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中西製作所 Research Memo(7):2025年3月期は学校と外食の好調により、過去最高売上高・大幅増益を達成
配信日時:2025/07/09 15:47
配信元:FISCO
*15:47JST 中西製作所 Research Memo(7):2025年3月期は学校と外食の好調により、過去最高売上高・大幅増益を達成
■中西製作所<5941>の業績動向
1. 2025年3月期の業績動向
2025年3月期の業績は、売上高が39,931百万円(前期比9.1%増)、営業利益が2,631百万円(同33.8%増)、経常利益が2,789百万円(同33.7%増)、当期純利益が1,807百万円(同19.0%増)と好調に推移した。期初の業績予想と比較しても、売上高で2,931百万円、営業利益で821百万円、経常利益で859百万円、当期純利益で430百万円の超過達成となった。
日本経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加が内需を押し上げた一方で、世界的な政治・社会情勢の不確実性やインフレによる景気減速リスクは依然として大きく、先行きは不透明なまま推移した。このような環境において、同社は総合厨房機器メーカーとして、食中毒や異物混入問題といった「食の安全・安心」という基本的課題に向き合い、労働人口減少社会にも対応できる自動化・省力化を追求した製品の開発に注力した。また、多様な顧客ニーズに対応した厨房機器・厨房システムの提案を心がけることで、業績の向上に取り組んだ。
この結果、学校と外食の受注が好調に推移し、売上高は過去最高となった。利益面では、物価高騰の影響を受けつつも高収益の自社製品の販売比率が向上し、生産効率の改善効果もあって、売上総利益率が向上した。将来の成長に向けた試験研究費や教育訓練費の先行的投資により販管費は増加したが、増収効果により販管費率は横ばい圏に留まり、営業利益は大幅増加となった。期初の業績予想を上回ったのは、もともと保守的に予算を組む傾向があることに加え、学校、病院、外食向け売上高が想定以上に増加したこと、営業交渉で価格転嫁が想定以上に進んだこと、生産性の改善が進んだことが挙げられる。これにより、同社の経営体質に利益重視の姿勢が定着してきたと見られる。
セグメント別では、大半を占める業務用厨房機器製造販売事業が、売上高39,830百万円(前期比9.1%増)、セグメント利益2,579百万円(同34.7%増)と好調に推移した。このうち、主力の製品売上高が33,955百万円(同10.1%増)、売上総利益率が25.7%(同1.5ポイント改善)となった。学校と外食分野の受注が好調で、特に学校で価格転嫁が順調に進んだこと、さらに工納期が集中する夏休みと春休み期間に合わせた製造の平準化が進んだことが、原価率の改善につながった。この製造平準化は、長年の取り組みにより製造計画を前倒しできるようになった成果である。病院は前期好調の反動で売上高が減少したが、そのほかの分野は着実に増加した。
なお、業務用厨房機器の新製品は、市場投入から本格的に売上貢献するまで4~5年ほどを要するが、2023年に受注を開始した「ハカレコ」は、料理ごとの配缶量や残食量を効率的に計量・記録できる機能が評価され、学校給食などで早くも採用が進んでいる。
2026年3月期は前期の好業績の反動で営業減益を予想するも、保守的な印象
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期業績について、同社は売上高40,000百万円(前期比0.2%増)、営業利益2,000百万円(同24.0%減)、経常利益2,100百万円(同24.7%減)、当期純利益1,500百万円(同17.0%減)を見込んでいる。売上高は、納品まで長期間を要する大型案件の獲得が想定されているものの、景気に左右されやすい外食や、今後積み上げを積極化する消耗品、メンテナンス、「ハカレコ」の寄与をある程度織り込み、横ばい圏での推移を予想している。営業利益の減益予想については、前期の収益性が極めて高かった反動であり、保守的な観点から営業利益率を例年並みで想定した結果である。しかし、弊社はこの予想はやや保守的と見ており、同社にとっては必達目標ということができるだろう。
日本経済は、米国における政治動向に注目が集まるなか、世界的な政治・社会情勢の不確実性やインフレによる景気減速リスクが依然として大きく、先行きは不透明なまま推移すると見られている。このような環境において、同社は、業績向上に向けた重点施策を推進する計画である。具体的には、省人化・効率化に対する研究開発、衛生的・省人化厨房機器の提案、群馬工場増築の検討、老朽化した大阪本社及び奈良工場移転の検討、環境配慮型省エネタイプ製品の開発、営業・生産・管理が一体となった販売力の強化である。特に、人手に頼らずに業務を効率化する研究開発に一段と注力し、近年注目が集まるフードテック※によるアプローチも取り入れて、衛生的で省人化された厨房システムの提案を積極的に行う方針である。加えて、国連が採択したサステナブルな社会を目指したSDGsの課題目標の達成にも貢献するため、環境にも配慮した省エネタイプの製品開発などにも注力するとしている。
※ AIなど最先端テクノロジーによって食の問題を解決し、食の可能性を広げる技術。
■株主還元策
2025年3月期の1株当たり配当金は前期比14.0円増の87.0円配を実施
1. 配当政策
同社は、株主への利益還元を重要な経営課題の1つと位置付ける一方、長期的に継続して業容を拡大し、企業体質の強化によって、安定的な経営基盤をつくりあげることも重視している。このため、財務状況、期間業績及び将来の事業展開などを加味しながら、配当性向30%をめどとした持続的な配当の継続に加え、そのほかの株主還元策の導入も検討している。内部留保金については、経営環境の変化に機能的に対応するための資金とするとともに、経営体質の一層の充実、今後の新技術の開発、設備投資などに活用する方針である。同社は株主総会の決議により年1回の剰余金の期末配当を行うことを基本方針としており、また、取締役会の決議により中間配当を行うことができる旨を定款に定めている。以上から、2025年3月期の1株当たり配当金を前期比14.0円増配して87.0円とした。2026年3月期については、引き続き配当性向を重視して1株当たり配当金72.0円を予定している。業績が上方修正された場合、2025年3月期のように期中増配の可能性もあると考えられる。
2. 株主優待制度
同社は株主優待制度を採用している。毎年3月31日を「基準日」として、「基準日」現在の同社株主名簿に同一株主番号で記載のある株主を対象に、保有株式数と保有期間に応じた優待クラスに準じて、全国のマクドナルド店舗で利用可能な同社オリジナルデザインの「マックカード」を贈呈している。優待クラスは、ブロンズ1,000円分(500円券×2枚)、シルバー2,000円分(500円券×4枚)、ゴールド3,000円分(500円券×6枚)、プラチナ5,000円分(500円券×10枚)に分けられ、贈呈時期は、毎年1回、同社定時株主総会終了後の6月下旬に発送することになっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2025年3月期の業績動向
2025年3月期の業績は、売上高が39,931百万円(前期比9.1%増)、営業利益が2,631百万円(同33.8%増)、経常利益が2,789百万円(同33.7%増)、当期純利益が1,807百万円(同19.0%増)と好調に推移した。期初の業績予想と比較しても、売上高で2,931百万円、営業利益で821百万円、経常利益で859百万円、当期純利益で430百万円の超過達成となった。
日本経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加が内需を押し上げた一方で、世界的な政治・社会情勢の不確実性やインフレによる景気減速リスクは依然として大きく、先行きは不透明なまま推移した。このような環境において、同社は総合厨房機器メーカーとして、食中毒や異物混入問題といった「食の安全・安心」という基本的課題に向き合い、労働人口減少社会にも対応できる自動化・省力化を追求した製品の開発に注力した。また、多様な顧客ニーズに対応した厨房機器・厨房システムの提案を心がけることで、業績の向上に取り組んだ。
この結果、学校と外食の受注が好調に推移し、売上高は過去最高となった。利益面では、物価高騰の影響を受けつつも高収益の自社製品の販売比率が向上し、生産効率の改善効果もあって、売上総利益率が向上した。将来の成長に向けた試験研究費や教育訓練費の先行的投資により販管費は増加したが、増収効果により販管費率は横ばい圏に留まり、営業利益は大幅増加となった。期初の業績予想を上回ったのは、もともと保守的に予算を組む傾向があることに加え、学校、病院、外食向け売上高が想定以上に増加したこと、営業交渉で価格転嫁が想定以上に進んだこと、生産性の改善が進んだことが挙げられる。これにより、同社の経営体質に利益重視の姿勢が定着してきたと見られる。
セグメント別では、大半を占める業務用厨房機器製造販売事業が、売上高39,830百万円(前期比9.1%増)、セグメント利益2,579百万円(同34.7%増)と好調に推移した。このうち、主力の製品売上高が33,955百万円(同10.1%増)、売上総利益率が25.7%(同1.5ポイント改善)となった。学校と外食分野の受注が好調で、特に学校で価格転嫁が順調に進んだこと、さらに工納期が集中する夏休みと春休み期間に合わせた製造の平準化が進んだことが、原価率の改善につながった。この製造平準化は、長年の取り組みにより製造計画を前倒しできるようになった成果である。病院は前期好調の反動で売上高が減少したが、そのほかの分野は着実に増加した。
なお、業務用厨房機器の新製品は、市場投入から本格的に売上貢献するまで4~5年ほどを要するが、2023年に受注を開始した「ハカレコ」は、料理ごとの配缶量や残食量を効率的に計量・記録できる機能が評価され、学校給食などで早くも採用が進んでいる。
2026年3月期は前期の好業績の反動で営業減益を予想するも、保守的な印象
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期業績について、同社は売上高40,000百万円(前期比0.2%増)、営業利益2,000百万円(同24.0%減)、経常利益2,100百万円(同24.7%減)、当期純利益1,500百万円(同17.0%減)を見込んでいる。売上高は、納品まで長期間を要する大型案件の獲得が想定されているものの、景気に左右されやすい外食や、今後積み上げを積極化する消耗品、メンテナンス、「ハカレコ」の寄与をある程度織り込み、横ばい圏での推移を予想している。営業利益の減益予想については、前期の収益性が極めて高かった反動であり、保守的な観点から営業利益率を例年並みで想定した結果である。しかし、弊社はこの予想はやや保守的と見ており、同社にとっては必達目標ということができるだろう。
日本経済は、米国における政治動向に注目が集まるなか、世界的な政治・社会情勢の不確実性やインフレによる景気減速リスクが依然として大きく、先行きは不透明なまま推移すると見られている。このような環境において、同社は、業績向上に向けた重点施策を推進する計画である。具体的には、省人化・効率化に対する研究開発、衛生的・省人化厨房機器の提案、群馬工場増築の検討、老朽化した大阪本社及び奈良工場移転の検討、環境配慮型省エネタイプ製品の開発、営業・生産・管理が一体となった販売力の強化である。特に、人手に頼らずに業務を効率化する研究開発に一段と注力し、近年注目が集まるフードテック※によるアプローチも取り入れて、衛生的で省人化された厨房システムの提案を積極的に行う方針である。加えて、国連が採択したサステナブルな社会を目指したSDGsの課題目標の達成にも貢献するため、環境にも配慮した省エネタイプの製品開発などにも注力するとしている。
※ AIなど最先端テクノロジーによって食の問題を解決し、食の可能性を広げる技術。
■株主還元策
2025年3月期の1株当たり配当金は前期比14.0円増の87.0円配を実施
1. 配当政策
同社は、株主への利益還元を重要な経営課題の1つと位置付ける一方、長期的に継続して業容を拡大し、企業体質の強化によって、安定的な経営基盤をつくりあげることも重視している。このため、財務状況、期間業績及び将来の事業展開などを加味しながら、配当性向30%をめどとした持続的な配当の継続に加え、そのほかの株主還元策の導入も検討している。内部留保金については、経営環境の変化に機能的に対応するための資金とするとともに、経営体質の一層の充実、今後の新技術の開発、設備投資などに活用する方針である。同社は株主総会の決議により年1回の剰余金の期末配当を行うことを基本方針としており、また、取締役会の決議により中間配当を行うことができる旨を定款に定めている。以上から、2025年3月期の1株当たり配当金を前期比14.0円増配して87.0円とした。2026年3月期については、引き続き配当性向を重視して1株当たり配当金72.0円を予定している。業績が上方修正された場合、2025年3月期のように期中増配の可能性もあると考えられる。
2. 株主優待制度
同社は株主優待制度を採用している。毎年3月31日を「基準日」として、「基準日」現在の同社株主名簿に同一株主番号で記載のある株主を対象に、保有株式数と保有期間に応じた優待クラスに準じて、全国のマクドナルド店舗で利用可能な同社オリジナルデザインの「マックカード」を贈呈している。優待クラスは、ブロンズ1,000円分(500円券×2枚)、シルバー2,000円分(500円券×4枚)、ゴールド3,000円分(500円券×6枚)、プラチナ5,000円分(500円券×10枚)に分けられ、贈呈時期は、毎年1回、同社定時株主総会終了後の6月下旬に発送することになっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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