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巴川コーポ Research Memo(3):2025年3月期の連結業績は前期比2.2%増収、3.7%営業減益
配信日時:2025/09/17 16:03
配信元:FISCO
*16:03JST 巴川コーポ Research Memo(3):2025年3月期の連結業績は前期比2.2%増収、3.7%営業減益
■巴川コーポレーション<3878>の業績動向
1. 2025年3月期の連結業績概要
2025年3月期の連結業績は売上高34,432百万円(期初予想比568百万円未達、前期比2.2%増、以下同順)、営業利益1,282百万円(918百万円未達、3.7%減)、経常利益1,566百万円(634百万円未達、4.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益749百万円(251百万円未達、26.2%増)となった。売上面ではトナー事業は円安もあり増収、半導体・ディスプレイ関連事業も半導体実装用テープが拡大、機能性シート事業は塗工紙などが好調で増収を確保した。一方、セキュリティメディア事業は前期の特需案件が一巡し減収となった。
利益面では原材料価格上昇230百万円、人件費・修繕費など経費増500百万円、売上減少130百万円などの減益要因があったが、価格転嫁650百万円、円安効果280百万円などで増益を確保した。ただしトナー事業で海外顧客に対し貸倒引当170百万円、連結調整ほかで20百万円を計上し、最終的には48百万円の営業減益となった。なお営業外で持分法による投資利益や補助金収入の拡大から、経常利益は同76百万円の減少となった。
2. セグメント別業績
セグメント別の業績は以下のとおりである。
(1) トナー事業
トナー事業は、売上高12,415百万円(期初予想比545百万円未達、前期比5.9%増、以下同順)、営業利益849百万円(971百万円未達、4.1%増)となった。売上面では円安による海外関連売上高のかさ上げが寄与したと見られ、実質は同4%弱の伸びだったと推定される。地域別では国内が1,728百万円(前期比14.3%減)と2ケタ減となり2,000百万円割れとなった。一方で海外向けは、中国が4,123百万円(同10.1%増)、その他のアジア1,536百万円(同14.9%増)、北米828百万円(同25.6%増)など2ケタ増収となった。また欧州も3,851百万円(同4.2%増)と円安効果もあり全地域が増収を確保した。
また色別売上ではモノクロが5,430百万円(前期比2.7%増)、カラー6,510百万円(同8.6%増)、その他460百万円(同0.0%増)カラー比率が前期比1,2ポイント低下し52.5%となった。利益面ではトナー生産量が拡大、生産高も9,654百万円(同14.5%増)となったこと、加えて円安が増益に寄与した。しかし原材料価格の上昇、モノクロを中心に価格競争が激化し、売上高対生産額(製造原価)比率が5.8ポイント上昇し77.8%となり増益率が伸び悩んだ。年度末にかけて市況が低迷し、受注減に伴う生産調整が影響した。また第4四半期が売上高2,942百万円(前年同期比5.2%減、前四半期比7.2%減)と低迷、海外顧客に対する貸倒引当金の計上170百万円もあり営業損失が124百万円(貸倒を除くと営業利益は46百万円)となり、期初予想に対し大幅未達となった。
(2) 半導体・ディスプレイ関連事業
半導体・ディスプレイ関連事業は、売上高6,530百万円(期初予想比70百万円未達、前期比0.2%増、以下同順)、営業利益804百万円(146百万円未達、32.3%増)となった。事業別では光学フィルムが売上高2,090百万円(190百万円上振れ、1.3%減)と想定していなかったディスプレイ向けフィルム加工への注文があり期初計画より上振れた。一方、半導体実装用テープは3,630百万円(160百万円未達、1.2%増)と車載向けなどが伸び悩んだ。半導体関連部品も見込んでいた新型静電チャックの採用見送りの影響などもあり800百万円(150百万円未達、前期比0.4%減)と伸び悩んだ。なお新製品売上(上市後4年以内)は1,200百万円(200百万円未達、900百万円減)となっている。利益面では塗工機の稼働率アップがあったものの、MIX悪化もあり営業利益は期初計画比未達にとどまった。
(3) 機能性シート事業
機能性シート事業は、売上高11,209百万円(期初予想比279百万円上振れ、前期比4.1%増、以下同順)、営業利益58百万円(98百万円上振れ、98百万円改善し黒字転換)となった。売上面では機能性不織布が売上高1,930百万円(350百万円未達、4.9%増)と、成長事業として期待していた半導体関連向けが低調で売上未達成の主因に。一方、高い伸びを示したのが塗工紙で、売上高1,580百万円(250百万円上振れ、19.8%増)と、一過性ではあるが海外入札案件で200百万円規模の落札ができたことが寄与している。その他サブセクターではばらつきがあるものの、前期比で大きな変動はない。ちなみに新製品売上は1,000百万円(300百万円未達、200百万円増)となっている。利益面では原材料コスト増があったが、価格転嫁や抄紙機停機効果などの各種コストダウンで黒字転換までこぎ着けた。
(4) セキュリティメディア事業
セキュリティメディア事業は、売上高3,987百万円(期初予想比283百万円未達、前期比9.1%減、以下同順)、営業利益313百万円(87百万円未達、28.5%減)となった。売上面ではカード売上が1,360百万円(前期比2.1%減)、通帳も840百万円(同11.5%減)、その他1,810百万円(同12.3%減)にとどまった。カード関連製品の在庫調整に加え、接触型と非接触型の両方の機能を兼ねたクレジットカードであるコンビカードへの切り替えが一巡、特需案件の終了による通帳類の販売減が影響した。ちなみに新製品売上は700百万円(計画比100百万円上振れ、前期比100百万円増)となっている。利益面では減収影響、MIX悪化などで減益となった。
(5) 新規開発事業
新規開発事業は、売上高44百万円(前期比34.3%減)、営業損失820百万円(前期は608百万円の損失)となった。主にiCas関連製品及びGREEN CHIP関連製品の開発と販売を進めている。売上は、試作、テスト需要に限定され、量産化の後は各事業の売上、利益に含まれるため、先行負担として損失が継続している。
財務状況は2025年3月期も改善、ただし引き続き体質強化が必要
3. 財務状況
同社は、構造改革の進展やM&Aによる収益基盤強化などもあり、2025年3月期末には自己資本比率が33.1%と負債合計が140百万円増加も、前期末比0.9ポイント上昇した。収益が伸び悩んだものの財務体質の健全化は進んでいる。
キャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益や減価償却費、売上債権の減少により営業活動によるキャッシュ・フロー1,799百万円を創出した。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは積極的な設備投資により、2,758百万円の支出となった。その結果、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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1. 2025年3月期の連結業績概要
2025年3月期の連結業績は売上高34,432百万円(期初予想比568百万円未達、前期比2.2%増、以下同順)、営業利益1,282百万円(918百万円未達、3.7%減)、経常利益1,566百万円(634百万円未達、4.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益749百万円(251百万円未達、26.2%増)となった。売上面ではトナー事業は円安もあり増収、半導体・ディスプレイ関連事業も半導体実装用テープが拡大、機能性シート事業は塗工紙などが好調で増収を確保した。一方、セキュリティメディア事業は前期の特需案件が一巡し減収となった。
利益面では原材料価格上昇230百万円、人件費・修繕費など経費増500百万円、売上減少130百万円などの減益要因があったが、価格転嫁650百万円、円安効果280百万円などで増益を確保した。ただしトナー事業で海外顧客に対し貸倒引当170百万円、連結調整ほかで20百万円を計上し、最終的には48百万円の営業減益となった。なお営業外で持分法による投資利益や補助金収入の拡大から、経常利益は同76百万円の減少となった。
2. セグメント別業績
セグメント別の業績は以下のとおりである。
(1) トナー事業
トナー事業は、売上高12,415百万円(期初予想比545百万円未達、前期比5.9%増、以下同順)、営業利益849百万円(971百万円未達、4.1%増)となった。売上面では円安による海外関連売上高のかさ上げが寄与したと見られ、実質は同4%弱の伸びだったと推定される。地域別では国内が1,728百万円(前期比14.3%減)と2ケタ減となり2,000百万円割れとなった。一方で海外向けは、中国が4,123百万円(同10.1%増)、その他のアジア1,536百万円(同14.9%増)、北米828百万円(同25.6%増)など2ケタ増収となった。また欧州も3,851百万円(同4.2%増)と円安効果もあり全地域が増収を確保した。
また色別売上ではモノクロが5,430百万円(前期比2.7%増)、カラー6,510百万円(同8.6%増)、その他460百万円(同0.0%増)カラー比率が前期比1,2ポイント低下し52.5%となった。利益面ではトナー生産量が拡大、生産高も9,654百万円(同14.5%増)となったこと、加えて円安が増益に寄与した。しかし原材料価格の上昇、モノクロを中心に価格競争が激化し、売上高対生産額(製造原価)比率が5.8ポイント上昇し77.8%となり増益率が伸び悩んだ。年度末にかけて市況が低迷し、受注減に伴う生産調整が影響した。また第4四半期が売上高2,942百万円(前年同期比5.2%減、前四半期比7.2%減)と低迷、海外顧客に対する貸倒引当金の計上170百万円もあり営業損失が124百万円(貸倒を除くと営業利益は46百万円)となり、期初予想に対し大幅未達となった。
(2) 半導体・ディスプレイ関連事業
半導体・ディスプレイ関連事業は、売上高6,530百万円(期初予想比70百万円未達、前期比0.2%増、以下同順)、営業利益804百万円(146百万円未達、32.3%増)となった。事業別では光学フィルムが売上高2,090百万円(190百万円上振れ、1.3%減)と想定していなかったディスプレイ向けフィルム加工への注文があり期初計画より上振れた。一方、半導体実装用テープは3,630百万円(160百万円未達、1.2%増)と車載向けなどが伸び悩んだ。半導体関連部品も見込んでいた新型静電チャックの採用見送りの影響などもあり800百万円(150百万円未達、前期比0.4%減)と伸び悩んだ。なお新製品売上(上市後4年以内)は1,200百万円(200百万円未達、900百万円減)となっている。利益面では塗工機の稼働率アップがあったものの、MIX悪化もあり営業利益は期初計画比未達にとどまった。
(3) 機能性シート事業
機能性シート事業は、売上高11,209百万円(期初予想比279百万円上振れ、前期比4.1%増、以下同順)、営業利益58百万円(98百万円上振れ、98百万円改善し黒字転換)となった。売上面では機能性不織布が売上高1,930百万円(350百万円未達、4.9%増)と、成長事業として期待していた半導体関連向けが低調で売上未達成の主因に。一方、高い伸びを示したのが塗工紙で、売上高1,580百万円(250百万円上振れ、19.8%増)と、一過性ではあるが海外入札案件で200百万円規模の落札ができたことが寄与している。その他サブセクターではばらつきがあるものの、前期比で大きな変動はない。ちなみに新製品売上は1,000百万円(300百万円未達、200百万円増)となっている。利益面では原材料コスト増があったが、価格転嫁や抄紙機停機効果などの各種コストダウンで黒字転換までこぎ着けた。
(4) セキュリティメディア事業
セキュリティメディア事業は、売上高3,987百万円(期初予想比283百万円未達、前期比9.1%減、以下同順)、営業利益313百万円(87百万円未達、28.5%減)となった。売上面ではカード売上が1,360百万円(前期比2.1%減)、通帳も840百万円(同11.5%減)、その他1,810百万円(同12.3%減)にとどまった。カード関連製品の在庫調整に加え、接触型と非接触型の両方の機能を兼ねたクレジットカードであるコンビカードへの切り替えが一巡、特需案件の終了による通帳類の販売減が影響した。ちなみに新製品売上は700百万円(計画比100百万円上振れ、前期比100百万円増)となっている。利益面では減収影響、MIX悪化などで減益となった。
(5) 新規開発事業
新規開発事業は、売上高44百万円(前期比34.3%減)、営業損失820百万円(前期は608百万円の損失)となった。主にiCas関連製品及びGREEN CHIP関連製品の開発と販売を進めている。売上は、試作、テスト需要に限定され、量産化の後は各事業の売上、利益に含まれるため、先行負担として損失が継続している。
財務状況は2025年3月期も改善、ただし引き続き体質強化が必要
3. 財務状況
同社は、構造改革の進展やM&Aによる収益基盤強化などもあり、2025年3月期末には自己資本比率が33.1%と負債合計が140百万円増加も、前期末比0.9ポイント上昇した。収益が伸び悩んだものの財務体質の健全化は進んでいる。
キャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益や減価償却費、売上債権の減少により営業活動によるキャッシュ・フロー1,799百万円を創出した。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは積極的な設備投資により、2,758百万円の支出となった。その結果、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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