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C&R社 Research Memo(2):プロフェッショナルに特化したエージェンシー会社、M&A戦略で事業領域を拡大
配信日時:2024/11/14 13:02
配信元:FISCO
*13:02JST C&R社 Research Memo(2):プロフェッショナルに特化したエージェンシー会社、M&A戦略で事業領域を拡大
■会社概要
1. 会社沿革
クリーク・アンド・リバー社<4763>の設立は1990年で、創業者である代表取締役会長の井川幸広(いかわ ゆきひろ)氏が、プロフェッショナルの生涯価値向上を目的に創業した。7名のテレビディレクターと映画監督という小所帯からスタートし、翌年に一般労働者派遣事業の許可を取得、テレビ番組や映画制作、ゲーム、Web等のクリエイティブ分野から顧客開拓を進めていった。その後は1997年に医療分野、2000年にIT分野、2007年に法曹分野、2009年に会計分野、2013年に建築分野及びファッション分野、2015年に食分野、コンピュータサイエンス分野(現 AI/DX分野)と様々なプロフェッショナル分野に事業領域を拡大した。現在は18分野で39万人超のプロフェッショナル人材のネットワークを構築し、知的財産の流通も含めて5万社を数える顧客にサービスを提供している。
海外展開としては、2001年に韓国にクリエイティブ分野のエージェンシー事業会社(CREEK & RIVER KOREA Co., Ltd.)を設立したのを皮切りに、2010年に中国子会社(CREEK & RIVER SHANGHAI Co., Ltd.)、2016年に米国子会社(CREEK & RIVER Global, Inc.)を設立した。韓国子会社については、孫会社となるCREEK & RIVER ENTERTAINMENT Co., Ltd.にて、テレビ局向けのエージェンシー事業及び電子コミックの制作及び国内外での販売事業を展開している。米国子会社については、弁護士と企業をつなぐSNSプラットフォーム「JURISTERRA(ジュリステラ)」の米国におけるサービス展開を主な目的として設立したが、「JURISTERRA」を本格稼働するには法制度面でクリアすべき課題が残っているため、現状はリソースをかけずに一部の機能を活用して、米国と日本を結んだ法務コンサルティングサービスを行っている。
M&Aによる事業領域の拡大も積極的に行っており、直近では2024年2月にVR・メタバース・IoT機器の企画・開発・販売・サポート等を行う(株)Shiftall、同年3月にAIに関するメディア事業、教育事業、コンサルティング事業等を行うリヴァイ(株)を子会社化しており、2024年8月時点のグループ構成は連結子会社29社、持分法適用関連会社2社となっている。
2000年に大阪証券取引所NASDAQに株式上場を果たして以降、2016年2月に東京証券取引所第2部に市場変更、同年8月に第1部に昇格し、2022年4月からはプライム市場に移行した。
プロフェッショナル人材サービス事業に加え、ライツマネジメント事業にも注力
2. 事業内容
同社は、クリエイティブ分野(映像、ゲーム、Web、広告・出版等)において企画・制作を行うクリエイター※のプロデュース及びエージェンシー事業を主力事業としており、そのほかにも医療や会計、法曹などのプロフェッショナル分野においてエージェンシー事業を展開している。また、ここ数年はプロフェッショナル人材サービスだけでなく、ゲームや出版、作家分野等を中心にライツマネジメント(知的財産の企画開発・流通)事業にも注力している。
※ 具体的な職種としては、映画監督・プロデューサー、テレビディレクター、脚本家、カメラマン、Webデザイナー、CGデザイナー、ゲームプログラマー、クリエイティブディレクター、コピーライター、イラストレーター等が挙げられ、独立したプロフェッショナルとして企画・制作活動を行う個人事業主となる。
(1) プロデュース事業(開発・請負)
エージェンシー事業とともに同社の屋台骨を支える事業である。同社グループのネットワーク内のプロフェッショナル人材でチームを編成し、仕事を請け負うことが多い。特にクリエイティブ分野では、案件ごとにチームを組むケースが多いため、豊富な人材ネットワークを構築していることが競合他社に対する強みである。
対象分野は、映像、ゲーム、Web、広告・出版、建築等のクリエイティブ分野のほか、会計分野で主に展開しており、今後の強化分野としてITやAI/DX分野への取り組みにも注力している。また、同事業の売上総利益率については30%前後と、ここ数年は比較的安定した水準で推移している。
(2) エージェンシー事業(派遣・紹介)
エージェンシー事業では、クライアント企業に対して同社のネットワークに登録するプロフェッショナル人材の派遣、紹介サービスを提供している。派遣の売上総利益率は20~25%と一般の人材派遣とほぼ同水準となっている。一方、紹介に関しては、想定年収の30~35%を紹介手数料として売上高及び売上総利益に計上している。
主な対象分野としては、クリエイティブ分野のほかIT、医療、会計、法曹、ファッション分野等が挙げられる。2021年2月期より開始したCXOエージェンシー事業では、紹介に加えて法人や個人事業主を含む戦略コンサルタント、上場企業等の経営経験者と同社のネットワーク(人材及び顧客企業、出資先企業)を結び付け、新たなビジネスモデルや事業、サービスの創出をサポートしている。なお、医療及び法曹分野については派遣が法律上禁止されているため、紹介のみのサービスとなる。
(3) ライツマネジメント事業(知的財産の企画開発・流通)
ライツマネジメント事業は、クリエイティブ分野のほかIT、法曹、ファッション分野で展開している。クリエイティブ分野における版権ビジネス(小説等の海外向けの映像化権エージェントサービス等)のほか、新技術や特許等の知的財産を活用した付加価値の高い製品・サービスが含まれる。具体的には、発掘した漫画家や作家の作品を企画開発・収益化する「漫画LABO※」のほか、子会社において各種ITサービスの開発・育成を進めている。これらの製品・サービスは、プロデュース事業やエージェンシー事業で構築してきたネットワーク(人材及び顧客)との親和性が高く、今後の成長期待が大きいと弊社では見ている。
※ 「漫画LABO」とは、ネットワークした多くの漫画家や編集者によるコミック制作プラットフォームで、2017年に事業を開始した。「漫画LABO」で制作されたコミックスについては、電子書籍の販売額からプラットフォーマーに支払う手数料を差し引いた金額を売上高として計上し、作家等に制作料を支払い、残った部分が営業利益となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社沿革
クリーク・アンド・リバー社<4763>の設立は1990年で、創業者である代表取締役会長の井川幸広(いかわ ゆきひろ)氏が、プロフェッショナルの生涯価値向上を目的に創業した。7名のテレビディレクターと映画監督という小所帯からスタートし、翌年に一般労働者派遣事業の許可を取得、テレビ番組や映画制作、ゲーム、Web等のクリエイティブ分野から顧客開拓を進めていった。その後は1997年に医療分野、2000年にIT分野、2007年に法曹分野、2009年に会計分野、2013年に建築分野及びファッション分野、2015年に食分野、コンピュータサイエンス分野(現 AI/DX分野)と様々なプロフェッショナル分野に事業領域を拡大した。現在は18分野で39万人超のプロフェッショナル人材のネットワークを構築し、知的財産の流通も含めて5万社を数える顧客にサービスを提供している。
海外展開としては、2001年に韓国にクリエイティブ分野のエージェンシー事業会社(CREEK & RIVER KOREA Co., Ltd.)を設立したのを皮切りに、2010年に中国子会社(CREEK & RIVER SHANGHAI Co., Ltd.)、2016年に米国子会社(CREEK & RIVER Global, Inc.)を設立した。韓国子会社については、孫会社となるCREEK & RIVER ENTERTAINMENT Co., Ltd.にて、テレビ局向けのエージェンシー事業及び電子コミックの制作及び国内外での販売事業を展開している。米国子会社については、弁護士と企業をつなぐSNSプラットフォーム「JURISTERRA(ジュリステラ)」の米国におけるサービス展開を主な目的として設立したが、「JURISTERRA」を本格稼働するには法制度面でクリアすべき課題が残っているため、現状はリソースをかけずに一部の機能を活用して、米国と日本を結んだ法務コンサルティングサービスを行っている。
M&Aによる事業領域の拡大も積極的に行っており、直近では2024年2月にVR・メタバース・IoT機器の企画・開発・販売・サポート等を行う(株)Shiftall、同年3月にAIに関するメディア事業、教育事業、コンサルティング事業等を行うリヴァイ(株)を子会社化しており、2024年8月時点のグループ構成は連結子会社29社、持分法適用関連会社2社となっている。
2000年に大阪証券取引所NASDAQに株式上場を果たして以降、2016年2月に東京証券取引所第2部に市場変更、同年8月に第1部に昇格し、2022年4月からはプライム市場に移行した。
プロフェッショナル人材サービス事業に加え、ライツマネジメント事業にも注力
2. 事業内容
同社は、クリエイティブ分野(映像、ゲーム、Web、広告・出版等)において企画・制作を行うクリエイター※のプロデュース及びエージェンシー事業を主力事業としており、そのほかにも医療や会計、法曹などのプロフェッショナル分野においてエージェンシー事業を展開している。また、ここ数年はプロフェッショナル人材サービスだけでなく、ゲームや出版、作家分野等を中心にライツマネジメント(知的財産の企画開発・流通)事業にも注力している。
※ 具体的な職種としては、映画監督・プロデューサー、テレビディレクター、脚本家、カメラマン、Webデザイナー、CGデザイナー、ゲームプログラマー、クリエイティブディレクター、コピーライター、イラストレーター等が挙げられ、独立したプロフェッショナルとして企画・制作活動を行う個人事業主となる。
(1) プロデュース事業(開発・請負)
エージェンシー事業とともに同社の屋台骨を支える事業である。同社グループのネットワーク内のプロフェッショナル人材でチームを編成し、仕事を請け負うことが多い。特にクリエイティブ分野では、案件ごとにチームを組むケースが多いため、豊富な人材ネットワークを構築していることが競合他社に対する強みである。
対象分野は、映像、ゲーム、Web、広告・出版、建築等のクリエイティブ分野のほか、会計分野で主に展開しており、今後の強化分野としてITやAI/DX分野への取り組みにも注力している。また、同事業の売上総利益率については30%前後と、ここ数年は比較的安定した水準で推移している。
(2) エージェンシー事業(派遣・紹介)
エージェンシー事業では、クライアント企業に対して同社のネットワークに登録するプロフェッショナル人材の派遣、紹介サービスを提供している。派遣の売上総利益率は20~25%と一般の人材派遣とほぼ同水準となっている。一方、紹介に関しては、想定年収の30~35%を紹介手数料として売上高及び売上総利益に計上している。
主な対象分野としては、クリエイティブ分野のほかIT、医療、会計、法曹、ファッション分野等が挙げられる。2021年2月期より開始したCXOエージェンシー事業では、紹介に加えて法人や個人事業主を含む戦略コンサルタント、上場企業等の経営経験者と同社のネットワーク(人材及び顧客企業、出資先企業)を結び付け、新たなビジネスモデルや事業、サービスの創出をサポートしている。なお、医療及び法曹分野については派遣が法律上禁止されているため、紹介のみのサービスとなる。
(3) ライツマネジメント事業(知的財産の企画開発・流通)
ライツマネジメント事業は、クリエイティブ分野のほかIT、法曹、ファッション分野で展開している。クリエイティブ分野における版権ビジネス(小説等の海外向けの映像化権エージェントサービス等)のほか、新技術や特許等の知的財産を活用した付加価値の高い製品・サービスが含まれる。具体的には、発掘した漫画家や作家の作品を企画開発・収益化する「漫画LABO※」のほか、子会社において各種ITサービスの開発・育成を進めている。これらの製品・サービスは、プロデュース事業やエージェンシー事業で構築してきたネットワーク(人材及び顧客)との親和性が高く、今後の成長期待が大きいと弊社では見ている。
※ 「漫画LABO」とは、ネットワークした多くの漫画家や編集者によるコミック制作プラットフォームで、2017年に事業を開始した。「漫画LABO」で制作されたコミックスについては、電子書籍の販売額からプラットフォーマーに支払う手数料を差し引いた金額を売上高として計上し、作家等に制作料を支払い、残った部分が営業利益となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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