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ファンペップ Research Memo(1):皮膚潰瘍治療薬と花粉症ワクチンの臨床試験が2025年にスタート
配信日時:2025/03/28 16:11
配信元:FISCO
*16:11JST ファンペップ Research Memo(1):皮膚潰瘍治療薬と花粉症ワクチンの臨床試験が2025年にスタート
■要約
ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果を実用化する目的で、2013年に設立されたバイオベンチャーである。独自開発した機能性ペプチドをベースとした抗体誘導ペプチド技術により、高額な抗体医薬品の代替となる医薬品の開発に取り組んでいる。また、2022年10月にアンチエイジングペプタイド(株)(現 (株)ファンペップへルスケア)を子会社化し、化粧品向けなど医薬以外の事業分野の育成にも取り組んでいる。
1. 皮膚潰瘍治療薬「SR-0379」は追加の第3相臨床試験を開始
皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍)を適応症とする機能性ペプチド「SR-0379」の追加第3相臨床試験が2024年12月より開始され、2025年3月に1例目の組み入れが始まっている。主要評価項目は外科的処置(縫合、植皮、局所皮弁)までの日数とし、プラセボを対照とした二重盲検比較試験となる。前回実施した第3相臨床試験で有効性が確認された特定患者(潰瘍サイズで36cm2未満)を対象に142例実施する。順調に進めば2027年前半までには結果が判明する見通しで、有効性が再現できれば承認申請を行い2028年にも上市される見通しだ。国内の対象患者数は約100万人だが、高齢化社会の進展に伴い患者数の増加が見込まれている。「SR-0379」を使用することで早期の外科的処置が可能となり、患者のQOL(Quality of life)向上に貢献する治療薬として期待される。売上ポテンシャルとしては国内で数十億円規模になると試算され、ライセンス契約先の塩野義製薬<4507>からロイヤリティ収入を得ることになる。
2. 花粉症ワクチン「FPP004X」は2025年12月期第1四半期より第1相臨床試験を開始
花粉症ワクチンとして開発を進めている「FPP004X」は、2025年12月期第1四半期より国内で第1相臨床試験を開始している。主に安全性と忍容性を確認する試験となる。2026年内にも結果が判明する見通しだ。明確に良好な結果が出た場合は、2024年にオプション契約を締結した塩野義製薬とライセンス本契約を締結し※、その後の開発を進めることになりそうだ。なお、塩野義製薬とはワクチンの効果を高めるためのアジュバントの共同研究も2024年10月より開始しており、有効なアジュバントが開発されれば「FPP004X」にも活用する可能性がある。開発に成功すれば国内だけで数百億円のポテンシャルが期待できるだけに今後の動向が注目される。
※ オプション契約の一時金が3億円、オプション権を行使した場合はライセンス契約一時金及び開発・販売の進捗に応じたマイルストーンとして最大178億円、さらに販売額に応じたロイヤリティを獲得する。
3. 2025年内に1品目をパイプラインに追加し、前臨床試験を開始予定
そのほか、2025年は新たに1品目をパイプラインに追加し、前臨床試験を開始する予定にしている。候補としては片頭痛または脂質異常症を対象とした抗体誘導ペプチドとなる。脂質異常症は、現在共同研究を進めている熊本大学で良好なデータが得られている。脂質異常症のうち、家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)は患者数が少なくオーファンドラッグの対象となる。また、国内で強直性脊椎炎を対象とした「FPP003」に関する医師主導の第2a相臨床試験が進められており、2025年内にも結果は判明する見込みとなっている。「FPP003」は北米でのオプション契約を住友ファーマ<4506>と締結しており、今回の試験結果の内容によって本ライセンス契約に移行するか方針を決定する可能性があり、その動向も注目される。
4. 業績動向
2024年12月期の連結業績は、事業収益で6百万円(前期は0.5百万円)、営業損失で901百万円(同994百万円の損失)となった。事業収益は化粧品向け機能性ペプチドの売上を計上した。費用面では、研究開発費が同140百万円減少し、その他の販管費が前期比52百万円増加した。2025年12月期の業績計画は非開示だが、「SR-0379」及び「FPP004X」の臨床試験費用や新規開発化合物の探索研究費を中心に、研究開発費は同859百万円増の1,400百万円を見込み、販管費は同16百万円減の350百万円、費用合計では同1,750百万円を見込んでいる。事業収益は製薬会社からの提携収入等が発生する可能性がある。当面の事業活動資金は手元の現金及び預金2,346百万円(2024年12月期末時点)と、2025年2月に発行決議した第三者割当新株予約権(800万株相当、下限行使価額75円)の行使により、賄うことにしている。
■Key Points
・皮膚潰瘍向け治療薬の追加試験の結果は2026年末から2027年初に判明する見込み
・花粉症ワクチンは2025年に第1相臨床試験開始、2026年に結果を発表
・AI技術や次世代製剤技術等を持つ先進企業との協業で研究開発を促進
・抗体誘導ペプチドの開発対象である抗体医薬品の世界市場規模は主要製品だけでも500億米ドル以上
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果を実用化する目的で、2013年に設立されたバイオベンチャーである。独自開発した機能性ペプチドをベースとした抗体誘導ペプチド技術により、高額な抗体医薬品の代替となる医薬品の開発に取り組んでいる。また、2022年10月にアンチエイジングペプタイド(株)(現 (株)ファンペップへルスケア)を子会社化し、化粧品向けなど医薬以外の事業分野の育成にも取り組んでいる。
1. 皮膚潰瘍治療薬「SR-0379」は追加の第3相臨床試験を開始
皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍)を適応症とする機能性ペプチド「SR-0379」の追加第3相臨床試験が2024年12月より開始され、2025年3月に1例目の組み入れが始まっている。主要評価項目は外科的処置(縫合、植皮、局所皮弁)までの日数とし、プラセボを対照とした二重盲検比較試験となる。前回実施した第3相臨床試験で有効性が確認された特定患者(潰瘍サイズで36cm2未満)を対象に142例実施する。順調に進めば2027年前半までには結果が判明する見通しで、有効性が再現できれば承認申請を行い2028年にも上市される見通しだ。国内の対象患者数は約100万人だが、高齢化社会の進展に伴い患者数の増加が見込まれている。「SR-0379」を使用することで早期の外科的処置が可能となり、患者のQOL(Quality of life)向上に貢献する治療薬として期待される。売上ポテンシャルとしては国内で数十億円規模になると試算され、ライセンス契約先の塩野義製薬<4507>からロイヤリティ収入を得ることになる。
2. 花粉症ワクチン「FPP004X」は2025年12月期第1四半期より第1相臨床試験を開始
花粉症ワクチンとして開発を進めている「FPP004X」は、2025年12月期第1四半期より国内で第1相臨床試験を開始している。主に安全性と忍容性を確認する試験となる。2026年内にも結果が判明する見通しだ。明確に良好な結果が出た場合は、2024年にオプション契約を締結した塩野義製薬とライセンス本契約を締結し※、その後の開発を進めることになりそうだ。なお、塩野義製薬とはワクチンの効果を高めるためのアジュバントの共同研究も2024年10月より開始しており、有効なアジュバントが開発されれば「FPP004X」にも活用する可能性がある。開発に成功すれば国内だけで数百億円のポテンシャルが期待できるだけに今後の動向が注目される。
※ オプション契約の一時金が3億円、オプション権を行使した場合はライセンス契約一時金及び開発・販売の進捗に応じたマイルストーンとして最大178億円、さらに販売額に応じたロイヤリティを獲得する。
3. 2025年内に1品目をパイプラインに追加し、前臨床試験を開始予定
そのほか、2025年は新たに1品目をパイプラインに追加し、前臨床試験を開始する予定にしている。候補としては片頭痛または脂質異常症を対象とした抗体誘導ペプチドとなる。脂質異常症は、現在共同研究を進めている熊本大学で良好なデータが得られている。脂質異常症のうち、家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)は患者数が少なくオーファンドラッグの対象となる。また、国内で強直性脊椎炎を対象とした「FPP003」に関する医師主導の第2a相臨床試験が進められており、2025年内にも結果は判明する見込みとなっている。「FPP003」は北米でのオプション契約を住友ファーマ<4506>と締結しており、今回の試験結果の内容によって本ライセンス契約に移行するか方針を決定する可能性があり、その動向も注目される。
4. 業績動向
2024年12月期の連結業績は、事業収益で6百万円(前期は0.5百万円)、営業損失で901百万円(同994百万円の損失)となった。事業収益は化粧品向け機能性ペプチドの売上を計上した。費用面では、研究開発費が同140百万円減少し、その他の販管費が前期比52百万円増加した。2025年12月期の業績計画は非開示だが、「SR-0379」及び「FPP004X」の臨床試験費用や新規開発化合物の探索研究費を中心に、研究開発費は同859百万円増の1,400百万円を見込み、販管費は同16百万円減の350百万円、費用合計では同1,750百万円を見込んでいる。事業収益は製薬会社からの提携収入等が発生する可能性がある。当面の事業活動資金は手元の現金及び預金2,346百万円(2024年12月期末時点)と、2025年2月に発行決議した第三者割当新株予約権(800万株相当、下限行使価額75円)の行使により、賄うことにしている。
■Key Points
・皮膚潰瘍向け治療薬の追加試験の結果は2026年末から2027年初に判明する見込み
・花粉症ワクチンは2025年に第1相臨床試験開始、2026年に結果を発表
・AI技術や次世代製剤技術等を持つ先進企業との協業で研究開発を促進
・抗体誘導ペプチドの開発対象である抗体医薬品の世界市場規模は主要製品だけでも500億米ドル以上
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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