注目トピックス 日本株
BeeX Research Memo(1):2025年2月期も高成長を継続
配信日時:2024/11/25 12:01
配信元:FISCO
*12:01JST BeeX Research Memo(1):2025年2月期も高成長を継続
■要約
BeeX<4270>は、DX(Digital Transformation)及びマルチクラウドという2つの領域を軸にクラウドソリューション事業を展開している。企業の基幹システムの基盤環境をオンプレミスからクラウドへ移行するクラウドテクノロジーに特化したプロフェッショナル集団である。2024年2月には、これまでのAWSパートナーとしての活動実績が評価され、AWSパートナーネットワーク(APN)における最上位レベルの「AWS プレミアティアサービスパートナー」認定を取得した。
1. クラウド環境構築・移行、クラウドライセンスリセール、監視・保守運用を展開
同社はサービス区分を、マルチクラウド利用コンサルティングやSAPシステムを中心とするクラウド環境構築・移行のクラウドインテグレーション、AWSやAzure等のクラウドライセンス仕入・販売(月額課金)のクラウドライセンスリセール、クラウド移行後の仮想サーバやネットワークの監視・保守運用等のマネージドサービス(Managed Service Provider、以下:MSP)としている。計画・設計・構築フェーズであるクラウドインテグレーションの受注増加は、その後の運用フェーズとなるクラウドライセンスリセール及びMSPの受注増加につながるため、フロービジネスを起点にストックビジネスへ移行して顧客との長期リレーションを確立するビジネスモデルとなっている。ストック型売上(クラウドライセンスリセール+MSP)構成比は約7割である。同社の特徴・強みとしては、マルチクラウドでサービス提供が可能な各種認定を取得し、クラウドテクノロジーのスペシャリストとしてビジネス展開していること、大手企業を中心に強固な顧客基盤を構築し、顧客との長期リレーションを確立していることなどが挙げられる。
2. 2025年2月期上期は大幅増収増益・過去最高で着地
2025年2月期上期の業績(非連結)は、売上高が前年同期比24.9%増の4,478百万円、営業利益が同21.4%増の387百万円、経常利益が同19.9%増の396百万円、中間純利益が同21.0%増の275百万円となった。イベント・キャンペーンなど積極的なマーケティング施策の成果で各サービスとも順調に拡大し、大幅増収増益・過去最高で着地した。売上総利益は同20.6%増加したが、売上総利益率は同0.7ポイント低下し19.9%となった。これは、前年同期にクラウドインテグレーションの高利益案件を計上した反動に加え、第2四半期に新規顧客獲得に向けて初月無料キャンペーンを実施した一時的要因による。販管費は人件費増加などで同20.0%増加したが、販管費比率は同0.5ポイント低下し11.2%となった。これは、Web広告予算の一部の実行が下期にズレ込んだことや、中途採用に関して社員紹介やホームページへの直接応募が増加したため人材紹介会社に対する紹介手数料など採用コストを抑制したことによる。この結果、営業利益率は同0.2ポイント低下し8.7%となった。営業利益率は前年同期に比べて若干低下したが、高成長基調に変化はないだろうと弊社では考えている。
3. 2025年2月期通期は小幅増益で予想を据え置くも上振れ余地あり
2025年2月期通期の業績(非連結)は期初計画を据え置いて、売上高が前期比23.0%増の9,470百万円、営業利益が同8.5%増の650百万円、経常利益が同5.3%増の648百万円、当期純利益が同6.2%増の468百万円を見込んでいる。売上面は各サービスとも順調に拡大して大幅増収、利益面は積極的なマーケティング施策や人材採用・育成に係る費用の増加を考慮して小幅な増益予想としている。サービス別売上高の予想はクラウドインテグレーションが同14.3%増の2,770百万円、クラウドライセンスリセールが同29.8%増の5,852百万円、MSPが同10.6%増の847百万円である。通期予想に対する上期実績の進捗率は売上高で47.3%(サービス別にはクラウドインテグレーションが53.7%、クラウドライセンスリセールが43.5%、MSPが52.1%)、営業利益で59.5%、経常利益で61.1%、当期純利益で58.8%であった。クラウドライセンスリセールの売上進捗率がやや低水準の形だが、期末に向けて売上高が積み上がるストック型収益構造であり、第2四半期に実施したキャンペーンで獲得した顧客の売上が第4四半期から本格化する見込みであることを勘案すれば、通期計画の達成は可能だろうと弊社では見ている。また利益面では営業利益、経常利益、当期純利益とも進捗率が高水準であることから、下期の費用増加を考慮しても、通期予想に上振れ余地があるだろうと弊社では考えている。
4. 事業環境良好で契約先拡大と高付加価値サービス拡充を推進
DX・クラウド関連市場は拡大基調が予想されている。さらに同社にとって特に追い風となるのは、同社が強みとしているSAPシステムのクラウド化移行需要が今後本格化する見込みであり、SAPを含めた大規模システムのクラウド移行需要によってクラウドインテグレーションの売上拡大が期待されるだけでなく、その後のストック型収益となるクラウドライセンスリセールとMSPの売上拡大につながることも期待される。このように、同社にとって事業環境は良好と考えられる。同社は中期経営計画を公表していないが、成長戦略として既存サービスの契約先拡大を推進するとともに、高付加価値な新サービスの拡充などに取り組むことで、収益の継続的な拡大を図る方針だ。
5. 高成長を評価
同社は2016年3月の設立以来、2024年2月期までの8期で売上高77億円規模、営業利益・経常利益6億円規模にまで成長するとともに、APNにおける最上位レベルの「AWS プレミアティアサービスパートナー」認定を取得した。事業環境が良好であること、テラスカイ<3915>のAWS事業を承継したことなどを考慮しても、この高成長の継続は、同社のクラウドテクノロジーに特化したプロフェッショナル集団としての強みが発揮されている証と考えられ、弊社では高く評価している。今後の課題としては、人材採用・育成など需要増加に対応するための体制構築、高付加価値サービス拡充等による利益率向上などが挙げられるが、収益拡大に向けてM&A・アライアンスも検討する方針を示しており、高成長を継続するための経営戦略の進展状況に注目したい。
■Key Points
・クラウドテクノロジーのプロフェッショナル集団
・2025年2月期上期は大幅増収増益・過去最高で着地
・2025年2月期通期は小幅増益で予想を据え置くも上振れ余地あり
・市場環境は良好。SAPシステムのクラウド化への移行需要の本格化も追い風
・設立以来の高成長を評価、成長を継続するための経営戦略の進展状況に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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BeeX<4270>は、DX(Digital Transformation)及びマルチクラウドという2つの領域を軸にクラウドソリューション事業を展開している。企業の基幹システムの基盤環境をオンプレミスからクラウドへ移行するクラウドテクノロジーに特化したプロフェッショナル集団である。2024年2月には、これまでのAWSパートナーとしての活動実績が評価され、AWSパートナーネットワーク(APN)における最上位レベルの「AWS プレミアティアサービスパートナー」認定を取得した。
1. クラウド環境構築・移行、クラウドライセンスリセール、監視・保守運用を展開
同社はサービス区分を、マルチクラウド利用コンサルティングやSAPシステムを中心とするクラウド環境構築・移行のクラウドインテグレーション、AWSやAzure等のクラウドライセンス仕入・販売(月額課金)のクラウドライセンスリセール、クラウド移行後の仮想サーバやネットワークの監視・保守運用等のマネージドサービス(Managed Service Provider、以下:MSP)としている。計画・設計・構築フェーズであるクラウドインテグレーションの受注増加は、その後の運用フェーズとなるクラウドライセンスリセール及びMSPの受注増加につながるため、フロービジネスを起点にストックビジネスへ移行して顧客との長期リレーションを確立するビジネスモデルとなっている。ストック型売上(クラウドライセンスリセール+MSP)構成比は約7割である。同社の特徴・強みとしては、マルチクラウドでサービス提供が可能な各種認定を取得し、クラウドテクノロジーのスペシャリストとしてビジネス展開していること、大手企業を中心に強固な顧客基盤を構築し、顧客との長期リレーションを確立していることなどが挙げられる。
2. 2025年2月期上期は大幅増収増益・過去最高で着地
2025年2月期上期の業績(非連結)は、売上高が前年同期比24.9%増の4,478百万円、営業利益が同21.4%増の387百万円、経常利益が同19.9%増の396百万円、中間純利益が同21.0%増の275百万円となった。イベント・キャンペーンなど積極的なマーケティング施策の成果で各サービスとも順調に拡大し、大幅増収増益・過去最高で着地した。売上総利益は同20.6%増加したが、売上総利益率は同0.7ポイント低下し19.9%となった。これは、前年同期にクラウドインテグレーションの高利益案件を計上した反動に加え、第2四半期に新規顧客獲得に向けて初月無料キャンペーンを実施した一時的要因による。販管費は人件費増加などで同20.0%増加したが、販管費比率は同0.5ポイント低下し11.2%となった。これは、Web広告予算の一部の実行が下期にズレ込んだことや、中途採用に関して社員紹介やホームページへの直接応募が増加したため人材紹介会社に対する紹介手数料など採用コストを抑制したことによる。この結果、営業利益率は同0.2ポイント低下し8.7%となった。営業利益率は前年同期に比べて若干低下したが、高成長基調に変化はないだろうと弊社では考えている。
3. 2025年2月期通期は小幅増益で予想を据え置くも上振れ余地あり
2025年2月期通期の業績(非連結)は期初計画を据え置いて、売上高が前期比23.0%増の9,470百万円、営業利益が同8.5%増の650百万円、経常利益が同5.3%増の648百万円、当期純利益が同6.2%増の468百万円を見込んでいる。売上面は各サービスとも順調に拡大して大幅増収、利益面は積極的なマーケティング施策や人材採用・育成に係る費用の増加を考慮して小幅な増益予想としている。サービス別売上高の予想はクラウドインテグレーションが同14.3%増の2,770百万円、クラウドライセンスリセールが同29.8%増の5,852百万円、MSPが同10.6%増の847百万円である。通期予想に対する上期実績の進捗率は売上高で47.3%(サービス別にはクラウドインテグレーションが53.7%、クラウドライセンスリセールが43.5%、MSPが52.1%)、営業利益で59.5%、経常利益で61.1%、当期純利益で58.8%であった。クラウドライセンスリセールの売上進捗率がやや低水準の形だが、期末に向けて売上高が積み上がるストック型収益構造であり、第2四半期に実施したキャンペーンで獲得した顧客の売上が第4四半期から本格化する見込みであることを勘案すれば、通期計画の達成は可能だろうと弊社では見ている。また利益面では営業利益、経常利益、当期純利益とも進捗率が高水準であることから、下期の費用増加を考慮しても、通期予想に上振れ余地があるだろうと弊社では考えている。
4. 事業環境良好で契約先拡大と高付加価値サービス拡充を推進
DX・クラウド関連市場は拡大基調が予想されている。さらに同社にとって特に追い風となるのは、同社が強みとしているSAPシステムのクラウド化移行需要が今後本格化する見込みであり、SAPを含めた大規模システムのクラウド移行需要によってクラウドインテグレーションの売上拡大が期待されるだけでなく、その後のストック型収益となるクラウドライセンスリセールとMSPの売上拡大につながることも期待される。このように、同社にとって事業環境は良好と考えられる。同社は中期経営計画を公表していないが、成長戦略として既存サービスの契約先拡大を推進するとともに、高付加価値な新サービスの拡充などに取り組むことで、収益の継続的な拡大を図る方針だ。
5. 高成長を評価
同社は2016年3月の設立以来、2024年2月期までの8期で売上高77億円規模、営業利益・経常利益6億円規模にまで成長するとともに、APNにおける最上位レベルの「AWS プレミアティアサービスパートナー」認定を取得した。事業環境が良好であること、テラスカイ<3915>のAWS事業を承継したことなどを考慮しても、この高成長の継続は、同社のクラウドテクノロジーに特化したプロフェッショナル集団としての強みが発揮されている証と考えられ、弊社では高く評価している。今後の課題としては、人材採用・育成など需要増加に対応するための体制構築、高付加価値サービス拡充等による利益率向上などが挙げられるが、収益拡大に向けてM&A・アライアンスも検討する方針を示しており、高成長を継続するための経営戦略の進展状況に注目したい。
■Key Points
・クラウドテクノロジーのプロフェッショナル集団
・2025年2月期上期は大幅増収増益・過去最高で着地
・2025年2月期通期は小幅増益で予想を据え置くも上振れ余地あり
・市場環境は良好。SAPシステムのクラウド化への移行需要の本格化も追い風
・設立以来の高成長を評価、成長を継続するための経営戦略の進展状況に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<HN>
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