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上新電機 Research Memo(6):2025年3月期業績予想の下方修正で中期経営計画達成のハードルは上昇(1)
配信日時:2024/11/29 11:06
配信元:FISCO
*11:06JST 上新電機 Research Memo(6):2025年3月期業績予想の下方修正で中期経営計画達成のハードルは上昇(1)
■上新電機<8173>の今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は2024年10月25日に下方修正が発表され、売上高が410,000百万円から400,000百万円(前期比0.9%減)、営業利益が9,000百万円から4,000百万円(同52.2%減)、経常利益が9,000百万円から4,000百万円(同51.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が6,000百万円から3,800百万円(同22.3%減)へとそれぞれ引き下げられた。通期の営業利益率の見通しは1.0%で、前期の2.1%から1.1ポイント低下する見通し。上期実績の1.0%に対して下期も1.0%の見通しと大きな改善は見込めない予想だ。販売面では同社が強みとするゲーム機などエンターテインメント分野の売上高が任天堂Switchがモデル末期であることや家庭用ゲーム市場自体の停滞から想定以上に落ち込んだほか、コスト面で人件費や情報システム投資の増加が想定以上に利益を圧迫した形である。2025年3月期の業績予想が大幅に引き下げられたことで、中期経営計画最終年度である2026年3月期の数値目標の達成は容易ではないとみられる。第2四半期の決算を見る限り、同業の家電量販店と比較しても同社の販売の弱さや売上総利益率の低下が顕著な点はやや気がかりであり、今後の早期挽回に期待したい。
2. 中期経営計画「JT-2025 経営計画」の概要
同社は2023年5月に2026年3月期を最終年度とする3年間の中期経営計画「JT-2025 経営計画」を公表した。「JT-2025 経営計画」は、2030年度までの8年間をパッケージと位置づけ、2030年にあるべき姿を達成するには最初の3年間で何をすべきかという視点から検討したものである。
(1) 定量目標
数値目標としては、2026年3月期に売上高4,200億円、営業利益110億円、営業利益率2.6%、ROE8.0%以上、ROA及びROIC5.0%以上、配当性向30%以上、3ヶ年営業キャッシュ・フロー累計400~450億円、また、2031年3月期のあるべき姿は、営業利益率4.0%レベル、ROE10.0%以上、ROA及びROIC7.0%以上、配当性向30%以上持続としている。やみくもに売上高の拡大を追うことなく、収益性重視の視点で競合他社比でやや低位にとどまる営業利益率の改善に主眼を置いた計画だ。また、営業利益率以上にROEの大幅な改善を狙っており、その実現のためには2024年3月26日に発表された配当性向の30%から40%への引き上げだけでなく、さらなる配当性向の引き上げや自己株式の取得などによる自己資本の圧縮についても一段と積極的に検討する必要があるだろう。弊社の試算では、ROE8.0%を達成するためには、2024年3月期末の純資産104,613百万円を2026年3月期末には94,000百万円程度へ圧縮するか、純資産を圧縮しない場合は2026年3月期の営業利益を120億円超と現在の前提から超過しない限りこの目標の達成は難しい。上場企業各社がPBR1倍の達成に向けた取り組みを強化するなか、同社も中期経営計画で公表したROE8.0%を必達目標として、収益力の拡大と自己株式の取得も含めたさらなる株主還元の強化に期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は2024年10月25日に下方修正が発表され、売上高が410,000百万円から400,000百万円(前期比0.9%減)、営業利益が9,000百万円から4,000百万円(同52.2%減)、経常利益が9,000百万円から4,000百万円(同51.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が6,000百万円から3,800百万円(同22.3%減)へとそれぞれ引き下げられた。通期の営業利益率の見通しは1.0%で、前期の2.1%から1.1ポイント低下する見通し。上期実績の1.0%に対して下期も1.0%の見通しと大きな改善は見込めない予想だ。販売面では同社が強みとするゲーム機などエンターテインメント分野の売上高が任天堂Switchがモデル末期であることや家庭用ゲーム市場自体の停滞から想定以上に落ち込んだほか、コスト面で人件費や情報システム投資の増加が想定以上に利益を圧迫した形である。2025年3月期の業績予想が大幅に引き下げられたことで、中期経営計画最終年度である2026年3月期の数値目標の達成は容易ではないとみられる。第2四半期の決算を見る限り、同業の家電量販店と比較しても同社の販売の弱さや売上総利益率の低下が顕著な点はやや気がかりであり、今後の早期挽回に期待したい。
2. 中期経営計画「JT-2025 経営計画」の概要
同社は2023年5月に2026年3月期を最終年度とする3年間の中期経営計画「JT-2025 経営計画」を公表した。「JT-2025 経営計画」は、2030年度までの8年間をパッケージと位置づけ、2030年にあるべき姿を達成するには最初の3年間で何をすべきかという視点から検討したものである。
(1) 定量目標
数値目標としては、2026年3月期に売上高4,200億円、営業利益110億円、営業利益率2.6%、ROE8.0%以上、ROA及びROIC5.0%以上、配当性向30%以上、3ヶ年営業キャッシュ・フロー累計400~450億円、また、2031年3月期のあるべき姿は、営業利益率4.0%レベル、ROE10.0%以上、ROA及びROIC7.0%以上、配当性向30%以上持続としている。やみくもに売上高の拡大を追うことなく、収益性重視の視点で競合他社比でやや低位にとどまる営業利益率の改善に主眼を置いた計画だ。また、営業利益率以上にROEの大幅な改善を狙っており、その実現のためには2024年3月26日に発表された配当性向の30%から40%への引き上げだけでなく、さらなる配当性向の引き上げや自己株式の取得などによる自己資本の圧縮についても一段と積極的に検討する必要があるだろう。弊社の試算では、ROE8.0%を達成するためには、2024年3月期末の純資産104,613百万円を2026年3月期末には94,000百万円程度へ圧縮するか、純資産を圧縮しない場合は2026年3月期の営業利益を120億円超と現在の前提から超過しない限りこの目標の達成は難しい。上場企業各社がPBR1倍の達成に向けた取り組みを強化するなか、同社も中期経営計画で公表したROE8.0%を必達目標として、収益力の拡大と自己株式の取得も含めたさらなる株主還元の強化に期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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