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プロディライト Research Memo(4):同社事業の幅も深みも拡充、新たな成長ステージへ
配信日時:2025/08/26 11:04
配信元:FISCO
*11:04JST プロディライト Research Memo(4):同社事業の幅も深みも拡充、新たな成長ステージへ
■プロディライト<5580>の事業概要
3. 移動通信設備事業及び取次販売事業
移動通信設備事業は、移動体通信基地局の設計・施工・コンサルティング、ネットワーク関連の設計・施工などで、子会社であるNNコミュニケーションズが行っている。取次販売事業は、大手電力事業者のガス・電気販売の取次業務や、ブロードバンド代理店としてインターネット回線の契約取次業務などで、同社(電気の取次のみ)とNNコミュニケーションズが行っている。
こうした新たな事業を主導しているのがNNコミュニケーションズで、各キャリアなどの光回線サービスを提案し取り次ぐブロードバンド代理店事業、各キャリア基地局の設計や施工などを行うモバイル通信設備工事事業、光ファイバー網の幹線から各家庭への敷設、CATVネットワークの施工、オフィスネットワークの構築から保守まで一貫して実施する各種通信設備工事事業を展開している。加えて、同社の子会社になったことで、新たにクラウドPBX事業「TELENEAR(テレニア)」を開始した※。「TELENEAR」は、同社のターゲットとは異なる小規模企業や個人事業主、店舗に特化したクラウドPBXサービスである。「INNOVERA」と同様に、通話料削減への取り組みや利用開始までの早さを強みとし、主要都市での市外局番の利用も、専用アプリを入れたスマホでの発着信も可能である。
※ 2025年7月に本格スタートし、セグメントは音声ソリューション事業に分類されると思われる。
NNコミュニケーションズの特徴は取次などをWebで完結するWeb販売のノウハウにある。同社では、このノウハウを「INNOVERA」のサブブランドとして開発した「TELENEAR」に活用することで、クラウドPBXサービスのターゲットを、従来の10人以上から10人以下の小規模企業へと拡大する。これに伴い同社は、NNコミュニケーションズにより小規模企業向けの電話自動音声応答システムとクラウドPBXサービスをOmniGridから事業譲受し、小規模向け事業の本格スタートに弾みをつけた。また、NNコミュニケーションズは施工工事も行っており、同社がクラウドPBXを設置する際などに委託していた作業を内製化できるメリットもある。このように、NNコミュニケーションズの子会社化によって、事業に幅も深みも加えることができたため、同社は新たな成長ステージへ入ることになりそうだ。
「電話のDX」に最適な「INNOVERA」
4. 業界環境と同社の強み
働き方の多様化、スマートデバイスの浸透、BCP対策の必要性、AIやテクノロジーの発展など事業環境の様々な変化のなか、電話対応のための出社が不要、回線がダウンしても通話が可能、音声通話のテキスト化などによる業務効率化に対応し、メンテナンスなどのコストを削減する「電話のDX」が求められている。このため、音声通信サービス市場では、法人向けなど固定通信の契約数減少が続く一方で、モバイルや同社の扱う0ABJ番号※からIPで使える0ABJIP電話へのシフトが進んでいる。なかでもクラウドPBXは、直収型電話サービスや加入電話などのアナログ/ISDNから、050IP電話や0ABJIP電話などIP電話への回線のシフトが進んでいる。しかし、依然として企業の約8割がハードウェアのPBXだけを使用しており、引き続きクラウドPBXの需要は伸びることが見込まれる。なお、2025年1月に制度改正により固定電話サービス提供事業者間における双方向番号ポータビリティが開始されたが、これによりクラウドPBXへのシフトが加速することが期待されている。
※ 0ABJ番号:03や06などから始まる10桁の固定電話番号のこと。なお、IP電話を通じて0AB-J型番号を取得することもでき(0ABJIP電話)、その場合、電話加入権の購入は必要ない。
こうした音声通信サービス市場における企業の電話システムには、大きく分けてクラウドと大手有力企業が扱っているハードウェアの2種類がある。クラウドはハードウェアに対して、高度な専用システムの必要がなく、設置場所や専門知識、端末の柔軟性、機能性、メンテナンス、導入コストなどの面で優位性がある。一方、クラウドPBXにも、固定端末に対応していない、品質やアフターサポートが不足しているといった課題がある。同社の「INNOVERA」は、固定電話の番号や機能をそのまま利用できるだけでなく、新たに番号を増やすことができる。加えて、ハードウェアに対して品質や機能、サポートも遜色ない。さらに、オフィスなど一般企業向けクラウドPBX市場には新興の小規模企業が多いが、そのなかで同社は、システムも回線も端末やアプリもワンストップで提供できるうえ、品質やアフターサポートに対する定評、上場企業としての規模と信頼感があることから優位性がある。こうした優位性の背景には、ワンストップ・ソリューションの仕組み、ユーザー視点で開発したことによるユーザビリティ、他社サービスとの連携や拡張オプション機能などのフレキシビリティといった、「INNOVERA」のもつ強みがある。また、システムすべてがクラウド上にあるため、ノイズが少なく音質が鮮明で、万が一問題が発生しても発生場所の特定が容易で使い勝手が良いことも強みとなっている。
「パートナープログラム」定着、「TELENEAR」導入で業容拡大
5. 収益構造
同社のメインターゲットは首都圏にある従業員10~100人の中堅企業で、引き続き「電話のDX」へのニーズは強いものの、「TELENEAR」の導入により従業員10人以下の士業やスタートアップなど小規模企業へのアプローチを進める。さらには「INNOVERA PBX 2.0」へのアップデートで利用ユーザー数の上限を増やしたことによりターゲットを大企業にも拡大している。2022年9月には販売代理店制度「パートナープログラム」を開始し、主要都市圏のみならず地方まで、中堅企業のみならず小規模企業から大企業までを網羅できるようになった。既にパートナー経由の売上高構成比が8割程度に増加、また大型案件が増えるなど、「パートナープログラム」の成果が現れ始めている。2025年7月には「TELENEAR」をスタート、従業員10人以下の企業を本格的に取り込む体制が整備できた。このように「パートナープログラム」や「TELENEAR」の導入によって、拡大するクラウドPBX市場を同社成長に取り込んでいく体制が十分に整ってきたと言える。
主力である音声ソリューション事業の収益は、クラウドPBX「INNOVERA」、IP回線「IP-Line」、端末の販売でおおむね構成されている。「INNOVERA」の収益は初期設定収益及びオプションを含むシステムの月額固定の利用料金からなり、アカウント数(利用端末数)の増加とオプション利用率の上昇が成長のドライバーとなる。「IP-Line」は初期設定収益と、月額固定の利用料金及び通話料に応じた課金からなり、チャネル数(同じ電話番号での同時利用可能者数)や通話時間を増やすことで成長が加速する。端末販売は「Yealink」の電話端末や電子黒板の販売代金からなり、販売台数が収益の伸びを支える。このうち売上高の約8割を占める「INNOVERA」と「IP-Line」は、市場環境が良好なうえリカーリング収益であるため、同社の成長と安定収益を支える柱と言える。なかでも「INNOVERA」は、同社が独自に開発したシステムのため高収益である。一方、「IP-Line」と「Yealink」は、それぞれアルテリア・ネットワークスやYealinkなどへの下払いが発生する。したがって、「INNOVERA」アカウント、「IP-Line」チャネル、リカーリング率の3つをKPIとして重視している。なお、リカーリング率が高いことから、今後コストの比率が大きく高まる可能性は小さいと想定するが、パートナーシップを強化しているため、パートナー向けインセンティブが変動費的に増える可能性はある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
3. 移動通信設備事業及び取次販売事業
移動通信設備事業は、移動体通信基地局の設計・施工・コンサルティング、ネットワーク関連の設計・施工などで、子会社であるNNコミュニケーションズが行っている。取次販売事業は、大手電力事業者のガス・電気販売の取次業務や、ブロードバンド代理店としてインターネット回線の契約取次業務などで、同社(電気の取次のみ)とNNコミュニケーションズが行っている。
こうした新たな事業を主導しているのがNNコミュニケーションズで、各キャリアなどの光回線サービスを提案し取り次ぐブロードバンド代理店事業、各キャリア基地局の設計や施工などを行うモバイル通信設備工事事業、光ファイバー網の幹線から各家庭への敷設、CATVネットワークの施工、オフィスネットワークの構築から保守まで一貫して実施する各種通信設備工事事業を展開している。加えて、同社の子会社になったことで、新たにクラウドPBX事業「TELENEAR(テレニア)」を開始した※。「TELENEAR」は、同社のターゲットとは異なる小規模企業や個人事業主、店舗に特化したクラウドPBXサービスである。「INNOVERA」と同様に、通話料削減への取り組みや利用開始までの早さを強みとし、主要都市での市外局番の利用も、専用アプリを入れたスマホでの発着信も可能である。
※ 2025年7月に本格スタートし、セグメントは音声ソリューション事業に分類されると思われる。
NNコミュニケーションズの特徴は取次などをWebで完結するWeb販売のノウハウにある。同社では、このノウハウを「INNOVERA」のサブブランドとして開発した「TELENEAR」に活用することで、クラウドPBXサービスのターゲットを、従来の10人以上から10人以下の小規模企業へと拡大する。これに伴い同社は、NNコミュニケーションズにより小規模企業向けの電話自動音声応答システムとクラウドPBXサービスをOmniGridから事業譲受し、小規模向け事業の本格スタートに弾みをつけた。また、NNコミュニケーションズは施工工事も行っており、同社がクラウドPBXを設置する際などに委託していた作業を内製化できるメリットもある。このように、NNコミュニケーションズの子会社化によって、事業に幅も深みも加えることができたため、同社は新たな成長ステージへ入ることになりそうだ。
「電話のDX」に最適な「INNOVERA」
4. 業界環境と同社の強み
働き方の多様化、スマートデバイスの浸透、BCP対策の必要性、AIやテクノロジーの発展など事業環境の様々な変化のなか、電話対応のための出社が不要、回線がダウンしても通話が可能、音声通話のテキスト化などによる業務効率化に対応し、メンテナンスなどのコストを削減する「電話のDX」が求められている。このため、音声通信サービス市場では、法人向けなど固定通信の契約数減少が続く一方で、モバイルや同社の扱う0ABJ番号※からIPで使える0ABJIP電話へのシフトが進んでいる。なかでもクラウドPBXは、直収型電話サービスや加入電話などのアナログ/ISDNから、050IP電話や0ABJIP電話などIP電話への回線のシフトが進んでいる。しかし、依然として企業の約8割がハードウェアのPBXだけを使用しており、引き続きクラウドPBXの需要は伸びることが見込まれる。なお、2025年1月に制度改正により固定電話サービス提供事業者間における双方向番号ポータビリティが開始されたが、これによりクラウドPBXへのシフトが加速することが期待されている。
※ 0ABJ番号:03や06などから始まる10桁の固定電話番号のこと。なお、IP電話を通じて0AB-J型番号を取得することもでき(0ABJIP電話)、その場合、電話加入権の購入は必要ない。
こうした音声通信サービス市場における企業の電話システムには、大きく分けてクラウドと大手有力企業が扱っているハードウェアの2種類がある。クラウドはハードウェアに対して、高度な専用システムの必要がなく、設置場所や専門知識、端末の柔軟性、機能性、メンテナンス、導入コストなどの面で優位性がある。一方、クラウドPBXにも、固定端末に対応していない、品質やアフターサポートが不足しているといった課題がある。同社の「INNOVERA」は、固定電話の番号や機能をそのまま利用できるだけでなく、新たに番号を増やすことができる。加えて、ハードウェアに対して品質や機能、サポートも遜色ない。さらに、オフィスなど一般企業向けクラウドPBX市場には新興の小規模企業が多いが、そのなかで同社は、システムも回線も端末やアプリもワンストップで提供できるうえ、品質やアフターサポートに対する定評、上場企業としての規模と信頼感があることから優位性がある。こうした優位性の背景には、ワンストップ・ソリューションの仕組み、ユーザー視点で開発したことによるユーザビリティ、他社サービスとの連携や拡張オプション機能などのフレキシビリティといった、「INNOVERA」のもつ強みがある。また、システムすべてがクラウド上にあるため、ノイズが少なく音質が鮮明で、万が一問題が発生しても発生場所の特定が容易で使い勝手が良いことも強みとなっている。
「パートナープログラム」定着、「TELENEAR」導入で業容拡大
5. 収益構造
同社のメインターゲットは首都圏にある従業員10~100人の中堅企業で、引き続き「電話のDX」へのニーズは強いものの、「TELENEAR」の導入により従業員10人以下の士業やスタートアップなど小規模企業へのアプローチを進める。さらには「INNOVERA PBX 2.0」へのアップデートで利用ユーザー数の上限を増やしたことによりターゲットを大企業にも拡大している。2022年9月には販売代理店制度「パートナープログラム」を開始し、主要都市圏のみならず地方まで、中堅企業のみならず小規模企業から大企業までを網羅できるようになった。既にパートナー経由の売上高構成比が8割程度に増加、また大型案件が増えるなど、「パートナープログラム」の成果が現れ始めている。2025年7月には「TELENEAR」をスタート、従業員10人以下の企業を本格的に取り込む体制が整備できた。このように「パートナープログラム」や「TELENEAR」の導入によって、拡大するクラウドPBX市場を同社成長に取り込んでいく体制が十分に整ってきたと言える。
主力である音声ソリューション事業の収益は、クラウドPBX「INNOVERA」、IP回線「IP-Line」、端末の販売でおおむね構成されている。「INNOVERA」の収益は初期設定収益及びオプションを含むシステムの月額固定の利用料金からなり、アカウント数(利用端末数)の増加とオプション利用率の上昇が成長のドライバーとなる。「IP-Line」は初期設定収益と、月額固定の利用料金及び通話料に応じた課金からなり、チャネル数(同じ電話番号での同時利用可能者数)や通話時間を増やすことで成長が加速する。端末販売は「Yealink」の電話端末や電子黒板の販売代金からなり、販売台数が収益の伸びを支える。このうち売上高の約8割を占める「INNOVERA」と「IP-Line」は、市場環境が良好なうえリカーリング収益であるため、同社の成長と安定収益を支える柱と言える。なかでも「INNOVERA」は、同社が独自に開発したシステムのため高収益である。一方、「IP-Line」と「Yealink」は、それぞれアルテリア・ネットワークスやYealinkなどへの下払いが発生する。したがって、「INNOVERA」アカウント、「IP-Line」チャネル、リカーリング率の3つをKPIとして重視している。なお、リカーリング率が高いことから、今後コストの比率が大きく高まる可能性は小さいと想定するが、パートナーシップを強化しているため、パートナー向けインセンティブが変動費的に増える可能性はある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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