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巴川コーポ Research Memo(6):2026年3月期は営業増益確保へ(3)

配信日時:2025/09/17 16:06 配信元:FISCO
*16:06JST 巴川コーポ Research Memo(6):2026年3月期は営業増益確保へ(3) ■巴川コーポレーション<3878>の今後の見通し

(3) 機能性シート事業
機能性シート事業は売上高11,500百万円(2024年7月修正計画比600百万円減、前期比2.6%増、以下同順)、営業利益180百万円(220百万円減、210.3%増)予想。2024年7月予想に対し売上未達となっているのは上市後4年以内の新製品売上想定が1,000〜2,000百万円を想定していたものが1,400百万円にとどまる予想に変更しているのが大きい。その中心の機能性不織布において、発熱用途のステンレス繊維シートについてはフレキシブル面状ヒーター向けの売上増が期待されるものの、高性能ヒートシンクに使われる銅ステンレスシートの拡販遅延が影響しているためと思われる。これはステンレスシート需要が高まり増産対応でヒートシンクについて投資を控えていることが影響している。このため前期1,930百万円の売上だった機能性不織布は新製品の増分である400百万円増程度にとどまると見られる。なお高性能ヒートシンクについては2027年3月期に量産が予定されており、同シートについては高性能ヒートシンクの伸びとともに拡大が期待される。機能性シート事業ではこのほかにも資源循環技術を生かした「グリーンチップ(R) CMF(R)」などの画期的な製品も投入している。これは汎用プラスチックであるポリプロピレン(PP)樹脂に木材由来のセルロースファイバーを55%という高比率で均一に配合した画期的な複合樹脂。製品に占める石油由来プラスチックの使用量を半分以下に削減でき、再生可能資源として活用することができるほか、製造から焼却処分までの過程におけるCO2排出量を石油由来樹脂と比較して約20%減らすことが期待できる。現在は飲用カップなどの需要に留まっているが、2023年11月には島津製作所<7701>が分析計測機器に難燃性を付与した「グリーンチップ(R) CMF(R)」を採用するなど、今後、循環型社会に対応できる素材として需要が急拡大する期待がある。ちなみに同製品は環境省の「令和7年度環境技術実証事業」における実証対象技術(資源循環技術領域)として選定されている。

その他サブセグメントでは製紙、ガムテープ、紙加工など総じて横ばい、塗工紙は海外案件の反動減で減収が見込まれるが、全体としては2期連続で過去最高売上更新が期待される。利益面では原材料価格の上昇が見込まれ、増益に。なお2025年7月に抄紙製造設備1台を停機、この設備で製造していた各品種の製造販売を中止し、営業権等を特種東海製紙<3708>に譲渡することを決議した。

(4) セキュリティメディア事業
セキュリティメディア事業は売上高4,000百万円(2024年7月修正計画比200百万円減、前期比0.3%増)、営業利益270百万円(同40百万円減、前期比13.7%減)を予想している。

(5) 新規開発事業、その他事業
新規開発事業、その他事業で売上高200百万円、営業損失860百万円予想。現在、前向きな先行投資を増加させており、損失額が増加する予想になっている。

3. 営業利益の増減要因
2026年3月期の営業増益(118百万円増益)要因分析は、新製品の売上増加で830百万円、価格改定効果600百万円、稼働率改善や貸倒引当金計上消失による690百万円の増益要因に対し、コストアップ970百万円、為替影響380百万円、開発経費増、既存製品売上減などの減益要因を差し引いて緩やかな営業利益回復を見込む。なお営業外では持分法による投資利益の伸び悩み、為替差損拡大などで収支の悪化を想定、経常利益については微減益にとどまるとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

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