の未来」を期待される企業への躍進、3) 得意分野の拡大と新領域への挑戦、4) 新型コロナウイルス感染症の影響によるニューノーマルに対応した柔軟な組織の確立に向けて、6つの成長戦略とその基盤となるIT推進に取り組んでいる。
2. 数値計画とその前提
最終年度である2025年12月期の数値目標として、売上高45,000百万円(5年間の平均成長率は5.4%)、営業利益2,000百万円(同13.9%)、営業利益率4.4%を目指す。
2023年12月期比の増収額(2,319百万円)への寄与は、「環境機器関連事業」が990百万円の増加、「住宅機器関連事業」が698百万円の増加、「再生可能エネルギー関連事業」が246百万円の減少となる。一方、営業利益の増加額(1,340百万円)については、「環境機器関連事業」が896百万円の増加、「住宅機器関連事業」が422百万円の増加、「再生可能エネルギー関連事業」が441百万円の増加を見込んでいる。特に「環境機器関連事業」における海外売上高は4,000百万円(2023年12月期比2,508百万円増)※に大きく伸びる想定であり、事業の拡大及び先行投資負担の緩和とともに収益性の向上を目指す。
※ このうち半分をインドが占める計画である。
3. 成長戦略とこれまでの進捗
成長戦略として、1) 海外展開(環境機器関連事業)、2) ストックビジネスの拡大、3) 安定から成長への転化(住宅機器関連事業)、4) 再生可能エネルギー関連事業、5) 技術力・製品開発力の向上、6) M&Aの推進の6つを掲げている。また、戦略遂行を支える基盤整備として、7) IT推進にも取り組んでいる。それぞれの方針とこれまでの進捗、及び同社の自己評価は以下のとおり。
(1) 海外展開(環境機器関連事業)
a) 需要の高いエリアでの現地生産体制を構築するとともに、b) 海外人財の採用も積極的に行うほか、c) 海外事業に伴う制度やルールの見直し、新規制定にも取り組んでいる。a) については、ポテンシャルが大きいインド及びスリランカに新工場を建設するとともに、b) の人財採用も継続的に実施している。インド工場では製造人員の育成にやや時間を要したものの、拡大する需要に対応する体制が整った。今後は、スリランカ同様に立ち上がりの早い組立工場などを含め、第3工場以降の取り組みを検討する。一方、インドネシア工場についてはインド向け輸出分がなくなったことから、現地企業の開拓により工場稼働率の維持に取り組んだ。また、2024年1月にはバングラデシュに子会社を設立し、法整備において政府と連携を図っていく方針だ。以上から、インド工場での人財育成のもたつきなどを勘案し、現在までの自己評価を「△」としている。
(2) ストックビジネスの拡大
安定的な利益基盤となるストックビジネスの拡大に取り組んでいる。地下水飲料化事業において、原価管理の再徹底やエスコ契約に限らない機器売りにも注力し、受注が増加しているほか、排水処理メンテナンスも好調に推移した。以上から、現在までの自己評価を「〇」としている。
(3) 安定から成長への転化(住宅機器関連事業)
a) ホームセンター向け営業の商圏拡大(全国対応)、b) 新規店開拓、新規商材導入及び販売、新規工事業の取り組み、c) 集中購買制の導入による仕入コスト削減に向けた取り組み継続、d) 人財育成(営業力強化)、e) バックオフィスを含めた各事業の見える化と平準化(社員同士の相互補完の実現)などにより成長軌道へと転化させる方針だ。a)については東日本において苦戦を強いられている一方、b)については新規店開拓が予定どおりに進んでいるほか、新規商材ではIoTスマートハウス関連分野やホームセンターに対するウルトラファインバブル等の販売に取り組んだ。c)については集中購買が完了し、仕入コストの削減も順調に進んだ。d) 人財育成やe) 社員同士の相互補完の取り組みも順調であり、2025年に計画していた組織の若年化を前倒しで実現できた。以上から、現在までの自己評価を「〇」としている。
(4) 再生可能エネルギー関連事業
a) バイオディーゼル販売量及び自治体とも連携した廃油回収エリアの拡大、b) 再生可能エネルギー先進企業(RE100・RE Action加盟企業等)の動向調査・協業・提案などに取り組んでいる。a)については、販売や廃油回収エリアの拡大が順調に進んでおり、2024年4月にはバイオディーゼル燃料の精製プラントが東日本(茨城県)に完成した。b)についても既存取引先へ協力を依頼し順調に進んだ。以上から、現在までの自己評価を「〇」としている。
(5) 技術力・製品開発力の向上
a) 製造過程で生じるクレーム撲滅の徹底、b) 人財育成(専門性強化)、c) 風力・太陽光発電サイトの継続的開発・運用安定、d) さらなる環境負荷の低減、蓄電技術等を進化させ、防・減災対策、地産地消へも資するポストFITを見据えた高付加価値事業の提案に取り組んでいる。a)はヒューマンエラー対策により大きく改善した。b)については、インド、インドネシアにおいて窒素規制に対応する製品開発を進めたほか、インドの寒冷地に対応した浄化槽の開発も検討中だが、人財育成の遅れなどからやや計画が後ずれしている。c) 風力・太陽光発電サイトの継続的な開発・安定運用は順調に進行中である。d)では、再生可能エネルギーと発電所のセットでのビジネスモデル展開を予定した発電所や、バイオディーゼル燃料の製造施設の建設などが順調に進んだ。以上から、b)における状況を鑑み、現在までの自己評価を「△」としている。
(6) M&Aの推進
M&Aを活用した商圏・取扱い商材の拡大に取り組んでいる。2023年12月期は2件のM&Aを実現し、「住宅機器関連事業」及び「再生可能エネルギー関連事業」における事業基盤を拡充できた。以上から、現在までの自己評価を「〇」としている。
(7) IT推進
IT推進は業務面、組織・人材面でも影響が大きい重要施策と認識し、「提案の高付加価値化による利益率向上」を目指している。アナログ作業を置き換えることで重複する単純作業などを排除し、高付加価値業務に注力できる体制づくりを推進中であるほか、心理的安全性のある風土づくりのためのコミュニケーションツールを導入する予定である。ただ、まだ成果を体現するには至らず、現在までの自己評価を「△」としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 中期経営計画の概要
同社は、2025年12月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画「PROTECT×CHANGE」を推進しており3年半が経過した。2030年ビジョンである、1) グローバルな舞台で期待を超える活躍、2) 世界から「環境の未来」を期待される企業への躍進、3) 得意分野の拡大と新領域への挑戦、4) 新型コロナウイルス感染症の影響によるニューノーマルに対応した柔軟な組織の確立に向けて、6つの成長戦略とその基盤となるIT推進に取り組んでいる。
2. 数値計画とその前提
最終年度である2025年12月期の数値目標として、売上高45,000百万円(5年間の平均成長率は5.4%)、営業利益2,000百万円(同13.9%)、営業利益率4.4%を目指す。
2023年12月期比の増収額(2,319百万円)への寄与は、「環境機器関連事業」が990百万円の増加、「住宅機器関連事業」が698百万円の増加、「再生可能エネルギー関連事業」が246百万円の減少となる。一方、営業利益の増加額(1,340百万円)については、「環境機器関連事業」が896百万円の増加、「住宅機器関連事業」が422百万円の増加、「再生可能エネルギー関連事業」が441百万円の増加を見込んでいる。特に「環境機器関連事業」における海外売上高は4,000百万円(2023年12月期比2,508百万円増)※に大きく伸びる想定であり、事業の拡大及び先行投資負担の緩和とともに収益性の向上を目指す。
※ このうち半分をインドが占める計画である。
3. 成長戦略とこれまでの進捗
成長戦略として、1) 海外展開(環境機器関連事業)、2) ストックビジネスの拡大、3) 安定から成長への転化(住宅機器関連事業)、4) 再生可能エネルギー関連事業、5) 技術力・製品開発力の向上、6) M&Aの推進の6つを掲げている。また、戦略遂行を支える基盤整備として、7) IT推進にも取り組んでいる。それぞれの方針とこれまでの進捗、及び同社の自己評価は以下のとおり。
(1) 海外展開(環境機器関連事業)
a) 需要の高いエリアでの現地生産体制を構築するとともに、b) 海外人財の採用も積極的に行うほか、c) 海外事業に伴う制度やルールの見直し、新規制定にも取り組んでいる。a) については、ポテンシャルが大きいインド及びスリランカに新工場を建設するとともに、b) の人財採用も継続的に実施している。インド工場では製造人員の育成にやや時間を要したものの、拡大する需要に対応する体制が整った。今後は、スリランカ同様に立ち上がりの早い組立工場などを含め、第3工場以降の取り組みを検討する。一方、インドネシア工場についてはインド向け輸出分がなくなったことから、現地企業の開拓により工場稼働率の維持に取り組んだ。また、2024年1月にはバングラデシュに子会社を設立し、法整備において政府と連携を図っていく方針だ。以上から、インド工場での人財育成のもたつきなどを勘案し、現在までの自己評価を「△」としている。
(2) ストックビジネスの拡大
安定的な利益基盤となるストックビジネスの拡大に取り組んでいる。地下水飲料化事業において、原価管理の再徹底やエスコ契約に限らない機器売りにも注力し、受注が増加しているほか、排水処理メンテナンスも好調に推移した。以上から、現在までの自己評価を「〇」としている。
(3) 安定から成長への転化(住宅機器関連事業)
a) ホームセンター向け営業の商圏拡大(全国対応)、b) 新規店開拓、新規商材導入及び販売、新規工事業の取り組み、c) 集中購買制の導入による仕入コスト削減に向けた取り組み継続、d) 人財育成(営業力強化)、e) バックオフィスを含めた各事業の見える化と平準化(社員同士の相互補完の実現)などにより成長軌道へと転化させる方針だ。a)については東日本において苦戦を強いられている一方、b)については新規店開拓が予定どおりに進んでいるほか、新規商材ではIoTスマートハウス関連分野やホームセンターに対するウルトラファインバブル等の販売に取り組んだ。c)については集中購買が完了し、仕入コストの削減も順調に進んだ。d) 人財育成やe) 社員同士の相互補完の取り組みも順調であり、2025年に計画していた組織の若年化を前倒しで実現できた。以上から、現在までの自己評価を「〇」としている。
(4) 再生可能エネルギー関連事業
a) バイオディーゼル販売量及び自治体とも連携した廃油回収エリアの拡大、b) 再生可能エネルギー先進企業(RE100・RE Action加盟企業等)の動向調査・協業・提案などに取り組んでいる。a)については、販売や廃油回収エリアの拡大が順調に進んでおり、2024年4月にはバイオディーゼル燃料の精製プラントが東日本(茨城県)に完成した。b)についても既存取引先へ協力を依頼し順調に進んだ。以上から、現在までの自己評価を「〇」としている。
(5) 技術力・製品開発力の向上
a) 製造過程で生じるクレーム撲滅の徹底、b) 人財育成(専門性強化)、c) 風力・太陽光発電サイトの継続的開発・運用安定、d) さらなる環境負荷の低減、蓄電技術等を進化させ、防・減災対策、地産地消へも資するポストFITを見据えた高付加価値事業の提案に取り組んでいる。a)はヒューマンエラー対策により大きく改善した。b)については、インド、インドネシアにおいて窒素規制に対応する製品開発を進めたほか、インドの寒冷地に対応した浄化槽の開発も検討中だが、人財育成の遅れなどからやや計画が後ずれしている。c) 風力・太陽光発電サイトの継続的な開発・安定運用は順調に進行中である。d)では、再生可能エネルギーと発電所のセットでのビジネスモデル展開を予定した発電所や、バイオディーゼル燃料の製造施設の建設などが順調に進んだ。以上から、b)における状況を鑑み、現在までの自己評価を「△」としている。
(6) M&Aの推進
M&Aを活用した商圏・取扱い商材の拡大に取り組んでいる。2023年12月期は2件のM&Aを実現し、「住宅機器関連事業」及び「再生可能エネルギー関連事業」における事業基盤を拡充できた。以上から、現在までの自己評価を「〇」としている。
(7) IT推進
IT推進は業務面、組織・人材面でも影響が大きい重要施策と認識し、「提案の高付加価値化による利益率向上」を目指している。アナログ作業を置き換えることで重複する単純作業などを排除し、高付加価値業務に注力できる体制づくりを推進中であるほか、心理的安全性のある風土づくりのためのコミュニケーションツールを導入する予定である。ただ、まだ成果を体現するには至らず、現在までの自己評価を「△」としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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