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TOKAI Research Memo(2):2026年3月期第1四半期業績はエネルギー事業がけん引し増収増益
配信日時:2025/09/18 11:32
配信元:FISCO
*11:32JST TOKAI Research Memo(2):2026年3月期第1四半期業績はエネルギー事業がけん引し増収増益
■TOKAIホールディングス<3167>の業績動向
1. 2026年3月期第1四半期の業績概要
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高で前年同期比3.4%増の58,128百万円、営業利益で同18.7%増の3,941百万円、経常利益で同19.5%増の4,112百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同31.9%増の2,469百万円となり、第1四半期として過去最高業績を更新した。グループ顧客件数の増加等による増収や法人向け情報通信事業の拡大に加え、建築設備不動産の受注が順調に推移したことにより、売上高は5期連続の増収となった。利益面では、人件費が増加したものの、グループ顧客件数増加に伴う増益に加え顧客獲得費用の見直しを図ったことなどにより2期連続の増益となった。事業セグメント別では、すべての事業セグメントで増収となり、営業利益は情報通信事業を除いて増益となり、なかでもエネルギー事業が利益増の大半を占めた。
また、会社計画比では営業利益で上振れとなったようだ。事業セグメント別では、主にエネルギー事業で上振れたほか、そのほかの事業セグメントもそれぞれ計画を達成した。エネルギー事業の上振れについては、当初計画に対する顧客獲得コストの下振れ、平均気温が想定を下回ったことによる契約世帯当たり消費量の増加が、主な上振れ要因となった。
2026年3月期第1四半期末の継続取引顧客件数は3,441千件と前期末比で18千件増加し、通期計画の純増数39千件に対して順調な滑り出しとなった。事業セグメント別ではLPガス事業で5千件増、情報通信事業で3千件増、CATV事業で5千件増、アクア事業で6千件増とそれぞれ積み上げることができた。
(1) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前年同期比1.4%増の25,005百万円、営業利益(間接費用等配賦前営業利益で決算短信とは算出方法が異なる。以下同)は同22.8%増の2,287百万円となった。営業利益の主な増益要因は、LPガス事業における顧客件数増加、顧客獲得コストの減少であった。
売上高の内訳を見ると、LPガス事業は同1.8%増の20,949百万円となった。ガス販売量、平均販売単価ともに前年同期比横ばい水準で推移した。需要家別販売量では、家庭用が同1%増、業務用が同横ばい、工業用・卸売が同1%減であった。家庭用については世帯当たりの消費量はほぼ横ばい水準だったものの、顧客件数の増加(前年同期比1.5%増の812千件)が販売量の増加につながった。前期末比では5千件の増加となった。2024年7月に「LPガス商慣行是正に向けた改正省令」※が施行された影響で、新規獲得や休止・解約件数は前年同期から減少したが、M&A・商圏買取を推進したことが増加要因となった。一方、都市ガス事業は同1.0%減の4,056百万円となった。顧客件数は前年同期比1千件減の74千件となったが、家庭用の販売量は横ばい水準で推移し、産業用の販売量減少が減収要因となった。
※ 賃貸集合住宅等の顧客獲得の際に行っていた物品や金銭の授受など過大な営業行為に対して制限を設けた。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前年同期比4.8%増の14,664百万円と増収基調が続いたものの、営業利益は同1.2%減の1,163百万円と若干の減益となった。
このうち、コンシューマー向け事業は売上高で同2.7%減の5,688百万円、営業利益で同63.3%増の289百万円となった。第1四半期末の顧客件数はブロードバンドサービスが前年同期比8千件増の676千件、格安スマホサービスの「LIBMO」が同1千件増の80千件となった(前期末比ではブロードバンドサービスが2千件増、「LIBMO」が1千件増)。しかし、ブロードバンドサービスのうちARPUが低くなる大手携帯キャリア経由の契約件数比率の上昇が続き、減収要因となった(粗利益への影響はない)。一方、営業利益は販売代理店の見直しを進めたことが増益要因となった。具体的には、サービス解約率の高い販売代理店の整理を行い、顧客獲得コストの改善を図った。
法人向け事業は売上高で前年同期比10.1%増の8,976百万円と増収基調が続いたが、営業利益は同12.6%減の874百万円となった。通信回線サービスやクラウドサービスなどストック型ビジネスは、光ファイバーの延伸※に伴いAWSの導入企業数(2025年5月にAWSとの閉域接続サービスの回線数が2,000回線を達成)や利用額の増加が進んだ。しかし、賃金改定や人員体制強化による人件費の増加が減益要因となった。
※ 2025年4月に福岡県まで延伸し、サービス提供エリアを北関東から九州まで拡大した。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前年同期比2.2%増の9,174百万円、営業利益は同5.9%増の1,750百万円と順調に拡大した。地域密着の事業者として地元の情報発信や番組制作に注力してきたことで、放送サービスの顧客件数が前年同期比3千件増の922千件となったほか、高速インターネットサービスの営業活動を積極的に進めたことで通信サービスも同19千件増の417千件となり増収要因となった。利益面では、人件費が増加したものの、顧客件数増加に伴う増益で吸収した。
(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業の売上高は前年同期比8.0%増の5,485百万円、営業利益は同25.7%増の284百万円となった。中京エリアにおける設備工事事業を中心に売上高が順調に拡大し、増収増益となった。
(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前年同期比10.3%増の2,519百万円、営業利益は同58.8%増の216百万円と高成長が続いた。顧客獲得コストが増加したものの、顧客件数増加による増益で吸収した。
大型商業施設等での催事営業やWeb、テレマーケティング等による顧客基盤の拡充に積極的に取り組み、第1四半期末の顧客件数は前年同期比25千件増の198千件、増加率で14.5%増となった。顧客件数の増加率に対して増収率が大きくなっているのは、2023年4月より取り扱いを開始した給水型浄水ウォーターサーバー「しずくりあ」の契約件数増による。既存の宅配水サービスはウォーターサーバーを無料で貸し出し、定期配送する天然水の販売で収益を稼ぐビジネスモデルであったが、「しずくりあ」はウォーターサーバーの販売と6ヶ月ごとのメンテナンスサービスで収益を稼ぐビジネスモデルである。このため、売上高は新規契約動向の影響を受けやすい構造となっている。ただ、利益面では宅配水の配送費用がかからないため既存サービスと比較し大きな差はないものと見られる。
同社では、既存の宅配水サービスの解約希望者に対して月額平均利用料が半分程度に安くなる「しずくりあ」を提案することで解約防止につなげている。
(6) その他・調整額
その他の売上高は前年同期比6.8%増の1,278百万円となった。介護事業はデイサービスの利用者数が減少したことなどにより同2.8%減の346百万円となったものの、婚礼催事事業が婚礼事業の売上単価上昇で同8.1%増の312百万円となったほか、船舶修繕事業も同0.5%増の311百万円と堅調に推移した。本社費用を含めた営業損失は1,760百万円(前年同期は1,734百万円の損失)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2026年3月期第1四半期の業績概要
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高で前年同期比3.4%増の58,128百万円、営業利益で同18.7%増の3,941百万円、経常利益で同19.5%増の4,112百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同31.9%増の2,469百万円となり、第1四半期として過去最高業績を更新した。グループ顧客件数の増加等による増収や法人向け情報通信事業の拡大に加え、建築設備不動産の受注が順調に推移したことにより、売上高は5期連続の増収となった。利益面では、人件費が増加したものの、グループ顧客件数増加に伴う増益に加え顧客獲得費用の見直しを図ったことなどにより2期連続の増益となった。事業セグメント別では、すべての事業セグメントで増収となり、営業利益は情報通信事業を除いて増益となり、なかでもエネルギー事業が利益増の大半を占めた。
また、会社計画比では営業利益で上振れとなったようだ。事業セグメント別では、主にエネルギー事業で上振れたほか、そのほかの事業セグメントもそれぞれ計画を達成した。エネルギー事業の上振れについては、当初計画に対する顧客獲得コストの下振れ、平均気温が想定を下回ったことによる契約世帯当たり消費量の増加が、主な上振れ要因となった。
2026年3月期第1四半期末の継続取引顧客件数は3,441千件と前期末比で18千件増加し、通期計画の純増数39千件に対して順調な滑り出しとなった。事業セグメント別ではLPガス事業で5千件増、情報通信事業で3千件増、CATV事業で5千件増、アクア事業で6千件増とそれぞれ積み上げることができた。
(1) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前年同期比1.4%増の25,005百万円、営業利益(間接費用等配賦前営業利益で決算短信とは算出方法が異なる。以下同)は同22.8%増の2,287百万円となった。営業利益の主な増益要因は、LPガス事業における顧客件数増加、顧客獲得コストの減少であった。
売上高の内訳を見ると、LPガス事業は同1.8%増の20,949百万円となった。ガス販売量、平均販売単価ともに前年同期比横ばい水準で推移した。需要家別販売量では、家庭用が同1%増、業務用が同横ばい、工業用・卸売が同1%減であった。家庭用については世帯当たりの消費量はほぼ横ばい水準だったものの、顧客件数の増加(前年同期比1.5%増の812千件)が販売量の増加につながった。前期末比では5千件の増加となった。2024年7月に「LPガス商慣行是正に向けた改正省令」※が施行された影響で、新規獲得や休止・解約件数は前年同期から減少したが、M&A・商圏買取を推進したことが増加要因となった。一方、都市ガス事業は同1.0%減の4,056百万円となった。顧客件数は前年同期比1千件減の74千件となったが、家庭用の販売量は横ばい水準で推移し、産業用の販売量減少が減収要因となった。
※ 賃貸集合住宅等の顧客獲得の際に行っていた物品や金銭の授受など過大な営業行為に対して制限を設けた。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前年同期比4.8%増の14,664百万円と増収基調が続いたものの、営業利益は同1.2%減の1,163百万円と若干の減益となった。
このうち、コンシューマー向け事業は売上高で同2.7%減の5,688百万円、営業利益で同63.3%増の289百万円となった。第1四半期末の顧客件数はブロードバンドサービスが前年同期比8千件増の676千件、格安スマホサービスの「LIBMO」が同1千件増の80千件となった(前期末比ではブロードバンドサービスが2千件増、「LIBMO」が1千件増)。しかし、ブロードバンドサービスのうちARPUが低くなる大手携帯キャリア経由の契約件数比率の上昇が続き、減収要因となった(粗利益への影響はない)。一方、営業利益は販売代理店の見直しを進めたことが増益要因となった。具体的には、サービス解約率の高い販売代理店の整理を行い、顧客獲得コストの改善を図った。
法人向け事業は売上高で前年同期比10.1%増の8,976百万円と増収基調が続いたが、営業利益は同12.6%減の874百万円となった。通信回線サービスやクラウドサービスなどストック型ビジネスは、光ファイバーの延伸※に伴いAWSの導入企業数(2025年5月にAWSとの閉域接続サービスの回線数が2,000回線を達成)や利用額の増加が進んだ。しかし、賃金改定や人員体制強化による人件費の増加が減益要因となった。
※ 2025年4月に福岡県まで延伸し、サービス提供エリアを北関東から九州まで拡大した。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前年同期比2.2%増の9,174百万円、営業利益は同5.9%増の1,750百万円と順調に拡大した。地域密着の事業者として地元の情報発信や番組制作に注力してきたことで、放送サービスの顧客件数が前年同期比3千件増の922千件となったほか、高速インターネットサービスの営業活動を積極的に進めたことで通信サービスも同19千件増の417千件となり増収要因となった。利益面では、人件費が増加したものの、顧客件数増加に伴う増益で吸収した。
(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業の売上高は前年同期比8.0%増の5,485百万円、営業利益は同25.7%増の284百万円となった。中京エリアにおける設備工事事業を中心に売上高が順調に拡大し、増収増益となった。
(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前年同期比10.3%増の2,519百万円、営業利益は同58.8%増の216百万円と高成長が続いた。顧客獲得コストが増加したものの、顧客件数増加による増益で吸収した。
大型商業施設等での催事営業やWeb、テレマーケティング等による顧客基盤の拡充に積極的に取り組み、第1四半期末の顧客件数は前年同期比25千件増の198千件、増加率で14.5%増となった。顧客件数の増加率に対して増収率が大きくなっているのは、2023年4月より取り扱いを開始した給水型浄水ウォーターサーバー「しずくりあ」の契約件数増による。既存の宅配水サービスはウォーターサーバーを無料で貸し出し、定期配送する天然水の販売で収益を稼ぐビジネスモデルであったが、「しずくりあ」はウォーターサーバーの販売と6ヶ月ごとのメンテナンスサービスで収益を稼ぐビジネスモデルである。このため、売上高は新規契約動向の影響を受けやすい構造となっている。ただ、利益面では宅配水の配送費用がかからないため既存サービスと比較し大きな差はないものと見られる。
同社では、既存の宅配水サービスの解約希望者に対して月額平均利用料が半分程度に安くなる「しずくりあ」を提案することで解約防止につなげている。
(6) その他・調整額
その他の売上高は前年同期比6.8%増の1,278百万円となった。介護事業はデイサービスの利用者数が減少したことなどにより同2.8%減の346百万円となったものの、婚礼催事事業が婚礼事業の売上単価上昇で同8.1%増の312百万円となったほか、船舶修繕事業も同0.5%増の311百万円と堅調に推移した。本社費用を含めた営業損失は1,760百万円(前年同期は1,734百万円の損失)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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