注目トピックス 市況・概況
来週の相場で注目すべき3つのポイント:中国7-9月期GDP、米ベージュブック、各国製造業/サービス業PMI(10月)など
配信日時:2021/10/16 18:41
配信元:FISCO
■株式相場見通し
予想レンジ:上限29750-下限28500円
来週の日経平均は一進一退か。インフレ懸念の後退や長期金利の上昇一服は引き続き相場の支えになろう。また、27000円台にあった日経平均が29000円を回復したこともあり、売り手の動きも細ってきそうだ。一方、国内では月末から7-9月期決算発表が本格化するほか、衆院選投開票も月末に控えることから、手掛かり材料難のなか様子見ムードが広がりそうだ。
米国の9月消費者物価指数(CPI)や(PPI)を受け、過度なインフレ懸念が後退したとの見方から、米長期金利は低下した。しかし、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)はこの間、2.52%へと一段と上昇。商品市況を背景としたインフレ懸念が後退したとはいえない。金利低下は、物価指標の発表を終えたことや国債入札が好調だったことを受け、債券の売り方がポジション調整で買い戻しを入れたことが主因と考えられる。
実際、NY原油先物価格などの上昇は続いている。さらに、今年はラニーニャ現象により日本や米国で厳冬となる確率が高いと指摘されており、冬季シーズンに向け、商品市況の高騰を受けたインフレ加速は一段と進む可能性が残されている。引き続きインフレを巡る思惑や金利動向には注意が必要だろう。
他方、岸田首相の金融所得課税引き上げを巡る発言などをきっかけに、政権への過度にネガティブな見方は後退。衆院選投開票日までは株高になりやすいアノマリーも再び意識されているようで、海外勢の買い戻しも進んできている。与野党の支持率格差が開いていることで、衆院選後の政権基盤の安定に期待する向きもあり、日本株の下値不安は後退してきた様子。
ただ、岸田政権の掲げる政策については具体性が乏しいとの批判は根強い。歴史的な低水準にある政権支持率が、衆院選後も向上しなければ、来夏の参院選に向けた懸念も残り、政権基盤が安定するとはいえないだろう。選挙期間中の株高ラリーの継続にも強くは期待しにくい。
結局、外部環境や国政に関する不透明感は依然くすぶり、買い材料に乏しい。衆院選の結果判明や企業業績の確認が終わるまでは、相場はこう着感を強めそうだ。
週初に中国で9月の鉱工業生産や小売売上高のほか、7-9月期の国内総生産(GDP)が発表される。不動産業の債務問題や電力不足の問題などを背景に、中国の景気減速が懸念されているだけに、注目度は高い。指標が大きく下振れるようだと、改めて中国リスクが意識され、中国での売上比率が高い銘柄には売り圧力となる可能性があるため、注意したい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)が11月中に債券買入れの段階的縮小(テーパリング)に着手する可能性があることから、来週発表される経済指標が市場予想を上回る内容だった場合、リスク選好的なドル買い・円売りが継続する可能性がある。ただ、ドルは短期間で大幅に上昇していることから、1ドル=114円台で短期筋などが利益確定を狙ったドル売りを増やす可能性がある。1ドル=115円近辺では輸出企業などのドル売りも想定されており、一段のドル上昇は抑制されそうだ。FRBが10月13日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月21-22日開催分)によると、金融当局者はテーパリングに関し11月半ばか12月半ばの開始で意見がほぼ一致したことが明らかになった。パウエルFRB議長は同会合後の記者会見で2022年半ばまでテーパリング完了の可能性に言及している。ただ、9月消費者物価コア指数は前年比+4.0%となり、市場予想と一致。NY原油先物(WTI)は1バレル=80ドル超の高水準が続くものの、過度なインフレ懸念は後退しつつある。
一方、中国恒大集団の債務問題は引き続き市場の懸念材料となりそうだ。関係筋によると、中国政府は、国内大手銀行の一部で住宅ローンに課していた制約を緩和しているもようだ。不動産開発大手、中国恒大集団の債務危機による影響の波及を巡り、当局が懸念を強めているとみられる。そのため、主要通貨に対するリスク回避的な円買いが急速に広がる可能性は残されており、ドル・円の取引でもドル買い・円売りは抑制される可能性がある。
■来週の注目スケジュール
10月18日(月):9党党首討論会、中・GDP(7-9月)、中・鉱工業生産(9月)、中・小売売上高(9月)、米・鉱工業生産指数(9月)、米・NAHB住宅市場指数(10月)、米・アップルの「MacBook Pro(マックブック・プロ)」新機種発表イベントなど
10月19日(火):衆院選公示(31日投開票)、家電・IT見本市「CEATEC(シーテック)」がオンラインで開幕(22日まで)、米・住宅着工件数(9月)、中・全国人民代表大会(全人代)常務委員会(23日まで)、決算発表:米ネットフリックスなど
10月20日(水):貿易収支(9月)、中・新築住宅価格(9月)、英・消費者物価コア指数(9月)、欧・ユーロ圏CPI(9月)、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表、決算発表:米テスラなど
10月21日(木):スーパーマーケット売上高(9月)、決算発表:ディスコ、トルコ・中央銀行が政策金利発表、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(10月)、米・中古住宅販売件数(9月)、決算発表:米インテルなど
10月22日(金):消費者物価コア指数(9月)、日・米・欧・製造業/サービス業PMI(10月)など
10月24日(日):参議院静岡県・山口県選出議員補欠選挙の投開票
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予想レンジ:上限29750-下限28500円
来週の日経平均は一進一退か。インフレ懸念の後退や長期金利の上昇一服は引き続き相場の支えになろう。また、27000円台にあった日経平均が29000円を回復したこともあり、売り手の動きも細ってきそうだ。一方、国内では月末から7-9月期決算発表が本格化するほか、衆院選投開票も月末に控えることから、手掛かり材料難のなか様子見ムードが広がりそうだ。
米国の9月消費者物価指数(CPI)や(PPI)を受け、過度なインフレ懸念が後退したとの見方から、米長期金利は低下した。しかし、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)はこの間、2.52%へと一段と上昇。商品市況を背景としたインフレ懸念が後退したとはいえない。金利低下は、物価指標の発表を終えたことや国債入札が好調だったことを受け、債券の売り方がポジション調整で買い戻しを入れたことが主因と考えられる。
実際、NY原油先物価格などの上昇は続いている。さらに、今年はラニーニャ現象により日本や米国で厳冬となる確率が高いと指摘されており、冬季シーズンに向け、商品市況の高騰を受けたインフレ加速は一段と進む可能性が残されている。引き続きインフレを巡る思惑や金利動向には注意が必要だろう。
他方、岸田首相の金融所得課税引き上げを巡る発言などをきっかけに、政権への過度にネガティブな見方は後退。衆院選投開票日までは株高になりやすいアノマリーも再び意識されているようで、海外勢の買い戻しも進んできている。与野党の支持率格差が開いていることで、衆院選後の政権基盤の安定に期待する向きもあり、日本株の下値不安は後退してきた様子。
ただ、岸田政権の掲げる政策については具体性が乏しいとの批判は根強い。歴史的な低水準にある政権支持率が、衆院選後も向上しなければ、来夏の参院選に向けた懸念も残り、政権基盤が安定するとはいえないだろう。選挙期間中の株高ラリーの継続にも強くは期待しにくい。
結局、外部環境や国政に関する不透明感は依然くすぶり、買い材料に乏しい。衆院選の結果判明や企業業績の確認が終わるまでは、相場はこう着感を強めそうだ。
週初に中国で9月の鉱工業生産や小売売上高のほか、7-9月期の国内総生産(GDP)が発表される。不動産業の債務問題や電力不足の問題などを背景に、中国の景気減速が懸念されているだけに、注目度は高い。指標が大きく下振れるようだと、改めて中国リスクが意識され、中国での売上比率が高い銘柄には売り圧力となる可能性があるため、注意したい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)が11月中に債券買入れの段階的縮小(テーパリング)に着手する可能性があることから、来週発表される経済指標が市場予想を上回る内容だった場合、リスク選好的なドル買い・円売りが継続する可能性がある。ただ、ドルは短期間で大幅に上昇していることから、1ドル=114円台で短期筋などが利益確定を狙ったドル売りを増やす可能性がある。1ドル=115円近辺では輸出企業などのドル売りも想定されており、一段のドル上昇は抑制されそうだ。FRBが10月13日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月21-22日開催分)によると、金融当局者はテーパリングに関し11月半ばか12月半ばの開始で意見がほぼ一致したことが明らかになった。パウエルFRB議長は同会合後の記者会見で2022年半ばまでテーパリング完了の可能性に言及している。ただ、9月消費者物価コア指数は前年比+4.0%となり、市場予想と一致。NY原油先物(WTI)は1バレル=80ドル超の高水準が続くものの、過度なインフレ懸念は後退しつつある。
一方、中国恒大集団の債務問題は引き続き市場の懸念材料となりそうだ。関係筋によると、中国政府は、国内大手銀行の一部で住宅ローンに課していた制約を緩和しているもようだ。不動産開発大手、中国恒大集団の債務危機による影響の波及を巡り、当局が懸念を強めているとみられる。そのため、主要通貨に対するリスク回避的な円買いが急速に広がる可能性は残されており、ドル・円の取引でもドル買い・円売りは抑制される可能性がある。
■来週の注目スケジュール
10月18日(月):9党党首討論会、中・GDP(7-9月)、中・鉱工業生産(9月)、中・小売売上高(9月)、米・鉱工業生産指数(9月)、米・NAHB住宅市場指数(10月)、米・アップルの「MacBook Pro(マックブック・プロ)」新機種発表イベントなど
10月19日(火):衆院選公示(31日投開票)、家電・IT見本市「CEATEC(シーテック)」がオンラインで開幕(22日まで)、米・住宅着工件数(9月)、中・全国人民代表大会(全人代)常務委員会(23日まで)、決算発表:米ネットフリックスなど
10月20日(水):貿易収支(9月)、中・新築住宅価格(9月)、英・消費者物価コア指数(9月)、欧・ユーロ圏CPI(9月)、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表、決算発表:米テスラなど
10月21日(木):スーパーマーケット売上高(9月)、決算発表:ディスコ、トルコ・中央銀行が政策金利発表、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(10月)、米・中古住宅販売件数(9月)、決算発表:米インテルなど
10月22日(金):消費者物価コア指数(9月)、日・米・欧・製造業/サービス業PMI(10月)など
10月24日(日):参議院静岡県・山口県選出議員補欠選挙の投開票
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