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アーレスティ Research Memo(6):2025年3月期は収益構造改革が奏功し営業損益は大幅増益(1)
配信日時:2025/07/09 16:16
配信元:FISCO
*16:16JST アーレスティ Research Memo(6):2025年3月期は収益構造改革が奏功し営業損益は大幅増益(1)
■アーレスティ<5852>の業績動向
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高162,929百万円(前期比3.0%増)、営業利益3,371百万円(同47.2%増)、経常利益3,044百万円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する当期純損失2,892百万円(前期は7,699百万円の損失)と増収増益となった。国内自動車生産の落ち込みや中国における一部主要顧客の販売不振などにより受注量は前期を1.5%下回ったが、売上高は期中為替レートが円安で推移した影響もあり同3.0%の増収となった。ダイカスト事業の日本、アジア市場における下期の回復を見込み2024年10月に上方修正していた計画値も上回った。損益面においては、受注量の減少に対して日本、中国での生産合理化(人員適正化)や生産性改善による固定費などの圧縮、エネルギーコスト、労務費、物流費などの上昇を反映した適正な価格是正に継続的に取り組んだ。また、前期の中国工場(広州・合肥)の減損損失約90億円の計上に伴う減価償却費の低減などにより、米国工場での収益悪化をカバーし営業利益、経常利益は2ケタの増益となった。上期は営業・経常段階で損失を計上していたが、収益構造改革が奏功し、下期に大幅な収益改善を実現している。米国工場においては、人材定着率低下に伴う生産性悪化、原材料価格、人件費などの製造コスト上昇により収益が悪化した。細目としては、販売量(価格是正分を含む)で821百万円、減価償却費低減で1,509百万円が増益となり、製造コストで833百万円、地金市況の影響で371百万円、アルミニウム事業及び完成品事業で10百万円、その他で36百万円がそれぞれ減益となった。
加えて、外貨建て債権・債務の評価替えに伴い円高進行による為替差損(約3億円)を営業外費用に計上したほか、生産体制の合理化(人員適正化)を目的とした特別退職金約10億円(国内東海工場及びアーレスティ栃木における希望退職にかかる特別退職金約7億円、並びに中国市場での今後の需要動向を睨んだ広州阿雷斯提、阿雷斯提精密における早期退職者への特別退職金約3億円)、下期中に採算を改善できなかった米国工場の減損損失約33億円などを特別損失に計上した。特別利益には、広州阿雷斯提の第2工場の売却益約7億円を計上した。また、メヒカーナ社における会計上の機能通貨(米ドル)と税務基準額計算上の現地通貨(メキシコペソ)の為替相場変動による繰延税金資産の取り崩し発生(約11億円)もあり、最終損失が2,892百万円まで膨らんだ。
2. 事業セグメント別動向
(1) ダイカスト事業
a) ダイカスト事業 日本
国内自動車生産の落ち込みなどにより受注量が減少し、売上高は64,591百万円(前期比4.2%増)となった。損益面においては、取引価格適正化の推進により672百万円の増益、上期に実施した2工場(東海・栃木)での希望退職の実施による人員規模適正化による固定費の圧縮、下期に実行した収益改革プロジェクトによる製造コスト削減により601百万円の増益、アルミ地金の高値推移に連動した価格改定による258百万円の増益などにより、セグメント利益は2,320百万円(同289.5%増)と大幅な増益となった。
b) ダイカスト事業 北米
底堅い北米自動車生産による受注量の増加と為替相場の影響により、売上高は49,704百万円(前期比3.6%増)となった。損益面においては、米国工場における生産性の悪化、原材料価格、人件費などの製造コストの上昇により2,591百万円減益となったほか、地金市況の高騰により477百万円の減益などが加わり、セグメント損益は1,617百万円の損失を計上した(前期は1,242百万円の利益)。米国工場の受注は好調であったが、高い離職率が理由で必要な力量を有する作業者を確保できず生産が不安定となった。米国では慢性的な人材不足から定着率が悪化し、賃金も高騰した。下期には日本からの支援を強化し、生産補完も進め現地生産の負荷を軽減してきたが期中での黒字化は困難であったため、期末では減損損失を計上した。メキシコ工場は引き続き堅調な受注と利益を確保している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<HN>
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高162,929百万円(前期比3.0%増)、営業利益3,371百万円(同47.2%増)、経常利益3,044百万円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する当期純損失2,892百万円(前期は7,699百万円の損失)と増収増益となった。国内自動車生産の落ち込みや中国における一部主要顧客の販売不振などにより受注量は前期を1.5%下回ったが、売上高は期中為替レートが円安で推移した影響もあり同3.0%の増収となった。ダイカスト事業の日本、アジア市場における下期の回復を見込み2024年10月に上方修正していた計画値も上回った。損益面においては、受注量の減少に対して日本、中国での生産合理化(人員適正化)や生産性改善による固定費などの圧縮、エネルギーコスト、労務費、物流費などの上昇を反映した適正な価格是正に継続的に取り組んだ。また、前期の中国工場(広州・合肥)の減損損失約90億円の計上に伴う減価償却費の低減などにより、米国工場での収益悪化をカバーし営業利益、経常利益は2ケタの増益となった。上期は営業・経常段階で損失を計上していたが、収益構造改革が奏功し、下期に大幅な収益改善を実現している。米国工場においては、人材定着率低下に伴う生産性悪化、原材料価格、人件費などの製造コスト上昇により収益が悪化した。細目としては、販売量(価格是正分を含む)で821百万円、減価償却費低減で1,509百万円が増益となり、製造コストで833百万円、地金市況の影響で371百万円、アルミニウム事業及び完成品事業で10百万円、その他で36百万円がそれぞれ減益となった。
加えて、外貨建て債権・債務の評価替えに伴い円高進行による為替差損(約3億円)を営業外費用に計上したほか、生産体制の合理化(人員適正化)を目的とした特別退職金約10億円(国内東海工場及びアーレスティ栃木における希望退職にかかる特別退職金約7億円、並びに中国市場での今後の需要動向を睨んだ広州阿雷斯提、阿雷斯提精密における早期退職者への特別退職金約3億円)、下期中に採算を改善できなかった米国工場の減損損失約33億円などを特別損失に計上した。特別利益には、広州阿雷斯提の第2工場の売却益約7億円を計上した。また、メヒカーナ社における会計上の機能通貨(米ドル)と税務基準額計算上の現地通貨(メキシコペソ)の為替相場変動による繰延税金資産の取り崩し発生(約11億円)もあり、最終損失が2,892百万円まで膨らんだ。
2. 事業セグメント別動向
(1) ダイカスト事業
a) ダイカスト事業 日本
国内自動車生産の落ち込みなどにより受注量が減少し、売上高は64,591百万円(前期比4.2%増)となった。損益面においては、取引価格適正化の推進により672百万円の増益、上期に実施した2工場(東海・栃木)での希望退職の実施による人員規模適正化による固定費の圧縮、下期に実行した収益改革プロジェクトによる製造コスト削減により601百万円の増益、アルミ地金の高値推移に連動した価格改定による258百万円の増益などにより、セグメント利益は2,320百万円(同289.5%増)と大幅な増益となった。
b) ダイカスト事業 北米
底堅い北米自動車生産による受注量の増加と為替相場の影響により、売上高は49,704百万円(前期比3.6%増)となった。損益面においては、米国工場における生産性の悪化、原材料価格、人件費などの製造コストの上昇により2,591百万円減益となったほか、地金市況の高騰により477百万円の減益などが加わり、セグメント損益は1,617百万円の損失を計上した(前期は1,242百万円の利益)。米国工場の受注は好調であったが、高い離職率が理由で必要な力量を有する作業者を確保できず生産が不安定となった。米国では慢性的な人材不足から定着率が悪化し、賃金も高騰した。下期には日本からの支援を強化し、生産補完も進め現地生産の負荷を軽減してきたが期中での黒字化は困難であったため、期末では減損損失を計上した。メキシコ工場は引き続き堅調な受注と利益を確保している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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