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兵機海運 Research Memo(8):既存事業の深化と新たな収益源の創出により、企業価値の持続的な向上を目指す
配信日時:2025/06/09 12:08
配信元:FISCO
*12:08JST 兵機海運 Research Memo(8):既存事業の深化と新たな収益源の創出により、企業価値の持続的な向上を目指す
■兵機海運<9362>の今後の見通し
2. 中長期の成長戦略
同社は2025年4月30日に、長期経営ビジョン「VISION for 2035」と、それを実現するための中期経営計画「Road to 2027」を発表した。長期経営ビジョンは、創業100周年を迎える2042年に向けた成長戦略の中間地点として、2035年をターゲットイヤーに設定し、同社が物流“ソリューション”企業として新たなステージへ進化することを掲げている。
同社は長期経営ビジョンで、2035年までの3つの目標を掲げている。第1に、売上高20,000百万円、営業利益1,000百万円の達成である。2025年3月期実績は売上高13,726百万円、営業利益548百万円であり、営業利益は2025年3月期対比で1.8倍に拡大することを目標としている。第2に、新領域への事業進出である。従来の海運・港湾運送・倉庫といった枠組みを越え、より付加価値の高いサービス領域への展開を図る。第3に、全従業員が経営参画の意識を持ち、自律的に行動することができる「人財」を中核とした組織への変革を目指す。この人材戦略は、同社の持続的成長を支える組織基盤の強化に直結するものである。
これら長期的挑戦の土台作りとして策定されたのが、2027年度を最終年度とする中期経営計画「Road to 2027」である。同計画では「“シン総合物流企業”への進化と真価」をスローガンに掲げ、従来の物流機能の枠を超えた、柔軟かつ統合的な物流ソリューション体制の構築を目指している。2028年3月期の定量目標は、売上高15,000百万円、営業利益680百万円、経常利益690百万円、当期純利益480百万円であり、全体の戦略方針は3段階のステップで構成されている。
第1ステップとなる2026年3月期では、各部門が持つ強みを連携させることにより、顧客に対してワンストップでシームレスな物流サービスを提供する体制の構築を図る。部門間の情報連携とナレッジ共有の強化により、社内オペレーションの一体化と業務効率の向上を目指す。続く第2ステップである2027年3月期には、顧客別・案件別・品目別の収益管理体制の整備とデータの蓄積を進め、高収益体制の基盤を構築する。併せて、業務プロセスの見直しによって無駄を排除し、コスト削減及び生産性の向上を図るとともに、高付加価値なサービスの開発・提供により収益力の強化を目指す。最終ステップとなる2028年3月期には、独立系中堅企業としての柔軟性を生かし、物流コンサルティング、在庫管理、流通加工などの高付加価値サービスを拡充することにより、“シン総合物流企業”への進化を遂げることを目指す。また、顧客を起点とした全社横断型の提案型営業体制を確立し、既存顧客との取引の最大化及び関係深耕を図る。
同社が掲げた長期経営ビジョン及び中期経営計画は、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、持続的な収益成長と企業価値向上を実現するための戦略的枠組みとして評価される。特に、収益管理の高度化、人材育成、サービスの高付加価値化などの観点において、より強固な競争優位性の確立が期待される。
事業戦略は主に基盤拡大、事業成長戦略、事業基盤戦略の3点から構成されており、それぞれ実行計画が設定されている。基盤拡大においては、大和工業との資本業務提携※を通じた輸送体制の強化と業務効率化を推進する。大和工業の子会社であるヤマトスチール(株)向けの船舶運航を安定させると同時に、物流全体を包括的に請け負う体制の構築を目指す。事業の成長加速を狙う事業成長戦略では、内航船舶の増強と船員確保を進め、輸送キャパシティの増大を図る。また、ISOタンク貯蔵施設を含む倉庫設備の拡充など、継続的な設備投資を通じて業務の効率化とサービスの品質向上に取り組んでいく。加えて、新たな荷主の開拓により営業収益の拡大を図るなど、事業領域の広がりを意識した戦略も推進する。事業基盤戦略においては、部門間の連携を強化し、提案型営業の体制構築により営業力そのものの底上げを目指す。また、適正利潤の確保と高収益商材への注力により、収益性と生産性の双方を高める方針も打ち出しており、安定した利益体質への転換を図る。
※ なお、同社は2025年1月31日付で、主要取引先である大和工業と資本業務提携契約を締結した。大和工業が同社の普通株式を議決権比率が20%に達するまで取得する予定としているが、本件後も同社の経営の独立性は保たれるものである。
総じて、同社は既存顧客との関係強化と新市場の開拓を両輪とし、安定と成長のバランスを意識した戦略を推進している。中長期的には、物流及び輸送インフラの信頼性向上と差別化されたサービス展開を通じて、収益構造の強化を図る姿勢が明確である。既存事業の深化と新たな収益源の創出の両輪により、企業価値の持続的な向上が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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2. 中長期の成長戦略
同社は2025年4月30日に、長期経営ビジョン「VISION for 2035」と、それを実現するための中期経営計画「Road to 2027」を発表した。長期経営ビジョンは、創業100周年を迎える2042年に向けた成長戦略の中間地点として、2035年をターゲットイヤーに設定し、同社が物流“ソリューション”企業として新たなステージへ進化することを掲げている。
同社は長期経営ビジョンで、2035年までの3つの目標を掲げている。第1に、売上高20,000百万円、営業利益1,000百万円の達成である。2025年3月期実績は売上高13,726百万円、営業利益548百万円であり、営業利益は2025年3月期対比で1.8倍に拡大することを目標としている。第2に、新領域への事業進出である。従来の海運・港湾運送・倉庫といった枠組みを越え、より付加価値の高いサービス領域への展開を図る。第3に、全従業員が経営参画の意識を持ち、自律的に行動することができる「人財」を中核とした組織への変革を目指す。この人材戦略は、同社の持続的成長を支える組織基盤の強化に直結するものである。
これら長期的挑戦の土台作りとして策定されたのが、2027年度を最終年度とする中期経営計画「Road to 2027」である。同計画では「“シン総合物流企業”への進化と真価」をスローガンに掲げ、従来の物流機能の枠を超えた、柔軟かつ統合的な物流ソリューション体制の構築を目指している。2028年3月期の定量目標は、売上高15,000百万円、営業利益680百万円、経常利益690百万円、当期純利益480百万円であり、全体の戦略方針は3段階のステップで構成されている。
第1ステップとなる2026年3月期では、各部門が持つ強みを連携させることにより、顧客に対してワンストップでシームレスな物流サービスを提供する体制の構築を図る。部門間の情報連携とナレッジ共有の強化により、社内オペレーションの一体化と業務効率の向上を目指す。続く第2ステップである2027年3月期には、顧客別・案件別・品目別の収益管理体制の整備とデータの蓄積を進め、高収益体制の基盤を構築する。併せて、業務プロセスの見直しによって無駄を排除し、コスト削減及び生産性の向上を図るとともに、高付加価値なサービスの開発・提供により収益力の強化を目指す。最終ステップとなる2028年3月期には、独立系中堅企業としての柔軟性を生かし、物流コンサルティング、在庫管理、流通加工などの高付加価値サービスを拡充することにより、“シン総合物流企業”への進化を遂げることを目指す。また、顧客を起点とした全社横断型の提案型営業体制を確立し、既存顧客との取引の最大化及び関係深耕を図る。
同社が掲げた長期経営ビジョン及び中期経営計画は、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、持続的な収益成長と企業価値向上を実現するための戦略的枠組みとして評価される。特に、収益管理の高度化、人材育成、サービスの高付加価値化などの観点において、より強固な競争優位性の確立が期待される。
事業戦略は主に基盤拡大、事業成長戦略、事業基盤戦略の3点から構成されており、それぞれ実行計画が設定されている。基盤拡大においては、大和工業との資本業務提携※を通じた輸送体制の強化と業務効率化を推進する。大和工業の子会社であるヤマトスチール(株)向けの船舶運航を安定させると同時に、物流全体を包括的に請け負う体制の構築を目指す。事業の成長加速を狙う事業成長戦略では、内航船舶の増強と船員確保を進め、輸送キャパシティの増大を図る。また、ISOタンク貯蔵施設を含む倉庫設備の拡充など、継続的な設備投資を通じて業務の効率化とサービスの品質向上に取り組んでいく。加えて、新たな荷主の開拓により営業収益の拡大を図るなど、事業領域の広がりを意識した戦略も推進する。事業基盤戦略においては、部門間の連携を強化し、提案型営業の体制構築により営業力そのものの底上げを目指す。また、適正利潤の確保と高収益商材への注力により、収益性と生産性の双方を高める方針も打ち出しており、安定した利益体質への転換を図る。
※ なお、同社は2025年1月31日付で、主要取引先である大和工業と資本業務提携契約を締結した。大和工業が同社の普通株式を議決権比率が20%に達するまで取得する予定としているが、本件後も同社の経営の独立性は保たれるものである。
総じて、同社は既存顧客との関係強化と新市場の開拓を両輪とし、安定と成長のバランスを意識した戦略を推進している。中長期的には、物流及び輸送インフラの信頼性向上と差別化されたサービス展開を通じて、収益構造の強化を図る姿勢が明確である。既存事業の深化と新たな収益源の創出の両輪により、企業価値の持続的な向上が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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