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C&R社 Research Memo(3):ゲーム、テレビ・映像等のクリエイティブ分野と医療分野で利益の大半を稼ぎ出す
配信日時:2024/11/14 13:03
配信元:FISCO
*13:03JST C&R社 Research Memo(3):ゲーム、テレビ・映像等のクリエイティブ分野と医療分野で利益の大半を稼ぎ出す
■会社概要
3. 事業別・分野別構成比
クリーク・アンド・リバー社<4763>の2025年2月期中間期の事業別売上構成比は、プロデュース事業が50.2%と最も高く、次いでエージェンシー事業(派遣)が33.0%、エージェンシー事業(紹介)が12.2%、ライツマネジメント事業他が4.6%となっている。売上総利益の構成比は、プロデュース事業の42.6%に続いてエージェンシー事業(紹介)が31.9%と高く、エージェンシー事業(派遣)が19.1%、ライツマネジメント事業他が6.4%となっている。
また、分野別の売上構成比はゲームが25.1%、テレビ・映像が21.1%、Webが17.3%と主力3分野で全体の6割強を占めており、次いで医療が12.5%、韓国事業が6.1%、会計・法曹が4.8%、電子書籍・版権が1.7%となっている。営業利益の構成比は、医療が45.6%、ゲームが31.1%、Webが13.1%、テレビ・映像が12.2%の順となっているが、医療分野については医師紹介事業の売上が第1四半期に集中するためで、通期で見れば構成比は3割程度の水準となる。
39万人超の人材ネットワークを構築し、5万社の顧客にサービスを提供
4. 特徴と強み
同社の事業の特徴はプロフェッショナル分野に特化した請負、派遣・紹介サービスやライツマネジメント事業を展開していることにあり、一般的な人材サービス会社とは異なると弊社では考えている。
(1) 幅広いプロフェッショナル分野を対象に事業を展開
同社が定義するプロフェッショナルとは、1) 世界中で活躍できる職種、2) 機械では代替できない職種、3) 知的財産が蓄積される職種、の3条件を満たすものとなる。これら3条件のもとに展開しているのが、映像、ゲーム、Web、広告・出版、作家、舞台芸術、医療、建築、ファッション、食、アスリート、ライフサイエンス、アグリカルチャー、IT、AI/DX、CXO、会計、法曹の合計18分野である。また、周辺サービスとしてXR※(VR/AR/MR)やドローンなどを提供している。業績の安定性という観点から見ると、幅広いプロフェッショナル分野を事業領域として展開しているため、特定業界の市場環境の影響を受け難い収益構造になっていることが特徴で、同社の強みと言える。
※ XRとはクロスリアリティとも言い、以下の様々な技術の総称。VR(Vertial Reality:仮想現実)とは、コンピュータ上に人工的な環境を作り出し、時間や空間を超えてそこにいるかのような感覚を体験できる技術。AR(Augmented Reality:拡張現実)とは、現実空間に付加情報を表示させ、現実世界を拡張する技術。MR(Mixed Reality:複合現実)とは、現実世界にCGなどで作られた人工的な仮想世界の情報を取り込み、現実世界と仮想世界を融合させた世界をつくる技術。
(2) 制作スタジオの設置によりグループ内にノウハウを蓄積
サービス提供によって人にノウハウが蓄積されるだけでなく、そのノウハウを組織全体で共有化しながら深掘りし、他分野へ展開することで、顧客企業に対してより良い提案やサービス品質の向上につなげている。具体的には、顧客企業で業務を完了したプロフェッショナルが就業先でのニーズ等を共有し、ほかの顧客企業から戻ってきたプロフェッショナルと共同で次の企画提案を練ることで新規受注案件の獲得に生かしている。プロフェッショナルの思考の幅が広がり、1社だけの経験では得られないノウハウが社内に蓄積されることで付加価値の高い提案を可能とし、競合他社との差別化を図っている。この好循環の仕組みを構築したことで、テレビやゲーム業界で多数のクライアント企業を獲得し、最近ではWeb制作においても官民問わず大型案件を受注するケースが増えている。
主力のクリエイティブ分野では、東京(テレビ、ゲーム、Web、XR、YouTube)、名古屋(アミューズメント)、大阪(ゲーム)に制作スタジオを保有し、約2千人のプロフェッショナル人材がノウハウの蓄積・共有の場としているほか、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)以降はリモートワーク体制を整備することで生産性向上にもつなげている。また、2023年3月にはメタバース※上でイベント開催や交流、作品の展示やプロジェクト(仕事)のやり取りを行えるクリエイター専用の仕事・交流特化型メタバース「C&R Creative Studios Metaverse」を公開している。現在は段階的に機能の拡充を進めており、将来的にはグローバルのクリエイターが集う場所とすることを目指している。
※ インターネット上に仮想的につくられた3次元空間のことで、利用者は自分の代わりとなるアバターを操作し、他者と交流することが可能となる。
(3) 大きなネットワーク
同社に登録しているプロフェッショナル人材のネットワークは、2024年2月時点で39.4万人と5年前と比較して約1.5倍に拡大している。主力のクリエイティブ分野では、クリエイター数で9万人を超える国内最大級のネットワークを構築している。特に、映像分野では同社ネットワークに参加するクリエイターが関与する番組が日本の地上波番組の約45%を占め、2023年1月に(株)シオンをはじめとするシオングループを子会社化したことにより、独立系の番組制作会社としては業界3番手※の売上規模となっている。ゲーム分野では、自社開発タイトルの制作・運用のほか、大手プラットフォーム企業やパブリッシャー等との共同開発案件も含めると、年間200タイトル前後の開発に携わっており、国内最大規模のネットワークを構築している。
※ 番組制作売上高はシオングループの子会社化により年間30~40億円規模になると見られる。
医療分野では、国内の勤務医(研修医含む)約26万人※のうち過半数を占める16.3万人が(株)メディカル・プリンシプル社の提供するサービス(医師向け転職情報サイト「民間医局」、医学生・研修医向けの臨床研修支援サービス「レジナビ」等)に登録しており、顧客となる医療施設数は1.7万施設である。同社は医学生・研修医のための「レジナビFair」を全国規模で開催しており(2020年よりオンラインフェアも開始)、医学生・研修医の会員登録につなげている。「民間医局」会員獲得のための広告宣伝費を抑制できるうえ、高い収益性を獲得できる仕組みになっている。また、勤務医は平均3年で転職するため、紹介事業については会員数を基盤とするストック型に近いビジネス構造と言える。
※ 出所は、厚生労働省「令和4年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」。
そのほかの分野についても、人材ネットワークが年々拡大している。IT分野及びAI/DX分野ではITエンジニアやデータサイエンティスト、研究者等を中心に約1.2万人、法曹分野では弁護士や法務・知財部員等で約2.2万人、会計分野では公認会計士・税理士他で約6.9万人が同社ネットワークに登録している。また、CXO分野についても上場企業のCEOやCOO、CFO経験者を中心に登録者数が約1,900名と順調に拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<MY>
3. 事業別・分野別構成比
クリーク・アンド・リバー社<4763>の2025年2月期中間期の事業別売上構成比は、プロデュース事業が50.2%と最も高く、次いでエージェンシー事業(派遣)が33.0%、エージェンシー事業(紹介)が12.2%、ライツマネジメント事業他が4.6%となっている。売上総利益の構成比は、プロデュース事業の42.6%に続いてエージェンシー事業(紹介)が31.9%と高く、エージェンシー事業(派遣)が19.1%、ライツマネジメント事業他が6.4%となっている。
また、分野別の売上構成比はゲームが25.1%、テレビ・映像が21.1%、Webが17.3%と主力3分野で全体の6割強を占めており、次いで医療が12.5%、韓国事業が6.1%、会計・法曹が4.8%、電子書籍・版権が1.7%となっている。営業利益の構成比は、医療が45.6%、ゲームが31.1%、Webが13.1%、テレビ・映像が12.2%の順となっているが、医療分野については医師紹介事業の売上が第1四半期に集中するためで、通期で見れば構成比は3割程度の水準となる。
39万人超の人材ネットワークを構築し、5万社の顧客にサービスを提供
4. 特徴と強み
同社の事業の特徴はプロフェッショナル分野に特化した請負、派遣・紹介サービスやライツマネジメント事業を展開していることにあり、一般的な人材サービス会社とは異なると弊社では考えている。
(1) 幅広いプロフェッショナル分野を対象に事業を展開
同社が定義するプロフェッショナルとは、1) 世界中で活躍できる職種、2) 機械では代替できない職種、3) 知的財産が蓄積される職種、の3条件を満たすものとなる。これら3条件のもとに展開しているのが、映像、ゲーム、Web、広告・出版、作家、舞台芸術、医療、建築、ファッション、食、アスリート、ライフサイエンス、アグリカルチャー、IT、AI/DX、CXO、会計、法曹の合計18分野である。また、周辺サービスとしてXR※(VR/AR/MR)やドローンなどを提供している。業績の安定性という観点から見ると、幅広いプロフェッショナル分野を事業領域として展開しているため、特定業界の市場環境の影響を受け難い収益構造になっていることが特徴で、同社の強みと言える。
※ XRとはクロスリアリティとも言い、以下の様々な技術の総称。VR(Vertial Reality:仮想現実)とは、コンピュータ上に人工的な環境を作り出し、時間や空間を超えてそこにいるかのような感覚を体験できる技術。AR(Augmented Reality:拡張現実)とは、現実空間に付加情報を表示させ、現実世界を拡張する技術。MR(Mixed Reality:複合現実)とは、現実世界にCGなどで作られた人工的な仮想世界の情報を取り込み、現実世界と仮想世界を融合させた世界をつくる技術。
(2) 制作スタジオの設置によりグループ内にノウハウを蓄積
サービス提供によって人にノウハウが蓄積されるだけでなく、そのノウハウを組織全体で共有化しながら深掘りし、他分野へ展開することで、顧客企業に対してより良い提案やサービス品質の向上につなげている。具体的には、顧客企業で業務を完了したプロフェッショナルが就業先でのニーズ等を共有し、ほかの顧客企業から戻ってきたプロフェッショナルと共同で次の企画提案を練ることで新規受注案件の獲得に生かしている。プロフェッショナルの思考の幅が広がり、1社だけの経験では得られないノウハウが社内に蓄積されることで付加価値の高い提案を可能とし、競合他社との差別化を図っている。この好循環の仕組みを構築したことで、テレビやゲーム業界で多数のクライアント企業を獲得し、最近ではWeb制作においても官民問わず大型案件を受注するケースが増えている。
主力のクリエイティブ分野では、東京(テレビ、ゲーム、Web、XR、YouTube)、名古屋(アミューズメント)、大阪(ゲーム)に制作スタジオを保有し、約2千人のプロフェッショナル人材がノウハウの蓄積・共有の場としているほか、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)以降はリモートワーク体制を整備することで生産性向上にもつなげている。また、2023年3月にはメタバース※上でイベント開催や交流、作品の展示やプロジェクト(仕事)のやり取りを行えるクリエイター専用の仕事・交流特化型メタバース「C&R Creative Studios Metaverse」を公開している。現在は段階的に機能の拡充を進めており、将来的にはグローバルのクリエイターが集う場所とすることを目指している。
※ インターネット上に仮想的につくられた3次元空間のことで、利用者は自分の代わりとなるアバターを操作し、他者と交流することが可能となる。
(3) 大きなネットワーク
同社に登録しているプロフェッショナル人材のネットワークは、2024年2月時点で39.4万人と5年前と比較して約1.5倍に拡大している。主力のクリエイティブ分野では、クリエイター数で9万人を超える国内最大級のネットワークを構築している。特に、映像分野では同社ネットワークに参加するクリエイターが関与する番組が日本の地上波番組の約45%を占め、2023年1月に(株)シオンをはじめとするシオングループを子会社化したことにより、独立系の番組制作会社としては業界3番手※の売上規模となっている。ゲーム分野では、自社開発タイトルの制作・運用のほか、大手プラットフォーム企業やパブリッシャー等との共同開発案件も含めると、年間200タイトル前後の開発に携わっており、国内最大規模のネットワークを構築している。
※ 番組制作売上高はシオングループの子会社化により年間30~40億円規模になると見られる。
医療分野では、国内の勤務医(研修医含む)約26万人※のうち過半数を占める16.3万人が(株)メディカル・プリンシプル社の提供するサービス(医師向け転職情報サイト「民間医局」、医学生・研修医向けの臨床研修支援サービス「レジナビ」等)に登録しており、顧客となる医療施設数は1.7万施設である。同社は医学生・研修医のための「レジナビFair」を全国規模で開催しており(2020年よりオンラインフェアも開始)、医学生・研修医の会員登録につなげている。「民間医局」会員獲得のための広告宣伝費を抑制できるうえ、高い収益性を獲得できる仕組みになっている。また、勤務医は平均3年で転職するため、紹介事業については会員数を基盤とするストック型に近いビジネス構造と言える。
※ 出所は、厚生労働省「令和4年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」。
そのほかの分野についても、人材ネットワークが年々拡大している。IT分野及びAI/DX分野ではITエンジニアやデータサイエンティスト、研究者等を中心に約1.2万人、法曹分野では弁護士や法務・知財部員等で約2.2万人、会計分野では公認会計士・税理士他で約6.9万人が同社ネットワークに登録している。また、CXO分野についても上場企業のCEOやCOO、CFO経験者を中心に登録者数が約1,900名と順調に拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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