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ピアラ Research Memo(6):H&B及び食品市場を主軸に、他業界へのマーケティング支援展開も実験的に進める
配信日時:2021/10/13 15:06
配信元:FISCO
■今後の展開
1. 市場環境
ピアラ<7044>がターゲットとするH&B及び食品業界の市場規模(通販・EC市場)は、2016年の1.8兆円から2020年は2.5兆円と年率7%前後の安定成長が続いたもようだ。今後も高齢化社会の進展による潜在顧客数の増加や健康に対する意識の高まり、女性の社会進出等を背景に、同市場は年率6~8%の安定成長が続くものと予測されている。同社では、これら通販・EC企業が投下するマーケティングコストは売上高の30%超と高く、業界全体では7,000億円を超える市場規模になっていると見ている。特に、ここ数年はEC市場の拡大を背景に大手ナショナルブランドメーカーもデジタルマーケティング施策に注力し始めていることから、マーケティングコスト全体に占めるデジタルマーケティングの比率も上昇傾向が続くと見られ、同社が展開している領域に関して見れば、中長期的に年率2ケタ台の成長が続くものと予想される。一方で、既述のとおり同領域ではブラック広告が増加していることを受け、規制当局が審査を厳格化した。業界の規制強化は、中長期的に見れば広告市場のクリーン化につながり、同社の安全性に対する顧客支持が高まるためポジティブに捉えることができるが、現状はその過渡期にあると同社では認識している
ヘルスケア産業について見ると、高齢化社会の進展に伴って予防や健康管理サービスなどの市場拡大が進むなかで、国内市場規模は2013年の16兆円から2020年の26兆円、2030年には37兆円へと急速な市場の拡大が予測されている。このため、同社では予防医療も含めたモノ・コトサービス企業に対するマーケティング支援も強化していく方針となっている。
さらには、グローバル化の進展や発展途上国の経済成長を背景に、世界の越境EC市場についても、2020年の9,123億ドルから2027年には48,561億ドルと年率27%の高成長が続くとの予測もある。中国や東南アジアなど経済成長率の高いアジア地域へ販売拡大を志向する日本企業も多く、こうした企業に対して越境EC支援サービスを提供していくことでさらなる成長を目指している。特に、中国市場ではインフルエンサーを活用したライブコマース事業に注力するほか、東南アジア市場ではコロナ禍で現状は事業活動が停滞しているものの、コロナ禍収束後に改めて積極展開を進めていく方針となっている。
そのほか、新たな成長の可能性を探るため、これまでH&B及び食品市場領域で培ってきたマーケティング支援のノウハウを他業界でも展開する予定だ。2020年11月からスタートしたエンタメDX事業に続き、実験的に他業種向けにマーケティング支援の一部を提供している。
2021年12月期は期初計画を下方修正するも、通販DX事業の開始により回復の道筋が見え始める
2. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の連結業績は売上高で前期比2.1%増の14,896百万円、営業利益で同76.0%減の120百万円、経常利益で同76.7%減の109百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同94.0%減の20百万円と、期初計画からいずれも下方修正した。コロナ禍が長期化していることに加えて、H&B及び食品市場におけるWeb広告の規制強化により、ヒット商品が生まれにくくなってきていることが要因だ。2021年8月には薬機法の規制が強化され、広告主だけでなく広告代理店やアフィリエイターなどにも課徴金が課せられることになり、広告主の出向意欲の低下が懸念される。
ただ、通販DXサービスについては多くの引き合いが来ており、順調に推移している。このため、半期ベースで見れば第2四半期累計を底に緩やかながらも回復に転じる見通しだ。なお、同社は業績悪化の経営責任を明確にするため、役員報酬の一部自主返納※を決定している。
※2021年8月~2022年2月までの間、代表取締役社長は月額報酬の40%、取締役(社外取締役を除く)は同20%を自主返納する。
エンタメDX事業は、登録アーティストの増加や新サービスとなるNFTモールのオープンにより、流通額で10億円を超えるものと予想される。NFTモールでは登録アーティストの動画や画像、テキスト等のデジタルコンテンツを、固定価格またはオークション形式で販売する予定となっている。また、NFT化することでオリジナルデータであることの証明が可能となるため、購入したデジタルコンテンツを再出品して販売することも可能となる。つまり、二次出品の場合でも、登録アーティストに売上の一部が還元される仕組みとなっている。流通額の10%程度が同社の売上に計上されることになり、運営コストなどを差し引いた売上総利益率は70~80%程度が見込まれる。登録アーティストによって流通額も大きく成長する可能性があり、今後の動向が注目される。
そのほか、通販DXサービスを加速させるための強化サービスとして、2021年7月にはオフライン広告の直接効果と間接効果の可視化を行うオフラインDXのサービスを開始し、顧客を獲得するうえで重要なカギを握る広告クリエイティブの企画を得意とする(株)ダイレクト・ホールディングスと業務提携した。
3. 中期経営計画数値目標の見直しについて
(1) 数値目標と基本方針
2020年12月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、経営数値目標として2022年12月期に連結売上高235億円以上、営業利益12億円、営業利益率5%以上を目標として掲げていた。しかしながら、市場環境の変化による戦略シフトを行ったことや足元の業績状況に鑑みて、売上高及び営業利益の目標値を一旦取り下げることとした。なお、新規事業投資については3年累計で10億円という計画に変わりない。
2022年12月期の業績については、通販DXサービスの動向がカギを握ると弊社では見ている。同サービスの拡大に伴い、シャワー効果によって成果報酬型のKPI保証サービスの売上成長にもつながるためだ。先行して開始した2社では成果が出始めており、今後の期待は大きい。なお、現在の見込み案件の多くは2021年12月期第4四半期以降に売上貢献してくる見通しとなっている。このほかの成長戦略として、他業種への横展開のほか、D2C支援サービスなども育成を進めている。
当面は、国内では、通販DX事業及びエンタメDX事業等の新規事業を成長分野と位置付け注力していくほか、海外では、中国での有力インフルエンサーを活用したライブコマース事業の育成を進めていく。中国のライブコマース市場規模は、2019年の6兆9千億円から2021年には30兆円を超えるとの予測もあることから、中国向けの有力販路の1つとして注目している。日本製品の中国での人気は依然高いため、販売する商材(コスメ、美容家電、日用品等)の獲得と合わせて有力インフルエンサーの獲得も推進していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 市場環境
ピアラ<7044>がターゲットとするH&B及び食品業界の市場規模(通販・EC市場)は、2016年の1.8兆円から2020年は2.5兆円と年率7%前後の安定成長が続いたもようだ。今後も高齢化社会の進展による潜在顧客数の増加や健康に対する意識の高まり、女性の社会進出等を背景に、同市場は年率6~8%の安定成長が続くものと予測されている。同社では、これら通販・EC企業が投下するマーケティングコストは売上高の30%超と高く、業界全体では7,000億円を超える市場規模になっていると見ている。特に、ここ数年はEC市場の拡大を背景に大手ナショナルブランドメーカーもデジタルマーケティング施策に注力し始めていることから、マーケティングコスト全体に占めるデジタルマーケティングの比率も上昇傾向が続くと見られ、同社が展開している領域に関して見れば、中長期的に年率2ケタ台の成長が続くものと予想される。一方で、既述のとおり同領域ではブラック広告が増加していることを受け、規制当局が審査を厳格化した。業界の規制強化は、中長期的に見れば広告市場のクリーン化につながり、同社の安全性に対する顧客支持が高まるためポジティブに捉えることができるが、現状はその過渡期にあると同社では認識している
ヘルスケア産業について見ると、高齢化社会の進展に伴って予防や健康管理サービスなどの市場拡大が進むなかで、国内市場規模は2013年の16兆円から2020年の26兆円、2030年には37兆円へと急速な市場の拡大が予測されている。このため、同社では予防医療も含めたモノ・コトサービス企業に対するマーケティング支援も強化していく方針となっている。
さらには、グローバル化の進展や発展途上国の経済成長を背景に、世界の越境EC市場についても、2020年の9,123億ドルから2027年には48,561億ドルと年率27%の高成長が続くとの予測もある。中国や東南アジアなど経済成長率の高いアジア地域へ販売拡大を志向する日本企業も多く、こうした企業に対して越境EC支援サービスを提供していくことでさらなる成長を目指している。特に、中国市場ではインフルエンサーを活用したライブコマース事業に注力するほか、東南アジア市場ではコロナ禍で現状は事業活動が停滞しているものの、コロナ禍収束後に改めて積極展開を進めていく方針となっている。
そのほか、新たな成長の可能性を探るため、これまでH&B及び食品市場領域で培ってきたマーケティング支援のノウハウを他業界でも展開する予定だ。2020年11月からスタートしたエンタメDX事業に続き、実験的に他業種向けにマーケティング支援の一部を提供している。
2021年12月期は期初計画を下方修正するも、通販DX事業の開始により回復の道筋が見え始める
2. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の連結業績は売上高で前期比2.1%増の14,896百万円、営業利益で同76.0%減の120百万円、経常利益で同76.7%減の109百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同94.0%減の20百万円と、期初計画からいずれも下方修正した。コロナ禍が長期化していることに加えて、H&B及び食品市場におけるWeb広告の規制強化により、ヒット商品が生まれにくくなってきていることが要因だ。2021年8月には薬機法の規制が強化され、広告主だけでなく広告代理店やアフィリエイターなどにも課徴金が課せられることになり、広告主の出向意欲の低下が懸念される。
ただ、通販DXサービスについては多くの引き合いが来ており、順調に推移している。このため、半期ベースで見れば第2四半期累計を底に緩やかながらも回復に転じる見通しだ。なお、同社は業績悪化の経営責任を明確にするため、役員報酬の一部自主返納※を決定している。
※2021年8月~2022年2月までの間、代表取締役社長は月額報酬の40%、取締役(社外取締役を除く)は同20%を自主返納する。
エンタメDX事業は、登録アーティストの増加や新サービスとなるNFTモールのオープンにより、流通額で10億円を超えるものと予想される。NFTモールでは登録アーティストの動画や画像、テキスト等のデジタルコンテンツを、固定価格またはオークション形式で販売する予定となっている。また、NFT化することでオリジナルデータであることの証明が可能となるため、購入したデジタルコンテンツを再出品して販売することも可能となる。つまり、二次出品の場合でも、登録アーティストに売上の一部が還元される仕組みとなっている。流通額の10%程度が同社の売上に計上されることになり、運営コストなどを差し引いた売上総利益率は70~80%程度が見込まれる。登録アーティストによって流通額も大きく成長する可能性があり、今後の動向が注目される。
そのほか、通販DXサービスを加速させるための強化サービスとして、2021年7月にはオフライン広告の直接効果と間接効果の可視化を行うオフラインDXのサービスを開始し、顧客を獲得するうえで重要なカギを握る広告クリエイティブの企画を得意とする(株)ダイレクト・ホールディングスと業務提携した。
3. 中期経営計画数値目標の見直しについて
(1) 数値目標と基本方針
2020年12月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、経営数値目標として2022年12月期に連結売上高235億円以上、営業利益12億円、営業利益率5%以上を目標として掲げていた。しかしながら、市場環境の変化による戦略シフトを行ったことや足元の業績状況に鑑みて、売上高及び営業利益の目標値を一旦取り下げることとした。なお、新規事業投資については3年累計で10億円という計画に変わりない。
2022年12月期の業績については、通販DXサービスの動向がカギを握ると弊社では見ている。同サービスの拡大に伴い、シャワー効果によって成果報酬型のKPI保証サービスの売上成長にもつながるためだ。先行して開始した2社では成果が出始めており、今後の期待は大きい。なお、現在の見込み案件の多くは2021年12月期第4四半期以降に売上貢献してくる見通しとなっている。このほかの成長戦略として、他業種への横展開のほか、D2C支援サービスなども育成を進めている。
当面は、国内では、通販DX事業及びエンタメDX事業等の新規事業を成長分野と位置付け注力していくほか、海外では、中国での有力インフルエンサーを活用したライブコマース事業の育成を進めていく。中国のライブコマース市場規模は、2019年の6兆9千億円から2021年には30兆円を超えるとの予測もあることから、中国向けの有力販路の1つとして注目している。日本製品の中国での人気は依然高いため、販売する商材(コスメ、美容家電、日用品等)の獲得と合わせて有力インフルエンサーの獲得も推進していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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