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三洋化成 Research Memo(5):2025年3月期中間期は事業撤退による収益性改善で大幅営業増益
配信日時:2024/12/27 12:05
配信元:FISCO
*12:05JST 三洋化成 Research Memo(5):2025年3月期中間期は事業撤退による収益性改善で大幅営業増益
■業績動向
1. 2025年3月期中間期の業績概要
三洋化成工業<4471>の2025年3月中間期の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%減の77,030百万円、営業利益が同120.5%増の4,453百万円、経常利益が同0.9%増の4,991百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同78.6%減の940百万円だった。売上高は高吸水性樹脂事業などから撤退した影響で減収だが、営業利益は自動車関連や半導体関連を中心に高付加価値製品の需要が回復傾向となったほか、高吸水性樹脂事業などからの撤退による収益性改善で大幅営業増益だった。なお平均為替レートは11.71円安・ドル高の152.78円、国産ナフサ価格は12,400円/kl上昇して78,000円/klだった。
売上総利益は同16.8%増加し、売上総利益率は同3.7ポイント上昇して21.6%となった。販管費は同0.3%減少したが、販管費率は同0.4ポイント上昇して15.8%となった。この結果、営業利益率は同3.3ポイント上昇して5.8%となった。なお営業利益(前年同期比24.3億円増益)の要因別増減分析を見ると、増益要因は製品価格効果が3.5億円、為替効果が8.4億円、数量・商品構成効果が5.9億円、固定費が14.3億円で、減益要因は原料価格が5.1億円、コストダウンなどが2.7億円だった。製品・原料売買バランスは合計1.5億円の減益要因だったが、為替効果やその他の増益要因が牽引した。
経常利益は営業外で持分法による投資損益が576百万円改善(前年同期の投資損失113百万円に対して投資利益463百万円)したが、為替差損益が2,771百万円悪化(前年同期の差益2,327百万円に対して444百万円)したため前期比横ばいにとどまった。親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期に計上した投資有価証券売却益2,030百万円が剥落したほか、特別損失に高吸水性樹脂事業などからの撤退に伴う事業構造改革費用2,151百万円、固定資産減損損失308百万円を計上したため大幅減益だった。
なお修正予想(2024年9月27日付公表値、売上高75,000百万円、営業利益4,000百万円、経常利益4,500百万円、親会社株主に帰属する中間純利益0百万円)との比較では、売上高は2,030百万円、営業利益は453百万円、経常利益は491百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は940百万円、それぞれ上回る水準で着地した。需要が想定以上に回復傾向となったほか、親会社株主帰属中間純利益については、高吸水性樹脂事業などからの撤退に伴う特別損失計上額が当初の見積額(約30億円)を下回ったことも寄与した。
2. セグメント別の動向
生活・健康産業関連分野は、売上高が前年同期比12.5%減の20,729百万円、営業利益が252百万円(前年同期は973百万円の損失)だった。売上面は生活産業関連がポリエチレングリコールの市況回復で同10.5%増収と順調だったが、健康産業関連が高吸水性樹脂事業などからの撤退で同20.9%減収だった。全体として減収だったものの、利益面は高吸水性樹脂事業などからの撤退で収益性の改善したことに加え、科研製薬と締結したシルクエラスチンを用いた創傷治癒材料用途における日本国内の独占的販売権に伴うライセンス料の効果で黒字転換した。
石油・輸送機産業関連分野は、売上高が同1.2%増の25,112百万円、営業利益が同96.6%増の2,113百万円だった。売上面は潤滑油添加剤が増加したものの、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料が海外安価品流入の影響で横ばいだったほか、自動車内装表皮材用ウレタンビーズの海外向けが低調だったため、全体として小幅増収にとどまった。ただし利益面は、高付加価値製品群の1つである潤滑油添加剤の好調が牽引して大幅増益だった。営業利益率は同4.1ポイント上昇して8.4%となった。
プラスチック・繊維産業関連分野は、売上高が同9.5%増の13,384百万円、営業利益が同25.1%増の1,426百万円だった。売上面は、プラスチック産業関連は永久帯電防止剤の需要が半導体・電子部品向けに伸長したほか、塗料コーティング用薬剤・添加剤も順調に推移して同12.7%増収だった。繊維産業関連はタイヤコード糸の製造時に使用される油剤が増加したほか、炭素繊維用薬剤が風力発電用風車向けに回復傾向となったものの、合成皮革が低調だったため同1.9%増収と横ばいにとどまった。利益面は高付加価値の永久帯電防止剤の好調が牽引して大幅増益だった。営業利益率は同1.4ポイント上昇して10.7%となった。
情報・電気電子産業関連分野は、売上高が同7.5%減の10,484百万円、営業利益が同9.6%増の1,206百万円だった。売上面は、情報産業関連が中国における重合トナー用材料の生産撤退の影響で同23.3%減収となったため、全体としても減収だったが、電気電子産業関連は半導体関連材料の回復で同18.2%増収と伸長した。利益面は生産撤退による収益性改善で増益だった。営業利益率は同1.8ポイント上昇して11.5%となった。
環境・住設産業関連分野は、売上高が同1.5%増の7,318百万円、営業利益が2百万円の損失(前年同期は338百万円の利益)だった。売上面は住設産業関連の建築シーラント用原料の好調などで全体として増収だったが、利益面は環境産業関連の高分子凝集剤用カチオンモノマー、住設産業関連のセメント用薬剤などが低調だったため減益かつ損失計上となった。
財務の健全性が向上
3. 財務の状況
財務面で見ると、2025年3月期中間期末の資産合計は前期末比18,703百万円減少して187,114百万円となった。流動資産で現金及び預金が5,417百万円減少、受取手形及び売掛金が6,170百万円減少、商品及び製品が909百万円減少、原材料及び貯蔵品が592百万円減少、固定資産で建設仮勘定が804百万円減少、ソフトウェアが624百万円減少、長期貸付金が744百万円減少した。負債合計は同16,267百万円減少して47,973百万円となった。流動負債で買掛金が4,049百万円減少、電子記録債務が1,255百万円減少、未払金が4,990百万円減少、固定負債で事業構造改革引当金が1,293百万円減少したほか、有利子負債(長短借入金合計)残高が4,359百万円減少して6,344百万円となった。純資産合計は同2,436百万円減少して139,141百万円となった。利益剰余金が配当金支払によって945百万円減少したほか、為替換算調整勘定が1,746百万円減少した。この結果、自己資本比率は同5.3ポイント上昇して72.9%となった。自己資本比率が上昇し、有利子負債残高も減少した。キャッシュ・フローの状況を含めて特に課題は見当たらず、財務面の健全性が向上したと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 2025年3月期中間期の業績概要
三洋化成工業<4471>の2025年3月中間期の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%減の77,030百万円、営業利益が同120.5%増の4,453百万円、経常利益が同0.9%増の4,991百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同78.6%減の940百万円だった。売上高は高吸水性樹脂事業などから撤退した影響で減収だが、営業利益は自動車関連や半導体関連を中心に高付加価値製品の需要が回復傾向となったほか、高吸水性樹脂事業などからの撤退による収益性改善で大幅営業増益だった。なお平均為替レートは11.71円安・ドル高の152.78円、国産ナフサ価格は12,400円/kl上昇して78,000円/klだった。
売上総利益は同16.8%増加し、売上総利益率は同3.7ポイント上昇して21.6%となった。販管費は同0.3%減少したが、販管費率は同0.4ポイント上昇して15.8%となった。この結果、営業利益率は同3.3ポイント上昇して5.8%となった。なお営業利益(前年同期比24.3億円増益)の要因別増減分析を見ると、増益要因は製品価格効果が3.5億円、為替効果が8.4億円、数量・商品構成効果が5.9億円、固定費が14.3億円で、減益要因は原料価格が5.1億円、コストダウンなどが2.7億円だった。製品・原料売買バランスは合計1.5億円の減益要因だったが、為替効果やその他の増益要因が牽引した。
経常利益は営業外で持分法による投資損益が576百万円改善(前年同期の投資損失113百万円に対して投資利益463百万円)したが、為替差損益が2,771百万円悪化(前年同期の差益2,327百万円に対して444百万円)したため前期比横ばいにとどまった。親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期に計上した投資有価証券売却益2,030百万円が剥落したほか、特別損失に高吸水性樹脂事業などからの撤退に伴う事業構造改革費用2,151百万円、固定資産減損損失308百万円を計上したため大幅減益だった。
なお修正予想(2024年9月27日付公表値、売上高75,000百万円、営業利益4,000百万円、経常利益4,500百万円、親会社株主に帰属する中間純利益0百万円)との比較では、売上高は2,030百万円、営業利益は453百万円、経常利益は491百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は940百万円、それぞれ上回る水準で着地した。需要が想定以上に回復傾向となったほか、親会社株主帰属中間純利益については、高吸水性樹脂事業などからの撤退に伴う特別損失計上額が当初の見積額(約30億円)を下回ったことも寄与した。
2. セグメント別の動向
生活・健康産業関連分野は、売上高が前年同期比12.5%減の20,729百万円、営業利益が252百万円(前年同期は973百万円の損失)だった。売上面は生活産業関連がポリエチレングリコールの市況回復で同10.5%増収と順調だったが、健康産業関連が高吸水性樹脂事業などからの撤退で同20.9%減収だった。全体として減収だったものの、利益面は高吸水性樹脂事業などからの撤退で収益性の改善したことに加え、科研製薬と締結したシルクエラスチンを用いた創傷治癒材料用途における日本国内の独占的販売権に伴うライセンス料の効果で黒字転換した。
石油・輸送機産業関連分野は、売上高が同1.2%増の25,112百万円、営業利益が同96.6%増の2,113百万円だった。売上面は潤滑油添加剤が増加したものの、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料が海外安価品流入の影響で横ばいだったほか、自動車内装表皮材用ウレタンビーズの海外向けが低調だったため、全体として小幅増収にとどまった。ただし利益面は、高付加価値製品群の1つである潤滑油添加剤の好調が牽引して大幅増益だった。営業利益率は同4.1ポイント上昇して8.4%となった。
プラスチック・繊維産業関連分野は、売上高が同9.5%増の13,384百万円、営業利益が同25.1%増の1,426百万円だった。売上面は、プラスチック産業関連は永久帯電防止剤の需要が半導体・電子部品向けに伸長したほか、塗料コーティング用薬剤・添加剤も順調に推移して同12.7%増収だった。繊維産業関連はタイヤコード糸の製造時に使用される油剤が増加したほか、炭素繊維用薬剤が風力発電用風車向けに回復傾向となったものの、合成皮革が低調だったため同1.9%増収と横ばいにとどまった。利益面は高付加価値の永久帯電防止剤の好調が牽引して大幅増益だった。営業利益率は同1.4ポイント上昇して10.7%となった。
情報・電気電子産業関連分野は、売上高が同7.5%減の10,484百万円、営業利益が同9.6%増の1,206百万円だった。売上面は、情報産業関連が中国における重合トナー用材料の生産撤退の影響で同23.3%減収となったため、全体としても減収だったが、電気電子産業関連は半導体関連材料の回復で同18.2%増収と伸長した。利益面は生産撤退による収益性改善で増益だった。営業利益率は同1.8ポイント上昇して11.5%となった。
環境・住設産業関連分野は、売上高が同1.5%増の7,318百万円、営業利益が2百万円の損失(前年同期は338百万円の利益)だった。売上面は住設産業関連の建築シーラント用原料の好調などで全体として増収だったが、利益面は環境産業関連の高分子凝集剤用カチオンモノマー、住設産業関連のセメント用薬剤などが低調だったため減益かつ損失計上となった。
財務の健全性が向上
3. 財務の状況
財務面で見ると、2025年3月期中間期末の資産合計は前期末比18,703百万円減少して187,114百万円となった。流動資産で現金及び預金が5,417百万円減少、受取手形及び売掛金が6,170百万円減少、商品及び製品が909百万円減少、原材料及び貯蔵品が592百万円減少、固定資産で建設仮勘定が804百万円減少、ソフトウェアが624百万円減少、長期貸付金が744百万円減少した。負債合計は同16,267百万円減少して47,973百万円となった。流動負債で買掛金が4,049百万円減少、電子記録債務が1,255百万円減少、未払金が4,990百万円減少、固定負債で事業構造改革引当金が1,293百万円減少したほか、有利子負債(長短借入金合計)残高が4,359百万円減少して6,344百万円となった。純資産合計は同2,436百万円減少して139,141百万円となった。利益剰余金が配当金支払によって945百万円減少したほか、為替換算調整勘定が1,746百万円減少した。この結果、自己資本比率は同5.3ポイント上昇して72.9%となった。自己資本比率が上昇し、有利子負債残高も減少した。キャッシュ・フローの状況を含めて特に課題は見当たらず、財務面の健全性が向上したと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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