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ユニリタ Research Memo(4):2025年3月期はクラウドサービスの新規獲得が伸び悩み、減収減益(1)
配信日時:2025/07/02 13:04
配信元:FISCO
*13:04JST ユニリタ Research Memo(4):2025年3月期はクラウドサービスの新規獲得が伸び悩み、減収減益(1)
■決算動向
1. 2025年3月期決算の概要
ユニリタ<3800>の2025年3月期の業績は、売上高は前期比2.5%減の11,687百万円、営業利益は同17.8%減の840百万円、経常利益は同14.0%減の1,001百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同12.1%減の716百万円と、期初予想を下回る減収減益となった。
売上高は、旺盛なマイグレーション需要を捉えた自動化事業の伸長などにより「プロダクトサービス」が好調に推移したものの、「クラウドサービス」における新規受注の遅れやSI事業の「プロフェッショナルサービス」のSI事業における既存パートナーからの受注減により減収となった。時系列で見れば、クラウドサービスを中心とする上期の進捗遅れを下期での巻き返しでカバーしきれなかった格好だ。
損益面でも、減収による収益の下押しに加え、「クラウドサービス」における原価率アップや生成AI活用などの研究開発費の増加、社会課題やデータサイエンス分野への積極投資などにより減益となった。営業利益率も7.2%(前期は8.5%)に低下した。
財政状態については特筆すべき動きはなく、総資産は前期末比2.5%減の15,366百万円に縮小した。一方、自己資本は同2.1%増の11,971百万円に増加したことから、自己資本比率は77.9%(前期末は74.4%)に改善した。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) プロダクトサービス
売上高は前期比1.7%増の4,468百万円、セグメント利益は同5.0%増の1,286百万円と増収増益となった。売上高は、自動化事業が「2025年の崖」問題※1に伴うマイグレーション需要※2を捉え、主力商品「A-AUTO」などが大きく伸長し、過去最高件数を受注した。帳票事業も「まるっと帳票クラウドサービス」がDX推進や業務効率化を進める企業ニーズに対応して順調に伸びている。また、市場が縮小傾向にあるメインフレーム事業についても、メインフレームベンダーの市場撤退に伴う新規顧客獲得などにより大きく上振れた。さらに残存者利益を獲得するため、メインフレーム領域の技術及び人材面を補完するパートナーとの協業も開始した。損益面では、クラウド基盤の仕入原価高騰による影響を受けたものの、利益率の高いメインフレーム事業の上振れを中心とする増収による収益の押し上げにより、増益を実現することができた。セグメント利益率も28.8%(前期は27.9%)と高水準がさらに高まった。
※1 経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」と呼ばれる資料の中で使用された用語。本レポートでは、日本国内の企業が市場で勝ち抜くためにはDXの推進が必要不可欠であり、DXを推進しなければ業務効率・競争力の低下は避けられないとしており、競争力が低下した場合の想定として、2025年から年間で現在の約3倍、約12兆円もの経済損失が発生すると予測されており、これを「2025年の崖」と表現している。
※2 システムやハードウェア、ソフトウェア、データなどを現在とは別の環境やプラットフォーム、バージョンに移行すること。富士通のメインフレーム撤退によるレガシーマイグレーションなども含む。
(2) クラウドサービス
売上高は前期比1.4%増の3,693百万円、セグメント損失は412百万円(前期は99百万円の損失)と微増収ながら損失幅が拡大した。売上高は、IT活用クラウドが2,468百万円となった。サービスシフトと品質向上の両立を目指す企業からのサービスマネジメント導入ニーズが拡大するなかで、主力商品「LMIS」は同7.1%増と順調に拡大した。一方、データマネジメント案件及び情報セキュリティを含むID管理及びSSO案件などへの引き合い増を受けて、「Waha! Transformer」(データ加工・連携クラウドサービス)や「infoScoop×Digital Workforce」(リモートワーク推進サービス)の提案件数は増加傾向にあるものの、新規獲得の伸び悩みや大型案件の失注などにより伸び悩み、下振れ要因となった。事業推進クラウドは1,248百万円となった。リモートワークから出社勤務に戻す企業の増加やパートナーとの協業により「らくらくBOSS」(通勤費管理サービス)が伸びた。一方、「DigiSheet」及び「The Staff-V」(人材派遣業向け人事管理サービス)は景気回復に伴う人材派遣業界の活況により案件は増加傾向にあるものの、受注プロセスに課題を残し想定よりも伸び悩んだ。「Growwwing」(カスタマーサクセスの立ち上げと成長支援サービス)はコンサルティングを含めた案件の引き合いが増えているようだ。ソーシャルクラウドは257百万円となった。地方自治体において公共交通の課題解決に向けた取り組みが本格化するなか、現状把握のためのデータ収集と分析等を支援する持続的社会の構築を支援するデジタル基盤「Community MaaS」の引き合いが増加しているものの、2025年3月期中には成約には至らなかった。一方、当サービス全体の損益は、減収による収益の下押しに加え、サービス提供体制増強にかかるコスト増などにより損失幅が拡大した。
(3) プロフェッショナルサービス
売上高は前期比10.6%減の3,525百万円、セグメント利益は同17.9%減の303百万円と減収減益となった。売上高は、コンサルティング事業が同4.0%増の1,039百万円となった。企業のデータドリブン経営への取り組みやITベンダー各社におけるシステム運用ビジネス拡大などを背景に、データマネジメント・サービスマネジメント領域ともに好調に推移した。SI事業は同20.7%減の1,932百万円となった。大口パートナーからの受注減少及び一括請負案件の減少が響いた。しかしながら、メジャークラウドに精通した技術者育成などにより高付加価値領域のシフトを進め、収益性は改善傾向にあるようだ。アウトソーシング事業は同9.3%増の555百万円となった。DX投資を背景としたシステム運用のアウトソーシング需要が拡大した。損益面では、SI事業の落ち込みのほか、技術者育成にかかる費用やデータサイエンス分野への積極投資により大幅な減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<HN>
1. 2025年3月期決算の概要
ユニリタ<3800>の2025年3月期の業績は、売上高は前期比2.5%減の11,687百万円、営業利益は同17.8%減の840百万円、経常利益は同14.0%減の1,001百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同12.1%減の716百万円と、期初予想を下回る減収減益となった。
売上高は、旺盛なマイグレーション需要を捉えた自動化事業の伸長などにより「プロダクトサービス」が好調に推移したものの、「クラウドサービス」における新規受注の遅れやSI事業の「プロフェッショナルサービス」のSI事業における既存パートナーからの受注減により減収となった。時系列で見れば、クラウドサービスを中心とする上期の進捗遅れを下期での巻き返しでカバーしきれなかった格好だ。
損益面でも、減収による収益の下押しに加え、「クラウドサービス」における原価率アップや生成AI活用などの研究開発費の増加、社会課題やデータサイエンス分野への積極投資などにより減益となった。営業利益率も7.2%(前期は8.5%)に低下した。
財政状態については特筆すべき動きはなく、総資産は前期末比2.5%減の15,366百万円に縮小した。一方、自己資本は同2.1%増の11,971百万円に増加したことから、自己資本比率は77.9%(前期末は74.4%)に改善した。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) プロダクトサービス
売上高は前期比1.7%増の4,468百万円、セグメント利益は同5.0%増の1,286百万円と増収増益となった。売上高は、自動化事業が「2025年の崖」問題※1に伴うマイグレーション需要※2を捉え、主力商品「A-AUTO」などが大きく伸長し、過去最高件数を受注した。帳票事業も「まるっと帳票クラウドサービス」がDX推進や業務効率化を進める企業ニーズに対応して順調に伸びている。また、市場が縮小傾向にあるメインフレーム事業についても、メインフレームベンダーの市場撤退に伴う新規顧客獲得などにより大きく上振れた。さらに残存者利益を獲得するため、メインフレーム領域の技術及び人材面を補完するパートナーとの協業も開始した。損益面では、クラウド基盤の仕入原価高騰による影響を受けたものの、利益率の高いメインフレーム事業の上振れを中心とする増収による収益の押し上げにより、増益を実現することができた。セグメント利益率も28.8%(前期は27.9%)と高水準がさらに高まった。
※1 経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」と呼ばれる資料の中で使用された用語。本レポートでは、日本国内の企業が市場で勝ち抜くためにはDXの推進が必要不可欠であり、DXを推進しなければ業務効率・競争力の低下は避けられないとしており、競争力が低下した場合の想定として、2025年から年間で現在の約3倍、約12兆円もの経済損失が発生すると予測されており、これを「2025年の崖」と表現している。
※2 システムやハードウェア、ソフトウェア、データなどを現在とは別の環境やプラットフォーム、バージョンに移行すること。富士通のメインフレーム撤退によるレガシーマイグレーションなども含む。
(2) クラウドサービス
売上高は前期比1.4%増の3,693百万円、セグメント損失は412百万円(前期は99百万円の損失)と微増収ながら損失幅が拡大した。売上高は、IT活用クラウドが2,468百万円となった。サービスシフトと品質向上の両立を目指す企業からのサービスマネジメント導入ニーズが拡大するなかで、主力商品「LMIS」は同7.1%増と順調に拡大した。一方、データマネジメント案件及び情報セキュリティを含むID管理及びSSO案件などへの引き合い増を受けて、「Waha! Transformer」(データ加工・連携クラウドサービス)や「infoScoop×Digital Workforce」(リモートワーク推進サービス)の提案件数は増加傾向にあるものの、新規獲得の伸び悩みや大型案件の失注などにより伸び悩み、下振れ要因となった。事業推進クラウドは1,248百万円となった。リモートワークから出社勤務に戻す企業の増加やパートナーとの協業により「らくらくBOSS」(通勤費管理サービス)が伸びた。一方、「DigiSheet」及び「The Staff-V」(人材派遣業向け人事管理サービス)は景気回復に伴う人材派遣業界の活況により案件は増加傾向にあるものの、受注プロセスに課題を残し想定よりも伸び悩んだ。「Growwwing」(カスタマーサクセスの立ち上げと成長支援サービス)はコンサルティングを含めた案件の引き合いが増えているようだ。ソーシャルクラウドは257百万円となった。地方自治体において公共交通の課題解決に向けた取り組みが本格化するなか、現状把握のためのデータ収集と分析等を支援する持続的社会の構築を支援するデジタル基盤「Community MaaS」の引き合いが増加しているものの、2025年3月期中には成約には至らなかった。一方、当サービス全体の損益は、減収による収益の下押しに加え、サービス提供体制増強にかかるコスト増などにより損失幅が拡大した。
(3) プロフェッショナルサービス
売上高は前期比10.6%減の3,525百万円、セグメント利益は同17.9%減の303百万円と減収減益となった。売上高は、コンサルティング事業が同4.0%増の1,039百万円となった。企業のデータドリブン経営への取り組みやITベンダー各社におけるシステム運用ビジネス拡大などを背景に、データマネジメント・サービスマネジメント領域ともに好調に推移した。SI事業は同20.7%減の1,932百万円となった。大口パートナーからの受注減少及び一括請負案件の減少が響いた。しかしながら、メジャークラウドに精通した技術者育成などにより高付加価値領域のシフトを進め、収益性は改善傾向にあるようだ。アウトソーシング事業は同9.3%増の555百万円となった。DX投資を背景としたシステム運用のアウトソーシング需要が拡大した。損益面では、SI事業の落ち込みのほか、技術者育成にかかる費用やデータサイエンス分野への積極投資により大幅な減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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