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ベルトラ Research Memo(7):サバイバル期間から持続的成長フェーズへ
配信日時:2024/10/17 13:37
配信元:FISCO
*13:37JST ベルトラ Research Memo(7):サバイバル期間から持続的成長フェーズへ
■中長期の成長戦略・トピックス
ベルトラ<7048>の経営資源は、長年にわたって築いてきた「世界各地のネットワークと圧倒的な品揃え」に加え、「一気通貫のマーケティング力」と「磨き上げられたサービスのクオリティ」である。これらの経営資源を生かすための再投資を行うことで新たな価値を生み出し、さらなるシェアの拡大と企業価値の最大化を目指す。
1. 今後の成長戦略
同社は2022年12月期~2026年12月期の成長戦略として、新規サービスやタッチポイント拡充により「ファンの獲得」や「観光DX」を推し進め、旅行マーケットの再開時には顧客・市場に選ばれる圧倒的なポジションを確立することを目指している。さらに、競争優位性の源泉となる経営資源を最大限に活用しつつ、旅行業に留まらない事業多角化を行うことで新たな価値を生み出し、さらなるシェアの拡大と企業価値の最大化を実現する方針だ。同社の使命であり企業理念でもある国際交流、人と人との本物のつながりを大切にした新サービスを提供することで、関わるすべての人とともに持続的に成長し、独自の存在感で観光産業と国際交流をリードしていく方針である。
2. サバイバルフェーズからサステナブルな成長へ
2020年12月期〜2022年12月期のコロナ禍を経て、アフターコロナへと移行してくる期間において同社は、コストコントロールや第三者割当増資による資金調達、そして、事業ポートフォリオの再構築と拡大によって経営基盤の安定化に注力してくると同時に、旅行市場回復時を見据えた成長投資を実行することにより事業基盤の強化・拡充を図ってきた。そのうえで、2024年12月期以降はさらなる事業ポートフォリの強化・拡充と業績拡大に向けた投資を積極化することにより、コロナ禍前を上回る成長を持続的に実現できる収益基盤を構築していく方針だ。VELTRAを中心とするOTA事業を確実に成長させながら、そこにLINKTIVITY事業とインバウンド領域における新規事業の成長をプラスすることによって持続的な業績の拡大と企業価値の向上を追求していく。特に、成長著しいインバウンド市場を投資強化領域として定め、LINKTIVITY事業の業績拡大とインバウンド市場での新規事業開発を目的とした投資を積極化していく。また、OTA事業に関しては、認知度向上のための投資や価値提供領域の拡大によって、サービスの利用頻度と利用機会を向上させることに注力していく方針だ。
サバイバル期間と先行投資期間を経て、同社の事業ポートフォリオは確実に強化・拡充されてきた。実際、旅行需要が段階的に回復してくるなかで、2024年12月期第2四半期はHawaiiActivitiesを除くすべての事業が業績を伸ばした。海外旅行市場の先行きに関しては不確実要素があるものの、強化された事業ポートフォリオを土台に事業環境の変化に迅速に対応することにより、着実に業績を拡大させていくことができると弊社は見ている。
3. 各事業の戦略と投資方針
(1) OTA事業
新規事業への投資原資を生み出すキャッシュカウ事業として、事業拡大を目的とした投資を積極化していく。具体的には、認知度向上を目的とした広告投資を中心としながら、利用頻度及び利用機会の向上や日本語ツアーの強化、事業生産性の向上を目的とした各種施策に資金を投じていく計画だ。同社の認知度に関しては、2019年に実施した海外旅行経験者アンケートによると、同社サービスを知るユーザーが全体の10%に留まったという。認知度は低いものの、転じて考えればそれだけ伸び代がまだまだ大きいということである。認知度向上のための施策を積極的に推進することにより回復する旅行需要を確実に取り込み、業績の拡大に結び付けていく構えだ。認知度の向上と並行して、利用頻度と利用機会の向上に向けた取り組みも強化していく。具体的には、先述のとおり、同社とは違った強みを有するチケットプラットフォーム企業やJTBなどの同業他社との連携を推進することにより商品ラインナップの拡充を図っていく。これに加えて、同社サービスの価値提供領域を従来主体であった「観光・体験」以外の消費活動領域にも拡大していく方針だ。旅行者数の総数が伸び悩む状況に例え直面したとしても、利用者1人当たりの利用頻度を増やすことにより業績を拡大させ、持続的成長を実現していく狙いである。その他、事業生産性の向上に向けては、AI活用によるコンテンツ作成の自動化を行っていくことを計画しており、これにより営業利益率を向上させていく。
(2) 観光IT事業
a) チケットプラットフォーム事業(LINKTIVTY)
記録的な円安を受け、2024年上半期の訪日外客数が過去最高を記録するなか、2024年度の訪日旅行者数がコロナ禍前を上回ることはほぼ確実な状況である。このように事業環境の見通しが良好ななか、LINKTIVITYへの投資を積極化していく方針であり、既存の訪日旅行者向け鉄道プラットフォームを中核に対象顧客、商品カテゴリー、販売チャネルを拡大し、TAMを広げることで成長を加速させていく。特に事業サービスと対象顧客の拡大に関しては、海外OTA向けのチャネルマネジャーとしての強みを武器に国内企業の提携、販路の強化支援、観光DX、交通MaaSなどの領域を中心に提供するサービスを拡充していく方針だ。足元では、Tencent Japan(同)との戦略提携によるWeChatミニアプリの提供、サプライヤー向け直販ソリューションの提供、観光列車基幹システムの提供など、新たな取り組みを続々と始めている。先述のとおり、2024年12月期上期においても、同サービスの有用性が顧客から評価されたことなどを受け、販売元と販売先は順調に拡大した。今後も利用者のニーズに応えた新規サービスを順次市場に投入することにより、LINKTIVITYを通じた取扱高は順調に拡大していくものと弊社は見ている。なお、2024年通期では新たなソリューション開発による事業領域の拡大を目的として、100百万円を投資していく計画である。先述のとおり、2024年3月には東京メトロとの資本業務提携により、資金調達を実施している。今後も資金調達も活用しながら投資原資を確保し、将来の収益機会を創造するための投資を積極的に行っていく。また、数値目標としては、契約社数・販売商品の拡大により取扱高の成長を加速させ、2030年12月期には契約社数を3,000社以上に拡大させることを計画している。
上記の各種投資を実行することにより、将来的にはファン100万人の会員組織となることを目指す構えだ。ただ、2024年上半期が終了した時点で長引く円安やインフレの影響を受け、海外旅行市場の戻りが想定よりも遅れている状況がある。こうしたなか、次期成長戦略では、海外旅行市場の回復度合いにかかわらず成長を実現することができるような戦略に転換していくという選択肢も検討しているようだ。コロナ禍においても同社は、既存の経営資源や事業活動を通じて獲得したノウハウを基に新規事業を継続的に市場に投入してきた。今後も、インバウンド市場を中心に新規事業を創造することにより、中長期的には持続的成長を実現していくものと弊社は見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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ベルトラ<7048>の経営資源は、長年にわたって築いてきた「世界各地のネットワークと圧倒的な品揃え」に加え、「一気通貫のマーケティング力」と「磨き上げられたサービスのクオリティ」である。これらの経営資源を生かすための再投資を行うことで新たな価値を生み出し、さらなるシェアの拡大と企業価値の最大化を目指す。
1. 今後の成長戦略
同社は2022年12月期~2026年12月期の成長戦略として、新規サービスやタッチポイント拡充により「ファンの獲得」や「観光DX」を推し進め、旅行マーケットの再開時には顧客・市場に選ばれる圧倒的なポジションを確立することを目指している。さらに、競争優位性の源泉となる経営資源を最大限に活用しつつ、旅行業に留まらない事業多角化を行うことで新たな価値を生み出し、さらなるシェアの拡大と企業価値の最大化を実現する方針だ。同社の使命であり企業理念でもある国際交流、人と人との本物のつながりを大切にした新サービスを提供することで、関わるすべての人とともに持続的に成長し、独自の存在感で観光産業と国際交流をリードしていく方針である。
2. サバイバルフェーズからサステナブルな成長へ
2020年12月期〜2022年12月期のコロナ禍を経て、アフターコロナへと移行してくる期間において同社は、コストコントロールや第三者割当増資による資金調達、そして、事業ポートフォリオの再構築と拡大によって経営基盤の安定化に注力してくると同時に、旅行市場回復時を見据えた成長投資を実行することにより事業基盤の強化・拡充を図ってきた。そのうえで、2024年12月期以降はさらなる事業ポートフォリの強化・拡充と業績拡大に向けた投資を積極化することにより、コロナ禍前を上回る成長を持続的に実現できる収益基盤を構築していく方針だ。VELTRAを中心とするOTA事業を確実に成長させながら、そこにLINKTIVITY事業とインバウンド領域における新規事業の成長をプラスすることによって持続的な業績の拡大と企業価値の向上を追求していく。特に、成長著しいインバウンド市場を投資強化領域として定め、LINKTIVITY事業の業績拡大とインバウンド市場での新規事業開発を目的とした投資を積極化していく。また、OTA事業に関しては、認知度向上のための投資や価値提供領域の拡大によって、サービスの利用頻度と利用機会を向上させることに注力していく方針だ。
サバイバル期間と先行投資期間を経て、同社の事業ポートフォリオは確実に強化・拡充されてきた。実際、旅行需要が段階的に回復してくるなかで、2024年12月期第2四半期はHawaiiActivitiesを除くすべての事業が業績を伸ばした。海外旅行市場の先行きに関しては不確実要素があるものの、強化された事業ポートフォリオを土台に事業環境の変化に迅速に対応することにより、着実に業績を拡大させていくことができると弊社は見ている。
3. 各事業の戦略と投資方針
(1) OTA事業
新規事業への投資原資を生み出すキャッシュカウ事業として、事業拡大を目的とした投資を積極化していく。具体的には、認知度向上を目的とした広告投資を中心としながら、利用頻度及び利用機会の向上や日本語ツアーの強化、事業生産性の向上を目的とした各種施策に資金を投じていく計画だ。同社の認知度に関しては、2019年に実施した海外旅行経験者アンケートによると、同社サービスを知るユーザーが全体の10%に留まったという。認知度は低いものの、転じて考えればそれだけ伸び代がまだまだ大きいということである。認知度向上のための施策を積極的に推進することにより回復する旅行需要を確実に取り込み、業績の拡大に結び付けていく構えだ。認知度の向上と並行して、利用頻度と利用機会の向上に向けた取り組みも強化していく。具体的には、先述のとおり、同社とは違った強みを有するチケットプラットフォーム企業やJTBなどの同業他社との連携を推進することにより商品ラインナップの拡充を図っていく。これに加えて、同社サービスの価値提供領域を従来主体であった「観光・体験」以外の消費活動領域にも拡大していく方針だ。旅行者数の総数が伸び悩む状況に例え直面したとしても、利用者1人当たりの利用頻度を増やすことにより業績を拡大させ、持続的成長を実現していく狙いである。その他、事業生産性の向上に向けては、AI活用によるコンテンツ作成の自動化を行っていくことを計画しており、これにより営業利益率を向上させていく。
(2) 観光IT事業
a) チケットプラットフォーム事業(LINKTIVTY)
記録的な円安を受け、2024年上半期の訪日外客数が過去最高を記録するなか、2024年度の訪日旅行者数がコロナ禍前を上回ることはほぼ確実な状況である。このように事業環境の見通しが良好ななか、LINKTIVITYへの投資を積極化していく方針であり、既存の訪日旅行者向け鉄道プラットフォームを中核に対象顧客、商品カテゴリー、販売チャネルを拡大し、TAMを広げることで成長を加速させていく。特に事業サービスと対象顧客の拡大に関しては、海外OTA向けのチャネルマネジャーとしての強みを武器に国内企業の提携、販路の強化支援、観光DX、交通MaaSなどの領域を中心に提供するサービスを拡充していく方針だ。足元では、Tencent Japan(同)との戦略提携によるWeChatミニアプリの提供、サプライヤー向け直販ソリューションの提供、観光列車基幹システムの提供など、新たな取り組みを続々と始めている。先述のとおり、2024年12月期上期においても、同サービスの有用性が顧客から評価されたことなどを受け、販売元と販売先は順調に拡大した。今後も利用者のニーズに応えた新規サービスを順次市場に投入することにより、LINKTIVITYを通じた取扱高は順調に拡大していくものと弊社は見ている。なお、2024年通期では新たなソリューション開発による事業領域の拡大を目的として、100百万円を投資していく計画である。先述のとおり、2024年3月には東京メトロとの資本業務提携により、資金調達を実施している。今後も資金調達も活用しながら投資原資を確保し、将来の収益機会を創造するための投資を積極的に行っていく。また、数値目標としては、契約社数・販売商品の拡大により取扱高の成長を加速させ、2030年12月期には契約社数を3,000社以上に拡大させることを計画している。
上記の各種投資を実行することにより、将来的にはファン100万人の会員組織となることを目指す構えだ。ただ、2024年上半期が終了した時点で長引く円安やインフレの影響を受け、海外旅行市場の戻りが想定よりも遅れている状況がある。こうしたなか、次期成長戦略では、海外旅行市場の回復度合いにかかわらず成長を実現することができるような戦略に転換していくという選択肢も検討しているようだ。コロナ禍においても同社は、既存の経営資源や事業活動を通じて獲得したノウハウを基に新規事業を継続的に市場に投入してきた。今後も、インバウンド市場を中心に新規事業を創造することにより、中長期的には持続的成長を実現していくものと弊社は見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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