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Jリース Research Memo(3):業界屈指の店舗網・人財を基盤に大手のほか中小不動産会社にも強み(1)
配信日時:2025/07/01 14:03
配信元:FISCO
*14:03JST Jリース Research Memo(3):業界屈指の店舗網・人財を基盤に大手のほか中小不動産会社にも強み(1)
■ジェイリース<7187>の事業概要
1. 賃料債務保証
賃料債務保証とは、住宅や店舗・事務所の賃貸において連帯保証人が果たしてきた役割を保証会社が担い、入居者・不動産会社・不動産オーナーの三者の契約関係を円滑に行うための仕組みである。入居者にとっては、連帯保証人を確保できなくても入居が可能なほか、万が一支払いの遅延をしても円滑な立替払いにより家主との関係を良好に維持できるメリットがある。また、事業用賃料保証においては、敷金を減額するなど賃借時の初期支出を抑えることができる。不動産オーナーにとっては、滞納発生時の賃料債務保証だけでなく、従来入居が困難だった人にも賃貸が可能になるため、空室率の低下が期待できる。さらに、不動産会社にとっても仲介料の増加や事務手数料収入が期待できるなど、賃料債務保証は三者がWin-Winの関係を維持できる点で、時代のニーズに合致したサービスと言える。
2. 賃料債務保証市場の概況
同社によると、住居用賃料保証市場の規模は2,300億円(2025年3月期)で市場の保証会社利用率は76%程度と推定される。賃貸借契約における賃料債務保証会社の利用率は、2010年に約39%(国土交通省)であったことから、過去10数年で大幅に上昇したことがわかる。その要因は、2020年4月に施行された改正民法(債権法)である。この改正により連帯保証人が保証する金額の極度額(上限)が設定されたため、連帯保証の担保価値が低下することになった。また、近年では新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機に賃料滞納に対する危機感が高まり、結果として賃料債務保証会社の利用を必須とする不動産オーナーが増加したことも挙げられる。現在では、住居用賃貸物件における賃料債務保証の利用は一般化し、保証会社を利用しない契約が少ないのが実態だ。現在、顕在化している事業用賃料保証市場は350億円(同)と相対的に小さいが、保証会社の利用率は未だ23%程度であることから、今後の高い成長性が期待できる。同社は、200社超が競合する住居用賃料保証市場で4.0%のシェア、20社程度が競合する事業用賃料保証市場で10.5%のシェアを有する大手企業の一角であり、高度なノウハウを有しながら両市場で事業展開している点が特長である。
3. 同社ビジネスモデルの特長・強み
同社のビジネスモデルは、店舗と人で都市部を中心に面展開し、顧客のニーズに徹底的に応えることで信頼を勝ち取るとともに、保証審査では独自データを活用し厳格にリスクを管理する“地域密着+リスク管理徹底ビジネスモデル”である。具体的な特長・強みとしては、以下の6点が挙げられる。
(1) 業界No.1の店舗網
(2) 地域密着による細やかな対応
(3) 多様なアライアンス先との共創から生み出される充実したサービス
(4) 専門性と対応力を備えた営業人財の継続的な育成
(5) AI分析を活用した精度の高い与信審査と高い債権回収力
(6) 東証プライム上場、創業来20年以上にわたり培った実績と高い信用力
(1) 業界No.1の店舗網
2025年3月末時点で全国40店舗を展開しており、店舗を介した地域密着が同社の強みである。地域別では、地元の九州・沖縄で10店舗、近畿・中四国で10店舗、東海・北陸で5店舗、関東甲信越で11店舗、東北・北海道で4店舗を展開している。従業員数は508人(連結、2025年3月期末)が所属している。同社の店舗数とスタッフ数の多さは、同業他社と比較すると明確である。同業A社は17店舗・290人、同業B社は8店舗・177人、同業C社は11店舗・152人、同業D社は19店舗・608人でそれぞれ全国をカバーしており、同社の店舗網の緻密さは顕著である。一方で、1店舗当たり売上高、従業員1人当たりの売上高は他社に比べ低くなっている。
(2) 地域密着による細やかな対応
地域密着による細やかな対応は同社の基本方針であり、強みである。利用者のニーズに応じて、一括払い、年払い、月払いなど多様な保証料の支払い形態をそろえているが、これらをすべてそろえる同業他社は少ない。また、不動産会社からのリクエストによるカスタマイズにも積極的に対応し、個々の不動産会社から信頼を得ている。代位弁済に関しては、賃料の収納代行サービスも行っており、このサービスを利用する会社には賃料の滞納の有無にかかわらず賃料全額が入金される。個別の代位弁済請求時の支払日は同社の「3営業日後」に対して、同業他社では「月末」「月2回」「退去精算後」などが多く、同社の迅速な対応は際立っている。また業界最大の店舗数を持っていることで、代位弁済発生後に連絡が取れない場合には賃借人宛の訪問も行っている。これにより、例えば高齢者の孤独死の早期発見につながり大家から感謝されるケースも少なくないという。このような地域密着のきめ細やかな対応が評判と信頼へとつながっている。
(3) 多様なアライアンス先との共創から生み出される充実したサービス
賃料債務保証会社は、不動産の賃貸業務を行う不動産会社とあらかじめ契約(協定)を行う。同社との協定先は中小の不動産会社も多く、28千件という非常に多くの協定件数を持っている。全国の店舗と営業人員で地域に密着した業務を行うことにより、一貫して協定件数を増やしてきた。協定件数の増加に伴い、保証の申込件数も増加し、それにより新規の保証契約も増えている。
同社が保証関連事業を拡大するうえで強みとしていることは、多様なアライアンス先との共創から生み出される充実したサービスだ。顧客獲得時には大手不動産協会との連携が有効となる。申込時にはオンライン入居申込サービスを取り扱う各社との情報連携が利便性やスピードを高める。保証審査時には、AI分析に基づく高度な与信審査モデルを外部の専門性を活用し構築している。賃貸借契約時には電子契約が増えてきており、保証委託契約も含めた連携が求められる。入金決済時にはクレジットカード決済会社、保険契約には保険各社、入居者サポート時には付帯サービス提供会社、それぞれとの連携がカギとなる。これらの連携先との信頼関係は一朝一夕には形成できないものであり、同社が形成するエコシステムは同社の成長力と差別化につながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 賃料債務保証
賃料債務保証とは、住宅や店舗・事務所の賃貸において連帯保証人が果たしてきた役割を保証会社が担い、入居者・不動産会社・不動産オーナーの三者の契約関係を円滑に行うための仕組みである。入居者にとっては、連帯保証人を確保できなくても入居が可能なほか、万が一支払いの遅延をしても円滑な立替払いにより家主との関係を良好に維持できるメリットがある。また、事業用賃料保証においては、敷金を減額するなど賃借時の初期支出を抑えることができる。不動産オーナーにとっては、滞納発生時の賃料債務保証だけでなく、従来入居が困難だった人にも賃貸が可能になるため、空室率の低下が期待できる。さらに、不動産会社にとっても仲介料の増加や事務手数料収入が期待できるなど、賃料債務保証は三者がWin-Winの関係を維持できる点で、時代のニーズに合致したサービスと言える。
2. 賃料債務保証市場の概況
同社によると、住居用賃料保証市場の規模は2,300億円(2025年3月期)で市場の保証会社利用率は76%程度と推定される。賃貸借契約における賃料債務保証会社の利用率は、2010年に約39%(国土交通省)であったことから、過去10数年で大幅に上昇したことがわかる。その要因は、2020年4月に施行された改正民法(債権法)である。この改正により連帯保証人が保証する金額の極度額(上限)が設定されたため、連帯保証の担保価値が低下することになった。また、近年では新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機に賃料滞納に対する危機感が高まり、結果として賃料債務保証会社の利用を必須とする不動産オーナーが増加したことも挙げられる。現在では、住居用賃貸物件における賃料債務保証の利用は一般化し、保証会社を利用しない契約が少ないのが実態だ。現在、顕在化している事業用賃料保証市場は350億円(同)と相対的に小さいが、保証会社の利用率は未だ23%程度であることから、今後の高い成長性が期待できる。同社は、200社超が競合する住居用賃料保証市場で4.0%のシェア、20社程度が競合する事業用賃料保証市場で10.5%のシェアを有する大手企業の一角であり、高度なノウハウを有しながら両市場で事業展開している点が特長である。
3. 同社ビジネスモデルの特長・強み
同社のビジネスモデルは、店舗と人で都市部を中心に面展開し、顧客のニーズに徹底的に応えることで信頼を勝ち取るとともに、保証審査では独自データを活用し厳格にリスクを管理する“地域密着+リスク管理徹底ビジネスモデル”である。具体的な特長・強みとしては、以下の6点が挙げられる。
(1) 業界No.1の店舗網
(2) 地域密着による細やかな対応
(3) 多様なアライアンス先との共創から生み出される充実したサービス
(4) 専門性と対応力を備えた営業人財の継続的な育成
(5) AI分析を活用した精度の高い与信審査と高い債権回収力
(6) 東証プライム上場、創業来20年以上にわたり培った実績と高い信用力
(1) 業界No.1の店舗網
2025年3月末時点で全国40店舗を展開しており、店舗を介した地域密着が同社の強みである。地域別では、地元の九州・沖縄で10店舗、近畿・中四国で10店舗、東海・北陸で5店舗、関東甲信越で11店舗、東北・北海道で4店舗を展開している。従業員数は508人(連結、2025年3月期末)が所属している。同社の店舗数とスタッフ数の多さは、同業他社と比較すると明確である。同業A社は17店舗・290人、同業B社は8店舗・177人、同業C社は11店舗・152人、同業D社は19店舗・608人でそれぞれ全国をカバーしており、同社の店舗網の緻密さは顕著である。一方で、1店舗当たり売上高、従業員1人当たりの売上高は他社に比べ低くなっている。
(2) 地域密着による細やかな対応
地域密着による細やかな対応は同社の基本方針であり、強みである。利用者のニーズに応じて、一括払い、年払い、月払いなど多様な保証料の支払い形態をそろえているが、これらをすべてそろえる同業他社は少ない。また、不動産会社からのリクエストによるカスタマイズにも積極的に対応し、個々の不動産会社から信頼を得ている。代位弁済に関しては、賃料の収納代行サービスも行っており、このサービスを利用する会社には賃料の滞納の有無にかかわらず賃料全額が入金される。個別の代位弁済請求時の支払日は同社の「3営業日後」に対して、同業他社では「月末」「月2回」「退去精算後」などが多く、同社の迅速な対応は際立っている。また業界最大の店舗数を持っていることで、代位弁済発生後に連絡が取れない場合には賃借人宛の訪問も行っている。これにより、例えば高齢者の孤独死の早期発見につながり大家から感謝されるケースも少なくないという。このような地域密着のきめ細やかな対応が評判と信頼へとつながっている。
(3) 多様なアライアンス先との共創から生み出される充実したサービス
賃料債務保証会社は、不動産の賃貸業務を行う不動産会社とあらかじめ契約(協定)を行う。同社との協定先は中小の不動産会社も多く、28千件という非常に多くの協定件数を持っている。全国の店舗と営業人員で地域に密着した業務を行うことにより、一貫して協定件数を増やしてきた。協定件数の増加に伴い、保証の申込件数も増加し、それにより新規の保証契約も増えている。
同社が保証関連事業を拡大するうえで強みとしていることは、多様なアライアンス先との共創から生み出される充実したサービスだ。顧客獲得時には大手不動産協会との連携が有効となる。申込時にはオンライン入居申込サービスを取り扱う各社との情報連携が利便性やスピードを高める。保証審査時には、AI分析に基づく高度な与信審査モデルを外部の専門性を活用し構築している。賃貸借契約時には電子契約が増えてきており、保証委託契約も含めた連携が求められる。入金決済時にはクレジットカード決済会社、保険契約には保険各社、入居者サポート時には付帯サービス提供会社、それぞれとの連携がカギとなる。これらの連携先との信頼関係は一朝一夕には形成できないものであり、同社が形成するエコシステムは同社の成長力と差別化につながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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