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SBSHD Research Memo(5):2025年12月期は期初計画を据え置き、3期振りの増益に転じる見通し
配信日時:2025/09/17 14:05
配信元:FISCO
*14:05JST SBSHD Research Memo(5):2025年12月期は期初計画を据え置き、3期振りの増益に転じる見通し
■SBSホールディングス<2384>の今後の見通し
1. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比8.2%増の485,000百万円、営業利益で同15.8%増の20,500百万円、経常利益で同8.9%増の20,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同16.4%増の11,200百万円と、期初計画を据え置いた。注力分野である3PL、国際物流、EC物流における成長戦略を推進することで売上高は3期振りの過去最高更新を目指す。利益面では、前期に立ち上げた新規事業拠点の収支改善や倉庫空き坪の解消など、物流事業の収益構造改革に取り組むことで、3期振りに増益に転じる見通しだ。営業外収支は支払利息の増加等により若干の悪化を想定しているため、経常利益は1ケタ台の増益にとどまる。しかし、特別損失として計上した減損損失1,037百万円の縮小により親会社株主に帰属する当期純利益は2ケタ増益を見込んでいる。中間期の進捗率は売上高で47.1%、営業利益で31.2%と低く見えるが、下期は物流事業において大型施設の流動化を予定していることもあり、計画は達成可能な水準と見られる。
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比8.4%増の455,600百万円、営業利益は同28.0%増の11,800百万円を計画している。重点3分野に注力して売上拡大を図る方針である。特に、料金適正化や前期に立ち上げた新規事業拠点の収支改善、倉庫空き坪の解消等に取り組み、収益力の回復を目指す。またM&Aの効果として、2024年10月に子会社化したSBS NSKロジスティクスの業績が通年で寄与するほか(年間売上高で165億円程度、営業利益は軽微)、2025年4月に子会社化したBlackbirdの業績(計画外)が下期から上乗せされる。
同社開示資料によると、Blackbirdの業績は2024年12月期に売上高53百万ユーロ、営業利益9百万ユーロで、2021年12月期以降2年間で売上高は1.7倍、営業利益は1.8倍に急成長している。背景には、主要顧客である欧州ディスカウント小売事業者※の継続的な高成長がある。また、営業利益率の高さも特筆される。3PL事業者の営業利益率は国内で数%の水準が平均的である。その要因として、ロッテルダム港に3つの大型倉庫を有しているため、アジアからの輸入品を港から陸揚げする際の運搬費用がほとんどかからないことや、高さ8mの倉庫の天井近くまで商品を積み上げる管理方法、ロボットを使った運搬作業など、生産性が格段に高いことを同社は挙げている。同社はBlackbirdの倉庫運営ノウハウを日本に導入し、3PL事業の収益性を高めることを検討している。
※ 非食品特化型ディスカウントストアを運営する欧州小売事業者。欧州13ヶ国で約3千店舗を展開。売上高は2017年度の34億EURから2024年度は138億EURと年率20%超の勢いで成長を続けている。2025年第1四半期の売上高も前年同期比17%増の35億EURとなった。
Blackbirdが同社グループに入った理由は、顧客需要に対応するための拠点拡張に必要な資金面での課題を解消するためと思われる。主要顧客であるディスカウント小売事業者は欧州各国で店舗を拡大しており(2025年はスイスとルーマニア(予定)に進出)、物流を支えるBlackbirdにとっても、拠点拡張が喫緊の課題であった。資金余力のある同社グループに入ることで、今後拠点を拡大し成長を目指すものと考えられる。同社にとっては欧州に3PLの拠点を持つことで、今後は欧州だけでなく、米国やアジアでも3PL事業を展開していく足がかりになると予想される。
Blackbirdの下期売上は約50億円となる見込み。営業利益に関しては20%程度が期待されるがのれん金額(暫定額で5,889百万円)や償却年数が確定していないためまだ流動的だが、仮に10年定額償却だったとしても、のれん償却後ベースで利益増に貢献する可能性が高い。特定顧客への依存度が高いため、当該顧客の動向によって2026年以降の収益が変動するリスクもある。しかし、従来と同様の取引条件が継続されれば、2026年12月期以降も収益増に貢献する見通しだ。
なお、主要子会社3社(SBS東芝ロジスティクス、SBSリコーロジスティクス、SBSロジコム)は、それぞれ増収増益を計画している。SBS東芝ロジスティクスは、新規顧客の獲得や既存取引の拡大により、売上高で前期比4.5%増となり、利益面では新規物流拠点の採算改善や料金適正化に取り組むことで同26.9%増を見込む。下期は家電製品の物量減が想定されるものの、中間期の進捗率が売上高・営業利益ともに50%を超過しており、計画の達成は可能と見られる。SBSリコーロジスティクスは、EC物流拠点「物流センター大阪東」の満床稼働に向けた営業活動を強化する。ほかの新規拠点の空き坪解消や料金適正化などで不採算拠点の黒字化に取り組み、売上高で同4.3%増、営業利益で同13.5%増を目指す。中間期までの売上進捗率は48.5%と順調だが、営業利益は不採算拠点の収支改善の遅れから39.5%とやや低水準であり、下期に改善施策を強化することで計画達成を目指す。SBSロジコムは営業力強化に加え、物流品質の向上や人材確保を積極化し、売上高で同1.1%増、営業利益で同4.5%増と堅実な成長を見込んでいる。中間期は一部荷主の解約により第1四半期に「川越物流センター(延床面積1.2万坪)」の6千坪強が非稼働となったが、徐々に契約を獲得し、空き面積としては3,500坪まで縮小しており、下期に向けて満床を目指す。中間期の進捗率は売上高で48.8%、営業利益で42.6%となっており、下期の収益力回復が重要となる。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比2.6%増の18,400百万円、営業利益は同7.2%増の8,700百万円を計画している。賃貸事業は若干の減収減益が想定されるが、不動産流動化事業で同6億円の増益が見込まれており、営業利益ベースでは計画を上回る公算が大きい。流動化案件として同社グループ最大規模となる「野田瀬戸物流センターA棟」を3回に分割して流動化することを発表している。第1期は全体の35%を2025年9月末に、第2期は40%を2026年1月に、第3期は残り25%を2027年1月にそれぞれ売却する予定だ。第1期分で約74億円の営業利益を計上する見込みである。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比11.4%増の11,000百万円、営業利益は同28.2%増の500百万円となる見通し。太陽光発電システムの新規物流拠点への導入が進んだことで売電収入が増加するほか、マーケティング事業も増収増益を見込む。また、ここ数年損失が続いていた人材派遣事業も若干ではあるが黒字化する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比8.2%増の485,000百万円、営業利益で同15.8%増の20,500百万円、経常利益で同8.9%増の20,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同16.4%増の11,200百万円と、期初計画を据え置いた。注力分野である3PL、国際物流、EC物流における成長戦略を推進することで売上高は3期振りの過去最高更新を目指す。利益面では、前期に立ち上げた新規事業拠点の収支改善や倉庫空き坪の解消など、物流事業の収益構造改革に取り組むことで、3期振りに増益に転じる見通しだ。営業外収支は支払利息の増加等により若干の悪化を想定しているため、経常利益は1ケタ台の増益にとどまる。しかし、特別損失として計上した減損損失1,037百万円の縮小により親会社株主に帰属する当期純利益は2ケタ増益を見込んでいる。中間期の進捗率は売上高で47.1%、営業利益で31.2%と低く見えるが、下期は物流事業において大型施設の流動化を予定していることもあり、計画は達成可能な水準と見られる。
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比8.4%増の455,600百万円、営業利益は同28.0%増の11,800百万円を計画している。重点3分野に注力して売上拡大を図る方針である。特に、料金適正化や前期に立ち上げた新規事業拠点の収支改善、倉庫空き坪の解消等に取り組み、収益力の回復を目指す。またM&Aの効果として、2024年10月に子会社化したSBS NSKロジスティクスの業績が通年で寄与するほか(年間売上高で165億円程度、営業利益は軽微)、2025年4月に子会社化したBlackbirdの業績(計画外)が下期から上乗せされる。
同社開示資料によると、Blackbirdの業績は2024年12月期に売上高53百万ユーロ、営業利益9百万ユーロで、2021年12月期以降2年間で売上高は1.7倍、営業利益は1.8倍に急成長している。背景には、主要顧客である欧州ディスカウント小売事業者※の継続的な高成長がある。また、営業利益率の高さも特筆される。3PL事業者の営業利益率は国内で数%の水準が平均的である。その要因として、ロッテルダム港に3つの大型倉庫を有しているため、アジアからの輸入品を港から陸揚げする際の運搬費用がほとんどかからないことや、高さ8mの倉庫の天井近くまで商品を積み上げる管理方法、ロボットを使った運搬作業など、生産性が格段に高いことを同社は挙げている。同社はBlackbirdの倉庫運営ノウハウを日本に導入し、3PL事業の収益性を高めることを検討している。
※ 非食品特化型ディスカウントストアを運営する欧州小売事業者。欧州13ヶ国で約3千店舗を展開。売上高は2017年度の34億EURから2024年度は138億EURと年率20%超の勢いで成長を続けている。2025年第1四半期の売上高も前年同期比17%増の35億EURとなった。
Blackbirdが同社グループに入った理由は、顧客需要に対応するための拠点拡張に必要な資金面での課題を解消するためと思われる。主要顧客であるディスカウント小売事業者は欧州各国で店舗を拡大しており(2025年はスイスとルーマニア(予定)に進出)、物流を支えるBlackbirdにとっても、拠点拡張が喫緊の課題であった。資金余力のある同社グループに入ることで、今後拠点を拡大し成長を目指すものと考えられる。同社にとっては欧州に3PLの拠点を持つことで、今後は欧州だけでなく、米国やアジアでも3PL事業を展開していく足がかりになると予想される。
Blackbirdの下期売上は約50億円となる見込み。営業利益に関しては20%程度が期待されるがのれん金額(暫定額で5,889百万円)や償却年数が確定していないためまだ流動的だが、仮に10年定額償却だったとしても、のれん償却後ベースで利益増に貢献する可能性が高い。特定顧客への依存度が高いため、当該顧客の動向によって2026年以降の収益が変動するリスクもある。しかし、従来と同様の取引条件が継続されれば、2026年12月期以降も収益増に貢献する見通しだ。
なお、主要子会社3社(SBS東芝ロジスティクス、SBSリコーロジスティクス、SBSロジコム)は、それぞれ増収増益を計画している。SBS東芝ロジスティクスは、新規顧客の獲得や既存取引の拡大により、売上高で前期比4.5%増となり、利益面では新規物流拠点の採算改善や料金適正化に取り組むことで同26.9%増を見込む。下期は家電製品の物量減が想定されるものの、中間期の進捗率が売上高・営業利益ともに50%を超過しており、計画の達成は可能と見られる。SBSリコーロジスティクスは、EC物流拠点「物流センター大阪東」の満床稼働に向けた営業活動を強化する。ほかの新規拠点の空き坪解消や料金適正化などで不採算拠点の黒字化に取り組み、売上高で同4.3%増、営業利益で同13.5%増を目指す。中間期までの売上進捗率は48.5%と順調だが、営業利益は不採算拠点の収支改善の遅れから39.5%とやや低水準であり、下期に改善施策を強化することで計画達成を目指す。SBSロジコムは営業力強化に加え、物流品質の向上や人材確保を積極化し、売上高で同1.1%増、営業利益で同4.5%増と堅実な成長を見込んでいる。中間期は一部荷主の解約により第1四半期に「川越物流センター(延床面積1.2万坪)」の6千坪強が非稼働となったが、徐々に契約を獲得し、空き面積としては3,500坪まで縮小しており、下期に向けて満床を目指す。中間期の進捗率は売上高で48.8%、営業利益で42.6%となっており、下期の収益力回復が重要となる。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比2.6%増の18,400百万円、営業利益は同7.2%増の8,700百万円を計画している。賃貸事業は若干の減収減益が想定されるが、不動産流動化事業で同6億円の増益が見込まれており、営業利益ベースでは計画を上回る公算が大きい。流動化案件として同社グループ最大規模となる「野田瀬戸物流センターA棟」を3回に分割して流動化することを発表している。第1期は全体の35%を2025年9月末に、第2期は40%を2026年1月に、第3期は残り25%を2027年1月にそれぞれ売却する予定だ。第1期分で約74億円の営業利益を計上する見込みである。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比11.4%増の11,000百万円、営業利益は同28.2%増の500百万円となる見通し。太陽光発電システムの新規物流拠点への導入が進んだことで売電収入が増加するほか、マーケティング事業も増収増益を見込む。また、ここ数年損失が続いていた人材派遣事業も若干ではあるが黒字化する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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