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注目トピックス 日本株 ユニリタ Research Memo(3):顧客のビジネスモデルを変革していくためのDXサービスをトータルで提供(2) ■会社概要2. 企業特長ユニリタ<3800>は企業理念として「私たちは、しなやかなITを使い、社会の発展とより良い未来の創造に貢献する企業を目指します。」を掲げている。同社の特長として以下の3点が挙げられる。(1) 独立系の自社開発パッケージソフトウェアメーカー主力事業(システム運用及びメインフレーム向け)における同社製品は、コンピュータの規模やメーカーなどの制約を受けることなく、システムのスムーズな運用を可能としているところに強みがある。同社製品と競合するメーカー系製品では、ハード部分だけを他のメーカーに切り替えることができないため、顧客にとって柔軟なシステム構築を阻害する要因となっていることと一線を画す。また、同社の主力事業における提供価値は、ITシステム運用の自動化、効率化にどれだけ貢献できるかに集約されるため、その分野に特化して積み上げてきた実績やノウハウが、同社製品及びサービスのきめ細かさやパフォーマンスの高さ、提案の精度に反映されている。システム導入に際しては、代理店任せの傾向が多く見られるなかで、同社製品が金融機関や大手企業を中心に直販にて提供してきたことや、システム更新時にリプレースで採用されるケースが多いのは、その証左と言えるだろう。同社が運営を委託されている「システム管理者の会」(日本最大規模のシステム管理者のネットワーク)は、個人会員数18,000名を超え(賛同企業数は約300社超)、同社がこの分野をけん引する存在であることを示している。今後は、顧客ニーズの変化に合わせ、これまでの製品販売による提供方法から、クラウドの活用とシステム運用を組み合わせたサービスモデル(継続課金型の収益モデル)への転換により、顧客との関係をさらに密接にしていく方針である。(2) メインフレーム向けの安定収益源を次の成長分野へ投資同社収益の大部分が「プロダクトサービス」により稼ぎ出されているが、そのなかでも「メインフレーム事業」の利益率は50%を超える水準にあり、安定的な収益源として同社の業績を支えてきた。それを可能としているのは、同社製品及びサービスへの信頼もあるが、顧客のスイッチングコスト(システムを入れ替えることにより発生するコスト)の高さにも起因していると考えられる。「メインフレーム事業」は外部環境の影響(オープン化の進展等)※により縮小傾向が続いているものの、残存者利益を享受するポジショニングや底堅い需要の継続により、しばらくはキャッシュカウ(資金源)の役割を担っていくことが想定される。したがって、その資金を次の成長分野(クラウドサービス等)への投資に振り向けることができるのは、同社にとって大きなアドバンテージと考えられる。※なお、富士通<6702>は2030年にメインフレームの製造・販売から撤退する方針を表明した。ユーザー企業は、保守期間の終了までにクラウドなどへの移行が求められることになる。(3) DXサービスをトータルで提案できる体制を構築これまでの事業構造変革を通じて、従来の情報システム部門から事業部門、管理部門へとサービス提供を広げ、ITシステム運用の自動化、効率化に貢献するだけでなく、企業価値を創出する分野にまで事業領域の拡充に取り組んできた。顧客事業の「攻め」と「守り」の両面を支援できる体制の確立により、顧客のビジネスモデルを変革していくためのDXサービスをトータルで提案可能となったことも同社の優位性を形成するものと考えられる。2022年3月期からはグループ機能を3つのセグメントに再編するとともに、横断的なグループエコシステムを構築。コンサルティングから、各種サービスの導入支援、システムインテグレーション、アウトソーシングまでワンストップソリューションを提供する体制となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <NS> 2022/12/14 15:43 注目トピックス 日本株 ユニリタ Research Memo(2):顧客のビジネスモデルを変革していくためのDXサービスをトータルで提供(1) ■会社概要1. 事業概要ユニリタ<3800>は、金融や製造をはじめ、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポート並びにそれらの事業に関わるコンサルティングやアウトソーシングサービスを手掛けている。創業以来、金融機関や大手企業を中心としたメインフレーム向けの製品が安定収益源となっており、高い収益性を誇っている。また、過去においては、顧客のジョブ管理や帳票管理など、ITシステム運用の自動化、効率化に貢献することで同社の業績も着実な成長を遂げてきた。システムのオープン化やダウンサイジング化の進展、クラウドの普及、ビッグデータの活用など外部環境の変化を受けて、それまでのITシステム運用の自動化、効率化に貢献する分野(生産性向上など)に加えて、顧客の企業価値向上に直接貢献する分野(市場拡大や競争力の向上など)へと事業領域を拡充。ITの「攻め」と「守り」の両面において、顧客のデジタル変革ニーズに対応するための事業体制の確立が、同社の強みとなっている。最近では、ビジネスモデルのサービス化(クラウド活用とシステム運用を組み合わせた継続課金型の収益モデルへの移行)やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)などにも取り組んでいる。事業セグメントは、「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」の3つに区分される。創業以来の主力である「プロダクトサービス」の売上高は40%を超え、収益源となっている。今後は、成長分野である「クラウドサービス」を大きく伸ばす方針である。各事業の概要は以下のとおりである。(1) プロダクトサービスシステム運用領域に関わるプロダクト(自動化、帳票)をオンプレミス型※1並びにサービス型により提供している。また、創業以来の主力事業であり、金融機関や生損保、大手製造業を中心としたメインフレーム向け製品(基幹業務システムの運用管理)の販売・サポートが含まれるほか、協業先であるアイネット<9600>※2のクラウド基盤上で、サーバの運用管理やセキュリティ対策、障害発生時の対応まで幅広くサポートするクラウド運用事業も展開している。主力製品には、ジョブ管理ツール「A-AUTO」(自動化事業)※3や帳票業務をまとめて支援する「まるっと帳票クラウドサービス」※4、「ユニリタクラウドサービス」(クラウド運用事業)などがある。※1 サーバやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設の構内に機器を設置して運用すること。※2 2017年5月に資本業務提携を締結。※3 「A-AUTO」は、異なるプラットフォームで稼働するシステムのジョブを統合管理し、自動実行制御を実現するバッチ処理のジョブ管理ツール。※4 顧客の面倒な帳票の出力業務(帳票の印刷・郵送代行から、電子化・Web配信まで)をまとめて支援するサービス。(2) クラウドサービスサービス提供による課題解決領域を「IT課題」(IT活用クラウド事業)、「事業課題」(事業推進クラウド事業)、「社会課題」(ソーシャルクラウド事業)の3つのカテゴリに区分し、それぞれの特性に合わせたサービスを提供している。1) IT活用クラウド事業では、「LMIS」(サービスマネジメントプラットフォーム)や、「Digital Workforce」(リモートワーク推進サービス)、「まるっとデータ変換・加工クラウドサービス」(データ変換・加工処理・運用保守サービス)などを企業の情報システム部門向けに展開している。2) 事業推進クラウド事業では、「DigiSheet」(人材派遣業向け勤怠管理サービス)、「らくらくBOSS」(業務管理の統合ソリューション)、「infoScoop Smart×Portal」(企業間コミュニケーションを支援するサービス)、「Growwwing」(カスタマーサクセスの立ち上げと成長支援サービス)などを企業の事業部門・管理部門向けに展開しており、今後の成長分野として位置付けている。また、3) ソーシャルクラウド事業では、位置情報サービス※(バス検索、バスロケーション、接近情報サービス)、「MANALYZE」(運行状況調査レポートサービス)、アグリサービス(圃場の収支管理、生産管理など農業技術のサービス化)などを事業会社、自治体・公共機関向けに推進している。※子会社の(株)ユニ・トランドが、IoT技術を活用したバス事業者向けソリューションを展開。バス位置検索システム(路線検索、運行位置情報検索等)のほか、バス乗降者数をリアルタイムで計測できるシステムも開発している。(3) プロフェッショナルサービスグループ企業を主体とし、システム運用及びデータマネジメントにおける強みを活かしたコンサルティングからシステム導入支援、システムインテグレーション、アウトソーシングまでのサービスをワンストップ型で提供している。顧客数(同社製品の導入実績数)は1,700社を超え、大手企業による導入実績が多く見られる。業種別売上構成比では、幅広い業種に対応しているが、製造、小売・流通、金融・保険の比率が高い。販売チャネルは、従来、直販を中心に提供してきたが、最近では、パートナー企業(販売代理店)との協業によるソリューション提供力の強化(協業モデル推進)に取り組んでおり、パートナー企業数も100社を突破している。また、Webマーケティングにも注力しており、Webマーケティングからの案件化の仕組みも確立してきている。主な連結子会社は、システム運用コンサルティング事業を展開する(株)ビーエスピーソリューションズと中国の販売拠点である備実必(上海)軟件科技有限公司のほか、(株)ヒューアップテクノロジー(人材ビジネス業界向けサービス)※、(株) ビーティス(BCPサービスの構築・運用・保守のサポート)、(株)データ総研(データ活用に関するコンサルティング事業)、(株) ユニ・トランド(移動体向けITソリューションの提供)、(株)ユニリタプラス(西日本地域の顧客への販売強化及びパートナー企業との連携)、(株)無限(システムインテグレーション事業、自社パッケージソフトの開発・販売など)、(株)ユニリタエスアール(システム運用代行業務および技術支援サービスの提供)の計9社となっている。※2022年4月1日付で、連結子会社の(株)アスペックスと(株)ビジネスアプリケーションの合併により新たに設立された。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <NS> 2022/12/14 15:42 注目トピックス 日本株 ユニリタ Research Memo(1):2023年3月期上期は計画を上回る増収増益、主力サービスが伸長 ■要約1. 会社概要ユニリタ<3800>は、金融や製造をはじめ、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポートを手掛けている。ITの役割が「守り」(業務効率化やコスト削減等)から「攻め」(ビジネスの競争優位性を実現する手段)へ変化するなか、「システム運用」と「データ活用」領域における強みを活かし、デジタル変革(DX)に取り組む企業の業務課題を直接解決するソリューション提供力を発揮してきた。最近では、「サービスシフト」の経営方針の下、新たなサービスモデル(クラウド活用とシステム運用を組み合わせた継続課金型の収益モデル)への移行やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)などに取り組み、ビジネスモデルの変革を推進している。2022年3月期から3ヶ年の中期経営計画がスタートし、2年目を迎えている。「共感をカタチにし、ユニークを創造するITサービスカンパニーへ」を基本方針とし、事業セグメントを「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」に変更するとともに、グループの経営資源とITソリューション力を活かした事業活動を通じて、事業会社としての経済的価値と社会課題解決による社会的価値の双方を実現する方向性を打ち出している。2. 2023年3月期上期決算の概要2023年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比9.5%増の5,440百万円、営業利益が同22.9%増の336百万円と計画を上回る増収増益となった。売上高は3つの事業が伸長した。「プロダクトサービス」は、自動化・帳票プロダクトにおいて製販一体となったサービスシフト提案が奏功し、ストック売上が伸びた。「クラウドサービス」は、DX推進に伴う新たな課題解決ニーズに合致する主力サービスが引き続き好調に推移した。「プロフェッショナルサービス」は、DX推進に伴うコンサルティング案件が堅調であり、グループ機能を結集したワンストップソリューションの起点として、業績全体の伸びをけん引した。損益面では、人員増強に伴う人件費並びに研究開発費が増加したものの、増収に伴う収益の押し上げや内製化推進による外注費削減効果により、計画を上回る営業増益を実現した。また、活動面でも、専門性の高いパートナー企業との新たな協業モデルの開発や農業経営支援クラウドサービスのリリースなどで大きな進展を図ることができた。3. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比4.4%増の10,900百万円、営業利益を同8.2%増の750百万円と増収増益を見込んでいる。売上高は「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」の伸びが増収に寄与する見通しだ。引き続き、グループの顧客基盤を活用したハイブリッドな販売戦略の推進や事業間の連携、パートナー企業との協業などにより事業拡大を図る方針である。損益面では先行投資を継続するものの、増収による収益の押し上げにより営業増益を実現する見通しとなっている。4. 中期経営計画の進捗同社は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の長期化等に伴い、「クラウドサービス」の一部(事業推進クラウド事業、ソーシャルクラウド事業)などに進捗の遅れが生じたことから、2022年5月13日付けで中期経営計画を下方修正したが、今後の事業戦略に変更はない。これまでの事業構造変革を通じて強化してきた「データマネジメント」「サービスマネジメント」「プロセスマネジメント」の3つのコアテクノロジーをもとに、顧客のビジネスモデルを変革していくためのDXサービスを提供することで成長を加速する計画であり、最終年度である2024年3月期の売上高11,500百万円、営業利益900百万円を目指していく。■Key Points・2023年3月期上期は計画を上回る増収増益で着地・DX推進に伴う需要拡大やサービス化の進展により主力サービスが伸長・2023年3月期の業績予想を据え置き、引き続きグループ機能の再編などを通じて増収増益を見込む・グループの経営資源とITソリューション力を活かした事業活動を通じて、事業会社としての経済的価値と社会課題解決による社会的価値の双方を実現する方向性(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <NS> 2022/12/14 15:41 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(11):2023年3月期は年間74円配当(配当性向40.1%)を予定 ■株主還元エレマテック<2715>は基本的に、株主還元については配当によることを原則としており、「配当性向40%以上」を目標として掲げている。事実、年間配当として2020年3月期は32円、2021年3月期は36円、2022年3月期は53円を実施、配当性向はそれぞれ40.1%、40.2%、40.4%であった。進行中の2023年3月期についても、基本的目標である「配当性向40%以上」を維持するために当初は年間60円配当を発表していたが、通期の業績見通しが前述のように上方修正されたため、年間配当を74円(中間期27円、期末47円)に増配することを発表した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:41 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(10):中期経営戦略「エレマテックNEXT」を推進中、3分野に注力(2) ■エレマテック<2715>の中長期の成長戦略4. 自動車ビジネスの拡充(1) 自動車のモジュールビジネス拡大スマートミラー用ガラスASSY(スマートミラー用ガラスへのフィルム貼合)は、中国無錫工場のガラス/フィルム貼合工程を活用する。中国系メーカーのガラス商材を発掘・提案しコストダウンに貢献する。輻射熱ヒーターASSYでは、電気容量の不足を防ぐため「新しい/安全なヒーターシステム」の搭載を進める。技術部との連携により、ロボットを用いた製造及び検査工程の自動化を提案していく。耐火シートASSYは、 バッテリーの発火・延焼対策として需要が拡大するなか、国内外の不燃材料を用い、アッセンブリを行い客先へ納入する。(2) 海外OEM/Tier1の攻略欧州展示会へ積極的に参加した。2021年の展示品は、自社工場を活用する製品ではスマートミラー用ガラスASSY、メーター液晶ボンディング(液晶メーター/前面板への透明樹脂貼合)、HUD(Head-Up Display)部材(熱対策、軽量化部材)が挙げられる。日系有力商材としては、加飾部品(光透過フィルム)、3D映像デモ機、温調カップホルダーを展示した。成果として、既に欧州Tier1の口座を獲得したが、今後はHUDや内装関連商材を中心としたスペックイン活動を強化する。またEV用漏電対策部材の試作を受注済みだが、新規参入EVメーカーに対しても既存ビジネスを横展開する。5. SDGsへの取り組み(1) 事業活動を通じた持続可能な社会への貢献同社では、以下のような事業活動によって持続可能な社会へ貢献している。・交通事故のない社会の実現事故要因低減商材の拡販:HUDやドライブレコーダー等、交通事故要因の低減に寄与する 部材の拡販に注力する。・環境に配慮した部材の納入ゲーム機用キャリングケース量産開始:ペットポトル等の廃材を利用したリサイクル樹脂を使用したゲーム機コントローラー用キャリングケースを上市済み。・クリーンエネルギー関連部材の納入PHEV(プラグインハイブリッド車)/EV関連商材の拡販:パイロヒューズ等、PHEV/EV関連商材の拡販に注力する。(2) 重要課題(マテリアリティ)と取り組み施策同社が取り組む重要課題は次の通りとなっている。・安心安全な社会の実現交通事故のない社会の実現に向けて、ドライブレコーダーの企画開発及び部材の拡販に努める。適切な医療環境の整備に当たっては、医療機器部材の納入によって貢献する。・環境負荷の低減と循環型社会の実現環境に配慮した部材として、植物由来原料を使用した梱包材を納入している。クリーンエネルギー関連の部材はPHEV・EV車向けの部材を納入している。リサイクル活動を推進する。品質、環境マネジメントシステムを実践している。・多様性を尊重し、成長し合う組織づくり人権の尊重、研修制度の拡充、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進、働き方改革に取り組む。・すべてのステークホルダーから信頼されるガバナンス体制の構築ガバナンス体制及びコンプライアンス体制の整備、強化に努める。6. 中期業績予想中期の業績計画として、同社は毎年期初に、ローリング方式による当該年度と2年後の業績予想を開示している。2023年3月期の開始に当たっては、当期業績予想とともに2025年3月期において、売上高2,550億円、経常利益106億円を目指す中期予想を公表している。ただし、前述のように進行中の2023年3月期の経常利益が109億円と予想されていることから、この中期業績予想が前倒しで達成される可能性は高いが、現時点では修正は行われていない。弊社では、今期決算が発表される2024年春ころには新しい計画目標が発表される可能性が高いと見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:40 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(9):中期経営戦略「エレマテックNEXT」を推進中、3分野に注力(1) ■中長期の成長戦略1. 中期経営戦略「エレマテックNEXT」の概要エレマテック<2715>は、2020年に中期経営戦略「エレマテックNEXT」を発表している。その中期戦略の柱として、「高付加価値型ビジネスの拡大」「海外有力顧客の開拓」「自動車ビジネスの拡充」の3つを掲げている。それぞれの進捗状況は次のようになっている。2. 高付加価値型ビジネスの拡大(1) 変化するビジネスモデル同社が主戦場とする電子部品・部材・機器の市場において、同社に求められる役割は刻々と変化しており、現在では、(企画・開発>仕入>加工>物流>納品)という「ワンストップソリューション」が求められている。そのため同社の事業モデルも、(部材販売>モジュール品販売>完成品販売>完成品(システム込み)販売)へと変化している。このような市場から求められる役割に対応するため同社では、技術部、環境・品質保証部、営業部、開発部から派遣された専門家集団(営業、品質保証、設計)により「ODMチーム」を組成、より付加価値の高い完成品ODMビジネスの積極展開を行ってきたが、現在では「モジュール品+カスタマイズ品」比率が60%超となっている。今後もこの方針は変わらず、一段と「企画力・提案力」を強めていく計画だ。(2) 完成品(ODM)ビジネスの進捗状況同社では既に「ODMチームサポート体制」を立ち上げており、国内・海外双方に品質管理部門を設置して品質マネジメントを行っている。企画・設計から量産までを一元管理するため、提案力が強みとなっている。製品の量産実績を積み重ねており、対象製品は、ドライブレコーダーやウェアラブル活動量計、車載タブレット、モバイルバッテリーなど多岐にわたる。また、ウェアラブル機器やテレビ用リモコン、電源スタンドなどについて、量産の提案を行っている。(3) ODM専門部署の設置試作・量産等、ODMビジネスをさらに推進するため「ODM専門部署(本社第5営業グループ)」を設置した。その効果として、案件数は約100件程度へ大幅に増加した。(4) 環境対応型商材の拡充同社を取り巻く市場環境の1つとして、サステナビリティに対する意識が世界的に高まり、環境に配慮した商品への需要が急増している。さらに2022年4月からは「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されたが、同社では、このような流れを新たなビジネスチャンスと捉え、「エコ商材推進チーム」を設置した。その成果として、既に下記のような商材が上市されている。これにより、法令に準拠する商材を提案し「脱プラ・減プラ」に貢献する。・バイオプラスチックのカテゴリーa) バイオマス:原料に植物等再生可能な有機資源を使用b) 生分解性:微生物等の動きで二酸化炭素と水に分解c) 樹脂ペレット:PP(ポリプロピレン)に紙等を混合d) フィルム:土壌・堆肥で分解可能e) 添加剤:PP・PE(ポリエチレン)等の樹脂に混ぜバイオマス度を向上/生分解性を付与・プラスチック代替素材のカテゴリーf) パルプモールド:竹・サトウキビを原料とした包装資材(既に大手ゲーム機メーカー向け梱包材として実績)g) 異種材料成形品:紙・もみ殻等の廃材や天然素材を樹脂に配合3. 海外有力顧客の開拓(1) フォルダブルスマートフォン向けビジネスの強化同社では、国内外の有力顧客から評価される「刺さる商材」の拡充を進めているが、そのなかで有望な商材として注目されるのがフォルダブル(折りたたみ式)スマートフォン用商材である。スマートフォン業界では現在、液晶型から有機EL型への移行が進んでいるが、その先にあるのがフォルダブルスマートフォンである。このフォルダブル端末は開発過渡期であり、今後本格的な量産が開始されると予想されるが、このような流れは同社にとって、「中国系・米系有力顧客を攻略」する点や、日本製の有力商材を中心にPRすることでOCA/OCR(光学透明粘着シート/光学透明樹脂)やフィルム(OLED表示面保護フィルム等)の拡販を狙える点において追い風となる。(2) 刺さる商材の提案強化同社では、国内外の有力顧客開拓のためには「刺さる商材」の提案強化が不可欠であると考える。そのためには、既存のグローバルネットワーク(国内 25拠点/海外 42拠点)に加えて、有力顧客の企画・開発拠点近くに開発部員を配置することが重要であり、以下のような拠点を開設している。中国(深セン)では、フォルダブルスマートフォン向け商材を中心に中国の有力顧客へ訴求し、成果として中国系大手企業の口座を獲得した。米国(サンノゼ)では、ショールームにおいて日系商材を中心に米系有力顧客へアピールしている。成果として、米系大手ITプラットフォーム企業向けスペックイン案件の受注を獲得し、量産を開始した。台湾においては、今後開発部員を配置し、ドライブレコーダーの拡販やサンノゼで好評な商材の展開に注力している。以上のような状況から、ターゲットとしていた大手米系、中国系企業のほぼすべてで取引口座を獲得した。今後はこれをさらに加速させる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:39 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(8):2023年3月期はマーケット別の3分野すべてで増収見込み ■今後の見通し● 2023年3月期の業績見通し(1) 損益見通しエレマテック<2715>の2023年3月期は、売上高243,500百万円(前期比21.4%増)、営業利益11,650百万円(同39.6%増)、経常利益10,950百万円(同39.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,550百万円(同40.5%増)と予想されている。好調な上半期の決算を受けて、期初予想(売上高225,500百万円、営業利益8,950百万円)から大幅に上方修正された。全セグメント(地域)で増収の予想であり、マーケット別でも、すべての領域で増収予想となっている。平均為替レートについては、通年で135.00円(前期は112.39円)を前提としている。このように通期では大幅増益予想となっているが、下半期だけを見ると営業利益は前年同期比で3.2%増であり、かなり慎重な予想となっている。これは上半期の結果が予想以上に堅調であったためだが、下記に述べるように引き続き堅調に推移すると予想される商材も多いこと、さらには為替レートについても、現在の水準が続けば円安効果が見込めることなどから、通期の業績予想が再度上方修正される可能性は高いと弊社では見ている。(2) マーケット別売上高予想マーケット別では、Digital Electronicsは103,204百万円(前期比17,242百万円増、同20.1%増)が予想されている。液晶、タッチパネル、バックライトは車載用を中心に堅調に推移すると予想され、6,331百万円の増収を見込む。TOY、ホビーもゲーム機向けを中心とした出荷増が期待できることから5,526百万円の増収予想。電気・電子部品、半導体は客先での生産回復により3,278百万円増を見込んでいる。Automotiveは、自動車生産の増加に加えて新規案件の獲得(主にEV関連)により37,175百万円(同9,071百万円増、同32.3%増)の予想となっている。Broad Marketは103,120百万円(同16,539百万円増、同19.1%増)が見込まれている。向け先別では、アフターマーケットでは引き続きドライブレコーダーが堅調に推移すると予想されることなどから6,633百万円増を見込んでいる。重電、車両制御は2,350百万円増、産業機器向けも2,263百万円増が予想されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:38 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(7):手元の現預金は275億円と潤沢、財務基盤は安定 ■業績の動向(4) 財務状況エレマテック<2715>の2023年3月期第2四半期末の流動資産は116,233百万円(前期末比7,237百万円増)となったが、主に現金及び預金の減少3,190百万円、受取手形及び売掛金の増加7,805百万円、たな卸資産の増加2,575百万円などによる。固定資産は6,502百万円(同166百万円増)となったが、主に有形固定資産の増加132百万円、投資その他の資産の増加57百万円による。この結果、2023年3月期第2四半期末の資産合計は122,735百万円(同7,403百万円増)となった。一方で、流動負債合計は57,033百万円(同2,924百万円増)となったが、主に流動負債のうち、支払手形及び買掛金の増加971百万円、短期借入金の増加1,033百万円、その他流動負債の増加919百万円などによる。純資産合計は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上などによる利益剰余金の増加2,690百万円などを受けて63,918百万円(同4,273百万円増)となった。この結果、2023年3月期第2四半期末の自己資本比率は52.1%(前期末51.7%)となった。(5) キャッシュ・フローの状況2023年3月期第2四半期における営業活動によるキャッシュ・フローは2,820百万円の支出となった。主な収入は、税金等調整前四半期純利益の計上6,122百万円、減価償却費559百万円などで、主な支出は、売上債権の増加5,240百万円、たな卸資産の増加1,474百万円、仕入債務の減少1,819百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは439百万円の支出となったが、主な支出は有形固定資産の取得(主に金型)443百万円、無形固定資産の取得20百万円などとなっている。財務活動によるキャッシュ・フローは783百万円の支出だったが、主に短期借入金の純増加による収入886百万円、配当金の支払額による支出1,473百万円、リース債務の返済による支出197百万円によるものである。この結果、2023年3月期第2四半期中の現金及び現金同等物は3,189百万円の減少となり、期末残高は27,563百万円となった。依然として手元資金は潤沢と言える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:37 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(6):マーケット別では、3分野すべてで増収 ■エレマテック<2715>の業績の動向(2) マーケット別状況Digital Electronicsは54,848百万円(前年同期比13,273百万円増、同31.9%増)となったが、主に車載用が好調であった液晶、タッチパネル(TP)、バックライト(BL)が7,156百万円増、電気・電子部品、半導体が2,116百万円増であった。またテレビ用を中心とした黒物家電向けも1,596百万円増となった。Automotiveは自動車生産の回復に加えて新規採用品(EV関連部材等)が寄与したことから16,912百万円(同3,753百万円増、同28.5%増)となった。Broad Marketは、51,406百万円(同14,479百万円増、同39.2%増)となったが、主にドライブレコーダーが堅調であったことからアフターマーケット向けが同8,748百万円増、スポット案件を獲得した重電、車両制御向けが1,561百万円増、自動販売機向け新規案件獲得などにより産業機器向けが1,064百万円増となった。(3) 地域別状況地域別売上高(決算短信ベース)は、日本が65,800百万円(前年同期比36.3%増)、中国が29,801百万円(同22.9%増)、その他アジアが19,361百万円(同29.2%増)、欧米が8,204百万円(同98.6%増)となった。日本が増収となったのは、主に自動車向けが堅調であったことによる。中国は、電気・電子部品関連に加えてTOY・ホビー向けが比較的好調であったことから増収となった。欧米では、主に欧州での自動車向けが回復したことなどから増収となった。セグメント利益は、日本が3,038百万円(同72.8%増)、中国が1,807百万円(同114.3%増)、その他アジアが885百万円(同17.8%増)、欧米が236百万円(同601.2%増)となり、すべての地域で増収・増益となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:36 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(5):2023年3月期2Qは営業利益が前年同期比90.4%増と過去最高を更新 ■業績の動向● 2023年3月期第2四半期決算概要(1) 損益状況エレマテック<2715>の2023年3月期第2四半期の業績は、売上高123,167百万円(前年同期比34.4%増)、営業利益6,628百万円(同90.4%増)、経常利益6,122百万円(同79.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益4,164百万円(同73.7%増)となった。主要な客先での生産が堅調に推移したこと、営業努力により新規に獲得した案件が寄与したことに加え、円安効果もあり第2四半期として売上高・利益ともに過去最高を更新した。売上総利益率は11.4%となり前年同期比0.6pt改善したが、円安に加えて自動車向けやゲーム機向け等の比較的高採算品の比率が高まったことによる。この結果、売上総利益額は同40.8%増となった。販管費は、前年同期比14.0%増の7,351百万円となったが、主に業績連動賞与引当金の増加等による人件費の増加397百万円、売上増に伴う荷造運賃の増加136百万円、その他費用の増加(行動制限解除に伴う旅費交通費の増加等)369百万円による。この結果、販管費率は6.0%(前年同期7.0%)となり、営業利益は大幅増となった。また同社は輸出型の商社であることから、業績は為替レートの影響(円高マイナス、円安プラス)を受ける。同社によれば、1円の変動で売上高は約1,100百万円、経常利益は70百万円の影響を受けるという。2023年3月期第2四半期の対ドル平均レートは、134.03円(前年同期は109.81円)であったことから、経常利益ベースで約789百万円のプラス効果があったようだ。また一時期に懸念された世界的な半導体不足は改善されつつあり、この上半期については大きな影響はなかったようだ。むしろ「反対に一部の部品は余剰気味であり、注意を要する」と同社では述べている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:35 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(4):「機を見るに敏」の戦略で収益成長を維持してきた ■会社概要4. 長期業績推移エレマテック<2715>の長期的な業績推移を振り返ると、浮沈の激しいエレクトロニクス業界に身を置きながら、経済サイクルや製品サイクルなどの波を乗り越えて安定成長を果たしてきたと言えるだろう。2000年代初めは携帯電話関連で伸びたが、その中身はFPC(プリント配線板)の部材や基板実装、光学フィルムなどが主要な商材だった。2010年前後はテレビの地上波デジタル放送への移行などもあって液晶テレビ関連の部材が大きなビジネスとなった。また、2010年以降はスマートフォンやタブレットが急成長商品として台頭し、同社はそこに各種フィルム類やガラス類などを販売してリーマンショックからの迅速な回復と、連続最高益の更新を達成した。ここ数年は今までのスマートフォン市場が成熟化したことで業績の踊り場を迎えた形となっているが、ドライブレコーダーなど企画力・提案力を強めることで成長を維持している。さらに同社にとって次の成長市場は自動車関連と海外顧客攻略に移行しつつある。多数の取引先と多様な商材を有するだけでなく、提案・製造の力も持っている同社にとっては、一段と商機が拡大すると期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:34 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(3):多数の商材・取引先を生かして業績の安定成長を実現 ■会社概要2. 特長と強み(1) 豊富な商材と盤石な顧客基盤エレマテック<2715>の特長としてまず挙げられるのは、多数の取引先と商材を抱える点だ。仕入先は約7,200社(メーカー)に上り、一方で約6,200社の販売先(ユーザー)に対して、電子材料や電子部品を中心とする広範囲で多様な商材の取引を行っている。個別の仕入先及び販売先は開示されていないが、主な販売先上位10社が売上高の約45%(2022年3月期)を占める。このように仕入先や販売先、取扱商品が分散されているため、業績は特定の顧客や製品の動向に大きく左右されることが少なく、安定した成長の持続が可能となっている。(2) 提案力と製造能力(拠点)多数の顧客を抱えていることから、同社は顧客から多くの要望を受ける。その一方で、長年にわたり多くの商材を取り扱ってきたことから、多数の商材の特色・特性を知り尽くしており、この商材の特色や過去のノウハウを組み合わせることで、顧客の要望に応える力を持っている。また単に顧客要望に応えるだけでなく、そのニーズを先読みして、自ら提案する力を有しているのも同社の強みだろう。要するに「受け身」(Passive)の事業展開だけでなく、「能動的」(Active)な事業展開を行えるのだ。さらに同社の場合、製造部門(国内1工場、海外2工場、多数の製造委託先)を有していることも強みだ。これによって、単に部材を販売するだけでなく、顧客の要望に応じてモジュール品やカスタマイズ品、半製品を提供することができる。ある意味で、顧客にとっては「便利で都合の良いベンダー」かもしれないが、この事実によって、多くの顧客が同社とのビジネスを長年継続しているとも言え、この点も同社の強みだろう。(3) 立体的な収益構造一般的な電子部品商社の場合、収益を拡大するためには顧客(X軸)と商材(Y軸)が重要な要素となり、平面的な収益構造と言える。しかし同社の場合は、これに加えて企画(提案)・製造・品質管理などの第3軸(Z軸)の要素も持っている。言い換えれば収益構造が立体的になっていると言える。特に近年は単なる商社機能から企画力・提案力を強めており、Z軸方向が高く(厚く)なってきている。一般的な建物に喩えれば、高いビルほど強く崩れにくい構造であることと同様で、同社の収益構造は強く、簡単には崩れないと言える。このように立体的な収益構造を有している点も同社の特色であり強みだろう。3. 主なサービス・機能同社が提供しているのは、最適な部材の供給、信用供与・ファイナンス、納期・在庫の管理といったエレクトロニクス商社としてのベーシックなサービス・機能だけではない。企画開発・設計、製造サービスなど、より高度で付加価値の高いサービス・機能も提供している。同社では特色として以下のような5つのサービス・機能を掲げているが、こうした機能があるからこそ、多様な商材をビジネスにつなげ、業績に落とし込むことができていると言えるだろう。(1) 企画開発・設計営業部門・開発部門・技術部が連携し、新しいパーツやユニットを企画開発・設計する。(2) 調達代行サービス顧客が求める品質・コスト・納期に最適な部材の調達を代行する。(3) 製造サービス自社工場や国内外の優良な外部委託を活用し、カスタマイズ品・モジュール品、完成品(ODM)を提供する。(4) 品質・環境マネジメント高品質な製品を届けるために、高度な品質管理体制を確立している。(5) 海外ネットワークワールドワイドなネットワークを使って、スムーズなグローバル物流を実現している。以上のように、同社は単なる部品商社ではなく様々なサービスや機能を有している。言い換えれば、上記の「5つのサービスや機能」を提供することで単純な商社機能に付加価値を加え、その結果として相対的に高い粗利率を維持している。今後も「5つのサービスと機能」をより活用していくことで、同社の粗利率はさらに向上していくはずだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:33 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(2):電子材料を得意とする2社が2009年に合併して誕生 ■会社概要1. 沿革と事業内容(1) 沿革エレマテック<2715>の前身の2社のうち、高千穂電気は1947年に東京で、大西電気は1958年に京都で、それぞれ設立された。両社はともに絶縁材料の取り扱いからスタートし、その後の技術開発の流れに沿ってエレクトロニクス製品向けの電子材料へと取扱品目を拡大させて、独立系技術商社として業容を拡大してきた。両社は2009年に合併(存続会社は高千穂電気)し、社名をエレマテック株式会社へと改めた。事業領域はともに電子材料が主体でありながら、東京と京都で地理的補完関係を生かして成長を続けてきた。2012年にTOBによって豊田通商の子会社となり、現在に至っている。(2) 事業内容沿革を反映し、同社は現在、エレクトロニクス製品向けの電子材料をはじめとして電子部品や設備など幅広い商材を取り扱っている。事業の基盤としては、連結ベースで従業員1,165名(2022年3月末現在)を抱え、国内外に67拠点(2022年4月1日現在)を擁している。事業拠点の中には加工サービスを手掛ける拠点が国内1、中国2の合計3ヶ所含まれている。事業はグローバルで展開しているが、主要顧客は日系企業が中心であり、日本企業の海外進出状況を反映して、海外については中国及びアジア地域が主体となっている。2023年3月期第2四半期の売上高構成比(決算短信ベース)は、日本が53.4%、中国(香港含む)24.2%、その他アジア15.7%、欧米6.7%という構成だった。同社は仕入先・販売先の双方に多数の顧客を有して幅広い商材を取り扱っているため、管理するうえでグルーピング(分類)は不可欠だ。従来は取扱商材に基づき管理(仕入先基準)を行っていたが、2015年3月期からは顧客企業の生産品目を基準(販売先基準)としたマーケット別に分類する方式に切り替えた。その結果現在では、Digital Electronics、Automotive、Broad Marketの3つに分けて内部管理及び情報開示を行っている。それぞれの売上高比率は、2023年3月期第2四半期では、Digital Electronics 44.5%、Automotive 13.7%、Broad Market 41.7%となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:32 注目トピックス 日本株 エレマテック Research Memo(1):高付加価値型ビジネスの拡大、海外有力顧客の開拓、自動車ビジネスの拡充へ ■要約エレマテック<2715>は、2009年に高千穂電気株式会社と大西電気株式会社が合併して誕生した電子材料を得意とするエレクトロニクス商社だが、その後2012年に豊田通商<8015>グループ入りした。近年は単なる部品・部材の販売だけでなく、モジュール製品やODM製品(Original Design Manufacturing:企画段階から参画し、他社ブランド製品を設計から製造まで行う)の拡販に注力している。1. 2023年3月期第2四半期は、需要回復に加え円安効果で大幅増収増益2023年3月期第2四半期の業績は、売上高123,167百万円(前年同期比34.4%増)、営業利益6,628百万円(同90.4%増)、経常利益6,122百万円(同79.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益4,164百万円(同73.7%増)となった。客先での生産回復、新規獲得案件の寄与に加え、円安効果もあり第2四半期として売上高・利益ともに過去最高を更新した。マーケット別では、3分野すべてで増収となった。Digital Electronicsではディスプレイ関連が堅調に推移し31.9%の増収、また顧客の生産回復によりAutomotiveも28.5%の増収となった。さらに主にドライブレコーダー向けに牽引されたBroad Marketも39.2%の増収となった。地域別でも、すべての地域で増収となった。懸念されていた半導体不足の影響も改善されつつあり、当上半期においては特に問題はなかった。2. 2023年3月期は、営業利益は39.6%増へ予想を上方修正、配当は年間74円(配当性向40.1%)へ増配の予定好調な上半期の決算を受けて2023年3月期(通期)の業績は、売上高243,500百万円(前期比21.4%増)、営業利益11,650百万円(同39.6%増)、経常利益10,950百万円(同39.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,550百万円(同40.5%増)と予想されており、期初予想(売上高225,500百万円、営業利益8,950百万円)から大幅に上方修正された。マーケット別では、Digital Electronicsは前期比20.1%増、Automotiveは同32.3%増、Broad Marketは同19.1%増が見込まれている。上半期の業績が堅調であったことから、下半期の伸び率は上半期に比べて低下すると見ており、慎重な予想となっている。ただし、需要は引き続き堅調であることに加え、対ドル円レートの前提を135.00円(前期実績112.39円)としていることから、現在の為替の水準が続けば利益が上乗せされる可能性はあると弊社では見ている。年間配当は、それまでの60円予定から74円(予想配当性向40.1%)への増配を予定している。3. 中期経営戦略「エレマテックNEXT」を推進中同社は、2020年春に中期経営戦略「エレマテックNEXT」を発表した。主要戦略として「高付加価値型ビジネスの拡大」「海外有力顧客の開拓」「自動車ビジネスの拡充」を掲げている。この戦略を推進・実行していくことで、単なる量的拡大だけでなく、質的な改善を目指していく方針だ。高付加価値型ビジネスでは、完成品ODMビジネスが本格的に稼働し始めている。国内外有力顧客の開拓では、フォルダブルスマートフォン向けを強化することで、中国系、米系顧客の攻略を目指す。自動車向けでは、生産の回復に加えてEV(電気自動車)化に伴う周辺商材の拡販で売上増を計画している。なお、中期経営戦略とは別に中期の業績計画として、同社は毎年期初に、ローリング方式による当該年度と2年後の業績予想を開示している。2023年3月期の開始に当たっては、当期業績予想とともに2025年3月期において売上高2,550億円、経常利益106億円を目指す中期予想を公表しているが、この目標は前倒しで今期(2023年3月期)にも達成される公算が強い。そのため弊社では、来期(2024年3月期)の初頭には新たな目標が設定される可能性が高いと見ている。■Key Points・「高付加価値型ビジネスの拡大」「海外有力顧客の開拓」「自動車ビジネス拡充」を3本柱に収益拡大を目指す・2023年3月期は39.6%の営業増益を予想、年間配当も74円(配当性向40.1%)へ増配を予定・中期経営戦略「エレマテックNEXT」を推進中、2025年3月期の目標は前倒し達成の公算大(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/12/14 15:31 注目トピックス 日本株 アクシージア---1Qは2ケタ増収増益、越境ECを含め中国国内での売上が好調に推移 アクシージア<4936>は12日、2023年7月期第1四半期(22年8月-10月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比46.4%増の26.19億円、営業利益が同21.8%増の3.91億円、経常利益が同42.9%増の4.75億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同46.6%増の3.20億円となった。国内化粧品市場においては、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞は落ち着きつつあり、入国規制の緩和によるインバウンドも回復傾向にある一方で、円安の進行等に伴う原材料の価格高騰などにより、今後の経済の先行きは、依然として不透明な状況が続くとしている。中国化粧品市場においては、新型コロナウイルス感染症に対する新規感染者数をゼロに抑えるゼロコロナ政策の影響で、各地で行動制限が発生するなど先行きは不透明な状況が続いた。このような市場環境のもと、同社グループでは、中国市場に広告投下することにより更なる販売力の強化を図ってきた。また、中国市場を主なターゲットとして製品開発を行い、効果・効能を謳うことができる特殊化粧品の行政認可登録を行うなど、中・高価格帯の製品もEコマースで販売できるという中国の特性を活かして、更なるブランド力の向上を目指し知名度を上げていく取り組みを進めている。当第1四半期における経営成績は、売上高は越境ECを含め中国国内での売上が好調に推移し増収となった。また、各利益も増益となった。2023年7月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比26.0%増の103.51億円、営業利益が同11.3%増の18.18億円、経常利益が同2.9%増の17.97億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.0%増の11.72億円とする期初計画を据え置いている。 <NS> 2022/12/14 15:27 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(10):「お店の子ども食堂/みせしょく」を推進。造作物の廃棄量削減にも貢献 ■ESG経営・SDGsへの取り組み1. CSR活動2019年6月より、テンポイノベーション<3484>が転貸借した飲食店を利用して子ども食堂「お店のこども食堂/みせしょく」を推進している。子どもたちへの食事の提供にとどまらず、地域における居場所づくり、子育て支援など、より広く開かれた社会的インフラになることを目指している。この取り組みが評価されて2022年度グッドデザイン賞を受賞した。2019年5月24日~2022年9月30日の開催実績は、参加店舗が39店舗、総開催数が365回、総来店数が3,590人となっている。コロナ禍の影響で3密を避けるために活動を一時中断、またはテイクアウト弁当配給に切り替えていたが、順次再開している。さらにコロナ禍収束後に向けて、当第3四半期から本格的に増店を進める方針だ。2. SDGsへの取り組み店舗転貸借事業において「居抜き」を活用するビジネススキームによって造作物の廃棄量削減に貢献している。店舗の造作物は一般的に解約時に毎回撤去され、契約時に毎回新たに設置するが、居抜き物件(造作物が残っており、すぐに営業できる状態の物件)を飲食テナントに転貸することで、造作物のリユース・リデュース(再使用・発生抑制)を行い、廃棄物を削減している。同社が直近5年間で削減した廃棄量(試算)は14,873tで、大型トラック(10t)約1,487台分に相当する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:10 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(9):2023年3月期配当予想は未定。株主優待制度を拡充 ■株主還元策1. 配当金テンポイノベーション<3484>の株主還元については、経営基盤を強化しつつ安定的な配当を実施していくことを基本方針としているが、2023年3月期の配当予想は未定として、開示可能となった時点で速やかに開示するとしている。なお2021年8月17日付で自己株式150,000株を消却している。2. 株主優待制度株主優待制度は毎年3月31日時点で1年以上継続保有株主を対象として実施している。2022年8月4日付で株主優待制度の変更(拡充)を発表し、変更後の優待内容を1年以上継続保有で300株以上500株未満保有株主に対してジェフグルメカード5,000円分、1年以上継続保有で500株以上保有株主に対してジェフグルメカード7,000円分を贈呈するとした。2023年3月31日対象から実施する。3. 東証プライム市場の上場維持基準適合に向けた計画書なお2022年4月に実施された東証の市場再編に伴って東証プライム市場に移行・上場したが、移行基準日(2021年6月30日)時点の流通株式時価総額が東証プライム市場の上場維持基準を充たしていなかったため、2021年12月15日付で東証プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示した。中期経営計画で掲げた各種施策の着実な実行によって継続的な業績向上を図るとともに、積極的な株主還元策、IR活動などの取り組みも強化し、2028年3月期までに流通株式時価総額の上場維持基準適合を図るとしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:09 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(8):2029年3月期に転貸借物件数5,500件目指す ■テンポイノベーション<3484>の成長戦略1. 基本戦略は「東京・飲食店・居抜き」領域で転貸借物件数の増加成長に向けた基本戦略は「東京・飲食店・居抜き」の領域にこだわり、成長のベースとなる優良な転貸借物件数の増加を図る方針としている。そして中長期的な目標として、2025年3月期に営業部門100名体制を構築し、2026年3月期に転貸借物件純増数600件/年、2027年3月期に成約件数1,000件/年の実現を目指す。そして2029年3月期に転貸借物件数5,500件、売上高300億円規模、営業利益30億円規模を目指すとしている。首都圏1都3県の飲食店数は約16万件で、このうち同社の仕入対象となる店舗数を約11万件と推定し、約5%の市場シェア獲得を目指す方針だ。重点施策として、積極的な採用とオリジナル研修による「量的・質的な営業力増強」と、物件情報収集に向けた継続的な「不動産業者等とのリレーションシップ強化」を推進する。中期経営計画で営業力強化を打ち出す2. 中期経営計画で営業力強化そして中期3ヶ年経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、目標数値に2025年3月期売上高16,417百万円、営業利益1,471百万円、営業利益率9.0%、成約件数580件、転貸借物件数2,879件を掲げている。基本方針は「転貸借契約件数と賃料差益の最大化」、テーマは「専門特化・プロフェッショナル化」としている。転貸借契約件数の最大化を通じてサブスク(ストック)型収益である賃料差益の最大化を実現し、企業価値の積極的向上を図る。また、店舗転貸借事業に専門特化し、関連知識とノウハウを組織として追求することにより「東京・飲食店・居抜き」領域において他の追随を許さないプロフェッショナル企業であり続けることを目指すとしている。営業戦略としては、営業力増強のための3施策(増員、教育、仕入への異動)により2025年3月期の営業100名体制構築を目指し、仕入エリア戦術の実行によって2029年3月期に転貸借物件5,500件の達成を目指す。営業100名体制構築に向けた施策としては、2022年3月期40名(仕入担当14名、リーシング担当26名)に対して、2025年3月期まで24名/年を目途にリーシング担当を積極採用し、ノウハウの可視化・体系化などによる営業教育を経て、経験豊富なリーシング担当の仕入担当への異動(4~6名/年)を進める。そして2025年3月期に営業100名体制(仕入担当30名、リーシング担当70名程度)構築を目指す。転貸借物件5,500件に向けた仕入エリア戦術としては、仕入担当30名程度で1,000駅、2,000不動産業者へのアプローチを推進し、2026年3月期に仕入物件数600件/年、2029年3月期に転貸借物件5,500件の達成を目指す。独自のビジネスモデルと積極的な事業展開で中長期成長ポテンシャルは大きい3. 中長期成長ポテンシャル外食産業の規模は大きく、店舗数では同社がターゲットとする小規模事業者が大半を占めている。また、開業・廃業による入れ替えが激しいため、同社の「東京・飲食店・居抜き」領域の店舗転貸借事業にとって市場機会は豊富であり、さらなる市場開拓余地は大きい。さらに、市場規模は大きく競合リスクは小さいという独自のビジネスモデルであり、積極的な事業展開で中長期成長ポテンシャルは大きいと弊社では評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:08 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(7):2023年3月通期も増収増益予想、さらに上振れの可能性 ■今後の見通し1. 2023年3月期通期連結業績予想の概要テンポイノベーション<3484>の2023年3月期通期の連結業績予想は、期初予想を据え置いて、売上高が12,655百万円、営業利益が1,059百万円、経常利益が1,074百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が733百万円としている。2022年3月期の非連結業績との単純比較で、売上高は10.9%増収、営業利益は16.4%増益、経常利益は8.9%増益、親会社株主に帰属する当期純利益は10.7%増益となる。成約件数(新規契約と後継契約の合計)は43件増加の450件、期末転貸借物件数は270件増加の2,221件の計画で、成約件数と転貸借物件数が順調に増加して増収増益予想としている。コロナ禍においても「東京・好立地・小型・居抜き物件」への出店需要は高いため、出店需要に合致した物件仕入を積極的に推進し、ランニング収入の安定成長をベースとして売上高は11期連続増収、営業利益も過去最高更新を目指すとしている。なお、コロナ禍影響等の不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いている。経済正常化が進むなかで、協力金の支給が途絶えて資金繰りが厳しくなった店舗の退店が進むとともに出店需要が高まり、物件仕入とリーシングの両面で同社の事業展開に適した環境となる可能性も同社では想定している。さらに第2四半期累計の進捗率が売上高48.2%、営業利益52.4%、経常利益54.2%、親会社株主に帰属する当期純利益54.4%と順調となったことも勘案すれば、積極的な事業展開で通期会社予想は上振れの可能性が高いだろうと弊社では考えている。物件仕入の積極化や営業採用の強化を推進2. 2023年3月期下期以降の重点施策同社の2023年3月期下期以降の重点施策として、物件仕入の積極化、営業採用の強化と営業組織の再構築、営業ノウハウの浸透、プル型営業の強化、管理の質・量向上、不動産売買の安定的実施などを推進する。物件仕入の積極化では、仕入担当営業を大幅増員し、旺盛な個人・小規模事業者の出店需要に対応した物件仕入を積極化する。2023年3月期第2四半期累計の新規仕入物件数は125件(2022年3月期第2四半期累計は120件)となった。下期も継続して積極実施予定としている。営業採用の強化と営業組織の再構築では、中期経営計画(詳細は後述)で掲げた営業100名体制に向けて採用を強化するとともに、人員増に対応するため2022年10月に組織体制変更を実施した。管理職(部長・次長クラス)の育成を強化することで、新人の育成やリーシング担当の戦力化を推進する。営業ノウハウの浸透では、営業ノウハウを可視化・体系化し、誰でも習得可能な教育体制を構築・浸透させる。内見取得の可視化・体系化は8割方完成した。申込取得及び物件仕入については2023年3月期末に完成予定としている。プル型営業の強化では、出店希望者の募集を行う自社サイト「居抜き店舗.com」を継続的に強化し、SEO対策やサーバ強化など集客力増加に対応した施策を実施する。また、2022年10月に営業推進部を立ち上げ、「店舗買取り.com」の集客力強化と業務デジタル化を進めている。管理の質・量向上では、中長期的な転貸借物件数の増加に対応するため、1人当たり担当物件数を15~30%増加させるとともに、家賃回収とトラブル対応の質的向上も推進する。不動産売買の安定的実施では、店舗転貸借事業との連携を強化して情報収集と顧客開拓を進め、売買の安定化を図る。なお物件取得担当者(1名)の採用を予定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:07 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(6):2023年3月期第2四半期は転貸借物件数の積み上げなどにより好調に推移 ■業績動向1. 2023年3月期第2四半期累計連結業績の概要テンポイノベーション<3484>の2023年3月期第2四半期累計の連結業績(店舗セーフティーを設立して2023年3月期から連結決算に移行のため前期比増減率は非記載)は、売上高が6,103百万円、営業利益が554百万円、経常利益が581百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が398百万円となった。前年同期の非連結業績との単純比較では、売上高は7.7%増収、営業利益は25.6%増益、経常利益は24.3%増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は25.4%増益となる。期初予想に対しては、売上高が12百万円、営業利益が62百万円、経常利益が77百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が54百万円、それぞれ上回って着地した。コロナ禍の影響が継続したが、転貸借物件数の積み上げや成約件数の増加・解約件数の減少によって増収・大幅増益となった。売上総利益は16.8%増加し、売上総利益率は19.1%で1.5ポイント上昇した。利益率の高い店舗家賃保証事業も寄与して売上総利益率が向上した。販管費は人件費を中心に9.8%増加したが、販管費比率は10.0%と0.2ポイント上昇にとどまった。四半期別に見ると、第1四半期は売上高3,004百万円、売上総利益588百万円、営業利益286百万円、第2四半期は売上高3,099百万円、売上総利益575百万円、営業利益268百万円となった。不動産売買のイニシャル収入は物件売却によって変動するが、店舗転貸借事業のランニング収入(転貸借物件からの賃料収入などストック型収益)が拡大基調であり、2022年4月に開始した店舗家賃保証事業も寄与した。成約件数は過去最高で転貸借物件数は増加基調2. 事業別動向店舗転貸借事業は、売上高が前年同期比18.2%増の5,906百万円、営業利益が50.5%増の511百万円となった。コロナ禍においても旺盛な個人・小規模飲食事業者の出店需要に対応して小規模・好立地の居抜き店舗物件の積極的な仕入を推進し、成約件数(新規契約と後継契約の合計)は前年同期比33件増加の224件となった。このうち純増につながる新規契約は137件と、月20件以上という高水準を維持した。後継契約は87件となった。一方で解約は合計8件と低水準で推移した。解約件数は2020年7月~10月にコロナ禍の影響で一時的に増加したが、その後は影響が和らいで大幅に減少し、解約率もコロナ禍以前の低い水準(おおむね1%程度)に戻っている。この結果、第2四半期末時点の転貸借物件数は2,080件(前年同期比268件増加、2022年3月期末比では129件増加)となった。不動産売買事業(売買物件保有期間における賃料収益を含む)は、売上高が70.5%減の197百万円で営業利益が57.1%減の43百万円となった。2物件を売却(第1四半期に1件、第2四半期に1件)、2物件を取得(第1四半期に1件、第2四半期に1件)して、期末保有物件数は3件となった。不動産業者とのリレーションシップ強化を目的として、一定の保有枠のなかで資金効率を重視して売買を行う方針に大きな変化はないが、大きな収益機会があった際には確実に獲得するとしている。自己資本比率は実質的に高水準3. 財務状況財務面で見ると、2023年3月期第2四半期末(連結)の資産合計は前期末(非連結)比551百万円増加して12,449百万円となった。転貸借物件数の増加で差入保証金が同276百万円増加し、不動産売買事業における物件取得で販売用不動産が同82百万円増加した。負債合計は同364百万円増加して8,935百万円となった。前受収益が同97百万円増加、預り保証金が同273百万円増加した。純資産合計は同186百万円増加して3,514百万円となった。この結果、自己資本比率は同0.2ポイント上昇して28.2%となった。なお自己資本比率がやや低水準の形だが、同社の店舗転貸借事業の特性上、賃借人と転貸人の双方に対して計上している差入保証金と預り保証金、及び前払費用と前受収益の割合が高い財務諸表となっている。これを相殺した実質的な自己資本比率は前期末比0.9ポイント上昇して65.4%となった。実質的自己資本比率が高水準であり、財務の健全性に関して特に懸念となる点は見当たらないと弊社では評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:06 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(5):不動産売買事業は不動産業者とのリレーションシップ強化が目的 ■テンポイノベーション<3484>の事業概要3. 不動産売買事業不動産売買事業は店舗不動産物件を仕入れて販売している。転売による利益獲得目的というよりも、優良物件確保など店舗転貸借事業を推進するための不動産業者とのリレーションシップ強化を目的としているため、一定の保有枠の中で資金効率を重視して売買を行っている。店舗転貸借ビジネスの先駆者として高い競合優位性4. リスク要因・収益特性・課題等不動産業における一般的なリスク要因として不動産市況、金利負担、市場競合などがあるが、同社の店舗転貸借事業は一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくい安定性があり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスである。また所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスであり、金利上昇による直接的な影響を受けない。店舗物件の賃貸借契約における差入保証金等については、賃貸人の破産・倒産等により差入保証金を回収できないリスクがあるが、同社の場合は特定の不動産オーナーに依存しておらず、また当該事項に係るリスクは最終的に転借人が負う契約にしているため、多額の未回収が発生するリスクは小さい。市場競合リスクに関しては、多くの不動産業者は仲介業務が主力であり、また大手不動産事業者は大型オフィスビルやマンション等の開発・販売・賃貸を主力としている。同社の店舗転貸借事業は小規模飲食店を主な顧客ターゲットとしているため物件仕入ルート構築の難易度が高く、人的先行投資などでサブスク(ストック)ビジネスとしての収益化に長期間を要することもあり、新規参入・展開は限定的である。同社と同様のビジネスを展開する小規模事業者も存在するが、物件仕入や出店者獲得で特に競合する場面は見られない。そのため市場競合リスクも小さく、店舗転貸借ビジネスの先駆者として同社は高い競合優位性を有していると言えるだろう。転貸借契約を締結している店舗出店者が経営悪化等で退店し、後継入居者を獲得できなかった場合は空き家賃が発生することになる。ただし立地や経済条件等で市場性が低いと判断した場合は、不動産オーナーとの賃貸借契約を解約して空き家賃リスクを抑えている。また店舗転貸借契約も特定の飲食チェーンに依存していないため、転貸借出店者が大量退店するリスクも小さい。なお、コロナ禍の影響としては、2021年3月期に成約件数が一時的に減少し、解約率も一時的に上昇する場面があった。しかし、2022年3月期以降は成約件数が高水準に推移するとともに、解約件数が減少して解約率もコロナ禍以前の低い水準(おおむね1%程度)に戻っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:05 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(4):店舗転貸借事業は「東京・飲食店・居抜き」店舗に特化 ■事業概要2. 店舗転貸借事業店舗転貸借事業は、不動産オーナーから賃借した店舗物件を店舗出店者に転貸借する事業である。テンポイノベーション<3484>はターゲットを「東京・飲食店・居抜き」店舗に特化して事業展開している。ターゲットエリアは飲食店舗が集中して需要が見込める東京23区を中心とする首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、ターゲット顧客は低コストでの飲食業の出店・起業を希望する小規模事業者、ターゲット店舗は出店費用を抑えることができるため、出店・起業希望者が多い飲食店の居抜き店舗である。賃借する店舗物件は不動産業者・提携先・既存出店者等の紹介や「店舗買取り.com」を通じて仕入れ、転貸借する出店希望者は、不動産業者の紹介や「居抜き店舗.com」を通じて獲得している。店舗のプロが関わることでALL Winのビジネスモデル(1) ビジネスモデル店舗転貸借事業は各方面それぞれにメリットがあるビジネスモデルである。不動産オーナーにとっては賃貸料収入の安定や店舗出店者管理からの解放、不動産業者にとっては店舗物件紹介や出店希望者仲介による収益獲得機会の増加、店舗出店者にとっては居抜き店舗を利用することによる出店費用の負担軽減や物件開発活動工数の削減、店舗撤退者にとっては原状回復工事等の閉店費用・業務の負担軽減というメリットがある。店舗物件に関わる登場人物が多岐にわたり利害内容も複雑なため、同社のような店舗物件専門のプロが関わることでALL Winが可能なビジネスモデルとなる。飲食店は開業・廃業による入れ替わりが激しく市場機会が豊富(2) 飲食店は市場機会が豊富日本の外食産業の市場規模は、同社資料によるとおおむね25~26兆円となっており、安定した巨大マーケットである。そして飲食店数は、同社がターゲットエリアとしている東京都で約8万件、首都圏1都3県合計で約16万件に上っている。さらに東京都の飲食店の従業員数別事業者数で見ると、同社が主な顧客ターゲットとする従業員数1~9人の小規模事業者が約72.6%を占めている。また、飲食店は他の産業と比較して開業・廃業による入れ替わりが激しいため、同社の店舗転貸借事業にとって市場機会は豊富である。同社が保有する転貸借物件数は2023年3月期第2四半期末時点で2,080店まで拡大し、大手飲食チェーンに匹敵する規模に成長しているが、ターゲットエリアとしている東京都だけでもさらなる市場開拓余地が大きい。ランニング収入が積み上がるサブスク(ストック)型収益モデル(3) サブスク(ストック)型収益モデル店舗転貸借事業においては、不動産オーナー・不動産業者に対して賃料・仲介料等を支払い、店舗出店者から賃料・手数料等を得ることによる、その差額(転貸差益額)が同社の収益となる。店舗出店者との成約時に得るイニシャル収入(礼金・手数料等)は成約件数等によって変動するが、ランニング収入(賃料・更新料収入等)は成約以降、退店に伴う解約まで継続的に計上される。そのため、転貸借物件(賃借した物件のうち店舗出店者と転貸借契約を締結している店舗物件)数の増加に伴って収益を積み上げるサブスク(ストック)型ビジネスモデル(転貸借物件数×転貸差益額)となる。後述(次項)するように転貸借物件数が増加基調であり、高いストック収益の割合を維持しながら確実に売上を伸ばしていけるストック型収益モデルである。転貸借物件数は増加基調(4) 転貸借物件数積極的な店舗開拓を推進して転貸借物件数は安定的に増加基調である。2021年3月期はコロナ禍の影響で伸びがやや鈍化したが、2022年3月期末の転貸借物件数は2010年3月期末の148件に比べて13.2倍の1,951件となり、さらに2023年3月期第2四半期末時点では同14.1倍の2,080件まで増加している。転貸借物件数の積み上げによって売上高も増加基調である。安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス(5) 新たな不動産ビジネス同社では店舗転貸借事業を、一般的な仲介業やサブリース業ではなく、不動産業における新たなビジネスと位置付けている。一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくく、サブスク(ストック)型収益が積み上がる安定的なビジネスであり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスでもある。店舗の総合プロフェッショナル集団(6) 特徴・強み同社の店舗転貸借事業の特徴・強みとしては、住宅は取り扱わずにドメインを店舗(特に飲食店舗)物件に専門特化していること、仲介業務を行わずにサブスク(ストック)型の賃料収益の積み上げに注力していること、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスによって効率的な経営を実践していること、市場性の高い東京23区の中心部で集中的に物件を確保していること、低投資での出店や起業と廃棄物抑制(エコロジー)を同時に実現する居抜き物件に特化していることなどがある。さらに店舗の総合プロフェッショナル集団であることが競合優位性となっている。多くの店舗物件を取り扱ってきた豊富な経験値や飲食店立地の目利きをベースとして、常時50件以上のリーシング可能な物件を保持するとともに、「居抜き店舗.com」において日々入手する物件情報をスピーディに掲載・更新することで情報価値を高めている。こうしたことも、出店希望者とのマッチングを実現する強みとなっている。物件管理面では、トラブル対応・解決策やトラブル未然防止方法のカルテ化・仕組化などノウハウの組織化も推進し、物件管理活動の質の向上によって賃料等の回収率は実質的に100%近い水準を維持している。サブスク(ストック)型収益モデルであり、店舗転貸借ビジネスの先駆者として高い競合優位性を有していることも勘案すれば、安定的かつ成長性の高いビジネスモデルと言えるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:04 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(3):主力の飲食店・居抜き店舗転貸借事業は安定的かつ成長性の高いビジネスモデル ■テンポイノベーション<3484>の事業概要1. 報告セグメント区分2023年3月期から連結決算に移行し、報告セグメント区分は、飲食店向けの居抜き店舗物件を転貸借する店舗転貸借事業(家賃保証事業を含む)、及び不動産売買事業としている。家賃保証事業については、店舗物件に特化して展開する連結子会社の店舗セーフティーを2022年4月に設立した。当面は同社の店舗転貸借物件を対象に展開する。不動産売買事業の売上高及び利益には売買物件保有期間における賃料収益が含まれている。セグメント別売上高・営業利益と構成比及び営業利益率の推移(2019年3月期~2022年3月期、2023年3月期第2四半期累計)は以下のとおりである。主力の店舗転貸借事業はコロナ禍による影響で2021年3月期にやや伸び悩む形となったが、売上面ではストック型のランニング収入(賃料・更新料収入)が安定的に拡大し、営業利益及び営業利益率も2022年3月期から回復傾向となっている。今後は利益率の高い店舗家賃保証事業の拡大も寄与する見込みだ。不動産売買事業は売却物件によって変動する可能性がある。なお、2023年3月期第2四半期累計の売上高は店舗転貸借事業が5,906百万円(売上構成比96.8%)で不動産売買事業が197百万円(同3.2%)、営業利益は店舗転貸借事業が511百万円(営業利益構成比92.1%)で不動産売買事業が43百万円(同7.9%)、営業利益率は店舗転貸借事業が8.7%、不動産売買事業が22.1%となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:03 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(2):経営理念は「貢献創造」 ■会社概要テンポイノベーション<3484>は、経営理念に「貢献創造」、経営方針に「転貸借の商慣習を変え、店舗物件のスタンダードを創造する」を掲げ、飲食店向けの居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業、店舗家賃保証事業、及び不動産売買事業を展開している。2007年11月に(株)テンポリノベーション分割準備として設立し、2007年12月に(株)テンポリノベーション(以下、旧テンポリノベーション)から飲食店舗出退店支援事業の一部(出店希望者に対する物件の紹介、出店に関する支援及び退店希望者に対する店舗設備の買取り、退店に関する支援等で、(株)レインズインターナショナル関連以外の物件に係る事業)を会社分割によって承継した。旧テンポリノベーションは飲食店経営を目的に、レインズインターナショナルの子会社(設立時の商号は(株)レイフィールズ)として2001年10月に設立され、2005年4月に居抜き店舗物件(これまで利用していた造作・設備・什器等が付いたままの物件)を活用した飲食店舗出退店支援事業を開始した。このため同社の実質上の事業活動の開始を2005年4月としている。2008年1月に(株)テンポリノベーションに商号変更した後、2008年5月に(株)テレウェイブ(現(株)アイフラッグ)の傘下、2009年7月にクロップス<9428>の傘下と親会社が変わった。一方で、2009年6月に居抜き物件情報サイト「居抜き店舗.com」を開設、2010年6月に居抜き物件買取りサイト「店舗買取り.com」を開設し、店舗転貸借事業の拡大に注力した。そして2011年6月に代表取締役社長に原康雄(はらやすお)氏(現任)、常務取締役に志村洋平(しむらようへい)氏(現 専務取締役)が就任し、事業領域をサービス業としての出店支援事業ではなく、不動産業としての店舗賃貸事業と位置付けて「第2の創業期」とした。2013年5月には現在の社名に商号変更し、2016年5月には東京都新宿区新宿に本社を移転(現本社、4支店を閉鎖して本社に統合)した。転貸借物件数の拡大が加速し、2017年10月には東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場に新規上場、2018年10月には東証第1部に市場変更、2022年4月には東証の市場再編に伴い東証プライム市場に移行・上場した。2023年3月期第2半期末時点の資産合計は12,449百万円、純資産は3,514百万円、資本金は308百万円、自己資本比率は28.2%、発行済株式数は17,674,400株(自己株式514株含む)、従業員数(役員除く)は81名である。グループは同社及び、連結子会社の店舗セーフティー(株)の2社で構成されている。なお2009年7月に親会社となったクロップスが2023年3月期第2四半期末時点で株式56.83%(自己株式除く発行済株式総数に対する割合)を所有している。クロップスの連結子会社となっているが、営業上の重要な取引はなく、経営上の独立性も確保している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:02 注目トピックス 日本株 テンポイノベ Research Memo(1):2023年3月期第2四半期は計画を上回る増収・大幅増益 ■要約テンポイノベーション<3484>は、経営理念に「貢献創造」、経営方針に「転貸借の商慣習を変え、店舗物件のスタンダードを創造する」を掲げ、飲食店向けの居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業、店舗家賃保証事業、及び不動産売買事業を展開している。1. 安定的かつ成長性の高いビジネスモデル店舗転貸借事業は、不動産オーナーから賃借した店舗物件を店舗出店者に転貸借する事業である。同社はターゲットを「東京・飲食店・居抜き」店舗に特化して事業展開している。ターゲットエリアは飲食店舗が集中して需要が見込める東京23区を中心とする首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、ターゲット顧客は低コストでの飲食業の出店・起業を希望する小規模事業者、ターゲット店舗は出店費用を抑えることができるため、出店・起業希望者が多い飲食店の居抜き店舗である。店舗転貸借事業の収益モデルは、転貸借物件(賃借した物件のうち、店舗出店者と転貸借契約を締結している店舗物件)数の増加に伴って収益を積み上げるサブスクリプション(以下、サブスク)(ストック)型ビジネスモデル(転貸借物件数×転貸差益額)である。転貸借物件数が増加基調であり、店舗転貸借ビジネスの先駆者として高い競合優位性を有していることも勘案すれば、安定的かつ成長性の高いビジネスモデルと言えるだろう。2. 2023年3月期第2四半期累計は計画を上回る増収・大幅増益2023年3月期第2四半期累計の連結業績(2023年3月期から連結決算に移行のため、前期比増減率は非記載)は、売上高が6,103百万円、営業利益が554百万円、経常利益が581百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が398百万円となった。前年同期の非連結業績との単純比較では、売上高は7.7%増収、営業利益は25.6%増益、経常利益は24.3%増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は25.4%増益となる。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響が継続したが、転貸借物件数の積み上げや成約件数の増加・解約件数の減少によって期初予想を上回る増収・大幅増益で着地した。コロナ禍においても旺盛な個人・小規模飲食事業者の出店需要に対応して小規模・好立地の居抜き店舗物件の積極的な仕入を推進し、成約件数(新規契約と後継契約の合計)は前年同期比33件増加の224件、期末時点の転貸借物件数は2,080件(前年同期比268件増加、2022年3月期末比では129件増加)となった。3. 2023年3月期通期連結業績予想は据え置きだが上振れの可能性2023年3月期通期の連結業績予想は、期初発表を据え置いて、売上高が12,655百万円、営業利益が1,059百万円、経常利益が1,074百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が733百万円としている。2022年3月期の非連結業績との単純比較で、売上高は10.9%増収、営業利益は16.4%増益、経常利益は8.9%増益、親会社株主に帰属する当期純利益は10.7%増益となる。成約件数は43件増加の450件、期末転貸借物件数は270件増加の2,221件の計画で、成約件数と転貸借物件数が順調に増加して増収増益予想としている。なお、コロナ禍影響等の不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、経済正常化が進むなかで、協力金の支給が途絶えて資金繰りが厳しくなった店舗の退店が進むとともに出店需要が高まり、物件仕入とリーシングの両面で同社の事業展開に適した環境となる可能性も同社では想定している。さらに第2四半期累計の進捗率が順調となったことも勘案すれば、積極的な事業展開により通期会社予想を上振れる可能性が高いだろうと弊社では考えている。4. 独自のビジネスモデルと積極的な事業展開で中長期成長ポテンシャルは大きい成長に向けた基本戦略は「東京・飲食店・居抜き」の領域にこだわり、成長のベースとなる優良な転貸借物件数の増加を図る方針としている。そして中長期的な目標として、2025年3月期に営業部門100名体制を構築し、2026年3月期に転貸借物件純増数600件/年、2027年3月期に成約件数1,000件/年、2029年3月期に転貸借物件数5,500件、売上高300億円規模、営業利益30億円規模を目指すとしている。外食産業の規模は大きく、店舗数では同社がターゲットとする小規模事業者が大半を占めている。また開業・廃業による入れ替えが激しいため、同社の「東京・飲食店・居抜き」領域の店舗転貸借事業にとって市場機会は豊富であり、さらなる市場開拓余地は大きい。さらに、市場規模は大きく競合リスクは小さいという独自のビジネスモデルであり、積極的な事業展開で中長期成長ポテンシャルは大きいと弊社では評価している。■Key Points・店舗転貸借事業は「東京・飲食店・居抜き」に特化、安定的かつ成長性の高いビジネスモデル・2023年3月期は増収増益予想、さらに上振れの可能性・独自のビジネスモデルと積極的な事業展開で中長期成長ポテンシャル大きい(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <SI> 2022/12/14 15:01 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(14時台)~野村外国株式、ロードスターがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [12月14日 14:33 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<7298> 八千代工       1179100  91980  1181.91% 12.65%<3652> DMP        1065500  97320  994.84% 22.23%<8079> 正栄食        245200  24700  892.71% -7.13%<6630> ヤーマン       7037500  838580  739.22% 10.51%<7777> 3Dマトリクス    5897000  792240  644.35% 10%<6838> 多摩川HD      812800  109960  639.18% 2.84%<2845> 野村ナスH有     936020  132082  608.67% 1.38%<7050> フロンティアI    369100  53020  596.15% -12.06%<6096> レアジョブ      170500  25500  568.63% 7.82%<2513>* 野村外国株式     66570  10710  521.57% -0.27%<7378> アシロ        577900  96100  501.35% 10.01%<3402> 東レ         17680600  3362200  425.86% 7.42%<3475> グッドコムA     4196800  810460  417.83% 8.57%<7408> ジャムコ       653600  126220  417.83% 10.46%<2841> iFEナ100有   78656  15815.4  397.34% 1.36%<5031> モイ         512200  109920  365.98% -5.67%<6613> QDレーザ      1937600  524040  269.74% 0.73%<4936> アクシージア     2972400  848160  250.45% 6.3%<1890> 東洋建        242100  70520  243.31% 0.12%<4886> あすか製薬HD    115000  38020  202.47% 2.09%<8088> 岩谷産        348000  117520  196.12% 5.19%<4384> ラクスル       2970100  1008640  194.47% -1.07%<5034> unerry     77400  26780  189.02% 3.17%<2842> IFナス100ベア  25833  8995.4  187.18% -1.38%<3738> ティーガイア     474700  170080  179.10% 3.36%<3482>* ロードスター     310600  111300  179.07% 3.54%<1546> NYダウ30     13727  4950.2  177.30% -1.07%<7972> イトーキ       439200  158400  177.27% 6%<3984> ユーザローカル    92500  33880  173.02% -1.81%<7456> 松田産        98200  36580  168.45% 4.64%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2022/12/14 14:58 注目トピックス 日本株 オービス---急落、今期の大幅減益見通しをネガティブ視 オービス<7827>は急落。前日に22年10月期決算を発表。営業利益は7.7億円で前期比3.4倍、9月30日に上方修正した水準の7.3億円を上振れた。一方、23年10月期は4.6億円で同40.7%減益の見通し。前日には期待感が先行したいたこともあり、ネガティブな反応が強まっている。なお、配当方針の変更を発表して23年10月期は前期比5円増の45円配を計画しているほか、中計では27年10月期営業利益10億円以上を目指すとしている。 <YN> 2022/12/14 14:43 注目トピックス 日本株 セガサミーHD---急伸、前日には国内証券が新規に買い推奨 セガサミーHD<6460>は急伸。前日には東海東京証券が投資判断「アウトパフォーム」、目標株価2400円で新規にカバレッジを開始しており、引き続き買い材料視されているようだ。同証券では、パチスロ6.5号機への強い需要、「ソニックフロンティア」の販売好調を予想し、23年3月期営業利益は会社計画400億円を上回る439億円を予想。また、「ソニックフロンティア」の販売本数開示、スマスロの新規タイトル発表などが短期的な材料になると注目している。 <YN> 2022/12/14 14:30 注目トピックス 日本株 Sansan---急伸、米CPIの市場予想下振れで中小型グロースの一角に買い Sansan<4443>は急伸。前日に発表された米11月消費者物価指数(CPI)は前年同月比+7.1%となり、市場予想の+7.3%を下回った。また、食品・エネルギーを除いたコア指数も同+6.0%と市場予想の+6.1%を下振れた。インフレ懸念の後退で米長期金利が低下する中、中小型グロース株の買い材料につながっている。また、同社に関しては、請求書管理サービスなども手掛け、インボイス関連の一角としても材料視されているもよう。 <YN> 2022/12/14 14:18 注目トピックス 日本株 サーキュレーション---1Qは2ケタ増収、プロシェアリングコンサルティングサービス・FLEXYサービスともに売上高は順調 サーキュレーション<7379>は13日、2023年7月期第1四半期(22年8月-10月)決算を発表した。売上高が前年同期比16.6%増の19.43億円、営業利益が同38.8%減の1.20億円、経常利益が同38.5%減の1.20億円、四半期純利益が同40.9%減の0.75億円となった。減益要因は、1.前期第1四半期は採用計画の進捗が遅れたことにより、人件費及び人材採用費が縮減し、販売費及び一般管理費も減少、2.その結果、前年同期は各利益段階において大幅に進捗率が上振れてしまったことにより、今期第1四半期との前年同期比に差分が生じているため。今期は戦略的にしっかりと投資を実行できており、優秀な人材の採用にも成功している。同社は、「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」というビジョンを掲げ、「プロシェアリング」事業を展開し、順調に業績を伸ばしている。主力の「プロシェアリングコンサルティング」サービスは、世の中の法人企業が抱える経営課題を外部プロ人材の力で解決支援するサービスとなっている。また、「FLEXY(フレキシー)」サービスは、企業のITに関する経営課題をDX(デジタルトランスフォーメーション)によって解決支援するサービスとなっている。当第1四半期は、労働人口減少による人手不足や働き方改革に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から、オープンイノベーションによる経営改革やDXによる業務効率化を推進する企業が増加する等、外部プロ人材活用の需要が堅調に推移した。「プロシェアリングコンサルティング」サービス、「FLEXY」サービスの売上高は、「平均月次プロジェクト件数×平均月次請求単価×3ヶ月」により算出される。当第1四半期は、過去の緊急事態宣言を経て同社登録のプロ人材による法人顧客へのWeb MTG等を用いたリモート支援が定着しており、平均月次稼働プロジェクト数が1,255件となり、過去最高値に到達した。プロシェアリングコンサルティングサービスの売上高は前年同期比12.6%増の10.50億円、FLEXYサービスの売上高は同25.3%増の8.57億円となった。2023年7月期通期の業績予想については、売上高が前期比30.9%増の93.00億円、営業利益が同13.3%増の6.00億円、経常利益が同13.5%増の6.00億円、当期純利益が同12.5%増の3.90億円とする期初計画を据え置いている。 <NS> 2022/12/14 14:03

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