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ポールHD Research Memo(5):営業利益は損失予想が一転、黒字で着地。海外事業中心に収益性の向上が寄与
配信日時:2024/10/18 16:05
配信元:FISCO
*16:05JST ポールHD Research Memo(5):営業利益は損失予想が一転、黒字で着地。海外事業中心に収益性の向上が寄与
■ポールトゥウィンホールディングス<3657>の業績動向
1. 2025年1月期第2四半期の連結業績概要
2025年1月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比11.0%増の24,288百万円、営業利益が同36.2%減の359百万円、経常利益が同8.3%減の410百万円、親会社株主に帰属する中間純損失が184百万円(前年同期は321百万円の損失)となり、売上高が上半期として過去最高を更新したほか、期初の時点で損失予想だった営業利益は一転、黒字での着地となった。これを受け、経常利益も黒字で着地したほか、親会社株主に帰属する中間純損失も想定より大幅に損失幅を縮めて着地した(期初予想はそれぞれ124百万円の損失、860百万円の損失)。上期実績が想定を上回って推移した要因は、主に海外ソリューションと国内ソリューションにある。海外ソリューションでは、ゲーム市場が回復するなかで受注が想定を上回って好調に推移したほか、為替が円安に振れたことも業績の拡大に寄与した。また、事業整理の進展によって収益性が改善したことや、事業整理に関連する一部費用が第3四半期以降に後ろ倒しとなったことなどが利益を押し上げた。国内ソリューションでは、採用の効率化によってコストを抑制したことが利益の積み上げに寄与した。これらの結果、第2四半期単独の営業利益は3四半期ぶりに黒字化したほか、6四半期ぶりの400百万円超えを達成した。事業基盤の再構築が順調に進むなか収益性が上向いている格好だ。
一方、前年同期との比較では、増収となったものの、営業利益、経常利益は減益となった。2025年1月期に関しては、2026年1月期以降の成長加速に向け事業基盤を再構築する年度と位置付け、上期に拠点整理や人員調整などを進めた。これら事業整理に伴う一時費用が利益を押し下げた格好だ。また、メディア・コンテンツにおいて、期初計画外の債権引当金が発生したことも減益要因となった。
なお、同社は2025年1月期から決算方針を変更した。従来、在外子会社の収益及び費用は、決算日の直物為替相場をもとに円貨に換算する方法を採用していたが、期中平均相場をもとに円貨に換算する方法に変更した。このため、前年同期との比較に関しては、当該会計方針の変更を反映し、遡及修正後の数値をもとに行っている。
それぞれの業務別業績は以下のとおり。
1) 国内ソリューション
国内ソリューションの売上高は前年同期比8.5%増の12,261百万円、営業利益は同35.0%増の1,013百万円となった。同社は市場におけるニーズの高まりや、クロスセルによる収益機会の最大化を狙えるといった理由からTech分野の業績拡大に注力し、同分野の第三者検証、システム開発の受注が好調に推移した。ニーズが旺盛ななか、営業スタッフとエンジニアの増員によって受注体制を強化したことが増収に寄与した格好だ。このほかゲーム、EC分野に関しても順調に売上を伸ばした。また、同社はトップラインの拡大と管理コストの低減を目的に、戦略的に案件の大型化に注力している。Tech分野の第三者検証、及びシステム開発でも大型案件を受注し、トップラインを押し上げた。利益面に関しては、前年同期に発生した拠点統合などに関わる一時費用が発生しなかったことが増益要因となったほか、採用活動の効率化による採用費の抑制も増益要因となった。採用活動に関しては、自社のオウンドメディアを通じた採用やリファラル採用を増やし効率的に人材採用を行った。この結果、営業利益は期初の予想を上回って着地した。
2) 海外ソリューション
海外ソリューションの売上高は前年同期比23.1%増の9,029百万円、営業利益は51百万円の損失(前年同期は111百万円の損失)となった。ゲーム業界の市況が回復するなど外部環境が好転し、受注が好調に推移した。特に、音声収録やカスタマーサポートなどの受注が計画を上回って推移した。加えて、為替が円安に振れたこともトップラインの拡大に寄与した。利益面に関しては、不採算拠点の閉鎖や人員整理に関わる一時費用が発生したものの、事業整理の進展による人件費の抑制や、事業整理費用が一部後ズレしたことも利益の積み上げに寄与した。これらによって、期初予想の353百万円の損失から、損失幅を大きく減らしての着地となった。また、四半期別の営業利益の推移は、第1四半期が243百万円の損失となったものの、第2四半期が192百万円の黒字に転換、事業基盤再構築が確実に進み、収益性向上がみられた。
3) メディア・コンテンツ
メディア・コンテンツの売上高は前年同期比7.8%減の2,997百万円、営業利益は480百万円の損失(前年同期は57百万円の利益)となった。アニメ制作に関しては制作単価の向上などにより売上高が増加したものの、不採算事業を整理したことなどを受けMDが減収となったことが響いた。利益面に関しては、事業の選択と集中や人員の最適化を推進するなかで収益性が改善しているものの、ゲーム共同開発追加負担や債権引当金を計上したことが影響した。ただ、業績拡大に向けた各種施策は着実に進捗しており、不採算事業の整理によって、成長分野へのリソース配分が進んだほか、PRマーケティングに関する売上も確実に伸ばした。PRマーケティングに関しては、新規ゲームの宣伝に関するWebサイトや動画の作成などの受注が好調だったようだ。また、東京ゲームショウに出展する海外企業のブース作成などを受注した。四半期別の営業利益は、第1四半期の330百万円の損失から第2四半期は150百万円の損失へと損失幅が縮小した。事業整理の進展による収益性の向上により、第3四半期以降は黒字化が見込まれ、期末に向けてさらなる利益の積み上げが期待される。
長短の手元流動性に問題なく、財務状況も健全
2. 財務状況と経営指標
2025年1月期第2四半期末の資産合計は前期末比363百万円増の24,800百万円となった。このうち、流動資産は同459百万円増の17,682百万円となった。これは主に、現金及び預金が343百万円、その他(未収入金等)が200百万円それぞれ減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が354百万円、仕掛品が616百万円それぞれ増加したことなどによる。固定資産は同95百万円減の7,117百万円となった。これは主に、ソフトウェアが265百万円増加した一方で、建物及び構築物が139百万円、のれんが112百万円それぞれ減少したほか、貸倒引当金が50百万円増加したことなどによる。
負債合計は前期末比712百万円増の11,708百万円となった。このうち、流動負債は同915百万円増の10,987百万円となった。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が114百万円減少した一方で、未払金が513百万円、未払法人税等が113百万円、その他(前受金等)が390百万円それぞれ増加したことなどによる。固定負債は同202百万円減の720百万円となった。これは主に、長期借入金が140百万円減少したことなどによる。純資産合計は同349百万円減の13,092百万円となった。これは主に、為替換算調整勘定が371百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する中間純損失の計上及び配当金の支払い等により利益剰余金が750百万円減少したことなどによる。
経営指標は、流動比率が前期末比10.1ポイント低下の160.9%、固定比率が0.8ポイント上昇の54.4%、自己資本比率が同2.2ポイント低下の52.8%となった。流動比率、固定比率ともに健全な状態であり、長短の手元流動性に問題はないと弊社は見ている。また、自己資本比率に関しても、前期末比でわずかに低下したものの、依然として高い水準であると言える。今後の資本政策として同社は、財務健全性を維持しつつ成長投資を実行する方針を示しており、今後も健全な財務体質が維持されるものと弊社は推察する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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1. 2025年1月期第2四半期の連結業績概要
2025年1月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比11.0%増の24,288百万円、営業利益が同36.2%減の359百万円、経常利益が同8.3%減の410百万円、親会社株主に帰属する中間純損失が184百万円(前年同期は321百万円の損失)となり、売上高が上半期として過去最高を更新したほか、期初の時点で損失予想だった営業利益は一転、黒字での着地となった。これを受け、経常利益も黒字で着地したほか、親会社株主に帰属する中間純損失も想定より大幅に損失幅を縮めて着地した(期初予想はそれぞれ124百万円の損失、860百万円の損失)。上期実績が想定を上回って推移した要因は、主に海外ソリューションと国内ソリューションにある。海外ソリューションでは、ゲーム市場が回復するなかで受注が想定を上回って好調に推移したほか、為替が円安に振れたことも業績の拡大に寄与した。また、事業整理の進展によって収益性が改善したことや、事業整理に関連する一部費用が第3四半期以降に後ろ倒しとなったことなどが利益を押し上げた。国内ソリューションでは、採用の効率化によってコストを抑制したことが利益の積み上げに寄与した。これらの結果、第2四半期単独の営業利益は3四半期ぶりに黒字化したほか、6四半期ぶりの400百万円超えを達成した。事業基盤の再構築が順調に進むなか収益性が上向いている格好だ。
一方、前年同期との比較では、増収となったものの、営業利益、経常利益は減益となった。2025年1月期に関しては、2026年1月期以降の成長加速に向け事業基盤を再構築する年度と位置付け、上期に拠点整理や人員調整などを進めた。これら事業整理に伴う一時費用が利益を押し下げた格好だ。また、メディア・コンテンツにおいて、期初計画外の債権引当金が発生したことも減益要因となった。
なお、同社は2025年1月期から決算方針を変更した。従来、在外子会社の収益及び費用は、決算日の直物為替相場をもとに円貨に換算する方法を採用していたが、期中平均相場をもとに円貨に換算する方法に変更した。このため、前年同期との比較に関しては、当該会計方針の変更を反映し、遡及修正後の数値をもとに行っている。
それぞれの業務別業績は以下のとおり。
1) 国内ソリューション
国内ソリューションの売上高は前年同期比8.5%増の12,261百万円、営業利益は同35.0%増の1,013百万円となった。同社は市場におけるニーズの高まりや、クロスセルによる収益機会の最大化を狙えるといった理由からTech分野の業績拡大に注力し、同分野の第三者検証、システム開発の受注が好調に推移した。ニーズが旺盛ななか、営業スタッフとエンジニアの増員によって受注体制を強化したことが増収に寄与した格好だ。このほかゲーム、EC分野に関しても順調に売上を伸ばした。また、同社はトップラインの拡大と管理コストの低減を目的に、戦略的に案件の大型化に注力している。Tech分野の第三者検証、及びシステム開発でも大型案件を受注し、トップラインを押し上げた。利益面に関しては、前年同期に発生した拠点統合などに関わる一時費用が発生しなかったことが増益要因となったほか、採用活動の効率化による採用費の抑制も増益要因となった。採用活動に関しては、自社のオウンドメディアを通じた採用やリファラル採用を増やし効率的に人材採用を行った。この結果、営業利益は期初の予想を上回って着地した。
2) 海外ソリューション
海外ソリューションの売上高は前年同期比23.1%増の9,029百万円、営業利益は51百万円の損失(前年同期は111百万円の損失)となった。ゲーム業界の市況が回復するなど外部環境が好転し、受注が好調に推移した。特に、音声収録やカスタマーサポートなどの受注が計画を上回って推移した。加えて、為替が円安に振れたこともトップラインの拡大に寄与した。利益面に関しては、不採算拠点の閉鎖や人員整理に関わる一時費用が発生したものの、事業整理の進展による人件費の抑制や、事業整理費用が一部後ズレしたことも利益の積み上げに寄与した。これらによって、期初予想の353百万円の損失から、損失幅を大きく減らしての着地となった。また、四半期別の営業利益の推移は、第1四半期が243百万円の損失となったものの、第2四半期が192百万円の黒字に転換、事業基盤再構築が確実に進み、収益性向上がみられた。
3) メディア・コンテンツ
メディア・コンテンツの売上高は前年同期比7.8%減の2,997百万円、営業利益は480百万円の損失(前年同期は57百万円の利益)となった。アニメ制作に関しては制作単価の向上などにより売上高が増加したものの、不採算事業を整理したことなどを受けMDが減収となったことが響いた。利益面に関しては、事業の選択と集中や人員の最適化を推進するなかで収益性が改善しているものの、ゲーム共同開発追加負担や債権引当金を計上したことが影響した。ただ、業績拡大に向けた各種施策は着実に進捗しており、不採算事業の整理によって、成長分野へのリソース配分が進んだほか、PRマーケティングに関する売上も確実に伸ばした。PRマーケティングに関しては、新規ゲームの宣伝に関するWebサイトや動画の作成などの受注が好調だったようだ。また、東京ゲームショウに出展する海外企業のブース作成などを受注した。四半期別の営業利益は、第1四半期の330百万円の損失から第2四半期は150百万円の損失へと損失幅が縮小した。事業整理の進展による収益性の向上により、第3四半期以降は黒字化が見込まれ、期末に向けてさらなる利益の積み上げが期待される。
長短の手元流動性に問題なく、財務状況も健全
2. 財務状況と経営指標
2025年1月期第2四半期末の資産合計は前期末比363百万円増の24,800百万円となった。このうち、流動資産は同459百万円増の17,682百万円となった。これは主に、現金及び預金が343百万円、その他(未収入金等)が200百万円それぞれ減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が354百万円、仕掛品が616百万円それぞれ増加したことなどによる。固定資産は同95百万円減の7,117百万円となった。これは主に、ソフトウェアが265百万円増加した一方で、建物及び構築物が139百万円、のれんが112百万円それぞれ減少したほか、貸倒引当金が50百万円増加したことなどによる。
負債合計は前期末比712百万円増の11,708百万円となった。このうち、流動負債は同915百万円増の10,987百万円となった。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が114百万円減少した一方で、未払金が513百万円、未払法人税等が113百万円、その他(前受金等)が390百万円それぞれ増加したことなどによる。固定負債は同202百万円減の720百万円となった。これは主に、長期借入金が140百万円減少したことなどによる。純資産合計は同349百万円減の13,092百万円となった。これは主に、為替換算調整勘定が371百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する中間純損失の計上及び配当金の支払い等により利益剰余金が750百万円減少したことなどによる。
経営指標は、流動比率が前期末比10.1ポイント低下の160.9%、固定比率が0.8ポイント上昇の54.4%、自己資本比率が同2.2ポイント低下の52.8%となった。流動比率、固定比率ともに健全な状態であり、長短の手元流動性に問題はないと弊社は見ている。また、自己資本比率に関しても、前期末比でわずかに低下したものの、依然として高い水準であると言える。今後の資本政策として同社は、財務健全性を維持しつつ成長投資を実行する方針を示しており、今後も健全な財務体質が維持されるものと弊社は推察する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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