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不二精機 Research Memo(3):高精度精密プラスチック金型技術を強みに、2つの事業を展開(2)
配信日時:2025/03/28 15:03
配信元:FISCO
*15:03JST 不二精機 Research Memo(3):高精度精密プラスチック金型技術を強みに、2つの事業を展開(2)
■不二精機<6400>の会社概要
2. 事業内容
同社は、現在は射出成形用精密金型及び成形システム事業と精密成形品その他事業の2事業で事業展開している。射出成形用精密金型及び成形システム事業では高度な金型設計ノウハウと加工技術を有し、1) ハイサイクル、2) 多数個取り、3) 不良率・バラツキの極小化、4) 長寿命を特徴とした、高付加価値な精密金型製造を行っている。具体的には精密・高品質が求められる透析装置であるダイアライザーや注射器、製品コストの削減も求められる食品用キャップ・容器等がある。また精密成形品その他事業では、精密金型の競争力を活用し、参入障壁の高い自動車関連部品分野に絞り事業展開している。
2024年12月期における売上構成比は、射出成形用精密金型及び成形システム事業が31.2%、精密成形品その他事業が68.8%となっている。また営業利益構成比(セグメント間取引消去前)では射出成形用精密金型及び成形システム事業が18.8%、精密成形品その他事業が81.2%となっている。
(1) 射出成形用精密金型及び成形システム事業
射出成形用精密金型及び成形システム事業は、ハイサイクル(高性能)、ロングライフ(長寿命)、多数個取り、不良率・バラツキの極小化による安定化などを強みに事業展開してきた。代表的な製品はCD用プラスチックケース向け精密金型並びに周辺機器を組み合わせた成形システムである。CDは1979年にソニーグループ<6758>とRoyal Philipsが共同開発を進め、1982年に生産を開始したが、同社は当初からCDケース用精密金型、周辺装置と組み合わせて成形システムとして輸出販売も含め事業を拡大した。「ディスクケース」成形はミクロン精度かつ低コスト化の要求から、ハイサイクル、多数個取り技術、長寿命の金型が必須で、採用が広がったが、スマートフォンの普及、ネット配信などでCD市場の縮小とともに減少した。
このような事業環境を見越して、同社はCDケース用で培った金型技術を生かし、1997年9月に現在の主力の1つである注射器用精密金型を開発した。同分野では単位当たりの生産量を増やせる多数個取り金型を製作、多数個取りでも製品品質のバラツキのない安定生産を実現した。その後、ダイアライザー、シャーレ、点滴用品などの医療分野へ注力した。2024年12月期における医療用・食品容器用精密金型の売上高はダイアライザー向け等を中心に1,306百万円、セグメント売上高に対する構成比は50.7%である。現在中心となっているダイアライザー成形では、原材料がPP中心(一部PCもある)のため、収縮率が大きく安定成形が困難な材質であるが、冷却方式などを改善、サイクルタイムの短縮、安定した品質確保に成功し、内外のダイアライザーメーカーに供給している。なお、同分野は収益性が高く、精密金型全体における大半の利益を稼ぎ出しているようだ。
(2) 精密成形品その他事業
精密成形品その他事業は、精密金型で培ったノウハウを生かし、2001年1月にタイにTHAI FUJI SEIKI Co., Ltd.を設立したことに始まる。同年9月に中国上海、2002年3月に蘇州と、相次いで生産拠点を設けた。当初の成形品はCDケース、デジカメのオートフォーカスレンズ鏡筒部品が中心だったが、CDの衰退により蘇州工場は2014年に譲渡し全面撤退した。
一方で、非情報関連の長期的拡大を目指し、自動車関連事業をターゲットとした。タイで納入していた精密金型の技術力が評価され、本田技研工業<7267>系の日立Astemo(株)に2輪向けインジェクター(エンジンとスロットルボディやキャブレターと接続する樹脂製パーツ)の成形品を納入し始めた。その後、住友電装(株)向けにワイヤーハーネスの留め具などを供給し、Tier2となる日系自動車部品現地法人向けを中心に、2輪向け主体から4輪向けにも安全保安部品などの小物自動車部品成形品が拡大している。現在は精密成形品の中で自動車用(2輪・4輪合計)が5年前の70.5%から81.0%まで高まっている。なお2輪向け50%強、4輪向け50%弱となっているようだ。製品内容はパワートレーン系、ワイヤーハーネスのカバー等の非パワートレーン系でほぼ2分されている。
同事業の収益力が2019年12月期以降に安定してきた背景には、蘇州からの撤退に加え、先行投資負担が大きかったインドネシア子会社(9月決算)の売上げが順調に拡大したことが寄与したと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
<HN>
2. 事業内容
同社は、現在は射出成形用精密金型及び成形システム事業と精密成形品その他事業の2事業で事業展開している。射出成形用精密金型及び成形システム事業では高度な金型設計ノウハウと加工技術を有し、1) ハイサイクル、2) 多数個取り、3) 不良率・バラツキの極小化、4) 長寿命を特徴とした、高付加価値な精密金型製造を行っている。具体的には精密・高品質が求められる透析装置であるダイアライザーや注射器、製品コストの削減も求められる食品用キャップ・容器等がある。また精密成形品その他事業では、精密金型の競争力を活用し、参入障壁の高い自動車関連部品分野に絞り事業展開している。
2024年12月期における売上構成比は、射出成形用精密金型及び成形システム事業が31.2%、精密成形品その他事業が68.8%となっている。また営業利益構成比(セグメント間取引消去前)では射出成形用精密金型及び成形システム事業が18.8%、精密成形品その他事業が81.2%となっている。
(1) 射出成形用精密金型及び成形システム事業
射出成形用精密金型及び成形システム事業は、ハイサイクル(高性能)、ロングライフ(長寿命)、多数個取り、不良率・バラツキの極小化による安定化などを強みに事業展開してきた。代表的な製品はCD用プラスチックケース向け精密金型並びに周辺機器を組み合わせた成形システムである。CDは1979年にソニーグループ<6758>とRoyal Philipsが共同開発を進め、1982年に生産を開始したが、同社は当初からCDケース用精密金型、周辺装置と組み合わせて成形システムとして輸出販売も含め事業を拡大した。「ディスクケース」成形はミクロン精度かつ低コスト化の要求から、ハイサイクル、多数個取り技術、長寿命の金型が必須で、採用が広がったが、スマートフォンの普及、ネット配信などでCD市場の縮小とともに減少した。
このような事業環境を見越して、同社はCDケース用で培った金型技術を生かし、1997年9月に現在の主力の1つである注射器用精密金型を開発した。同分野では単位当たりの生産量を増やせる多数個取り金型を製作、多数個取りでも製品品質のバラツキのない安定生産を実現した。その後、ダイアライザー、シャーレ、点滴用品などの医療分野へ注力した。2024年12月期における医療用・食品容器用精密金型の売上高はダイアライザー向け等を中心に1,306百万円、セグメント売上高に対する構成比は50.7%である。現在中心となっているダイアライザー成形では、原材料がPP中心(一部PCもある)のため、収縮率が大きく安定成形が困難な材質であるが、冷却方式などを改善、サイクルタイムの短縮、安定した品質確保に成功し、内外のダイアライザーメーカーに供給している。なお、同分野は収益性が高く、精密金型全体における大半の利益を稼ぎ出しているようだ。
(2) 精密成形品その他事業
精密成形品その他事業は、精密金型で培ったノウハウを生かし、2001年1月にタイにTHAI FUJI SEIKI Co., Ltd.を設立したことに始まる。同年9月に中国上海、2002年3月に蘇州と、相次いで生産拠点を設けた。当初の成形品はCDケース、デジカメのオートフォーカスレンズ鏡筒部品が中心だったが、CDの衰退により蘇州工場は2014年に譲渡し全面撤退した。
一方で、非情報関連の長期的拡大を目指し、自動車関連事業をターゲットとした。タイで納入していた精密金型の技術力が評価され、本田技研工業<7267>系の日立Astemo(株)に2輪向けインジェクター(エンジンとスロットルボディやキャブレターと接続する樹脂製パーツ)の成形品を納入し始めた。その後、住友電装(株)向けにワイヤーハーネスの留め具などを供給し、Tier2となる日系自動車部品現地法人向けを中心に、2輪向け主体から4輪向けにも安全保安部品などの小物自動車部品成形品が拡大している。現在は精密成形品の中で自動車用(2輪・4輪合計)が5年前の70.5%から81.0%まで高まっている。なお2輪向け50%強、4輪向け50%弱となっているようだ。製品内容はパワートレーン系、ワイヤーハーネスのカバー等の非パワートレーン系でほぼ2分されている。
同事業の収益力が2019年12月期以降に安定してきた背景には、蘇州からの撤退に加え、先行投資負担が大きかったインドネシア子会社(9月決算)の売上げが順調に拡大したことが寄与したと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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