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Chordia Research Memo(1):ブロックバスター候補になりうる抗がん薬の開発を進めるバイオベンチャー
配信日時:2024/11/19 13:01
配信元:FISCO
*13:01JST Chordia Research Memo(1):ブロックバスター候補になりうる抗がん薬の開発を進めるバイオベンチャー
■要約
Chordia Therapeutics<190A>は、武田薬品工業<4502>からスピンアウトした創薬研究者が創業したバイオベンチャーで、低分子化合物の抗がん薬に特化した開発を行っている。探索研究から臨床研究までをコアビジネスとし、国内では提携戦略により製造・販売まで自社で行い、海外ではライセンスアウトすることで早期収益化を目指している。2024年6月に東京証券取引所グロース市場に株式上場した。
1. 開発パイプラインの状況
現在の開発パイプラインは5つあり、このうちリードパイプラインであるCLK阻害薬CTX-712(以下、CTX-712)は血液がん(2次治療以降の急性骨髄性白血病(AML))を対象とした第1/2相臨床試験を米国で実施している(現在は第1相パート)。mRNA※生成過程において過剰なストレスを与えることによってがん細胞を死滅させる新しい作用機序の低分子化合物であり、日本で実施した第1相臨床試験では既に承認申請している治療薬と同水準の安全性及び有効性が確認されている。同社は2024年内に米国でオーファンドラッグ申請を行い、2025年後半に第1相パートの中間成績を発表できる見通しだ。第2相パートは米国と日本で実施し、順調に進めば2026年末に臨床試験データを取得し、2026~2028年に迅速承認制度を活用して販売承認申請を目指す。2次治療以降のAML治療薬の潜在市場規模は2,000〜4,000億円と同社では試算しており、同適応症で開発に成功すればAML1次治療やその他のがん種へと適応拡大を進め、製品価値の最大化を図る。
※ RNA(Ribonucleic acid)はリボ核酸の略で、遺伝子であるDNAからタンパク質を生成するために必要な物質。ゲノムDNAから転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)、タンパク質合成時に利用されるトランスファーRNA(tRNA)などがある
2. 業績動向
2024年8月期の業績は、事業収益の計上がなく(前期はMALT1阻害薬CTX-177のライセンス供与先である小野薬品工業<4528>からのマイルストン収入2,500百万円を計上)、経常損失は1,824百万円(前期は225百万円の利益)となった。2025年8月期も現時点では事業収益の計上を見込んでおらず、経常損失はCTX-712の臨床試験費用増加により2,378百万円と拡大する見通しだ。2024年8月末時点の現金及び預金は4,329百万円と2年近い事業活動資金を保有しているが、当面は先行投資が続くため開発資金が必要になれば株式市場から調達していくことになる。同社では少なくとも1年分の事業活動資金を確保しておきたい意向を持っている。
3. 今後の事業方針
同社は「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを2030年ビジョンとして掲げている。医薬品製造に関してはシオノギファーマ(株)と、国内における流通・販促活動についてはメディパルホールディングス<7459>と2022年に業務提携の基本合意を締結するなど体制整備を進めている。海外市場はライセンスアウトにより早期収益化を目指す戦略で2020年に小野薬品工業に導出したCTX-177は、現在米国で再発・難治性リンパ腫を対象とした第1相臨床試験が行われている。残り3つのパイプラインについても臨床試験前段階での早期導出も検討し、当面はCTX-712の開発にリソースを集中することで早期収益化を目指す考えだ。
■Key Points
・武田薬品工業からスピンアウトし、低分子化合物の抗がん薬に特化した開発を進める
・CTX-712は2次治療以降の急性骨髄性白血病を対象とした臨床試験を米国で実施中、2026~2028年頃の販売承認申請を目指す
・MALT1阻害薬は小野薬品工業に最大500億円超の条件で導出済み
・CTX-712の価値最大化に向けリソースを集中投下し、早期収益化を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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Chordia Therapeutics<190A>は、武田薬品工業<4502>からスピンアウトした創薬研究者が創業したバイオベンチャーで、低分子化合物の抗がん薬に特化した開発を行っている。探索研究から臨床研究までをコアビジネスとし、国内では提携戦略により製造・販売まで自社で行い、海外ではライセンスアウトすることで早期収益化を目指している。2024年6月に東京証券取引所グロース市場に株式上場した。
1. 開発パイプラインの状況
現在の開発パイプラインは5つあり、このうちリードパイプラインであるCLK阻害薬CTX-712(以下、CTX-712)は血液がん(2次治療以降の急性骨髄性白血病(AML))を対象とした第1/2相臨床試験を米国で実施している(現在は第1相パート)。mRNA※生成過程において過剰なストレスを与えることによってがん細胞を死滅させる新しい作用機序の低分子化合物であり、日本で実施した第1相臨床試験では既に承認申請している治療薬と同水準の安全性及び有効性が確認されている。同社は2024年内に米国でオーファンドラッグ申請を行い、2025年後半に第1相パートの中間成績を発表できる見通しだ。第2相パートは米国と日本で実施し、順調に進めば2026年末に臨床試験データを取得し、2026~2028年に迅速承認制度を活用して販売承認申請を目指す。2次治療以降のAML治療薬の潜在市場規模は2,000〜4,000億円と同社では試算しており、同適応症で開発に成功すればAML1次治療やその他のがん種へと適応拡大を進め、製品価値の最大化を図る。
※ RNA(Ribonucleic acid)はリボ核酸の略で、遺伝子であるDNAからタンパク質を生成するために必要な物質。ゲノムDNAから転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)、タンパク質合成時に利用されるトランスファーRNA(tRNA)などがある
2. 業績動向
2024年8月期の業績は、事業収益の計上がなく(前期はMALT1阻害薬CTX-177のライセンス供与先である小野薬品工業<4528>からのマイルストン収入2,500百万円を計上)、経常損失は1,824百万円(前期は225百万円の利益)となった。2025年8月期も現時点では事業収益の計上を見込んでおらず、経常損失はCTX-712の臨床試験費用増加により2,378百万円と拡大する見通しだ。2024年8月末時点の現金及び預金は4,329百万円と2年近い事業活動資金を保有しているが、当面は先行投資が続くため開発資金が必要になれば株式市場から調達していくことになる。同社では少なくとも1年分の事業活動資金を確保しておきたい意向を持っている。
3. 今後の事業方針
同社は「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを2030年ビジョンとして掲げている。医薬品製造に関してはシオノギファーマ(株)と、国内における流通・販促活動についてはメディパルホールディングス<7459>と2022年に業務提携の基本合意を締結するなど体制整備を進めている。海外市場はライセンスアウトにより早期収益化を目指す戦略で2020年に小野薬品工業に導出したCTX-177は、現在米国で再発・難治性リンパ腫を対象とした第1相臨床試験が行われている。残り3つのパイプラインについても臨床試験前段階での早期導出も検討し、当面はCTX-712の開発にリソースを集中することで早期収益化を目指す考えだ。
■Key Points
・武田薬品工業からスピンアウトし、低分子化合物の抗がん薬に特化した開発を進める
・CTX-712は2次治療以降の急性骨髄性白血病を対象とした臨床試験を米国で実施中、2026~2028年頃の販売承認申請を目指す
・MALT1阻害薬は小野薬品工業に最大500億円超の条件で導出済み
・CTX-712の価値最大化に向けリソースを集中投下し、早期収益化を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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