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TDSE Research Memo(4):コンサルティング事業のマイナス面を他の2事業の成長拡大で補強できるかに掛かる

配信日時:2025/08/26 13:04 配信元:FISCO
*13:04JST TDSE Research Memo(4):コンサルティング事業のマイナス面を他の2事業の成長拡大で補強できるかに掛かる ■TDSE<7046>の業績動向

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績については、売上高3,160百万円(前期比17.1%増)、営業利益220百万円(同10.7%増)、経常利益220百万円(同9.3%増)、当期純利益143百万円(同5.4%増)と、増収増益を見込んでいる。2026年3月期は「MISSION2025」の最終年度となるが、売上高はM&Aがないケース、営業利益率は目標の10%に満たない状況を想定している。引き続き人員増加による営業強化を推進するとともに、生成AI関連の製品・サービスを強化していく方針である。

国内では企業の競争力強化、生産性向上のためのDX関連投資の意欲は引き続き高い状況にあり、なかでも生成AIなどAIを活用したDX市場の拡大が見込まれる。こうした環境下、同社はコンサルティング事業では、営業面において、増強した営業組織を軸に大手顧客との堅固な関係の確立、協業企業との連携強化、生成AIに関するソリューションの発信強化を図る。技術面においては、生成AI関連のテーマに対応できる人材の増強とソリューションの実行力強化、2024年に提携したクラウド上の統合分析プラットフォーム「DataBricks」を活用する人材の育成とDataBricksとの連携強化を推進し、案件の獲得を目指している。

プロダクト事業では、QUID製品を中心とする仕入商品の販売強化及び自社製品「TDSE KAIZODE」のデータ取得機能とLLM対応の強化に取り組む。AIエージェント事業では、「Dify」の販売を強化するとともに、AIエージェントに対応する人材とソリューション実行力の強化を図る。次世代の成長を担う重要戦略と位置付けているM&Aに関しては、既存事業の拡大に加え、既存事業と親和性の高い新規領域への拡大、既存事業の海外転用をターゲットとして進める方針だ。

第1四半期の業績を受けた第2四半期以降の動きとしては、コンサルティング事業は第1四半期の業績苦戦を受け、技術面では、市場が拡大している生成AIソリューションやデータマネジメント領域のソリューションの強化、またそうした領域で実際に実績のある人材の獲得を一層強化する。営業面では、生成AIソリューションに関する発信を強化するとともに、コンサルティングファームや協業企業とのアライアンスを活用して受注獲得に取り組む。人員を増やすだけで業績が改善・拡大するわけではなく、また日進月歩のAI技術に遅れないためにも、こうした動きのほかに組織改革も必要になるだろう。プロダクト事業では、仕入商品であるQUID製品の販売強化の一方、自社製品の「TDSE KAIZODE」の付加価値強化に取り組む。AIエージェント事業では、AIエージェントソリューションの充実と展開及び体制の強化に取り組む。

同社の動きから推測すると、コンサルティング事業は改善策を要しているものの、早期に解決されるとは想定できず、前期からの人員増が売上増につながらず、厳しい業況が継続するものと思われる。一方、プロダクト事業ではQUID製品が着実に拡大、AIエージェント事業では「Cognigy」「Dify」で新たな受注を獲得するなど、AI製品は順調に成長することが見込まれる。ただし、特にニーズが急拡大しているAIエージェント事業において、人材のボトルネックによる機会ロスが懸念される。以上のことから、売上高は期初計画が上限、営業利益は下回ると想定、人員増加したものの、利益を生み出す案件に投入せず、未稼働の状態が続くようであれば、人員の回転が進まず、売上・利益ともに悪影響を受ける可能性も高まると考えられる。

なお、M&Aについては、現段階得られる情報もないことからコメントできないが、同社の現状においては本業における内部体制の改善を優先すべきと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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